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1556 これからの判断
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「すごいな、相手もかなりの魔力だったのに何もさせなかった」
ジーンは結界を解くと、驚きと感心の言葉を口にした。
「シルヴィアさんあんなに強くなってたんだね。あ、ところでアラタ君、シルヴィアさんのアレって、前にみんなでやったスケートだよね?」
カチュアがアラタに目を向けると、アラタは二度三度と頷きながら答えた。
「うん、びっくりした・・・シルヴィアさんがめっちゃハマってたけど、あんなに上手くなってたなんて。俺は休みの日に何回か教えただけなのに、あんなのプロ並みだよ 」
日本にいた時、俺は村田さんと弥生さんに連れられて、冬場は毎年スケートに行ってたからそこそこ滑れる。それにフィギュアスケートもテレビで見てたから、こういう技があるって身振り手振りで教えたけど、普通それでできるか?
と言うかフィギュアの技で攻撃って、シルヴィアさん凄すぎだ。こんなの感心するしかない。
「みんなごめんね、寒かったでしょ?」
戦いを終えたシルヴィアさんが、氷上を滑りながら戻って来た。
汗の一つもかいておらず、にこやかな笑顔で俺達に話しかける。
「シルヴィアさん、すごいですね。いつの間にあんなに上手くなってたんですか?もしかしてジャンプもできるんですか?」
「ふふふ、三回転ならいけるわ。目指せ四回転ね」
さらっと言っているが、ちゃんとしたコーチもおらず、俺の半端な知識と演技だけで、よくできるものだ。やっぱり氷関係だからか?とんでもない運動神経と天才的なセンスだ。
シルヴィアさんが日本にいたら、オリンピックで金が取れてたはずだと確信できる。
「シーちゃん、雪の花を使ったのか?」
眉を寄せて近づいてきたジャレットは、少し硬い口調でシルヴィアに話しかけた。
「あら、隠してたつもりだったんだけど・・・ジャレットったら鋭いわね? 」
シルヴィアは黒いローブの前を開けると、首から下げている雪の結晶をモチーフにしたネックレスを取り出した。
魔道具雪の花、氷魔法に限られるが、魔力を大きく引き上げる効果がある。
レイジェス店長のウィッカー・バリオスが、シルヴィアの特性を最大限に生かせるようにと作った魔道具である。
「シーちゃんの実力を疑ってたわけじゃねぇけど、雪の花を使うくらいの相手だったんだろ?もう少し慎重にいってもよかったんじゃねぇか?」
「ジャレット・・・でも帝国一の氷魔法の使い手だなんて言われて、黙ってられなかったの。分かるでしょ?」
「いや、まぁ、シーちゃんのこだわりは分かるけどよ、あの竜氷縛を見る限り、あの女もかなりの使い手だったじゃねぇか?上手く敵の意表をついて、ソッコーで倒せたから良かったけど、今後もあのレベルの敵が出てきたら無理はしねぇでほしいなって・・・」
隠してはいたが、シルヴィアは冷気をぶつけ合った時、デイジーが口だけではないと理解した。
デイジーの竜氷縛も本来全力を尽くさなければ、到底止める事などできない威力だった。
もちろん負ける気などない。魔道具を使わなくても勝てる自信はあった。
だがこの先の戦いを見据えれば、ここで消耗するわけにはいかない。本意ではないがシルヴィアは魔道具雪の花を使ったのだった。
「本当は魔道具無しで、純粋に自分の力だけで勝ちたかったの。でも思ったより強かったのよね、言うだけの事はあったわ。雪の花を使わなかったら長引いてたかも。うん、そうね・・・悪かったわ、ジャレット。これからは気を付けるから」
少々熱くなり過ぎたようだ。
氷魔法の事になると、考えるより先に行動してしまうくらい、気持ちが入ってしまう。
ジャレットが自分を心配してくれているのは十分に分かっている。
今回はわがままが過ぎた、そう反省したシルヴィアは、非を認めて謝罪の言葉を口にした。
「おう、分かってくれてよかったぜ、いや、マジで」
ジャレットはほっと大きな息をついて、安堵の表情を浮かべた。
信じて一人で戦わせたが、やはり恋人の身の安全は特に強く思ってしまう。
そんなジャレットを見て、シルヴィアも小さく笑った。
そして話しが一段落ついたところで、シルヴィアがあらたまった口調で話し出した。
「ねぇ、ここまで敵が入ってきたんだから、前線は崩されていると思った方がいいわよね?ラクエルは大丈夫かしら?」
「うん、正直こんなに早くここまで敵が来るとは思わなかったよ。敵はかなり突破力があるみたいだ。ラクエルなら大丈夫だと思うけど、心配だね」
シルヴィアの言葉にジーンも頷いた。
前線はクインズベリー軍の兵士が中心になって固めている。レイジェスは敵陣の深くまで攻め入った時の、突撃部隊として入るために今は後方で待機していた。しかしまさか開戦してほどなく、ここまで敵の侵入を許すとは思わなかった。
「ヴァン達治安部隊と一緒に、前線に行ったんだよな。後ろで待ってるのは性に合わないなんて言ってよ」
ジャレットが渋い顔で顎を撫でる。
ラクエルの強さは理解しているが、敵の突破力が想定を超えてきた。
こうなるとラクエルだけでなく、前線の状況も気にかかる。自分達の役目は、力を温存し出番を待つ事だ。しかし早くも状況が変わってきた。このまま後方で待機していていいのだろうか?
