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第八章
7.仲間を救ってほしいと【4】
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「見えて来たぞ……ってかここからでも分かる、何だかヤバそうな雰囲気なんだけど」
ベンダーツさんの言葉に外を見ます。
──ぅわ~……、ベンダーツさんの言いたい事が分かりました。
馬車の窓から顔を出した私の視線の先には、とっても黒い靄が掛かっています。その危険度が分からない為か、ケストニアの町とおぼしき影を前方に馬車の足が止まりした。
しかしながら、地平に広がる黒々とした靄は嫌な感じしかしません。
「魔法石じゃねぇのかよ。あれじゃ、デカイ魔物にしか見えないんだけど。……ってかウマウマ、動けって」
手綱を振って命じるベンダーツさんでした。
どうやらベンダーツさんが馬車を停めた訳ではなく、引いているウマウマさんが止まってしまったようです。ウマウマさんも恐怖を感じているのか、まだ距離があるにも関わらずそれ以上近付こうとしませんでした。
これまでの旅に一緒していたウマウマさんなので、非常に珍しい反抗的な態度です。
「本能的に接近を拒否しているのだろ。俺はここから歩いていく」
それまで静かに状況を見ていたヴォルが立ち上がりました。勿論、抱き留められている私もつられて立ち上がります。
「行くのだろ?」
驚いてヴォルの顔を見上げると、真っ直ぐな瞳を向けられました。
まさか、こんなに危なそうなのに連れていってくれるとは思ってはいなかった私です。
「行って良いのですか?」
「あぁ。ここに結界は張ってくが、何処も危険なのは変わらない。ならば共にあった方が対処しやすい」
淡々とした言葉からは、ヴォルの感情が見えません。
でも、サガルットの町でお留守番出来ていなかった前科がありました。
勿論ヴォルの結界を信用していない訳ではないのです。それでも一人になると不安なのはどうしようもなくて、頭で考えても止める事など出来ないのでした。
「俺も仲間に入ってるよね?」
「仕方なく、な」
「ひっどぉ~」
楽しそうに声を掛けてくるベンダーツさんに、ヴォルは表情なく答えます。
二人のそんなやり取りを見ていると何故か楽しそうで、今からあの黒々とした危険な場所へ行くとは思えない程でした。
「行きましょう。精霊さんのお仲間も心配ですが、あの町の人も心配です」
「残念ながら、人間の生命反応は感じられない」
「それでもです」
「そうか」
一度ケストニアに視線を向けてヴォルが告げます。
もしかしなくても辛い現実を見る事になるのだと聞こえました。でも私はヴォルと同じものが見たいのです。
はっきりと首肯した私に、ヴォルはそれ以上何も言いませんでした。
私だって薄々感じてはいるのです。でも僅かでも可能性があるのなら、信じてみても良いではないかと強く思いました。
「メルって、案外強情なところがあるよね」
小さな声で、後ろからベンダーツさんに言われてしまいます。
そんな事は自分が一番分かっていました。本来の我が儘で意地っ張りなところを、私は必死に隠しているのですから。
「ダメですか?」
「いやぁ、それもヴォルには魅力的なんだろうから良いんじゃね?」
怖々と問い返すと、ニッコリと良い笑みを向けられました。
魅力的──なのでしょうか。自分では分かりません。
私は自分の我が儘で大切な命がなくなってしまうのが怖いから、普段は見せないようにしているだけなのでした。
「どうした、メル」
「いいえ、何でもないです」
立ち止まってしまっていた私に気付いてくれるヴォルです。彼はこんな些細な私の心の機微に気付いて、いつも気遣ってくれました。
大丈夫です。ヴォルなら、大丈夫──ですよね?
ベンダーツさんの言葉に外を見ます。
──ぅわ~……、ベンダーツさんの言いたい事が分かりました。
馬車の窓から顔を出した私の視線の先には、とっても黒い靄が掛かっています。その危険度が分からない為か、ケストニアの町とおぼしき影を前方に馬車の足が止まりした。
しかしながら、地平に広がる黒々とした靄は嫌な感じしかしません。
「魔法石じゃねぇのかよ。あれじゃ、デカイ魔物にしか見えないんだけど。……ってかウマウマ、動けって」
手綱を振って命じるベンダーツさんでした。
どうやらベンダーツさんが馬車を停めた訳ではなく、引いているウマウマさんが止まってしまったようです。ウマウマさんも恐怖を感じているのか、まだ距離があるにも関わらずそれ以上近付こうとしませんでした。
これまでの旅に一緒していたウマウマさんなので、非常に珍しい反抗的な態度です。
「本能的に接近を拒否しているのだろ。俺はここから歩いていく」
それまで静かに状況を見ていたヴォルが立ち上がりました。勿論、抱き留められている私もつられて立ち上がります。
「行くのだろ?」
驚いてヴォルの顔を見上げると、真っ直ぐな瞳を向けられました。
まさか、こんなに危なそうなのに連れていってくれるとは思ってはいなかった私です。
「行って良いのですか?」
「あぁ。ここに結界は張ってくが、何処も危険なのは変わらない。ならば共にあった方が対処しやすい」
淡々とした言葉からは、ヴォルの感情が見えません。
でも、サガルットの町でお留守番出来ていなかった前科がありました。
勿論ヴォルの結界を信用していない訳ではないのです。それでも一人になると不安なのはどうしようもなくて、頭で考えても止める事など出来ないのでした。
「俺も仲間に入ってるよね?」
「仕方なく、な」
「ひっどぉ~」
楽しそうに声を掛けてくるベンダーツさんに、ヴォルは表情なく答えます。
二人のそんなやり取りを見ていると何故か楽しそうで、今からあの黒々とした危険な場所へ行くとは思えない程でした。
「行きましょう。精霊さんのお仲間も心配ですが、あの町の人も心配です」
「残念ながら、人間の生命反応は感じられない」
「それでもです」
「そうか」
一度ケストニアに視線を向けてヴォルが告げます。
もしかしなくても辛い現実を見る事になるのだと聞こえました。でも私はヴォルと同じものが見たいのです。
はっきりと首肯した私に、ヴォルはそれ以上何も言いませんでした。
私だって薄々感じてはいるのです。でも僅かでも可能性があるのなら、信じてみても良いではないかと強く思いました。
「メルって、案外強情なところがあるよね」
小さな声で、後ろからベンダーツさんに言われてしまいます。
そんな事は自分が一番分かっていました。本来の我が儘で意地っ張りなところを、私は必死に隠しているのですから。
「ダメですか?」
「いやぁ、それもヴォルには魅力的なんだろうから良いんじゃね?」
怖々と問い返すと、ニッコリと良い笑みを向けられました。
魅力的──なのでしょうか。自分では分かりません。
私は自分の我が儘で大切な命がなくなってしまうのが怖いから、普段は見せないようにしているだけなのでした。
「どうした、メル」
「いいえ、何でもないです」
立ち止まってしまっていた私に気付いてくれるヴォルです。彼はこんな些細な私の心の機微に気付いて、いつも気遣ってくれました。
大丈夫です。ヴォルなら、大丈夫──ですよね?
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