34 / 60
第2章──少年期5~10歳──
034 家族のお茶会
しおりを挟む
『大丈夫だって。シアが文句言わせないし』
そんなフェリシアの宣言と共に、グーリフとミアも含めて訪れた本日の茶会の席──中庭に面するテラスである。
基本的に家族一同が顔を合わせる事が多いのは、この茶会用のテラスと食堂だ。しかしながら本日の列席者は、何故か皆揃って苦い表情である。
(え……何、この葬式でも始まりそうな重い空気)
フェリシアは戸惑いつつも、いつもの己の定位置であるお子様椅子に案内された。そしてミアによって抱き上げられて座らされたのだが、一同は微動だにせず視線を何処かへ固定させたままである。
「あ、あの……?」
グーリフが、彼用にあつらえた子供椅子──当然のようにフェリシアの隣──に飛び乗って腰掛けたのを確認し、何も反応しない茶会参加者へ声を掛けるフェリシアだ。
一番遅かったのが彼女である為、遅刻を謝罪しようとしたのである。
「うわ~……っ!」
そこへ突然、父親の悲鳴に似た叫び声が上がった。
ビクリと身体が跳ねたのは仕方がないとはいえ、フェリシアは恐る恐る父親へと視線を向ける。
茶会用の円卓で、ヨアキムの席はフェリシアの隣だ。けれども、頭を抱えるようにして顔を伏せている彼の表情は見えない。
「遅くなって……ごめんなさい?」
何があってこのヨアキムの反応なのか分からずも、フェリシアは疑問符をつけながらの謝罪を口にした。
けれども反応がない。余程怒っているのかと思って焦り始めた時、静かな次男の一言だ。
「父様。鬱陶しいから」
『鬱陶しい』とは如何に──と、フェリシアの頭上に疑問符が浮かぶ。
周囲を見回せば、マルコを含め、他の家族の表情も似たり寄ったりの様子である。
「え……っと、何事?」
「……シア。行きたくなければ行かなくて良いですから」
「そうだ。後の事はおれ達が何とかする。邪魔者はぶっ飛ばすだ」
問い掛けを口にすれば、長兄と三男が応じてくれた。
そしてそれにより、現状のヨアキムの嘆き理由がフェリシアに伝わる。
「貴方?早くシアちゃんに説明なさってください。あの子が分からないままでは話が進まず、せっかくのお茶が冷めてしまうではありわせんか」
「うぅ~、ナディヤまで……。本当、皆が優しくない……。でも聞いてくれ、フェル。父様は頑張ったんだぞ?」
子供達ばかりか妻にまであしらわれたヨアキムだったが、最後の砦とばかりにフェリシアに泣きを入れてきた。
けれども恐らくというか確実に、『大将クラスの茶会』への招待状の件をさしているのだろう。ミアから聞いているだけに、当然のように行きたくないフェリシアの対応は冷たくなった。
「父様。要点をはっきりとさせてください。シアには何の事だか、全く検討もつかないのですが」
「フェルまで……いや、当然か。っていうか、言葉尻キツくない?口調もいつもと違うし」
「父様がはっきりしないからさ。せっかくのシアとのお茶の時間が少なくなる」
「あ、それもそうだな。マルコが冷たいのはいつもだし。では結論から言う。フェル。大将と茶会してくれ」
「嫌」
「あ……………………そう?」
「はい、終わりですね」
「あ……」
「終了だな。今日のお茶菓子は、ぼくが選んだんだ。シアが好きそうな味だと思うんだけど」
「え……」
「終わりだ。お茶はおれが選んだ。良い匂いのだ」
ガウリイルとマルコ、エリアスの連撃で、ヨアキムの口を挟む隙がない。
しかしながら簡単に感情だけで断って良いものか分からず、フェリシアは兄達の同意に困惑しながらもナディヤの表情を伺った。
けれどもナディヤは何事もなかったかのように、済ました顔でカップを傾けている。
「いやいやいや、俺の話を聞いてくれる?皆して、酷いじゃないか」
「……貴方?シアちゃんが嫌というのだから、それは意思を尊重すべきと思うわよ?」
「そ、それはそうなんだけどもだ。大将だぞ?いわゆる軍のトップだ。断れるか?」
