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4.人が住んでいない森に家を建てて暮らしてみる
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※ ※ ※ ※ ※
そうしてセスによって『洗濯』された獣人を、丸太小屋に連れて来たのだが。
──ぅそだろ、女の子っ?!
傷の手当てをしようと、既にボロ布のようになっていた服を脱がせたところで硬直するオレだ。
小さくてガリガリに痩せていたから全く気付かなかったが、傷の手当てをしながら服を脱がせていたところである。
ついていない、のだ。
いや、始めて見るから獣人の特徴かも──しれない、じゃないかっ。実際にオレはにょ、たいを見た事ないしっ。胸が張り出した大人の身体をしてないとわかんねぇんだよ、悪いかっ。
セスによって綺麗に洗われたその子は、見た目からして五歳から七歳くらい。髪や毛色は綺麗な金色で、耳は三角。尻からはえている尻尾は細く長いので、その外見から猫の獣人ではないかと予想する。
そして体毛も金色で──と相手が子供だと思って着替えさせていたのだが、血に汚れたズボンを脱がせたら下着を身に付けてなかったのだ。そして、見てしまったのである。
「……ここの世界に下着という概念がないのか?」
「申し訳ございません、トーリ様。セスには布を身に纏う習慣がないので、その辺りの事は分かりかねます」
「そ、だよな」
とにかく治療を終えてからは、着替えさせるという事だけを意識した。オレはセスに出してもらった服類を、淡々とその子に着せたのである。当然、下着もはかせた。
あくまでもついていない事を見ただけで、それ以上の事は何してない。断じて、だ。しかも子供だし──いや、子供相手でも変態さんはおかしな事をするだろうが。オレはしてないからなっ、何もっ。
そうして手当てと着替えを終えたところで、オレは疲労困憊である。
相手が子供とはいえ、脱力した相手の治療と着替えはかなり疲れた。しかも途中で女の子と気付いてしまってからは余計に、不必要な接触や視線を気にして倍以上に神経を使った気がする。
「お疲れ様でした、トーリ様」
「あぁ……」
「甘いお菓子でもいかがです」
「ありがとう、セス」
丸太小屋にはオレ用のベッドしかない為、その子を寝かせてオレ自身はテーブルセットの椅子に腰を下ろしていた。
セスは風の魔法でテーブルの上に移動すると、亜空間からティーセットを出してくれる。オレが飲むのはカフェオレだが、セスはミルクなのだ。
「今回初めて他者に対して治癒魔法を使ったな」
「素晴らしい腕前でございました、トーリ様」
「上手く出来て良かった」
光の精霊が治癒魔法を得意としているようで、精霊に助けられながらではあるが、大きな腹部の裂傷等を治す事が出来たのである。
初めは薬草と布で何とかしようと思っていたのだが、精霊から治癒魔法を使えると聞いての初チャレンジだった。
「だが、腹部の傷はかなり深かった」
「そのようでございますね」
初めて見る大きな傷に、ゾワリと全身の毛が逆立った事を思い出す。槍か何かで突き刺されたような、貫通したものだった。
あれは命を奪う目的でなされたものとしか思えず、オレの腰程度しかない子供に行う処遇ではない。
この世界では、随分と手荒い事をする輩がいるようだ。
※ ※ ※ ※ ※
ガタッと何かがぶつかる音がして、オレの意識が浮上する。
どうやらテーブルに伏せて寝ていたようで、緩慢な動作で身体を起こして周囲を確認した。
「……起きたのか」
「……っ」
そしてベッドの上で中途半端に腰を上げている獣人の子と目が合う。
相変わらずオレと視線が合うとびくりと震えるが、手当てする前と比べて随分と顔色が良いようだった。
「何か食べられるか?」
中腰なのは逃げる予備動作か。
そんな事を想像しながらも、とりあえず完全に元気になってからでないと次の行動が取りづらいだろうと思えた。
「…………」
「オレに対して警戒するなとは言わない。セス。消化に良い食べ物を出してやってくれないか」
「かしこまりました、トーリ様」
腰を低くして飛び掛かれるような体制をとる獣人の子に、オレは淡々と言葉を紡ぐ。
牙を剥く相手に対して、こちらがいくら心を尽くしたところで真っ直ぐは伝わらないだろうと思ったからだ。
暫くテーブルから動かないオレに鋭い視線を向けていたその子も、ベッドの上に置かれた目の前のお粥に嗅覚を取られてるのが分かる。そして空腹に負けたのか、セスの差し出した皿の匂いを嗅ぎつつペロリと端の方を舌で舐めた。
その時のキラリとした表情。
どうやら口に合ったようで、一緒に置いてもらったスプーンを握り締めて口に掻き込む。
セス仕様のぬるめにしてくれていたようで、火傷せずに食べられたようだった。
グーで握るようにスプーンを持っていたので、食文化的にカトラリーの正しい使い方などは学んでいないのだろう。
それでも手掴みで食べなくて良かった。──お粥を手掴みすると、後で手を洗わないといけなくなるからな。
「旨い。他にないのか」
「……セス。サンドイッチとか出してやってくれないか」
「かしこまりました、トーリ様。後で教育し直す必要がございますが」
言葉遣いが少し気になるが、食べ物を前にしてオレに向けていた警戒心は何処かへ吹き飛んだようだ。
セスも同じように思ったのか、後半ポツリと呟いていたのがオレには聞こえる。──精霊と契約を結んでから風の魔力のおかげか、オレも耳が良くなった気がするんだよな。
そうしてセスによって『洗濯』された獣人を、丸太小屋に連れて来たのだが。
──ぅそだろ、女の子っ?!
