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1518 嫌な予感
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血飛沫を巻き上げて宙を舞っていたミルコの頭が、ザクッと音を立てて足元に落ちた。
顔半分が砂に埋もれている。
状況を理解する前に、背後から首を刎ねられたからだろう。生気の消えた青い目には苦しみや憎しみは無く、呆然と前だけを見ているように見えた。
私は長剣使いの男の生首を一瞥すると、目の前の紫色の髪の魔法使い、エディスを見据えた。
「自慢の水晶は一回限りの使い切りみたいだね?まぁ、同じのがもう一個あっても種明かししちゃったし、私の攻撃を受けきれるヤツがいないんじゃ使えないよね?お前、もう終わりじゃない?」
かなり厄介な魔道具である事は事実だった。
今回は私とミルコの実力差が大きかったから、ほぼ一方的に倒す事はできた。
だが、力量の拮抗した者同士なら話しは別だ。
与えたダメージが無効化されるのだから、まず勝つ事はできないだろう。追跡してくる炎も、私がスピードで大きく上回っていたから、ああやって身代わりをぶち込む事ができたが、誰でもできるわけではない。
私以外の者が戦っていたら、勝てたか分からない。
だが相手が悪かったな。
私の指摘にエディスは怒りに顔を赤くして、ギリッと歯を噛み締めた。
「・・なめんじゃないわよ・・・私がミルコの後ろに隠れてるだけだとでも思った!?あんたなんか私一人で十分よ!ぶっ殺してやる!」
激昂したエディスは両手の平を地面に向け、体から溢れ出る膨大な魔力を放った。
すると砕けて散らばった水晶の破片が、魔力を帯びて宙に浮かび出した。
「へぇ、そんな事もできるのか?それで、どうするつもりだい?」
大小、様々な大きさだが、その一つ一つが魔力を帯びて、青い光を放っている。
元は手の平に乗るくらいの大きさだったが、宙に浮かぶ破片を見るとかなりの数のようだ。
何をしかけて来るのか予想はついたが、あえて挑発的に笑って問いかける。
「こうするんだよ!」
大声を上げて両手を振る!
するとエディスの周りで浮いていた水晶の破片が、レイチェルに向かって一斉に放たれた!
一つ一つの破片は、数ミリから数センチ程度の物がほとんどである。
だが魔力で補強され、勢いをつけて高速で放たれた場合、それは恐ろしい凶器となる。
まともにくらえば、レイチェルの体を貫通するくらいの威力は十分にあるだろう。
だが、自分に向かってくる水晶の破片を見ても、レイチェルは焦りも動揺も見せなかった。
それどころか呆れたように小さく息をつくと、高速で迫り来る水晶の破片に向かって走り出した。
「なにッ!?」
バカな、この女!向かってくるだと!?
たかが水晶の破片だと舐めてるのか!?復讐の水晶は高エネルギーを閉じ込めるために、特別に高い硬度と、魔力伝導率が非常に高い鉱物を使っているんだ。指の先くらいの大きさしかなくても、鉄だって貫通できる。お前の体なんてハチの巣にできるんだぞ!
「フッ、その顔、何を考えてるのか手に取るように分かるよ」
その破片がかなりの威力を持っているのは、見れば分かる。
私が自殺希望者だとでも思ったか?なんで向かっていくかなんて、答えは一つしかないだろ?
全て躱せる自信があるからだよ!
ニッと口の端を持ち上げると、私は強く地面を蹴って破片の中へと飛び込んだ!
数百を数えるだろう破片の礫(つぶて)は、瞬きでもすればその瞬間に、私の体に無数の風穴を開ける事だろう。だが残念だったな、確かに速いが私には見える。
この程度ならば当たらないよ!
「なッ!?」
なんだと!?こ、この女、あれを、あれを躱しているのか!?
高速で向かって来る細かい破片の一つ一つを躱すなど、できるはずがない。
そう考えていたエディスだったが、今自分の目に映る光景に言葉を失った。
顔を反らし、腕を曲げ、身を捻る、赤い髪の女戦士は無駄のない動きで、自分に迫る破片の全てを躱して見せた。
ありえない!
「ッ!?」
「やぁ、ご覧の通り全部躱したぞ」
突然目の前に現れた赤い髪の女戦士に、エディスは目を見開いた。
全く接近が分からなかった。
信じられない動きで、破片を躱された事に衝撃は受けたが、それでも意識を切らしたわけではない。
それなのに、いつの間にここまで近づいたというのだ!?
