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2.異世界人の習性を実際に見てみた
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※ ※ ※ ※ ※
そうして歩く事、十五分程だろうか。周囲に人影が増え、生活のざわめきが聞こえる場所へ辿り着いた。
夕食時なのだろう。あちらこちらにある飲食店に人が出入りし、楽しそうな声まで聞こえる。
「この辺りは保安騎士団の宿舎も近いし、比較的治安が良い」
「かといって、裏路地は避けた方が良いっすね」
「そうですね。我々の警邏も、さすがに大通りが主体なので」
「そ、そうだな。大通りが良いな」
団長さんはチャラ男と紺色に指摘され、すぐに先程の言葉を訂正する。
当然言われているのはオレなのだが、どうせすぐにこの町から出るのだから関係なかった。
「……じゃ」
「あ、トーリ……っ」
大通りというのだから、この道をこのまま真っ直ぐ行けば町の外へ出られるだろう。オレは通りの奥へ視線を向け、大雑把にそう判断した。
それでこの場をどう退場しようかと一瞬迷ったが、まぁ適当で良いかと一言告げるだけに留めて足を進める。──だが、やはりというか団長さんの声が掛けられた。
何故こうもオレに構うのか。いい加減不愉快に思えて、振り向いて鋭い視線を向けた。
息を呑んだ団長さんは、すぐに次の言葉を発しない。オレはそれを良い事に、フイッと再度踵を返して足を進めた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆sideヴォスト
「あ~あ、フラれちゃったっすね」
「そうだな、あれはかなり不快に思っているようだった。表情は見せなかったが、あの力強い黒い瞳は不満そうだった」
「トーリ……」
「団長、どうしたんすっか?恋煩いっすか?」
「いや、いつもの求人行為だろう。団員にはバシバシ指示を飛ばせるのに、求人の際にはやたら自分を売り込んで来るからな。半数は説明を聞く前に、それでウザがられる」
「あ~、そうっね。強さが全てって野郎は良いんっすけど、そうでない彼みたい人には筋肉大男は苦手に思えるっすよね」
「そうだな。迫ってこられると、逃げたくなるだろう」
「この辺りでは珍しい黒髪の可愛い子だったのに、残念っすね」
「しかしながら団長の見た目からして、あの年頃の子に急接近は犯罪臭いな」
「っ!?トーリは十六歳だと言っていたっ」
言いたい放題のザバルとニットだったが、俺は最後の一言には食い付く。
確かにトーリの外見は十代初めか、顔立ちが幼ないので下手したらそれ以下に見えるのだ。
「え~、それ本当っすか?団長の胸くらいに頭があったっすよ?」
「そうですよ、団長。子供と言えば怪しまれるから、成人していると言い張ったのではありませんか?」
「ち……がわないかもしれないが」
「そうっすよ。俺の弟は十歳っすけど、身長は俺の顎くらいでちょうどあのくらいっす」
「十歳……」
「十六歳から入団出来るとは言ってもですね。あの子の体格では、団の中でやっていくには厳しくないですか?」
「た、確かに……。だ、だが精霊石の反応がだなっ?!」
「精霊は子供が好きっすからねぇ。きっとあの子、毛もはえてないっすよ」
二人の言葉に、俺の『人を見極める自信』がガリガリ削られる。これまで俺がこいつと思った者は、輝かしい成長を遂げているのにだ。
確かに精霊は子供が好きで、幼子は精霊石の反応が良い。成長と共に内面が変わってきてしまう為か、精霊のウケが悪くなる。だから精霊審判は成人する十五歳以降から行う事が通例だった。
そして精霊石の反応は精霊の属性相性で異なり、それぞれの精霊によって七色のいずれかに輝くのだ。
しかしながらいくら精霊に好まれやすい幼子であっても、トーリのように七色同時に輝いた実績は過去一度もない。
「ニットはそうやって、すぐに下の話題に結び付ける。それ女性には嫌われるから、注意した方が良い」
「何っすか。それ系のお姉さんには好かれるっすから、問題ないっすよ」
「……ニットはそれで良いのか?」
「えっ、団長まで言うんっすか?!」
気付けばいつもの流れで、ニットがザバルに注意をされていた。
彼のように平団員であれば婚約者などは必要ないだろうが、下半身に理性が無さすぎるのもどうだろうか。
「ところで団長。……彼、何処へ向かったのですかね?」
「あ~……。そういやぁ、あっちには宿とかないっすね」
不意にザバルが告げた言葉に、俺はトーリが去って行った方向へ視線を向けた。
ニットも言っていたが、確かにそちら方向に宿はない。食事処もこの辺りが主体で、トーリが向かった方には殆どなかった。
「あっちは歓楽街っすね。もしかして、それ系のお姉さんが母親とか?」
「確かに国外の女性でもダンサーや役者はいます。東出身の芝居屋などは現在滞在していないのですが、あの辺りは出入りが激しいですから詳しく把握されてはいません。個人を捜すとなると少々御時間を頂かなくてはならないですね。いかがなさいますか」
「……頼む」
ニットの言葉に、俺はハッとする。
確かにトーリは、俺が今日の宿の話をした時にやけに渋るような返答を返していた。あれは宿がないのではなく、歓楽街の母親を捜しに来たからだったと考えればおかしくはないのかもしれない。もしくは、最近そこに流れ着いた者の関係者だ。
歓楽街に身を寄せるとなるとあまり良い素性ではない場合が多い為、周囲からの風当たりは強い。親などが先に辿り着いていて、後を追うようにトーリがリドツォルに来たのだとすれば口にしたくはないだろう。