「お断りなさって?」
「あ……、そう?」
ナディヤはヨアキムの話を聞く耳持たずといった感じで、視線すら合わせなかった。
フェリシアはそれらを見ていて気付いたが、どうやらフェリシア到着以前から、家族間でこのやり取りが長く続いていたのだろう。そしてフェリシアの耳にこの話が入ったのは初めてだが、実際には『今回が初めてではないのだろう』とも推測する。
「ねぇ、父様。シアが見世物になると、父様にどんな利があるの?」
小首を傾げながら、茶菓子の焼き菓子を片手に問い掛けた。
上下関係の思惑はあるだろうが、五歳児であるフェリシアをどう扱うのか──。
ヨアキムの中将としての地位はスキル【神の眼】で知っているが、家の敷地から一歩も外出しない引きこもり同然の生活を送っているフェリシアである。
今はそれで事足りているのだが、嫌でも十一歳から学校生活が始まるのだ。──来年からガウリイルが学生寮に入ると知り、初めてこの世界の教育方針を知ったのである。
それも、余程の貧困層でない限りは寮に入らねばならず、卒業するまでは殆ど帰省する事も許されないのだ。
「……ごめん。フェルが大将に気に入って頂ければ、大きな後ろ楯が出来ると思った。正直、ラングロフだけでは守りが薄い。この屋敷内であればそれは可能かも知れない。だが、いずれは学園に行かねばならんのだ」
「何を言っているのかしら、貴方。だからこそ、グーリフを親戚筋のウマ種の子供として共に過ごさせているじゃないの」
ヨアキムの沈痛な告白に対し、ナディヤは分かっていると言わんばかりの表情だった。
どうやらグーリフが魔獣形態ではなく、ヒト形態を取っている事を都合良く解釈しているらしい。
そして対外的にも、グーリフの存在をヒトとして扱っているようだった。
〈え、グーリフ。知ってた?〉
〈……まぁな。一家に見つかった後、暫くしてからナディヤから願われた。俺としてはそれに対して不利益がないし、そうでなくともフェルの傍を離れるつもりもない〉
〈え……、マジで?だってグーリフは、ヒトは窮屈だって……〉
〈俺が【人化】出来るのは、フェルと共に在りたいと願ったからだろう〉
〈グーリフ……〉
「二人で見つめ合ってる」
「えっ?あ……」
「エリアス、野暮な事を聞くな。俺とフェルは、心から繋がっているんだ」
「うにゃ!?」
フェリシアとグーリフは、スキル【以心伝心】で会話が出来る。
だからこそ、グーリフの言葉に偽りはないのだが、この言い方では解釈の仕方によっては不味い方向性に向いてしまうとフェリシアは焦った。
「確かに。シアは良く、グーリフと視線で会話をしているよね」
「そ、そんな!ダメですっ。わたしの承認もなく、そのような勝手は許しません!」
「馬鹿か、チビ銀。チビ金の方が良くみているな。そもそもお前ごときの許可などなくとも、フェルと俺は深いところで繋がってるんだ。何人たりとも、これを断つ事など出来ん。フッ、良いだろう」
納得した様子で頷くマルコに対し、酷く慌てた様子のガウリイル。
そんな彼に、グーリフは明らかに煽る物言いで、更には鼻で笑って見せる。
「くっ……、わたしが何もしないと思っているのですか」
「違うな。何もしないんじゃねぇ、出来ねぇんだ。フェルに嫌われるからな」
「な……っ」
「あらあらまぁまぁ。ここはお兄ちゃんの負けかしらね。グーちゃんの言う事は正しいわよ。シアちゃんに嫌われたくないのなら、グーちゃんを蔑ろには出来ないわ。それに口では反対していても、二人の確かな繋がりがお兄ちゃんにも見えているのでしょう?」
思わずと言った感じで食って掛かったガウリイルだったが、フェリシアという盾を出されては手も足も出せなかった。
そこへ、ガウリイルの隣に座っているナディヤから静かな仲裁が入る。
既に四年近く、フェリシアとグーリフを見守ってきているラングロフ一家だ。視線のみで会話をしている姿を頻繁に目にするし、言葉なくとも意思の疎通が行われている様子も幾度となく見せられている。
