転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。【完結】

古芭白あきら

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番外編②『小さき聖女シエラ』

8. それは乙女ゲームとの相違点

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 私は10歳になった――


 ここが『乙女ゲーム』の世界だと判明したあの事件から3年。
 私とシエラは完全に同期していた。


 私はシエラで、シエラは私……


 シエラである思いと想いは私の中にしっかりある。それと同じように前世の記憶や思考もばっちりあるのだ。そして不思議なことに、この世界が『乙女ゲーム』だって認識すると前世でのゲーム知識がどんどん湧いてきた。


 いったん整理しましょう――


 ここは前世で遊んだ乙女ゲーム『聖なる花に祝福を』の世界。


 私はそのゲームの2作目『ヒロイン』だ。

 設定ではリアフローデンの孤児院で幼少期を過ごすんだけど、聖女の力に目覚めて人助けをしていたら12歳の時に王都に招聘される。そして、3年間の貴族教育の後に王都の貴族が集う学園に入学するところからゲームがスタートするのよね。

 アシュレイン王国では聖女が生まれ難くなっていて、希少な聖女である『ヒロイン』は『攻略対象』にちやほやされながら成長して、人々を苦しめる『魔王』を倒して『攻略対象』の1人と結ばれるというストーリー。

 ライバルらしい登場人物が少なく、最後の魔王を討伐する以外に盛り上がりに欠けると不評ではあったけれど、絵師の力の入れようが凄く、グラフィックは文句無しの超一級品と評判だったの。だから逆に言えばヒロイン転生するとイージーモードで最高に煌びやかな世界を楽しめるってことなのだ。


 シスター・ミレは前作の『悪役令嬢』で、2作目では回想シーンで登場する。彼女は追放先の教会でシスターとなり、孤児院で孤児達を虐待する存在。当然だけど『ヒロイン』と『攻略対象』カッツェも酷い虐待を受けるの。

 カッツェは2作目の『攻略対象』の1人で、『ヒロイン』の幼馴染。彼は13歳になるとシスター・ミレの虐待に耐えきれず孤児院を飛び出し、王都で犯罪組織の一員となる。腕利きの殺し屋となった彼は聖女暗殺の任を受けて王都へやって来た『ヒロイン』と再会する。彼のルートに入ると紆余曲折があって最終的に殺し屋家業から足を洗い、『ヒロイン』の魔王討伐を手助けして結ばれる。

 国名や地名も一致するし、孤児院もゲームにあった通りの建物で、シスター・ミレとカッツェがいるのも同じ。細部に違いはあったけれど、カッツェやシスター・ミレとの回想イベントも発生しているから『乙女ゲーム』の世界で間違いないと思う。

 それに王都では設定通り聖女が生まれ難くなっているらしい。このままだとゲーム通り私は王都に招聘されるのかな?

 私だって女の子だから『乙女ゲーム』の煌びやかな世界には憧れる。

 ど田舎の辺境リアフローデンで一生を過ごすよりも都会の王都へ行ってみたい気持ちも……ちょっとはあるかな?


 だけど違う点もある。


 確かに2作目に『魔王』は登場したけれど、結城悠哉さん……おそらく転移『勇者』であろうユーヤさんは登場していないのだ。

 そして何よりシスター・ミレは虐待なんてしない。

 当たり前よ!
 私のシスターはすっごく優しい素敵な女性よ!
 開発者共め、彼女を『悪役令嬢』にするとは許せん!

 それから王都で『ヒロイン』を聖女の道を教え導く前作『ヒロイン』の王太子妃が処刑されちゃってる。まったくゲーム開始前に退場してるんじゃないわよ。

 どうも前作『ヒロイン』も私と同じ転生者っぽいのよね。めちゃくちゃやって国をかなり荒らしたみたい。もうアシュレイン王国はガタガタ。

 しかも奥様連の話によれば、私のシスターを『悪役令嬢』に仕立て上げ辺境へ追放したらしい。

 前作ヒロイン許すまじ!

 だけどシスターが追放されていなかったら私との出会いもなかったわけで、それはそれで困る。

 許せないけど許さないといけない、何というジレンマ。



 そして最後にカッツェは12歳の時にシスター・ミレに反発して孤児院を抜け出し、将来は王都で暗殺者として名を上げるのだけれど――


「あ、ユーヤさんが帰ってきた」
「うん、シスターも無事みたい」


 ――13歳になった今も孤児院にいた……
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