そうして歩く事、十五分程だろうか。周囲に人影が増え、生活のざわめきが聞こえる場所へ辿り着いた。
夕食時なのだろう。あちらこちらにある飲食店に人が出入りし、楽しそうな声まで聞こえる。
「この辺りは保安騎士団の宿舎も近いし、比較的治安が良い」
「かといって、裏路地は避けた方が良いっすね」
「そうですね。我々の警邏も、さすがに大通りが主体なので」
「そ、そうだな。大通りが良いな」
団長さんはチャラ男と紺色に指摘され、すぐに先程の言葉を訂正する。
当然言われているのはオレなのだが、どうせすぐにこの町から出るのだから関係なかった。
「……じゃ」
「あ、トーリ……っ」
大通りというのだから、この道をこのまま真っ直ぐ行けば町の外へ出られるだろう。オレは通りの奥へ視線を向け、大雑把にそう判断した。
それでこの場をどう退場しようかと一瞬迷ったが、まぁ適当で良いかと一言告げるだけに留めて足を進める。──だが、やはりというか団長さんの声が掛けられた。
何故こうもオレに構うのか。いい加減不愉快に思えて、振り向いて鋭い視線を向けた。
息を呑んだ団長さんは、すぐに次の言葉を発しない。オレはそれを良い事に、フイッと再度踵を返して足を進めた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆sideヴォスト
「あ~あ、フラれちゃったっすね」
「そうだな、あれはかなり不快に思っているようだった。表情は見せなかったが、あの力強い黒い瞳は不満そうだった」
「トーリ……」
「団長、どうしたんすっか?恋煩いっすか?」
「いや、いつもの求人行為だろう。団員にはバシバシ指示を飛ばせるのに、求人の際にはやたら自分を売り込んで来るからな。半数は説明を聞く前に、それでウザがられる」
「あ~、そうっね。強さが全てって野郎は良いんっすけど、そうでない彼みたい人には筋肉大男は苦手に思えるっすよね」
「そうだな。迫ってこられると、逃げたくなるだろう」
「この辺りでは珍しい黒髪の可愛い子だったのに、残念っすね」
「しかしながら団長の見た目からして、あの年頃の子に急接近は犯罪臭いな」
「っ!?トーリは十六歳だと言っていたっ」
言いたい放題のザバルとニットだったが、俺は最後の一言には食い付く。
確かにトーリの外見は十代初めか、顔立ちが幼ないので下手したらそれ以下に見えるのだ。
「え~、それ本当っすか?団長の胸くらいに頭があったっすよ?」
「そうですよ、団長。子供と言えば怪しまれるから、成人していると言い張ったのではありませんか?」
「ち……がわないかもしれないが」
「そうっすよ。俺の弟は十歳っすけど、身長は俺の顎くらいでちょうどあのくらいっす」
「十歳……」
「十六歳から入団出来るとは言ってもですね。あの子の体格では、団の中でやっていくには厳しくないですか?」
「た、確かに……。だ、だが精霊石の反応がだなっ?!」
「精霊は子供が好きっすからねぇ。きっとあの子、毛もはえてないっすよ」
二人の言葉に、俺の『人を見極める自信』がガリガリ削られる。これまで俺がこいつと思った者は、輝かしい成長を遂げているのにだ。
確かに精霊は子供が好きで、幼子は精霊石の反応が良い。成長と共に内面が変わってきてしまう為か、精霊のウケが悪くなる。だから精霊審判は成人する十五歳以降から行う事が通例だった。
そして精霊石の反応は精霊の属性相性で異なり、それぞれの精霊によって七色のいずれかに輝くのだ。
しかしながらいくら精霊に好まれやすい幼子であっても、トーリのように七色同時に輝いた実績は過去一度もない。
「ニットはそうやって、すぐに下の話題に結び付ける。それ女性には嫌われるから、注意した方が良い」
「何っすか。それ系のお姉さんには好かれるっすから、問題ないっすよ」
「……ニットはそれで良いのか?」
「えっ、団長まで言うんっすか?!」
気付けばいつもの流れで、ニットがザバルに注意をされていた。
彼のように平団員であれば婚約者などは必要ないだろうが、下半身に理性が無さすぎるのもどうだろうか。
「ところで団長。……彼、何処へ向かったのですかね?」
「あ~……。そういやぁ、あっちには宿とかないっすね」
不意にザバルが告げた言葉に、俺はトーリが去って行った方向へ視線を向けた。
ニットも言っていたが、確かにそちら方向に宿はない。食事処もこの辺りが主体で、トーリが向かった方には殆どなかった。
「あっちは歓楽街っすね。もしかして、それ系のお姉さんが母親とか?」
「確かに国外の女性でもダンサーや役者はいます。東出身の芝居屋などは現在滞在していないのですが、あの辺りは出入りが激しいですから詳しく把握されてはいません。個人を捜すとなると少々御時間を頂かなくてはならないですね。いかがなさいますか」
「……頼む」
ニットの言葉に、俺はハッとする。
確かにトーリは、俺が今日の宿の話をした時にやけに渋るような返答を返していた。あれは宿がないのではなく、歓楽街の母親を捜しに来たからだったと考えればおかしくはないのかもしれない。もしくは、最近そこに流れ着いた者の関係者だ。
歓楽街に身を寄せるとなるとあまり良い素性ではない場合が多い為、周囲からの風当たりは強い。親などが先に辿り着いていて、後を追うようにトーリがリドツォルに来たのだとすれば口にしたくはないだろう。
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