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7.独立多重種族国家をつくろう
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『あぁ、それで良いぞトーリ。元々存在する亜人族の国家もあるが、あやつらは丸耳と交流を持たぬ。この森は毛無どもと近い事もあり、接点を持つだけでも大きな決断をさせたと我は思う。数百年ぶりに現れた神の愛し子は、亜人種の太陽になったな』
「な、そんな大袈裟なものじゃないって」
「そうでしょう、そうでしょう。トーリ様は希望の光そのものですからね」
黒竜の大仰な評価に、オレはむず痒くなって首の後ろを撫でる。
だがすぐにセスがその会話にノリノリで口を挟み、オレの肩の上で胸を張っていた。
他の獣人達は黒竜の音声はガウガウとしか聞こえないのか、逆に妙に怖がっている。もふもふの耳が後ろを向いたりペシャリと潰れたりして、分かりやすくガクブルしているからだ。
こちら側の味方であると言ったところで、圧倒的な力の差が本能的に分かるからだろう。こればかりは仕方ない為、逃げ惑わないだけマシだと思うしかなかった。
「まぁとにかく、集落の規模が大きくなったとしても亜空間に存在している事に変わらない。出入口が黒竜の森にあるから、お隣さん感覚で頼むよ」
『相分かった』
「あ、あの……トーリ様。一つ伺いたい事がございます」
黒竜との会話が終了し、音声通信魔道具の光が消えた途端、爬虫類人が片手を上げて問い掛けてきた。
彼は貴重な薬師兼医師なので、住民が増えれば即負担が掛かる立場にいる。
「ん、何だ?」
「はい。新たに民が増えるとなりますと、住民税等の税収が必要となると思われます。規模が大きくなればなるほど、必要とする経費が増すのが通常ですから。そこへ当てる為の費用を徴収すべきかと思います。そして、その為の法律等も必要になってくるかと」
「うわぁ~、マジか。今の物々交換的な対応じゃ、限度があるって話だな?」
「はい。現状ですら、何の対価も支払っていない者がいるのです。トーリ様のお力を貪るだけの民を、これ以上増やすのは得策でないと思われます」
真面目な爬虫類人だからこその考えといったところだろうか。だがそうすると、政治とか憲法とかの面倒な事が増える。
今はセスと精霊でその部分をカバーしているから、オレは必要と思われる物を創造しておくだけ。あとは必要に応じてセスがアウトプットしてくれるから、本当にお金は不要だった。
鎖国状態の集落だから、内部で収穫したものや育てた畜産物以外の全ては基本的にオレとセスの出し与えた物。
たまに来る商人も、珍しい物や娯楽品を持ってきてくれるだけだ。
オレはそれ が分かれば創造出来るから、はっきり言って購入は一回のみ。アイテム用の亜空間に収納すれば、いくらでもコピー出来るっていう反則技が使えるのだ。
商店とか全く不要。売買を必要としないから、皆が物々交換で生活しているって訳である。
「トーリ様がここにいてくださる限り、確かに金銭は不要でしょうが」
「そうですね。確かに国として立場を確立するのであれば、貿易などもいずれ必要になるのかもしれませんね」
クマ耳獣人とウサギ耳獣人が言葉を続けた。
そうか。オレがいなくなれば、この亜空間集落も存在出来ないのか。
というか、黒竜がいてくれるから魔の森があるのと同じである。
そうなると寿命は勿論だが、不可抗力の原因から死亡する事もあり得るのだ。オレだって不老不死ではないだろうから、いつかはそんな日がやって来る。
「セス、どうする?」
「はい、トーリ様。この集落の百五十年後程に、トーリ様が青年期を終えられます。その後成人期を迎える為、まだ先の心配であるとセスは愚考致します」
「……え?オレ、何歳まで生きるんだよ」
「寿命という観点でおっしゃっているのならば、数百年単位です。トーリ様のお考えにある、エルフ族のようなお身体ですね」
「お、おぅ……。既に何度か人間じゃない発言を受けてたけど、マジでノーマルな人間じゃなかったんだな」
「トーリ様とセスは、互いに界を渡った存在ですのでやむを得ないかと存じます」
初耳の事実をセスから聞いて、オレは少し遠くの方を見つめてしまった。
何だか凄い情報を得た感じだ。
そりゃ、動物や竜と話が出来る時点で人間やめてたか。違うか、オレの選択で人間やめた訳じゃないな。
神様パワーで復活、もしくは再生したのだからそんなものか。まぁどうであれ、セスがいるならオレは良いか。
「ん、それならそうなった時に考えるか。とりあえずクマ耳獣人達はこれまで通りで良いや。国交を結ばないなら、外交官いらないもんな」
「そ、そのようですね。さすがはトーリ様でいらっしゃいます」
「そうですね。我々の心配事など、不要のようで安心しました」
オレが長命だと知らされ、獣人達は少し引いているような気もする。