「シッ!」
「ッ!」
レイチェルは間髪入れずに闘気を帯びた手刀を繰り出したが、その一撃は青く輝く結界に阻まれた。
「へぇ、お前青魔法使いだったのか」
「くぅ!こ、こんな、バカな!」
ミルコを手玉にとる程のスピードのレイチェルを相手に、魔法使いのエディスが反応できたのは、運が良かったと言えるだろう。
だがここで一撃を防いだところで、結末は変わらなかった。
「終わりだ」
スッと目を細め、低く冷たい言葉を発する。
結界には耐久力があり、打撃で破壊が可能である。拳の届く距離まで接近を許した時点で、エディスの敗北は決まっていた。
レイチェルの拳が、蹴りが、目にも止まらぬ速さで結界を打ち付ける!
その一発一発が結界を激しく揺さぶった。
「なっ!?お、お前、何をするつもりだ!?ま、まさか拳で結界を破壊するつもりか!?」
第一師団随一の魔力量を誇るエディスは、結界を維持するために必要とする魔力を、常人の何倍も使う事が可能だった。
耐久力も並の魔法使いをはるかに凌ぎ、上級魔法を数発撃ち込まれても耐えられる程である。
だが、超高速で一瞬たりとも休む事なく打ちこまれる無限の打撃の前では、耐えきれるものではない。
その技の名は、限舞闘争!
「あっけなかったな」
亀裂の入った結界に、渾身の右拳を叩き込む!
金属が割れたような大きな音が鳴り響き、エディスの青く輝く結界が破壊された!
「あ・・・そ、んな・・・・・ッツ!」
目の前で砕け散った結界を目にして、エディスは呆然と立ち尽くした。
そして次の瞬間首に鋭い痛みを感じると、声が出せなくなり目の前が暗くなって、エディスはそのまま前のめりに倒れた。
・・・赤い、砂・・・血、これは・・・そうか、私は、首を・・・私の血か・・・・・
くやしい、けど・・・私達の負け、ね・・・・・でも、あんたは、先へは行けない・・・
「ふ・・・ふふふ・・・あいつ、には、勝てない・・・レイ・ランデル、には・・・あんたは、結局・・・殺される、のよ・・・・・・・・・」
そう言い残して事切れた紫色の髪の魔法使いを見下ろし、レイチェルは僅かに眉を潜めた。
「・・・レイ・ランデル?」
ランデル、だと?・・・ランデル・・・いや、まさか・・・偶然か?
レイチェルは脳裏によぎった考えを否定したかったが、一度思い浮かんだ嫌な予感は消す事はできなかった。
そしてその予感はすぐに現実となり、レイチェルの前に現れた。
顔半分が砂に埋もれている。
状況を理解する前に、背後から首を刎ねられたからだろう。生気の消えた青い目には苦しみや憎しみは無く、呆然と前だけを見ているように見えた。
私は長剣使いの男の生首を一瞥すると、目の前の紫色の髪の魔法使い、エディスを見据えた。
「自慢の水晶は一回限りの使い切りみたいだね?まぁ、同じのがもう一個あっても種明かししちゃったし、私の攻撃を受けきれるヤツがいないんじゃ使えないよね?お前、もう終わりじゃない?」
かなり厄介な魔道具である事は事実だった。
今回は私とミルコの実力差が大きかったから、ほぼ一方的に倒す事はできた。
だが、力量の拮抗した者同士なら話しは別だ。
与えたダメージが無効化されるのだから、まず勝つ事はできないだろう。追跡してくる炎も、私がスピードで大きく上回っていたから、ああやって身代わりをぶち込む事ができたが、誰でもできるわけではない。
私以外の者が戦っていたら、勝てたか分からない。
だが相手が悪かったな。
私の指摘にエディスは怒りに顔を赤くして、ギリッと歯を噛み締めた。
「・・なめんじゃないわよ・・・私がミルコの後ろに隠れてるだけだとでも思った!?あんたなんか私一人で十分よ!ぶっ殺してやる!」
激昂したエディスは両手の平を地面に向け、体から溢れ出る膨大な魔力を放った。
すると砕けて散らばった水晶の破片が、魔力を帯びて宙に浮かび出した。
「へぇ、そんな事もできるのか?それで、どうするつもりだい?」
大小、様々な大きさだが、その一つ一つが魔力を帯びて、青い光を放っている。
元は手の平に乗るくらいの大きさだったが、宙に浮かぶ破片を見るとかなりの数のようだ。
何をしかけて来るのか予想はついたが、あえて挑発的に笑って問いかける。
「こうするんだよ!」
大声を上げて両手を振る!
するとエディスの周りで浮いていた水晶の破片が、レイチェルに向かって一斉に放たれた!
