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第七章
1.鎮まるまで待つか【2】
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「どうしてもか?」
首を傾げたままでいる私に、再度ヴォルが問い掛けます。
『外を見たいのか』という確認でしょうが、そんなに念を押されると──困ってしまいました。逆に言えば、そうまでして二人が見せたくないと思っている訳でして。
「まぁ……平和育ちのメルシャ様には少々刺激がキツいかも知れませんが、世の中の敵は魔物だけではありませんからね。宜しいのではありませんか?」
「……仕方ない」
ベンダーツさんが肩を竦め、ヴォルが小さく溜め息を吐きます。
な、何でしょう。二人が視線を合わせ、変な意気投合をしてしまっている感じがしますけど。しかも、どう考えても良い感じのしない雰囲気でした。
それでも見る事をやめるとは言えない私です。これは怖いもの見たさというのでしょうか。
「Eizou wo Miseyo.」
ヴォルの声が響きました。魔力を乗せた音です。
そしてすぐに魔法の効果が起こりました。
「っ?!」
私は息を呑みます。
まず始めに壁一面が光り、そこに映し出されたのは町長さんの屋敷の壁でした。次に、玄関の扉──があった筈の場所。けれども既に扉はなく、知らない男の人達がいました。
五人くらい?しかも、手には棍棒や包丁を持って屋敷内に入ってきます。
「な……っ」
違和感を感じて反対側に視線を移した私は、そこで信じがたい光景を目にしてしまいました。
映像は部屋一面の壁に映し出されていたのですが、玄関と逆に窓ガラス──透明ガラス自体高価なのでお金持ちのお屋敷にしかないのです──を粉々に打ち破って侵入して来ている町民を見てしまったのです。
それ等の数え切れない方々も、同じように手には斧や鍬や鉈等を持っていました。
──えっと、これ……何の暴動ですか?
「これくらいで良いでしょう。分かりましたか、メルシャ様?」
ベンダーツさんの言葉と共に、映像が一瞬の内に途切れます。でも私には彼の言葉に応じるだけの心の余裕がありませんでした。
自然と身体はカタカタと小刻みに震え、本能的にでしょうか──ヴォルの服にしがみついていたのです。
私の頭の中は凄く混乱していて、映像で観た武器を振り上げる人々がこびりついていました。直接ではないにしろ、自分に向けられる凶器です。怖くない筈がありませんでした。
「メル」
耳元でヴォルの声がします。
ゆっくりと彼に視線を向けると、ボヤボヤと顔が歪んで見えました。──あ……れ……?私、泣いてます?
気付かないうちに瞳一杯の涙を溜めている私です。
「当たり前ですが、あちらからは結界の中は見えないようですね。それでもあれは私達がここにいる事を分かっての行動なのです」
「ど……して……っ」
震えて言葉に出来ませんが、言いたい事はベンダーツさんが読み取ってくれました。
「何者かがあらぬ事を吹き込んだのでしょうね。私たちに対する明らかな憎悪が感じられましたから。どうされますか、ヴォルティ様」
「……首謀者を捜す」
「そうですね。しかしながらそれなりの力を持つ者でしょうから、これもまた面倒な事になりそうですね」
冷静な対応の二人の会話です。
ヴォルとベンダーツさんが黒幕についての推理を話始めました。──も、もしかして。
「町長……さん?」
「いいえ」
私がポツリと思いのままに呟いた言葉は、即座にベンダーツさんに却下されます。
うわ──、即否定されました。とはいえ、私も確証があって口にした訳ではないですけど。
「彼は違います。ただの小心者でしょう。現にヴォルティ様とメルシャ様の待遇は変わらなかったようですし。そのくせ私を己の屋敷地下に監禁とか、支離滅裂すぎです」
ベンダーツさんは静かに町長さんを論じます。
ですが言葉の端々に刺を感じました。
──あぁ、根に持っていますね。当たり前でしょうけど。
