剣の聖女はモブに乗っ取られました~婚約破棄されましたが・・・悪役令嬢ルートなんてありましたっけ?~

古芭白あきら

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第10話 婚約破棄の行方

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 まあそんなわけでショーテルをずぶずぶ甘々に愛でるのに忙しい私にとって、目の前の殿下達や偽クリスなんてアウト・オブ・眼中!


「入学当初は本物のクリス……ショーテルの母親の形見を取り返そうと思ったんだけど……」
「私はお嬢様の傍にいられさえすればいいので」
「という風に今の私はショーテルとラブラブになったので形見も婚約もどうでもいいんです」
「そ、それは浮気ではないか!」


 殿下を筆頭に側近達が浮気だなんだと騒いでいますが……


「真っ先に浮気したあなた方に言われる筋合いではありません」
「これは浮気ではなく真実の愛だ!」
「殿下! そこまで私の事を!」
「ああ、クリス。この愛を貫き絶対に君を守ってみせる」


 何ですその三文芝居は?


「それなら私とショーテルも真実の愛です」
「お前達のような邪な関係と一緒にするな!」
「そうだ我々は純粋にクリスを慕っているのだ」
「俺達はクリスの幸せの為に戦うのだ!」
「ああ、みんな私の為にありがとう」


 何ですかそれ?


「まあ好きにしてください。どの道あなた方が終わりなのに変わりはありませんから」
「どう言う意味だ?」
「側近のみなさんは婚約者との関係が決裂して婚約解消となりました」


 この側近共は殿下と一緒になって偽クリスにうつつを抜かし、婚約者を蔑ろどころか迫害まがいの真似をしていました。

 みなさんとても素晴らしい良家のご令嬢なのに。

 そんな泣いてつらい想いをされていた彼女達に手を差し伸べ私が婚約解消と新たな縁談に助力しました。


「何だと!?」
「だから最近姿が見えなかったのか」
「なんて事をしてくれたんだ!」
「あなた方が婚約者を蔑ろにしていたのがいけないんでしょうが」


 ちなみに元婚約者達の実家はもちろん側近共の実家もこいつらにカンカン。

 こいつらの廃嫡は既に決定事項となっています。


「殿下との婚約もそちらから破棄していただき助かりました」
「何だと!?」
国王おじ様がなかなか婚約解消に応じてくれなくって」


 もう生理的に無理だからグラディウス殿下との話を白紙に戻して欲しいとお願いしていたのですが、さすがに国を割るかもしれないのでガンとして首を縦に振ってくれなかったのです。


「バカな!?」
「きっとグラディウス様に振られてショックで強がっているだけですわ」
「そ、そうだなクリス。この私に振られて喜ぶなどありえないよな」


 こいつら脳みそ腐ってるんじゃないんですか?


「まあどう思おうとあなた方の勝手ですが手伝わないならパーティーの邪魔ですのでお帰りください」
「待て、まだ話は……」
「婚約破棄の件は国王おじ様には私からお伝えしておきます。これだけ証人がいますので今度こそ婚約を解消できます」


 ああ、晴れ晴れした気分です。


「それでは殿下達は身辺整理をしておいてください」
「なぜ私達が?」
「側近のお三馬鹿は帰ったら廃嫡されて平民に落とされるのが決まってますし、グラディウス殿下は私と婚約を破棄したので王家から追放されるからです」
「「「そんなバカな!?」」」

 殿下に関しては憂いを断つ為、最悪その命も危ういかもしれません。

 ご愁傷様です。


「どうしてそんな酷い真似をするんですか!」
「クリスさん……入学式の時からずっと警告してたじゃないですか」


 同じ日本人のよしみで彼女も不幸にならないように忠告していたのですが……

 この偽ヒロインは性根が腐っているみたいで見放しました。

 考えてみれば私のショーテルから指輪を盗むような浅ましい女ですから情け無用でしたね。


「あなたも覚悟をしておきなさい」
「覚悟?」
「教えてあげたでしょう?」


 ファンディスクの内容について彼女には何度も説明してきました。
 もっとも最後まで私の話にまったく聞く耳を持ちませんでしたが。


「これから異形の王が復活します。偽物の『剣の聖女』で対抗できると思っているんですか?」
「わ、私には『剣の指輪ソードリング』があるわ!」


 やっぱり勘違いしていたようですね。

 まあ、本編では『剣の指輪』の力で剣へと変化しているみたいな誤解を生むイベントムービーでしたから思い違いをするのも無理ないでしょう。


「異形の王が復活するなら絶対にグラディウス様達と討伐して返り咲いてやる!」
「そうだ我々には『つるぎの聖女』がいる」
「今に見ていろ悪女め!」
「異形を退治して俺達が正しいかったと証明してくれる」
「それまでせいぜい我が世の春を謳歌しておくんだな!」


 そう息巻いて殿下達はパーティー会場を後にしました。

 まあ、頑張ってください。
 まっ、無理でしょうけど。
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