そもそもこの世界では、あまり魔力のない獣人達の寿命は長くない。魔力と新陳代謝の比率が著しい世界であり、魔力量が多ければたとえ丸耳族でも長命である。
だからこそ丸耳族は、魔力イコール精霊な考え方をするようになったのだろうな。
「な、そんな大袈裟なものじゃないって」
「そうでしょう、そうでしょう。トーリ様は希望の光そのものですからね」
黒竜の大仰な評価に、オレはむず痒くなって首の後ろを撫でる。
だがすぐにセスがその会話にノリノリで口を挟み、オレの肩の上で胸を張っていた。
他の獣人達は黒竜の音声はガウガウとしか聞こえないのか、逆に妙に怖がっている。もふもふの耳が後ろを向いたりペシャリと潰れたりして、分かりやすくガクブルしているからだ。
こちら側の味方であると言ったところで、圧倒的な力の差が本能的に分かるからだろう。こればかりは仕方ない為、逃げ惑わないだけマシだと思うしかなかった。
「まぁとにかく、集落の規模が大きくなったとしても亜空間に存在している事に変わらない。出入口が黒竜の森にあるから、お隣さん感覚で頼むよ」
『相分かった』
「あ、あの……トーリ様。一つ伺いたい事がございます」
黒竜との会話が終了し、音声通信魔道具の光が消えた途端、爬虫類人が片手を上げて問い掛けてきた。
彼は貴重な薬師兼医師なので、住民が増えれば即負担が掛かる立場にいる。
「ん、何だ?」
「はい。新たに民が増えるとなりますと、住民税等の税収が必要となると思われます。規模が大きくなればなるほど、必要とする経費が増すのが通常ですから。そこへ当てる為の費用を徴収すべきかと思います。そして、その為の法律等も必要になってくるかと」
「うわぁ~、マジか。今の物々交換的な対応じゃ、限度があるって話だな?」
「はい。現状ですら、何の対価も支払っていない者がいるのです。トーリ様のお力を貪るだけの民を、これ以上増やすのは得策でないと思われます」
真面目な爬虫類人だからこその考えといったところだろうか。だがそうすると、政治とか憲法とかの面倒な事が増える。
今はセスと精霊でその部分をカバーしているから、オレは必要と思われる物を創造しておくだけ。あとは必要に応じてセスがアウトプットしてくれるから、本当にお金は不要だった。
鎖国状態の集落だから、内部で収穫したものや育てた畜産物以外の全ては基本的にオレとセスの出し与えた物。
たまに来る商人も、珍しい物や娯楽品を持ってきてくれるだけだ。
オレはそれ が分かれば創造出来るから、はっきり言って購入は一回のみ。アイテム用の亜空間に収納すれば、いくらでもコピー出来るっていう反則技が使えるのだ。
商店とか全く不要。売買を必要としないから、皆が物々交換で生活しているって訳である。
「トーリ様がここにいてくださる限り、確かに金銭は不要でしょうが」
「そうですね。確かに国として立場を確立するのであれば、貿易などもいずれ必要になるのかもしれませんね」
クマ耳獣人とウサギ耳獣人が言葉を続けた。
そうか。オレがいなくなれば、この亜空間集落も存在出来ないのか。
というか、黒竜がいてくれるから魔の森があるのと同じである。
そうなると寿命は勿論だが、不可抗力の原因から死亡する事もあり得るのだ。オレだって不老不死ではないだろうから、いつかはそんな日がやって来る。
「セス、どうする?」
「はい、トーリ様。この集落の百五十年後程に、トーリ様が青年期を終えられます。その後成人期を迎える為、まだ先の心配であるとセスは愚考致します」
「……え?オレ、何歳まで生きるんだよ」
「寿命という観点でおっしゃっているのならば、数百年単位です。トーリ様のお考えにある、エルフ族のようなお身体ですね」
「お、おぅ……。既に何度か人間じゃない発言を受けてたけど、マジでノーマルな人間じゃなかったんだな」
「トーリ様とセスは、互いに界を渡った存在ですのでやむを得ないかと存じます」
初耳の事実をセスから聞いて、オレは少し遠くの方を見つめてしまった。
何だか凄い情報を得た感じだ。
そりゃ、動物や竜と話が出来る時点で人間やめてたか。違うか、オレの選択で人間やめた訳じゃないな。
神様パワーで復活、もしくは再生したのだからそんなものか。まぁどうであれ、セスがいるならオレは良いか。
「ん、それならそうなった時に考えるか。とりあえずクマ耳獣人達はこれまで通りで良いや。国交を結ばないなら、外交官いらないもんな」
「そ、そのようですね。さすがはトーリ様でいらっしゃいます」
「そうですね。我々の心配事など、不要のようで安心しました」
オレが長命だと知らされ、獣人達は少し引いているような気もする。
そもそもこの世界では、あまり魔力のない獣人達の寿命は長くない。魔力と新陳代謝の比率が著しい世界であり、魔力量が多ければたとえ丸耳族でも長命である。
だからこそ丸耳族は、魔力イコール精霊な考え方をするようになったのだろうな。
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