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社会人──八つ当たり
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※ ※ ※ ※ ※
先輩社員の五月からサポートされ、漸くいりやは業務を開始した。
だがさすがに半日の猶予では、五冊ものファイル全てを処理する事は出来なかった。
そもそも入力アプリケーションの指示からして間違っていた訳で、いりやに正しく業務を遂行させる気はなかったのではないかと推測される。
「何やっているの?まだ終わってないの?せっかく任せたのに。今日中って言ったよね?何しに会社に来ているのかな。いつまでも学生気分では困るんだよね」
部屋に戻ってきた白砂は、グチグチと延々にも思えるような言葉を吐き掛ける。しかも勝ち誇った表情で、である。
いりやが反論しないのを良い事に、上から高圧的な物言いだ。パワハラとか──昨今は色々と世間の評価が厳しいと思われるが、彼女は気にならないらしい。
そしていりやの業務内容は、教育係を受け持っている白砂の評価にも関係する。
当然ながら、指示一つにしても新入社員へ分かるように伝えなくてはならないのだ。仕事なのだから、無駄に遊ばせておく等は論外である。
それを故意に効率的ではない、他者から明らかな業務妨害と判断されてしまう今回の事実。
(さすがにあの量、一日で終わらないと思って渡して来てるでしょ。一生懸命やってるのに、何だか馬鹿らしくなっちゃう。はあ……この人、煩いから早く愚痴言うの終わらないかな?)
先輩社員からの一方的なパワハラ攻撃に、本来ならば畏縮してしまうところだろう。しかしながらいりやは、一度振り切れたら周囲が気にならなくなるタイプだった。
そこは自分の殻に閉じ籠る性質故かもしれないが、無表情標準装備なので何を考えているか伝わりにくい。なので、いりやの内心は『バレなければ問題ない』である。
「ちょっと、聞いてるの?」
「……聞いています」
全く反応を返さないいりやに対し、とうとう白砂が声を荒らげた。けれども音声認識はしているので、返答を求められていると察したいりやはポツリと答える。
言われた内容は殆ど頭に入っていないが、要約すると理不尽な八つ当たりだ。
そもそも、白砂が何をもっていりやを嫌うのか不明なのである。
直接的な接触は今回の教育係になった事が初であり、それ以外に原因となるものが思い当たらなかった。
初日からこのような仕打ちをされるのであれば、当然この人物を上役に立てるのは悪手である。信頼を得る気持ちも湧いてこないし、尊敬など到底出来なかった。
「聞いているなら、他に反応するでしょ?」
「……どう反応してほしいのですか。それよりお話が終わりでしたら、時間の無駄なので業務を続けたいのですが」
一人で白熱してくる白砂の問いに、時計が気になっていたいりやがはっきりと口にする。
定時まであと残り一時間程の勤務時間である為、残りの入力業務を行いたいいりやだ。もしかしたら全てを終わらせられるかもしれないのだった。
先輩社員の五月からサポートされ、漸くいりやは業務を開始した。
だがさすがに半日の猶予では、五冊ものファイル全てを処理する事は出来なかった。
そもそも入力アプリケーションの指示からして間違っていた訳で、いりやに正しく業務を遂行させる気はなかったのではないかと推測される。
「何やっているの?まだ終わってないの?せっかく任せたのに。今日中って言ったよね?何しに会社に来ているのかな。いつまでも学生気分では困るんだよね」
部屋に戻ってきた白砂は、グチグチと延々にも思えるような言葉を吐き掛ける。しかも勝ち誇った表情で、である。
いりやが反論しないのを良い事に、上から高圧的な物言いだ。パワハラとか──昨今は色々と世間の評価が厳しいと思われるが、彼女は気にならないらしい。
そしていりやの業務内容は、教育係を受け持っている白砂の評価にも関係する。
当然ながら、指示一つにしても新入社員へ分かるように伝えなくてはならないのだ。仕事なのだから、無駄に遊ばせておく等は論外である。
それを故意に効率的ではない、他者から明らかな業務妨害と判断されてしまう今回の事実。
(さすがにあの量、一日で終わらないと思って渡して来てるでしょ。一生懸命やってるのに、何だか馬鹿らしくなっちゃう。はあ……この人、煩いから早く愚痴言うの終わらないかな?)
先輩社員からの一方的なパワハラ攻撃に、本来ならば畏縮してしまうところだろう。しかしながらいりやは、一度振り切れたら周囲が気にならなくなるタイプだった。
そこは自分の殻に閉じ籠る性質故かもしれないが、無表情標準装備なので何を考えているか伝わりにくい。なので、いりやの内心は『バレなければ問題ない』である。
「ちょっと、聞いてるの?」
「……聞いています」
全く反応を返さないいりやに対し、とうとう白砂が声を荒らげた。けれども音声認識はしているので、返答を求められていると察したいりやはポツリと答える。
言われた内容は殆ど頭に入っていないが、要約すると理不尽な八つ当たりだ。
そもそも、白砂が何をもっていりやを嫌うのか不明なのである。
直接的な接触は今回の教育係になった事が初であり、それ以外に原因となるものが思い当たらなかった。
初日からこのような仕打ちをされるのであれば、当然この人物を上役に立てるのは悪手である。信頼を得る気持ちも湧いてこないし、尊敬など到底出来なかった。
「聞いているなら、他に反応するでしょ?」
「……どう反応してほしいのですか。それよりお話が終わりでしたら、時間の無駄なので業務を続けたいのですが」
一人で白熱してくる白砂の問いに、時計が気になっていたいりやがはっきりと口にする。
定時まであと残り一時間程の勤務時間である為、残りの入力業務を行いたいいりやだ。もしかしたら全てを終わらせられるかもしれないのだった。
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