まさかスキル【以心伝心】で繋がっているなどと思いもよらないだろうが、他の面々は事実思い知らされているのだ。
〈あれ?シアとグーリフって、そんなにいつもみられてたの?〉
〈まぁ……末姫なのだから、気にして当たり前なのだろうな。俺としては視線や気配が鬱陶しい時もあるが、アイツ等はフェルを守ろうとしているんだ。排除すべきじゃねぇから、放っておいた〉
〈あ……そう、なんだ。何だか少し複雑な心境にならないでもないけど、悪い感情を向けられている訳じゃないなら、まぁ……良い、のかな?〉
「……仕方がありません。シアの一番は譲ります」
「ふふふっ。今は二番が誰か分からないけれども、母様かもしれないでしょう?」
「そうだね。でも、父様ではないよね」
「うん、おれもそう思う」
「な、何でっ?!」
「「「「分からない?」」」」
フェリシアとグーリフがスキル【以心伝心】で話している間にもが家族間のフェリシア談議は続く。
最終的にヨアキムにからかいの的が向けられたが、大将とフェリシアの繋がりを持とうと考えた彼が全て悪い訳ではなかった。
確かに中将であるヨアキムの地位は高いが、軍内部で同じ中将としては若輩者である。そして血筋で選ばれただけではないが、そう考える者とて少なくはないのだ。──つまりは妬みや僻みも多く受ける。
だからこそ、今でも屋敷に襲撃者がなくならないのだ。
〈何だか、父様が可哀想にも思えてくるかも〉
〈くくくっ。フェルがそう思うのであれば、俺は構わねぇぞ。どのみち、お前を一人にはしないしな〉
〈へへっ。グーリフがいてくれるのなら、シアは大丈夫だね〉
〈おぅ、任しとけ〉
フェリシアとしては面倒ごとは極力避けたいのだが、精神が完全な子供でないのだからこそ、親の事情も何となく慮ってしまう。
勿論、グーリフが大きな心の支えになっているのが大きな要因だった。
そんなフェリシアの宣言と共に、グーリフとミアも含めて訪れた本日の茶会の席──中庭に面するテラスである。
基本的に家族一同が顔を合わせる事が多いのは、この茶会用のテラスと食堂だ。しかしながら本日の列席者は、何故か皆揃って苦い表情である。
(え……何、この葬式でも始まりそうな重い空気)
フェリシアは戸惑いつつも、いつもの己の定位置であるお子様椅子に案内された。そしてミアによって抱き上げられて座らされたのだが、一同は微動だにせず視線を何処かへ固定させたままである。
「あ、あの……?」
グーリフが、彼用にあつらえた子供椅子──当然のようにフェリシアの隣──に飛び乗って腰掛けたのを確認し、何も反応しない茶会参加者へ声を掛けるフェリシアだ。
一番遅かったのが彼女である為、遅刻を謝罪しようとしたのである。
「うわ~……っ!」
そこへ突然、父親の悲鳴に似た叫び声が上がった。
ビクリと身体が跳ねたのは仕方がないとはいえ、フェリシアは恐る恐る父親へと視線を向ける。
茶会用の円卓で、ヨアキムの席はフェリシアの隣だ。けれども、頭を抱えるようにして顔を伏せている彼の表情は見えない。
「遅くなって……ごめんなさい?」
何があってこのヨアキムの反応なのか分からずも、フェリシアは疑問符をつけながらの謝罪を口にした。
けれども反応がない。余程怒っているのかと思って焦り始めた時、静かな次男の一言だ。
「父様。鬱陶しいから」
『鬱陶しい』とは如何に──と、フェリシアの頭上に疑問符が浮かぶ。
周囲を見回せば、マルコを含め、他の家族の表情も似たり寄ったりの様子である。
「え……っと、何事?」
「……シア。行きたくなければ行かなくて良いですから」
「そうだ。後の事はおれ達が何とかする。邪魔者はぶっ飛ばすだ」
問い掛けを口にすれば、長兄と三男が応じてくれた。
そしてそれにより、現状のヨアキムの嘆き理由がフェリシアに伝わる。
