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龍王と魔物と冒険者
110話目
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始祖の一体にして魔導の開祖。天魔エニシダ・サバト。天魔には優秀な7人の弟子がいた。
"初代魔王"ルーテン・ブルグ
"聖天主教"マザー・マルタ
"四賢人頭領"色即是空
"御三家筆頭"三法印
"初代聖女"アンジュ・クラーク
"人類最古の王"エリドゥエンシⅠ世
"最初の渡航者"月見里紬
その中でブルグとマルタ。後に色即と三法が加わり魔導教会の前身の組織"魔術会"が創られた。初めこそ全て上手くいっていた。
だがブルグが天魔の眷属に選ばれて、マルタが選ばれなかった。その瞬間からどうしようもなく決裂してしまった。
それが永い千年戦争の始まり。そして終結したのはほんの数年前の話だ。
禍根は未だに燻っている。
「何でだと思う?当ててみろよ」
「ふん 魔女の考えることなんてどうせロクデモナイですよ。筆頭ボコボコにして送り返してあげましょう」
「おいおい!魔導師風情が言うじゃないか!戦いに特化した魔女に勝てるつもりか?」
「何言ってやがんですか!現にお前ら負けただろうが」
玉兎はどこかバカにするように鼻で笑った。千年戦争で確かに魔導師は勝った。だがより多くの犠牲を払ったのも魔導師だからだ。
「劣勢だったお前たち魔導師があの戦争で勝てたのは偶々"白夜の魔女"の弟子が気まぐれで魔導師側に付いたからだろうが。ばーか!ばーかー!」
「しかもそいつはもうかつての力を失っている。
2度目の千年戦争があったら、お前たちに勝ち目があるとでも?」
「そっちこそバカじゃないの!お前たち如きアカシャ様1人で余裕なんだよ!ね、アカシャ様!」
【なんか我関係ないのに飛び火してきたんですけど。物凄い勢いで火の粉燃え盛ってんですけど。我火だるまなんですけど?】
「へえ 面白いね やってみようか」
【いやなんも面白くないんだけど!?】
正に一触即発。だが隣にいた嫦娥が叱りつけるように拳骨を玉兎の頭に落とした。
「滅多なことを口にするものじゃありませんよ、玉兎さん。すみません。うちの若い者が」
「お互い様だ。謝ることじゃない。でも本当に何をしに此処へ?」
黒水の問いかけに嫦娥は柔和な笑みを浮かべる。そこには魔女らしい悪意も策略も感じない。
「ただの観光、と言いたいのですが、最近ビブリテーカーに過激派の魔女が潜んでいるという情報がありまして。
主教様も三法様は余り外に関わりたがらないのですが、我々"曜日の魔女"が放っておくわけにもいかず、来た次第です。天峰冥君様」
「天峰冥君!?こいつがあの"白夜"と並んで最強と呼ばれた魔女の……!是非ともお手合わせ……あでっ!」
「だからおやめなさい」
「んー。その名前は棄てた。今は黒水歪筆頭魔導師だ。そっちで呼んで欲しいかな。
それにしても過激派の魔女ね。放っておけないね、それは。此方も協力しよう」
「助かります。黒水様」
「素直に礼を言うなんて相変わらず魔女らしくないね。お前は」
「そこが私の美点だと自負しております」
ーーーーーー
アナシスタイル西北にある塩と石の港町ストーンフリー。
ガリア連邦が敷いた鉄道トンネルのターミナルが置かれているため、人が多くそれなりに賑わっている観光の要所の一つだ。
その中で最も大きな建物の最上階スイートルームに彼らは居た
「で、バイデ。お前はこう言ってるわけだ。
おめおめ逃げ帰って、目当てのマナジウムも見つからなかったし仲間も全滅しました、と」
「ガッカリだよ、お前には」
略奪者たちの王のギルドマスターアレクセイは心から大きな溜息を吐き出した。まるで信頼という目に見えないものが彼の口から大きく吐き出されているようだと感じた。
「期待に応えられず申し訳ありません!で、ですが収穫が無かったわけではありません!
