51 / 53
7.独立多重種族国家をつくろう
7-3
しおりを挟む
「って事で、独立多重種族国家をつくろうと思う」
「はい、トーリ様。かしこまりました、そのように準備を開始致します」
「え?……え?」
集落へ戻ってすぐ、オレは会議室その他として使っている集会場で発表する。
保安騎士団が魔の森を取り囲んだ事で、主要住民を呼んでいたのだ。クマ耳獣人を初めとして、ウサギ耳獣人やイヌ耳獣人。爬虫類人と爬虫類人などの初期メンバーが集まっている。
ウサギ耳獣人がセスの言葉に疑問符を浮かべているが、他の面々は大きく頷いていた。ウサギ耳獣人は脳筋だが、指示通り動いてくれるから彼の理解は求めてない。
話を戻して──独立するにあたって、何を必要とするか。実際に外部との接点を完全に遮断して、既に一年近く。
全く問題なく集落内の生計は成り立っているし、増える獣人達の仲で恋仲になる者達も少なくない。既に子供も生まれているし、水牛的魔獣や羊的動物等の畜産業も問題なく稼働していた。
当然農業の方も、精霊のおかげで収穫は常に可能である。とてもありがたいとしか言いようがない。
まぁそんな感じで。オレとセスの管理するこの場所は、現状でも殆ど独立していると言って良いだろう。
そもそも空間も異なるので、はっきり言って侵略とかも起こり得ない。スーパーコンピュータよろしく、セスと精霊で統括されているのだから。
「ところで、トーリ様。我々は何をすれば宜しいでしょうか」
「うん、特にない。でも、クマ耳獣人にはこのまま代表者統括になって欲しいな。それにここにいる面々は代表者として今まで以上に皆をまとめていって欲しいんだ」
「かしこまりました、トーリ様」
「つまりは今までと変わらないって事ね」
「それなら、外部との連絡役はトーリ様ですか?」
「統括のクマ耳獣人さんだろう?」
「あ~、そっかぁ。丸耳族と顔を合わせるの、嫌だよな?」
「あ……、いえ……その……」
獣人達には元々集落の纏め役を頼んでいた為、内部で動く分には何の変化もないと判断したようだ。それでも外部と接点を持たないとならないならば、話は違うのだろう。
この集落に来てからは触れていなかった抑圧された恐怖に、全員が一斉に緊張感を纏った。
「トーリ様。大抵の場合は、音声での通信で問題ないかと愚考致します。こちら側から外界へ求める物は殆どございません」
「あぁ、まぁそうなるか。オレも顔出ししたくない側だし、必要なやり取りは新たな住民の保護くらいだもんな」
「かしこまりました、トーリ様。……そこで一つ大変重要かつ、早急に決定しなければならない事項がある事をセスはお伝え致します」
「ん?何だ?何か他にあったか?」
至極真面目な表情で──何度も言うが、普通に白いイタチ顔で──セスがオレの肩から告げる。
しかしながら、代表者を決める以外に何か他に決めないとならない事ってあったか?
小首を傾げるオレと同じように、他の獣人達獣人達も互いに顔を見合わせている。
「国名ですよ、トーリ様。セスとしてはトーリ様のお名前を掲げたいところですが、むやみやたらトーリ様のお名前を敬称なしに口にする愚者が現れそうでそれは嫌ですし」
「は?国名?……あぁ、多種族国家のか。普通に黒竜国で良いだろ。だってここ、黒竜の森だろ?」
「いいえ、トーリ様のお国です」
何だかセスが張り切っていた。
国をおこすって言っても、実際には迫害されるもふもふが見ていて嫌だったからという理由から始まったものである。傷だらけとか、何処か身体の一部を失っているなんて論外。
だからこその独立国家なのだ。オレの国って訳じゃない。
「セス。言いたい事は分かったが、オレは個人特定されないゆるゆるな生き方をしたいんだよ。黒竜国で良いだろ?」
「な、なるほどです。そうですね、トーリ様のお名前を広める事が目的ではないですよね。かしこまりました、トーリ様。では、黒竜国としましょう」
「黒竜もそれで良いよな?」
非常に物分かりの良いセスである。
何だかオレの名前が呼ばれまくるのが嫌だと言っているだけのような気もするが、とにもかくにも結果オーライだ。
セスの納得をもらったオレは、すぐに森の主である黒竜に声をかける。
基本的に引きこもりの黒竜は、地下の亜空間から出てこないのだ。だからこそ、すぐに連絡がとれるように音声通信の魔道具──オレとセスの特別製作品──を渡している。
ちなみに先程の森の外からの瞬間移動も、黒竜の力添えがあってこそだった。
オレとセスだけで森の入り口へ行った為、奇襲を掛けられたりつけられたりしないようにとの策である。
黒竜は森全体の情報を把握しているようで、保安騎士団が来た時にサポートしてくれると提案をしてくれていたのだった。
「はい、トーリ様。かしこまりました、そのように準備を開始致します」
「え?……え?」
集落へ戻ってすぐ、オレは会議室その他として使っている集会場で発表する。
保安騎士団が魔の森を取り囲んだ事で、主要住民を呼んでいたのだ。クマ耳獣人を初めとして、ウサギ耳獣人やイヌ耳獣人。爬虫類人と爬虫類人などの初期メンバーが集まっている。