「貴方?早くシアちゃんに説明なさってください。あの子が分からないままでは話が進まず、せっかくのお茶が冷めてしまうではありわせんか」
「うぅ~、ナディヤまで……。本当、皆が優しくない……。でも聞いてくれ、フェル。父様は頑張ったんだぞ?」
子供達ばかりか妻にまであしらわれたヨアキムだったが、最後の砦とばかりにフェリシアに泣きを入れてきた。
けれども恐らくというか確実に、『大将クラスの茶会』への招待状の件をさしているのだろう。ミアから聞いているだけに、当然のように行きたくないフェリシアの対応は冷たくなった。
「父様。要点をはっきりとさせてください。シアには何の事だか、全く検討もつかないのですが」
「フェルまで……いや、当然か。っていうか、言葉尻キツくない?口調もいつもと違うし」
「父様がはっきりしないからさ。せっかくのシアとのお茶の時間が少なくなる」
「あ、それもそうだな。マルコが冷たいのはいつもだし。では結論から言う。フェル。大将と茶会してくれ」
「嫌」
「あ……………………そう?」
「はい、終わりですね」
「あ……」
「終了だな。今日のお茶菓子は、ぼくが選んだんだ。シアが好きそうな味だと思うんだけど」
「え……」
「終わりだ。お茶はおれが選んだ。良い匂いのだ」
ガウリイルとマルコ、エリアスの連撃で、ヨアキムの口を挟む隙がない。
しかしながら簡単に感情だけで断って良いものか分からず、フェリシアは兄達の同意に困惑しながらもナディヤの表情を伺った。
けれどもナディヤは何事もなかったかのように、済ました顔でカップを傾けている。
「いやいやいや、俺の話を聞いてくれる?皆して、酷いじゃないか」
「……貴方?シアちゃんが嫌というのだから、それは意思を尊重すべきと思うわよ?」
「そ、それはそうなんだけどもだ。大将だぞ?いわゆる軍のトップだ。断れるか?」
「お断りなさって?」
「あ……、そう?」
ナディヤはヨアキムの話を聞く耳持たずといった感じで、視線すら合わせなかった。
フェリシアはそれらを見ていて気付いたが、どうやらフェリシア到着以前から、家族間でこのやり取りが長く続いていたのだろう。そしてフェリシアの耳にこの話が入ったのは初めてだが、実際には『今回が初めてではないのだろう』とも推測する。
「ねぇ、父様。シアが見世物になると、父様にどんな利があるの?」
小首を傾げながら、茶菓子の焼き菓子を片手に問い掛けた。
上下関係の思惑はあるだろうが、五歳児であるフェリシアをどう扱うのか──。
ヨアキムの中将としての地位はスキル【神の眼】で知っているが、家の敷地から一歩も外出しない引きこもり同然の生活を送っているフェリシアである。
今はそれで事足りているのだが、嫌でも十一歳から学校生活が始まるのだ。──来年からガウリイルが学生寮に入ると知り、初めてこの世界の教育方針を知ったのである。
それも、余程の貧困層でない限りは寮に入らねばならず、卒業するまでは殆ど帰省する事も許されないのだ。
「……ごめん。フェルが大将に気に入って頂ければ、大きな後ろ楯が出来ると思った。正直、ラングロフだけでは守りが薄い。この屋敷内であればそれは可能かも知れない。だが、いずれは学園に行かねばならんのだ」
「何を言っているのかしら、貴方。だからこそ、グーリフを親戚筋のウマ種の子供として共に過ごさせているじゃないの」
ヨアキムの沈痛な告白に対し、ナディヤは分かっていると言わんばかりの表情だった。
どうやらグーリフが魔獣形態ではなく、ヒト形態を取っている事を都合良く解釈しているらしい。
そして対外的にも、グーリフの存在をヒトとして扱っているようだった。
〈え、グーリフ。知ってた?〉
〈……まぁな。一家に見つかった後、暫くしてからナディヤから願われた。俺としてはそれに対して不利益がないし、そうでなくともフェルの傍を離れるつもりもない〉
〈え……、マジで?だってグーリフは、ヒトは窮屈だって……〉