一つ一つの破片は、数ミリから数センチ程度の物がほとんどである。
だが魔力で補強され、勢いをつけて高速で放たれた場合、それは恐ろしい凶器となる。
まともにくらえば、レイチェルの体を貫通するくらいの威力は十分にあるだろう。
だが、自分に向かってくる水晶の破片を見ても、レイチェルは焦りも動揺も見せなかった。
それどころか呆れたように小さく息をつくと、高速で迫り来る水晶の破片に向かって走り出した。
「なにッ!?」
バカな、この女!向かってくるだと!?
たかが水晶の破片だと舐めてるのか!?復讐の水晶は高エネルギーを閉じ込めるために、特別に高い硬度と、魔力伝導率が非常に高い鉱物を使っているんだ。指の先くらいの大きさしかなくても、鉄だって貫通できる。お前の体なんてハチの巣にできるんだぞ!
「フッ、その顔、何を考えてるのか手に取るように分かるよ」
その破片がかなりの威力を持っているのは、見れば分かる。
私が自殺希望者だとでも思ったか?なんで向かっていくかなんて、答えは一つしかないだろ?
全て躱せる自信があるからだよ!
ニッと口の端を持ち上げると、私は強く地面を蹴って破片の中へと飛び込んだ!
数百を数えるだろう破片の礫(つぶて)は、瞬きでもすればその瞬間に、私の体に無数の風穴を開ける事だろう。だが残念だったな、確かに速いが私には見える。
この程度ならば当たらないよ!
「なッ!?」
なんだと!?こ、この女、あれを、あれを躱しているのか!?
高速で向かって来る細かい破片の一つ一つを躱すなど、できるはずがない。
そう考えていたエディスだったが、今自分の目に映る光景に言葉を失った。
顔を反らし、腕を曲げ、身を捻る、赤い髪の女戦士は無駄のない動きで、自分に迫る破片の全てを躱して見せた。
ありえない!
「ッ!?」
「やぁ、ご覧の通り全部躱したぞ」
突然目の前に現れた赤い髪の女戦士に、エディスは目を見開いた。
全く接近が分からなかった。
信じられない動きで、破片を躱された事に衝撃は受けたが、それでも意識を切らしたわけではない。
それなのに、いつの間にここまで近づいたというのだ!?
「シッ!」
「ッ!」
レイチェルは間髪入れずに闘気を帯びた手刀を繰り出したが、その一撃は青く輝く結界に阻まれた。
「へぇ、お前青魔法使いだったのか」
「くぅ!こ、こんな、バカな!」
ミルコを手玉にとる程のスピードのレイチェルを相手に、魔法使いのエディスが反応できたのは、運が良かったと言えるだろう。
だがここで一撃を防いだところで、結末は変わらなかった。
「終わりだ」
スッと目を細め、低く冷たい言葉を発する。
結界には耐久力があり、打撃で破壊が可能である。拳の届く距離まで接近を許した時点で、エディスの敗北は決まっていた。
レイチェルの拳が、蹴りが、目にも止まらぬ速さで結界を打ち付ける!
その一発一発が結界を激しく揺さぶった。
「なっ!?お、お前、何をするつもりだ!?ま、まさか拳で結界を破壊するつもりか!?」
第一師団随一の魔力量を誇るエディスは、結界を維持するために必要とする魔力を、常人の何倍も使う事が可能だった。
耐久力も並の魔法使いをはるかに凌ぎ、上級魔法を数発撃ち込まれても耐えられる程である。
だが、超高速で一瞬たりとも休む事なく打ちこまれる無限の打撃の前では、耐えきれるものではない。
その技の名は、限舞闘争!
「あっけなかったな」
亀裂の入った結界に、渾身の右拳を叩き込む!
金属が割れたような大きな音が鳴り響き、エディスの青く輝く結界が破壊された!
「あ・・・そ、んな・・・・・ッツ!」
目の前で砕け散った結界を目にして、エディスは呆然と立ち尽くした。
そして次の瞬間首に鋭い痛みを感じると、声が出せなくなり目の前が暗くなって、エディスはそのまま前のめりに倒れた。
・・・赤い、砂・・・血、これは・・・そうか、私は、首を・・・私の血か・・・・・
くやしい、けど・・・私達の負け、ね・・・・・でも、あんたは、先へは行けない・・・
「ふ・・・ふふふ・・・あいつ、には、勝てない・・・レイ・ランデル、には・・・あんたは、結局・・・殺される、のよ・・・・・・・・・」
そう言い残して事切れた紫色の髪の魔法使いを見下ろし、レイチェルは僅かに眉を潜めた。
「・・・レイ・ランデル?」
ランデル、だと?・・・ランデル・・・いや、まさか・・・偶然か?
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