あの場所には宝人族の生き残りがいました。それも何人も」
「……なんだと?だとしたら思わぬ掘り出し物だ。1人でも捕まえりゃ、一生遊んで暮らせる額が手に入る。本当にいるなら、だがな」
アレクセイは興味深そうに笑みを深くする。
「嘘ではありません!しかし先程も話した通り、通常では起こり得ない複数の種族が徒党を組み組織的な行動を取っています。またそれを支配する灰色の少女の形をした強力な魔物も確認しました。
あれは高位冒険者が何人束になろうと到底手に負える存在じゃありません。最高位冒険者でなければ。」
「で、あるか。ならバイデ。全員集めろ。他のギルドが出張る前にバルディア大山脈を攻略し利益を独占する」
それは合図だった
「ぜ、全員とは。最高位冒険者たちをですか?」
「違う。全員だ」
略奪者たちの王。傘下や末端の構成員まで含めればその規模は150万人は下らない世界最大の冒険者ギルドであり、三大ギルドといっても人数だけ比較した場合には残り2つのギルドなど凡そ半分にも満たない。
そしてギルドマスターアレクセイ・フォルナンドの号令がかけられて動くのは、彼の息のかかった冒険者たちである。
集められたのは、Cランク冒険者25万人.Bランク冒険者4万2千人.Aランク冒険者500人.Sランク冒険者11名。
合計30万弱。歴史的に見ても類を見ないほどの大規模攻略が始まろうとしていた。
仮に全冒険者ギルドを合わせてもCランク以上の冒険者の数は100万人もいない。その1/3の冒険者が投入されるのだ。天変地異でも起きない限り失敗など起こるわけがないほどの戦力である。現にこの中にいる誰も彼もが夢にも思ってないだろう。
しかしあの地は既に龍王の領域である。この行為は龍の逆鱗を逆撫でするに等しく矮小な人の身では天災に及ぶべくもない事を彼らはまだ知らない。
"初代魔王"ルーテン・ブルグ
"聖天主教"マザー・マルタ
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"最初の渡航者"月見里紬
その中でブルグとマルタ。後に色即と三法が加わり魔導教会の前身の組織"魔術会"が創られた。初めこそ全て上手くいっていた。
だがブルグが天魔の眷属に選ばれて、マルタが選ばれなかった。その瞬間からどうしようもなく決裂してしまった。
それが永い千年戦争の始まり。そして終結したのはほんの数年前の話だ。
禍根は未だに燻っている。
「何でだと思う?当ててみろよ」
「ふん 魔女の考えることなんてどうせロクデモナイですよ。筆頭ボコボコにして送り返してあげましょう」
「おいおい!魔導師風情が言うじゃないか!戦いに特化した魔女に勝てるつもりか?」
「何言ってやがんですか!現にお前ら負けただろうが」
玉兎はどこかバカにするように鼻で笑った。千年戦争で確かに魔導師は勝った。だがより多くの犠牲を払ったのも魔導師だからだ。
「劣勢だったお前たち魔導師があの戦争で勝てたのは偶々"白夜の魔女"の弟子が気まぐれで魔導師側に付いたからだろうが。ばーか!ばーかー!」
「しかもそいつはもうかつての力を失っている。
2度目の千年戦争があったら、お前たちに勝ち目があるとでも?」
「そっちこそバカじゃないの!お前たち如きアカシャ様1人で余裕なんだよ!ね、アカシャ様!」
【なんか我関係ないのに飛び火してきたんですけど。物凄い勢いで火の粉燃え盛ってんですけど。我火だるまなんですけど?】
「へえ 面白いね やってみようか」
【いやなんも面白くないんだけど!?】
正に一触即発。だが隣にいた嫦娥が叱りつけるように拳骨を玉兎の頭に落とした。
「滅多なことを口にするものじゃありませんよ、玉兎さん。すみません。うちの若い者が」
「お互い様だ。謝ることじゃない。でも本当に何をしに此処へ?」
黒水の問いかけに嫦娥は柔和な笑みを浮かべる。そこには魔女らしい悪意も策略も感じない。
「ただの観光、と言いたいのですが、最近ビブリテーカーに過激派の魔女が潜んでいるという情報がありまして。
主教様も三法様は余り外に関わりたがらないのですが、我々"曜日の魔女"が放っておくわけにもいかず、来た次第です。天峰冥君様」
「天峰冥君!?こいつがあの"白夜"と並んで最強と呼ばれた魔女の……!是非ともお手合わせ……あでっ!」
「だからおやめなさい」
「んー。その名前は棄てた。今は黒水歪筆頭魔導師だ。そっちで呼んで欲しいかな。
それにしても過激派の魔女ね。放っておけないね、それは。此方も協力しよう」
「助かります。黒水様」
「素直に礼を言うなんて相変わらず魔女らしくないね。お前は」
「そこが私の美点だと自負しております」
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ガリア連邦が敷いた鉄道トンネルのターミナルが置かれているため、人が多くそれなりに賑わっている観光の要所の一つだ。
その中で最も大きな建物の最上階スイートルームに彼らは居た
「で、バイデ。お前はこう言ってるわけだ。
おめおめ逃げ帰って、目当てのマナジウムも見つからなかったし仲間も全滅しました、と」
「ガッカリだよ、お前には」
略奪者たちの王のギルドマスターアレクセイは心から大きな溜息を吐き出した。まるで信頼という目に見えないものが彼の口から大きく吐き出されているようだと感じた。
「期待に応えられず申し訳ありません!で、ですが収穫が無かったわけではありません!
あの場所には宝人族の生き残りがいました。それも何人も」
「……なんだと?だとしたら思わぬ掘り出し物だ。1人でも捕まえりゃ、一生遊んで暮らせる額が手に入る。本当にいるなら、だがな」
アレクセイは興味深そうに笑みを深くする。
「嘘ではありません!しかし先程も話した通り、通常では起こり得ない複数の種族が徒党を組み組織的な行動を取っています。またそれを支配する灰色の少女の形をした強力な魔物も確認しました。
あれは高位冒険者が何人束になろうと到底手に負える存在じゃありません。最高位冒険者でなければ。」
「で、あるか。ならバイデ。全員集めろ。他のギルドが出張る前にバルディア大山脈を攻略し利益を独占する」
それは合図だった
「ぜ、全員とは。最高位冒険者たちをですか?」
「違う。全員だ」
略奪者たちの王。傘下や末端の構成員まで含めればその規模は150万人は下らない世界最大の冒険者ギルドであり、三大ギルドといっても人数だけ比較した場合には残り2つのギルドなど凡そ半分にも満たない。
そしてギルドマスターアレクセイ・フォルナンドの号令がかけられて動くのは、彼の息のかかった冒険者たちである。
集められたのは、Cランク冒険者25万人.Bランク冒険者4万2千人.Aランク冒険者500人.Sランク冒険者11名。
合計30万弱。歴史的に見ても類を見ないほどの大規模攻略が始まろうとしていた。
仮に全冒険者ギルドを合わせてもCランク以上の冒険者の数は100万人もいない。その1/3の冒険者が投入されるのだ。天変地異でも起きない限り失敗など起こるわけがないほどの戦力である。現にこの中にいる誰も彼もが夢にも思ってないだろう。
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