やはりあの時見たベンダーツさんの傷は本物だったようです。既に癒えているのでしょうが、痛みの記憶を簡単に忘れるなんて有り得ませんでした。
首を傾げたままでいる私に、再度ヴォルが問い掛けます。
『外を見たいのか』という確認でしょうが、そんなに念を押されると──困ってしまいました。逆に言えば、そうまでして二人が見せたくないと思っている訳でして。
「まぁ……平和育ちのメルシャ様には少々刺激がキツいかも知れませんが、世の中の敵は魔物だけではありませんからね。宜しいのではありませんか?」
「……仕方ない」
ベンダーツさんが肩を竦め、ヴォルが小さく溜め息を吐きます。
な、何でしょう。二人が視線を合わせ、変な意気投合をしてしまっている感じがしますけど。しかも、どう考えても良い感じのしない雰囲気でした。
それでも見る事をやめるとは言えない私です。これは怖いもの見たさというのでしょうか。
「Eizou wo Miseyo.」
ヴォルの声が響きました。魔力を乗せた音です。
そしてすぐに魔法の効果が起こりました。
「っ?!」
私は息を呑みます。
まず始めに壁一面が光り、そこに映し出されたのは町長さんの屋敷の壁でした。次に、玄関の扉──があった筈の場所。けれども既に扉はなく、知らない男の人達がいました。
五人くらい?しかも、手には棍棒や包丁を持って屋敷内に入ってきます。
「な……っ」
違和感を感じて反対側に視線を移した私は、そこで信じがたい光景を目にしてしまいました。
映像は部屋一面の壁に映し出されていたのですが、玄関と逆に窓ガラス──透明ガラス自体高価なのでお金持ちのお屋敷にしかないのです──を粉々に打ち破って侵入して来ている町民を見てしまったのです。
それ等の数え切れない方々も、同じように手には斧や鍬や鉈等を持っていました。
──えっと、これ……何の暴動ですか?
「これくらいで良いでしょう。分かりましたか、メルシャ様?」
ベンダーツさんの言葉と共に、映像が一瞬の内に途切れます。でも私には彼の言葉に応じるだけの心の余裕がありませんでした。
自然と身体はカタカタと小刻みに震え、本能的にでしょうか──ヴォルの服にしがみついていたのです。
私の頭の中は凄く混乱していて、映像で観た武器を振り上げる人々がこびりついていました。直接ではないにしろ、自分に向けられる凶器です。怖くない筈がありませんでした。
「メル」
耳元でヴォルの声がします。
ゆっくりと彼に視線を向けると、ボヤボヤと顔が歪んで見えました。──あ……れ……?私、泣いてます?
気付かないうちに瞳一杯の涙を溜めている私です。
「当たり前ですが、あちらからは結界の中は見えないようですね。それでもあれは私達がここにいる事を分かっての行動なのです」
「ど……して……っ」
震えて言葉に出来ませんが、言いたい事はベンダーツさんが読み取ってくれました。
「何者かがあらぬ事を吹き込んだのでしょうね。私たちに対する明らかな憎悪が感じられましたから。どうされますか、ヴォルティ様」
「……首謀者を捜す」
「そうですね。しかしながらそれなりの力を持つ者でしょうから、これもまた面倒な事になりそうですね」
冷静な対応の二人の会話です。
ヴォルとベンダーツさんが黒幕についての推理を話始めました。──も、もしかして。
「町長……さん?」
「いいえ」
私がポツリと思いのままに呟いた言葉は、即座にベンダーツさんに却下されます。
うわ──、即否定されました。とはいえ、私も確証があって口にした訳ではないですけど。
「彼は違います。ただの小心者でしょう。現にヴォルティ様とメルシャ様の待遇は変わらなかったようですし。そのくせ私を己の屋敷地下に監禁とか、支離滅裂すぎです」
ベンダーツさんは静かに町長さんを論じます。
ですが言葉の端々に刺を感じました。
──あぁ、根に持っていますね。当たり前でしょうけど。
やはりあの時見たベンダーツさんの傷は本物だったようです。既に癒えているのでしょうが、痛みの記憶を簡単に忘れるなんて有り得ませんでした。
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