異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1519 現れた大物

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「残念、そんなんじゃアタシの結界は壊せないよ!」

ケイトの張りめぐらせた結界は、帝国兵が放つ黒魔法の数々を難無く防いで見せた。
乱戦状態ではあったが、ケイトの前には一際ひときわ帝国兵が集まっている、なぜか?
それには明確な理由があった。

「すごいな、ケイト。俺の想定よりもずっと魔力が上がっている。ここ数か月の修行で一番成長したのはケイトかもしれないな」

ケイトの後ろでは師ウィッカー・バリオスが、両手を空に向けて魔力を放出していた。
それは帝国首都ベアナクールを覆う闇、ベン・フィングの闇を押さえ込むためである。

そう、帝国兵の狙いは、闇を封じている術者ウィッカーである。

空に向けて光の魔力を放出しているため、場所は一目で特定できる。
闇は敵の侵入を防ぐための帝国の護りの要だったが、まさか魔力で押さえ込まれるとは思わなかった。
しかもそれは見た事もない光の魔力なのだ。未知の魔力に脅威を感じた帝国は、この魔法使いは危険だ、早急に仕留めなければならない。そう判断し指令を発したため、帝国兵達はウィッカーを狙い集まっていたのだ。



「へへ、アタシも頑張りましたからね。店長の訓練、めっちゃキツかったし」

ウィッカーに褒められたケイトは得意気に笑うと、トレードマークの黒い鍔付きのキャップをクイっと上げた。

青いパイピングをあしらったダークブラウンのローブ姿だと、鍔付きキャップは少しばかりチグハグな感じに見えなくもない。だがケイトはこのキャップに強い思い入れがあり、この戦いでも外す事はしなかった。

戦闘中だというのに、マイペースと言うか緊張感の無いケイトを見て、ウィッカーもフッと小さく笑った。

今ウィッカーは闇を押さえているため、身動きがとれない。両手を空に向けて魔力を放出しているからだ。無防備のウィッカーを護るため、護衛として立ったのがケイトだった。

「店長があの闇を消すまでアタシが護りますから、店長は店長のやるべき事に集中してください」

自信を持った瞳でウィッカーを見つめ、ケイトは力強く言葉を発した。
自分一人でもウィッカーを護ってみせる。護れる自信がある。大勢の帝国兵に囲まれつつも、ケイトの魔力にはそれだけの強さが感じられた。


「・・・ケイト、強くなったな。本当に・・・」

俺が護らなければと思っていた・・・
だけど、いつの間にか俺を護るくらい強くなっていたのか

弟子の成長がこんなに嬉しいなんてな・・・・・

師匠・・・師匠も俺やジャニスが新しい魔法を覚えた時、とても嬉しそうに笑ってましたよね

今なら師匠の気持ちが分かります


「あれ、店長?どうかしました?」

「・・・いや、なんでもない。俺は闇を押さえる事に集中しよう。ケイト、防御は任せるぞ」

少し、考え込んでしまったようだ。
首を傾げるケイトに首を振って答えると、ケイトは何か言いたそうに見えたが、それ以上追及してこなかった。

ケイトは正面に向き直ると、今にも飛び掛かってきそうな帝国兵達に挑戦的な目を向ける。

「さてと、店長に任された事だし、ここはアタシの腕の見せ所だね。かかってきなよ、アタシの結界を破れるものなら破ってみな!」






カルロス・フォスター率いるクインズベリー軍と、帝国軍第一師団は互角の戦いを繰り広げていた。

およそ三万人の兵を率いて攻めるクインズベリーだったが、第一師団も次々に増援を出して一歩も引かずに応戦する。拮抗したせめぎ合いに、戦いは長引くかと思われた。

だが状況の変化は思いの他早く訪れた。


「なにっ!?・・・レイマートが・・・・・やられた、だと?」

部下からの報告を受け、カルロス・フォスターは衝撃を受けた。
前線で戦っていたレイマートが戦死した。信じられなかった。あのゴールド騎士のレイマートが・・・

「敵の幹部クラス、おそらく第一師団の副団長と相討ちになった模様です。見事な最期だったと・・・」

カルロスの前に立つ兵士も、言葉に悔しさを滲ませていた。

「・・・レイマート・・・・・」

ぐっと唇を噛み締め言葉を詰まらせると、報告に来た兵士は言葉を続けた。

「それと、レイジェスのレイチェル・エリオットが、単身で敵陣の深くに攻め入ってます。敵の幹部も数名倒したようです。帝国は主力の大半を失ったようで、戦況は我が軍に傾いてきています」

「・・・・・分かった。レイジェスが突破口を切り開いているのならば、レイジェスを支援しろ。総力戦だ、この機を逃すな」

カルロスは胸に込み上げてきたものに蓋をした。

アルベルト・ジョシュアに続いて、レイマートまで・・・二人のゴールド騎士を失った。
個人的に親交があったわけではない。だがこの戦争が始まってからは、生死を共にする仲間として戦って来た。
軍を率いる者として、同じ立場で、同じ目線で言葉を交わし、故郷のために戦って来たんだ。

だが自分は、一軍の将として感情に振り回されるわけにはいかない。
冷静に戦況を見極めて、指示を出さなければならない。

カルロスの指示を受けた兵士は一礼をすると、前線へと戻って行った。


「・・・仇はとる」

強く拳を握り締めて呟いた。





「邪魔だ!」

シルバー騎士のエクトール・エドワーズは、闘気を纏わせた剣で帝国兵の胴体を真っ二つに斬り離した。

「氷漬けになりな」

魔法騎士のフィル・マティアスが両手から氷の魔力を放つと、それを浴びた帝国兵達は成す術もなく氷の彫像へと変えられていく。


「ふぅ・・・やるなフィル。さすがシルバー騎士序列二位だ」

エクトールは額に滲んだ汗を拭い、フィルに言葉をかけた。
茶色の髪が汗で額に貼り着く。ここまでかなりの数の敵を斬ってきた。大きな負傷はないが、徐々に疲労も溜まって来たところだ。

エクトールとフィル、二人はパウンド・フォーで大蛇と戦い生き残り、その実力を認められてこの戦いでは部隊長として抜擢されていた。お互いの強みを生かし、連携をとって戦って来た二人は、ここまで多くの帝国兵を倒してきた。


「エクトールが前に出て敵を引き付けてくれるおかげだ。騎士団にいても俺はあくまで魔法使いだからな」

騎士団に属しているが、フィルはあくまで黒魔法使いである。単独で前に出て戦う事はリスクが大きい。前に出て戦うエクトールと組んで戦う事で、数多いる帝国兵を倒して進んでいたのだ。

それより、と言葉を紡いで、フィルは親指をクイっと前に向けた。

「大物が出て来たようだぜ」



人当たりの良さそうな柔らかい表情。
歳の頃は二十代半ばから後半、スラリとしていて背が高く、身長180センチくらいだろう。
特徴的な白い髪は、耳が隠れる程度に伸びていた。

帝国兵達はその男のために左右に分かれて道を開ける。
ザックザックとゆっくり砂を踏みながら近づていきたその男は、帝国軍第一師団長、レイ・ランデルだった。
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