ウサギ耳獣人がセスの言葉に疑問符を浮かべているが、他の面々は大きく頷いていた。ウサギ耳獣人は脳筋だが、指示通り動いてくれるから彼の理解は求めてない。
話を戻して──独立するにあたって、何を必要とするか。実際に外部との接点を完全に遮断して、既に一年近く。
全く問題なく集落内の生計は成り立っているし、増える獣人達の仲で恋仲になる者達も少なくない。既に子供も生まれているし、水牛的魔獣や羊的動物等の畜産業も問題なく稼働していた。
当然農業の方も、精霊のおかげで収穫は常に可能である。とてもありがたいとしか言いようがない。
まぁそんな感じで。オレとセスの管理するこの場所は、現状でも殆ど独立していると言って良いだろう。
そもそも空間も異なるので、はっきり言って侵略とかも起こり得ない。スーパーコンピュータよろしく、セスと精霊で統括されているのだから。
「ところで、トーリ様。我々は何をすれば宜しいでしょうか」
「うん、特にない。でも、クマ耳獣人にはこのまま代表者統括になって欲しいな。それにここにいる面々は代表者として今まで以上に皆をまとめていって欲しいんだ」
「かしこまりました、トーリ様」
「つまりは今までと変わらないって事ね」
「それなら、外部との連絡役はトーリ様ですか?」
「統括のクマ耳獣人さんだろう?」
「あ~、そっかぁ。丸耳族と顔を合わせるの、嫌だよな?」
「あ……、いえ……その……」
獣人達には元々集落の纏め役を頼んでいた為、内部で動く分には何の変化もないと判断したようだ。それでも外部と接点を持たないとならないならば、話は違うのだろう。
この集落に来てからは触れていなかった抑圧された恐怖に、全員が一斉に緊張感を纏った。
「トーリ様。大抵の場合は、音声での通信で問題ないかと愚考致します。こちら側から外界へ求める物は殆どございません」
「あぁ、まぁそうなるか。オレも顔出ししたくない側だし、必要なやり取りは新たな住民の保護くらいだもんな」
「かしこまりました、トーリ様。……そこで一つ大変重要かつ、早急に決定しなければならない事項がある事をセスはお伝え致します」
「ん?何だ?何か他にあったか?」
至極真面目な表情で──何度も言うが、普通に白いイタチ顔で──セスがオレの肩から告げる。
しかしながら、代表者を決める以外に何か他に決めないとならない事ってあったか?
小首を傾げるオレと同じように、他の獣人達獣人達も互いに顔を見合わせている。
「国名ですよ、トーリ様。セスとしてはトーリ様のお名前を掲げたいところですが、むやみやたらトーリ様のお名前を敬称なしに口にする愚者が現れそうでそれは嫌ですし」
「は?国名?……あぁ、多種族国家のか。普通に黒竜国で良いだろ。だってここ、黒竜の森だろ?」
「いいえ、トーリ様のお国です」
何だかセスが張り切っていた。
国をおこすって言っても、実際には迫害されるもふもふが見ていて嫌だったからという理由から始まったものである。傷だらけとか、何処か身体の一部を失っているなんて論外。
だからこその独立国家なのだ。オレの国って訳じゃない。
「セス。言いたい事は分かったが、オレは個人特定されないゆるゆるな生き方をしたいんだよ。黒竜国で良いだろ?」
「な、なるほどです。そうですね、トーリ様のお名前を広める事が目的ではないですよね。かしこまりました、トーリ様。では、黒竜国としましょう」
「黒竜もそれで良いよな?」
非常に物分かりの良いセスである。
何だかオレの名前が呼ばれまくるのが嫌だと言っているだけのような気もするが、とにもかくにも結果オーライだ。
セスの納得をもらったオレは、すぐに森の主である黒竜に声をかける。
基本的に引きこもりの黒竜は、地下の亜空間から出てこないのだ。だからこそ、すぐに連絡がとれるように音声通信の魔道具──オレとセスの特別製作品──を渡している。
ちなみに先程の森の外からの瞬間移動も、黒竜の力添えがあってこそだった。
オレとセスだけで森の入り口へ行った為、奇襲を掛けられたりつけられたりしないようにとの策である。
黒竜は森全体の情報を把握しているようで、保安騎士団が来た時にサポートしてくれると提案をしてくれていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
精霊のお仕事
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
【完結】
オレは前世の記憶を思い出した。
あの世で、ダメじゃん。
でもそこにいたのは地球で慣れ親しんだ神様。神様のおかげで復活がなったが…今世の記憶が飛んでいた。
まあ、オレを拾ってくれたのはいい人達だしオレは彼等と家族になって新しい人生を生きる。
ときどき神様の依頼があったり。
わけのわからん敵が出てきたりする。
たまには人間を蹂躙したりもする。?
まあいいか。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる