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第9話 生徒会室はピンクの世界

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 生徒会室をショーテルとの愛の巣へと変えて、ショーテルを愛でる毎日を過ごしていたけれど……やっぱり、ショーテルには悪い事をした罪悪感から、私は彼女に謝った。


「ごめんねショーテル」
「どうされたのです急に?」
「指輪を取り返せなかったし、ホントなら攻略対象達にチヤホヤされるのは本物のヒロインのあなただったのに……」


 私は記憶を取り戻すとショーテルに全てを打ち明け指輪とヒロインの座を取り戻してあげると誓っていた。

 証拠を揃えて偽クリスを失脚させることも可能だったけど……あんな奴らに大切なショーテルを渡したくなくなったのだ。


「いいんです、と言うより私はお嬢様に酷い言葉を浴びせる人達とは結ばれたくありません」
「だけど、お母様の大切な指輪を……」


 偽クリスは『剣の聖女』の証明である指輪を決して返そうとはしなかった。


「問題ありません」


 だけどショーテルは何でもないと笑う。


「だって私にはレイピアお嬢様がいますから」
「ショーテル!!」


 ああ、この子はなんて可愛いことを言うの。
 抱きつくとショーテルがくすくす笑った。


「初めての出会いでもお嬢様はこうやって抱きついてきましたよね」
「ショーテルが可愛いすぎるのがいけないのよ!」
「指輪を失くした私に大丈夫だって言ってくださいました」
「お持ち帰りしたかっただけだけどね!」
「お嬢様はいつも豪快で強引で破天荒です」


 ショーテルが私の背に腕を回してきた。
 心臓がばくばくドキドキするわね。


「それでも本当に私からつらいも悲しいも何もかもを取り除いてくださいました」
「私なにかしたかしら?」
「お嬢様といると毎日が楽しくて笑いが絶えません」


 ホントにいつも無茶苦茶なんですからと言われてちょっと複雑な気分です。
 ショーテルの笑いを取ってる私ってコメディアンの才能があったのかしら?


「そんなレイピアお嬢様が大好きです」
「私もショーテルが大好きよ」


 私がショーテルの頭を撫でると彼女はにかんで頬を染める。

 か、可愛いすぎる。


「私はショーテルとして一生レイピアお嬢様についていきます」
「ああもう愛してるわショーテル!」


 もう乙女ゲームだとか攻略だとか知らん!
 私はショーテルとずっと幸せに暮らすわ!

 どうやらヒロインショーテル悪役令嬢わたしを攻略してしまったようでした。


「レイピアお嬢様……そんなに私を甘やかさないでください……」
「ふふふ、私の心を盗んだショーテルがいけないのよ」
「い、いけません、こんなこと……」
「相変わらず頭ナデナデに弱いわね」


 ショーテルの弱い部分をナデナデサワサワしたら息を荒げてぐったりしちゃったわ。
 目を潤ませ顔も真っ赤。


「私のショーテルは本当に可愛いんだから」
「ああもう私……お嬢様がいないと生きていけません」


 こうして私はショーテルとどろどろずぶずぶなあま~いピンク色に染まった学園生活を謳歌したのよ……悪い?

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