傷の手当てをしようと、既にボロ布のようになっていた服を脱がせたところで硬直するオレだ。
小さくてガリガリに痩せていたから全く気付かなかったが、傷の手当てをしながら服を脱がせていたところである。
ついていない、のだ。
いや、始めて見るから獣人の特徴かも──しれない、じゃないかっ。実際にオレはにょ、たいを見た事ないしっ。胸が張り出した大人の身体をしてないとわかんねぇんだよ、悪いかっ。
セスによって綺麗に洗われたその子は、見た目からして五歳から七歳くらい。髪や毛色は綺麗な金色で、耳は三角。尻からはえている尻尾は細く長いので、その外見から猫の獣人ではないかと予想する。
そして体毛も金色で──と相手が子供だと思って着替えさせていたのだが、血に汚れたズボンを脱がせたら下着を身に付けてなかったのだ。そして、見てしまったのである。
「……ここの世界に下着という概念がないのか?」
「申し訳ございません、トーリ様。セスには布を身に纏う習慣がないので、その辺りの事は分かりかねます」
「そ、だよな」
とにかく治療を終えてからは、着替えさせるという事だけを意識した。オレはセスに出してもらった服類を、淡々とその子に着せたのである。当然、下着もはかせた。
あくまでもついていない事を見ただけで、それ以上の事は何してない。断じて、だ。しかも子供だし──いや、子供相手でも変態さんはおかしな事をするだろうが。オレはしてないからなっ、何もっ。
そうして手当てと着替えを終えたところで、オレは疲労困憊である。
相手が子供とはいえ、脱力した相手の治療と着替えはかなり疲れた。しかも途中で女の子と気付いてしまってからは余計に、不必要な接触や視線を気にして倍以上に神経を使った気がする。
「お疲れ様でした、トーリ様」
「あぁ……」
「甘いお菓子でもいかがです」
「ありがとう、セス」
丸太小屋にはオレ用のベッドしかない為、その子を寝かせてオレ自身はテーブルセットの椅子に腰を下ろしていた。
セスは風の魔法でテーブルの上に移動すると、亜空間からティーセットを出してくれる。オレが飲むのはカフェオレだが、セスはミルクなのだ。
「今回初めて他者に対して治癒魔法を使ったな」
「素晴らしい腕前でございました、トーリ様」
「上手く出来て良かった」
光の精霊が治癒魔法を得意としているようで、精霊に助けられながらではあるが、大きな腹部の裂傷等を治す事が出来たのである。
初めは薬草と布で何とかしようと思っていたのだが、精霊から治癒魔法を使えると聞いての初チャレンジだった。
「だが、腹部の傷はかなり深かった」
「そのようでございますね」
初めて見る大きな傷に、ゾワリと全身の毛が逆立った事を思い出す。槍か何かで突き刺されたような、貫通したものだった。
あれは命を奪う目的でなされたものとしか思えず、オレの腰程度しかない子供に行う処遇ではない。
この世界では、随分と手荒い事をする輩がいるようだ。
※ ※ ※ ※ ※
ガタッと何かがぶつかる音がして、オレの意識が浮上する。
どうやらテーブルに伏せて寝ていたようで、緩慢な動作で身体を起こして周囲を確認した。
「……起きたのか」
「……っ」
そしてベッドの上で中途半端に腰を上げている獣人の子と目が合う。
相変わらずオレと視線が合うとびくりと震えるが、手当てする前と比べて随分と顔色が良いようだった。
「何か食べられるか?」
中腰なのは逃げる予備動作か。
そんな事を想像しながらも、とりあえず完全に元気になってからでないと次の行動が取りづらいだろうと思えた。
「…………」
「オレに対して警戒するなとは言わない。セス。消化に良い食べ物を出してやってくれないか」
「かしこまりました、トーリ様」
腰を低くして飛び掛かれるような体制をとる獣人の子に、オレは淡々と言葉を紡ぐ。
牙を剥く相手に対して、こちらがいくら心を尽くしたところで真っ直ぐは伝わらないだろうと思ったからだ。
暫くテーブルから動かないオレに鋭い視線を向けていたその子も、ベッドの上に置かれた目の前のお粥に嗅覚を取られてるのが分かる。そして空腹に負けたのか、セスの差し出した皿の匂いを嗅ぎつつペロリと端の方を舌で舐めた。
その時のキラリとした表情。
どうやら口に合ったようで、一緒に置いてもらったスプーンを握り締めて口に掻き込む。
セス仕様のぬるめにしてくれていたようで、火傷せずに食べられたようだった。
グーで握るようにスプーンを持っていたので、食文化的にカトラリーの正しい使い方などは学んでいないのだろう。
それでも手掴みで食べなくて良かった。──お粥を手掴みすると、後で手を洗わないといけなくなるからな。
「旨い。他にないのか」
「……セス。サンドイッチとか出してやってくれないか」
「かしこまりました、トーリ様。後で教育し直す必要がございますが」
言葉遣いが少し気になるが、食べ物を前にしてオレに向けていた警戒心は何処かへ吹き飛んだようだ。
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