〈俺が【人化】出来るのは、フェルと共に在りたいと願ったからだろう〉
〈グーリフ……〉
「二人で見つめ合ってる」
「えっ?あ……」
「エリアス、野暮な事を聞くな。俺とフェルは、心から繋がっているんだ」
「うにゃ!?」
フェリシアとグーリフは、スキル【以心伝心】で会話が出来る。
だからこそ、グーリフの言葉に偽りはないのだが、この言い方では解釈の仕方によっては不味い方向性に向いてしまうとフェリシアは焦った。
「確かに。シアは良く、グーリフと視線で会話をしているよね」
「そ、そんな!ダメですっ。わたしの承認もなく、そのような勝手は許しません!」
「馬鹿か、チビ銀。チビ金の方が良くみているな。そもそもお前ごときの許可などなくとも、フェルと俺は深いところで繋がってるんだ。何人たりとも、これを断つ事など出来ん。フッ、良いだろう」
納得した様子で頷くマルコに対し、酷く慌てた様子のガウリイル。
そんな彼に、グーリフは明らかに煽る物言いで、更には鼻で笑って見せる。
「くっ……、わたしが何もしないと思っているのですか」
「違うな。何もしないんじゃねぇ、出来ねぇんだ。フェルに嫌われるからな」
「な……っ」
「あらあらまぁまぁ。ここはお兄ちゃんの負けかしらね。グーちゃんの言う事は正しいわよ。シアちゃんに嫌われたくないのなら、グーちゃんを蔑ろには出来ないわ。それに口では反対していても、二人の確かな繋がりがお兄ちゃんにも見えているのでしょう?」
思わずと言った感じで食って掛かったガウリイルだったが、フェリシアという盾を出されては手も足も出せなかった。
そこへ、ガウリイルの隣に座っているナディヤから静かな仲裁が入る。
既に四年近く、フェリシアとグーリフを見守ってきているラングロフ一家だ。視線のみで会話をしている姿を頻繁に目にするし、言葉なくとも意思の疎通が行われている様子も幾度となく見せられている。
まさかスキル【以心伝心】で繋がっているなどと思いもよらないだろうが、他の面々は事実思い知らされているのだ。
〈あれ?シアとグーリフって、そんなにいつもみられてたの?〉
〈まぁ……末姫なのだから、気にして当たり前なのだろうな。俺としては視線や気配が鬱陶しい時もあるが、アイツ等はフェルを守ろうとしているんだ。排除すべきじゃねぇから、放っておいた〉
〈あ……そう、なんだ。何だか少し複雑な心境にならないでもないけど、悪い感情を向けられている訳じゃないなら、まぁ……良い、のかな?〉
「……仕方がありません。シアの一番は譲ります」
「ふふふっ。今は二番が誰か分からないけれども、母様かもしれないでしょう?」
「そうだね。でも、父様ではないよね」
「うん、おれもそう思う」
「な、何でっ?!」
「「「「分からない?」」」」
フェリシアとグーリフがスキル【以心伝心】で話している間にもが家族間のフェリシア談議は続く。
最終的にヨアキムにからかいの的が向けられたが、大将とフェリシアの繋がりを持とうと考えた彼が全て悪い訳ではなかった。
確かに中将であるヨアキムの地位は高いが、軍内部で同じ中将としては若輩者である。そして血筋で選ばれただけではないが、そう考える者とて少なくはないのだ。──つまりは妬みや僻みも多く受ける。
だからこそ、今でも屋敷に襲撃者がなくならないのだ。
〈何だか、父様が可哀想にも思えてくるかも〉
〈くくくっ。フェルがそう思うのであれば、俺は構わねぇぞ。どのみち、お前を一人にはしないしな〉
〈へへっ。グーリフがいてくれるのなら、シアは大丈夫だね〉
〈おぅ、任しとけ〉
フェリシアとしては面倒ごとは極力避けたいのだが、精神が完全な子供でないのだからこそ、親の事情も何となく慮ってしまう。
勿論、グーリフが大きな心の支えになっているのが大きな要因だった。
0
あなたにおすすめの小説
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる