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7.独立多重種族国家をつくろう
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今、オレの目の前には──立ち塞がるリドツォルの保安騎士団。しかもがっつり武装済みの、な。
何故こうなったのかというと──。
「最近、冒険者の立ち入りが更に酷くなったな」
「そうですね、トーリ様。村内は外部の干渉を完全に隔絶しているので落ちつていますが、森の中は酷いものです」
少し前から始まった、魔の森を対象とする脱走獣人捜索。
もとは人権を無視した一部の冒険者が、獣人達を暴虐無人に扱う様子をみたオレの独り善がりだったのだ。
『隷属の首輪』なんていう個の意思を無視した道具で、反抗させないようにしてさ。意志疎通出来る、同じ生き物同士だぜ?おかしいだろ、まったく。挙げ句の果てに、魔獣への囮として使い捨てだ。
もふもふ好きなオレとしては、そんなのを見て見ぬふりなんて出来るはずがない。当然、助けた。
っていうか。捨て置いたんだから、拾い上げたもんに所有権あるんじゃね?落とし物じゃねぇんだ、捨てたんだから要らねぇだろ。あ、口が悪くなっちゃった。
とにかく。そんな感じで獣人救出をしていれば、どんな境遇におかれているのか自然と判る訳で。
傷だらけ。ガリガリ。そして周囲に対しての、極度の緊張感。怯えるってだけじゃなく、だよ。肉体は殆ど何処かしらが欠損していたし。
もう本当、こんな最悪な対応をしていた奴等を片っ端からギッチョンギッチョンにしてやりたくなった。
オレは救出した獣人達を集め、無償で衣食住の提供をする。ヒトの姿に怯える彼等に、とにかく心を穏やかにして過ごせる場所を作りたかったんだ。
傷や欠損は当然のように治したよ。綺麗なもふもふ達がキラキラお目目でオレを見てくれるようになって、本当に最高だったな。
まぁあちら側にも意志があって言葉が通じるものだから、ペットとかと同じ様にわしゃわしゃ撫で回す事は出来ないけど。元気に楽しそうにいてくれるだけで、十二分にオレの心を和ませてくれた。
オレの作った集落でそんな日々が続いていても、暴虐無人な冒険者は獣人達を痛め付ける事をやめないわけ。だからオレは傷つけられる獣人を見ると、冒険者から奪い取るようになる。
言っては何だが、オレにとっては隷属の首輪なんて道具はただの首輪だし。──セスの情報によると、本来は登録した者と一部の関係者しか取り外す事は出来ないらしい。
精霊達がたくさんオレに力を貸してくれるから、有り得ない事が可能なんだそうだ。まぁ、この集落自体が亜空間内の所在地だもんな。入り口を魔の森に繋げているだけで、それすらも移動可能だし。
まぁ長くなったが、そんなオレは主犯格として討伐依頼が出たようだ。つまりは指名手配犯罪者。
ソロからそんな内容の手紙が送られてきたのが、数日前。
いやぁ、動きが速いよね。もう森を保安騎士団が取り囲んでるもん。
リドツォル自体が、小さいとはいえども充分に発展している町だ。自分のところの保安騎士団を持っている事からもそれが伺える。
そんな領主でも、冒険者の言い分を真に受けてオレに討伐許可を出したのは悪手だ。──オレはやられたらやり返す。
冒険者から獣人を救出する時、姿を見られたのが不味かったみたいだけどね。黒髪が珍しすぎて、オレしかいなかった。
リドツォルに行った履歴からすぐにオレが名指しで浮かび、ソロじいさん──つまりはツェシェルア伯爵家からの抗議は入ったみたいだけど、今回の討伐が取り消される事はなく。
保安騎士団の中央には、ヴォスト・ミズ・ツェシェルアが立っていた。相変わらずキラキラした銀色の鎧を纏っている、金髪の美丈夫。
赤い瞳は真っ直ぐに魔の森へ向けられていて、突入するばかりといった様子だ。
「いるんだろ?トーリ、出てきてくれないか?」
ところが予想に反して、何故か呼び掛けて来た。しかも、オレ名指し。
あれか。立て籠り犯に対しての、『投降せよ』ってやつ?
「どうなさいますか、トーリ様」
「あんな言葉に乗る事はないですよ、トーリ様」
セスが肩から問い掛けてくるに続け、クマ耳獣人がグルルと唸りながら告げる。
獣人達は普段は見せないが、リドツォルの丸耳族に対しては嫌悪よりも憎悪に近い感情を抱いているようだ。リドツォルの冒険者だけではなく、助けの手を差し伸べてくれなかった住民全てを憎んでいるらしい。──分からなくもないが。
あれだろ。苛めの主犯以外も、傍観者たるクラス全員へ信頼をおけないやつ。同罪だよな、被害者的にはさ。
「まぁ、素直に討伐される気はないんだけど」
そうはいえども、ソロじいさんの孫だし。あまり酷い対応は出来ないよな。オレが団長さんの呼び掛けをスルーしたとすると、立場とかなんやかやが崩れる?
オレ達は並んで目の前──と言っても、オレ達は自分立ち飲み集落から魔方陣越し──を見ている。
これは毎度の事ながら、万能セスのお品だ。
監視カメラ的な雰囲気で石に魔力を乗せ、精霊石とは異なる魔法を刻んだ石板に映し出しているのだ。背景にうっすら魔方陣のような円形と模様が見える。
しかも見たい方向へ移動させる事が出来るので、ドローンよろしく実際に何かが画面向こうに存在しているのだろう。
オレのイメージを発展させる事が出来るセス、本当にぱない。
何故こうなったのかというと──。
「最近、冒険者の立ち入りが更に酷くなったな」
「そうですね、トーリ様。村内は外部の干渉を完全に隔絶しているので落ちつていますが、森の中は酷いものです」
少し前から始まった、魔の森を対象とする脱走獣人捜索。
もとは人権を無視した一部の冒険者が、獣人達を暴虐無人に扱う様子をみたオレの独り善がりだったのだ。
『隷属の首輪』なんていう個の意思を無視した道具で、反抗させないようにしてさ。意志疎通出来る、同じ生き物同士だぜ?おかしいだろ、まったく。挙げ句の果てに、魔獣への囮として使い捨てだ。
もふもふ好きなオレとしては、そんなのを見て見ぬふりなんて出来るはずがない。当然、助けた。
っていうか。捨て置いたんだから、拾い上げたもんに所有権あるんじゃね?落とし物じゃねぇんだ、捨てたんだから要らねぇだろ。あ、口が悪くなっちゃった。
とにかく。そんな感じで獣人救出をしていれば、どんな境遇におかれているのか自然と判る訳で。
傷だらけ。ガリガリ。そして周囲に対しての、極度の緊張感。怯えるってだけじゃなく、だよ。肉体は殆ど何処かしらが欠損していたし。
もう本当、こんな最悪な対応をしていた奴等を片っ端からギッチョンギッチョンにしてやりたくなった。
オレは救出した獣人達を集め、無償で衣食住の提供をする。ヒトの姿に怯える彼等に、とにかく心を穏やかにして過ごせる場所を作りたかったんだ。
傷や欠損は当然のように治したよ。綺麗なもふもふ達がキラキラお目目でオレを見てくれるようになって、本当に最高だったな。
まぁあちら側にも意志があって言葉が通じるものだから、ペットとかと同じ様にわしゃわしゃ撫で回す事は出来ないけど。元気に楽しそうにいてくれるだけで、十二分にオレの心を和ませてくれた。
オレの作った集落でそんな日々が続いていても、暴虐無人な冒険者は獣人達を痛め付ける事をやめないわけ。だからオレは傷つけられる獣人を見ると、冒険者から奪い取るようになる。
言っては何だが、オレにとっては隷属の首輪なんて道具はただの首輪だし。──セスの情報によると、本来は登録した者と一部の関係者しか取り外す事は出来ないらしい。
精霊達がたくさんオレに力を貸してくれるから、有り得ない事が可能なんだそうだ。まぁ、この集落自体が亜空間内の所在地だもんな。入り口を魔の森に繋げているだけで、それすらも移動可能だし。
まぁ長くなったが、そんなオレは主犯格として討伐依頼が出たようだ。つまりは指名手配犯罪者。
ソロからそんな内容の手紙が送られてきたのが、数日前。
いやぁ、動きが速いよね。もう森を保安騎士団が取り囲んでるもん。
リドツォル自体が、小さいとはいえども充分に発展している町だ。自分のところの保安騎士団を持っている事からもそれが伺える。
そんな領主でも、冒険者の言い分を真に受けてオレに討伐許可を出したのは悪手だ。──オレはやられたらやり返す。
冒険者から獣人を救出する時、姿を見られたのが不味かったみたいだけどね。黒髪が珍しすぎて、オレしかいなかった。
リドツォルに行った履歴からすぐにオレが名指しで浮かび、ソロじいさん──つまりはツェシェルア伯爵家からの抗議は入ったみたいだけど、今回の討伐が取り消される事はなく。
保安騎士団の中央には、ヴォスト・ミズ・ツェシェルアが立っていた。相変わらずキラキラした銀色の鎧を纏っている、金髪の美丈夫。
赤い瞳は真っ直ぐに魔の森へ向けられていて、突入するばかりといった様子だ。
「いるんだろ?トーリ、出てきてくれないか?」
ところが予想に反して、何故か呼び掛けて来た。しかも、オレ名指し。
あれか。立て籠り犯に対しての、『投降せよ』ってやつ?
「どうなさいますか、トーリ様」
「あんな言葉に乗る事はないですよ、トーリ様」
セスが肩から問い掛けてくるに続け、クマ耳獣人がグルルと唸りながら告げる。
獣人達は普段は見せないが、リドツォルの丸耳族に対しては嫌悪よりも憎悪に近い感情を抱いているようだ。リドツォルの冒険者だけではなく、助けの手を差し伸べてくれなかった住民全てを憎んでいるらしい。──分からなくもないが。
あれだろ。苛めの主犯以外も、傍観者たるクラス全員へ信頼をおけないやつ。同罪だよな、被害者的にはさ。
「まぁ、素直に討伐される気はないんだけど」
そうはいえども、ソロじいさんの孫だし。あまり酷い対応は出来ないよな。オレが団長さんの呼び掛けをスルーしたとすると、立場とかなんやかやが崩れる?
オレ達は並んで目の前──と言っても、オレ達は自分立ち飲み集落から魔方陣越し──を見ている。
これは毎度の事ながら、万能セスのお品だ。
監視カメラ的な雰囲気で石に魔力を乗せ、精霊石とは異なる魔法を刻んだ石板に映し出しているのだ。背景にうっすら魔方陣のような円形と模様が見える。
しかも見たい方向へ移動させる事が出来るので、ドローンよろしく実際に何かが画面向こうに存在しているのだろう。
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