全員が同じ事を考えていた。
そして自然とジャレットに注目が集まった。
このメンバーでのリーダーはジャレットだ。ジャレットの判断に従う。
それはジャレットも理解している。自分の決断をみんなが待っている。
軍で行動する以上、役目を放棄する事は重大な命令違反だ。そして勝手な行動は周囲を混乱させる事になる。
しかし状況を見れば、このままここで待っていてはダメに思える。
軍団長のロブギンスに判断を仰ぐべきだが、最後尾まで行って説明する事を考えると、時間がかかり過ぎる。敵の動きが想定を超えてきているのなら、こちらも早く動いた方がいい。
「・・・現場の判断って大事だよな。それに俺らは元々、少人数だからこそ自由に動ける別動隊だ。よし、決めたぞ。みんな・・・っ!?」
ジャレットが口を開き、レイジェスのメンバー達にこれからの行動を伝えようとしたその時、ジャレットの肩に後ろからズシンとした重いものが圧し掛かった。
振り返ったジャレットは、自分の肩に手を置くその男を見て目を見開いた。
「ジャレット・キャンベルだったな?」
クインズベリー軍軍団長バーナード・ロブギンスが、そこに立っていた。
ジーンは結界を解くと、驚きと感心の言葉を口にした。
「シルヴィアさんあんなに強くなってたんだね。あ、ところでアラタ君、シルヴィアさんのアレって、前にみんなでやったスケートだよね?」
カチュアがアラタに目を向けると、アラタは二度三度と頷きながら答えた。
「うん、びっくりした・・・シルヴィアさんがめっちゃハマってたけど、あんなに上手くなってたなんて。俺は休みの日に何回か教えただけなのに、あんなのプロ並みだよ 」
日本にいた時、俺は村田さんと弥生さんに連れられて、冬場は毎年スケートに行ってたからそこそこ滑れる。それにフィギュアスケートもテレビで見てたから、こういう技があるって身振り手振りで教えたけど、普通それでできるか?
と言うかフィギュアの技で攻撃って、シルヴィアさん凄すぎだ。こんなの感心するしかない。
「みんなごめんね、寒かったでしょ?」
戦いを終えたシルヴィアさんが、氷上を滑りながら戻って来た。
汗の一つもかいておらず、にこやかな笑顔で俺達に話しかける。
「シルヴィアさん、すごいですね。いつの間にあんなに上手くなってたんですか?もしかしてジャンプもできるんですか?」
「ふふふ、三回転ならいけるわ。目指せ四回転ね」
さらっと言っているが、ちゃんとしたコーチもおらず、俺の半端な知識と演技だけで、よくできるものだ。やっぱり氷関係だからか?とんでもない運動神経と天才的なセンスだ。
シルヴィアさんが日本にいたら、オリンピックで金が取れてたはずだと確信できる。
「シーちゃん、雪の花を使ったのか?」
眉を寄せて近づいてきたジャレットは、少し硬い口調でシルヴィアに話しかけた。
「あら、隠してたつもりだったんだけど・・・ジャレットったら鋭いわね? 」
シルヴィアは黒いローブの前を開けると、首から下げている雪の結晶をモチーフにしたネックレスを取り出した。
魔道具雪の花、氷魔法に限られるが、魔力を大きく引き上げる効果がある。
レイジェス店長のウィッカー・バリオスが、シルヴィアの特性を最大限に生かせるようにと作った魔道具である。
「シーちゃんの実力を疑ってたわけじゃねぇけど、雪の花を使うくらいの相手だったんだろ?もう少し慎重にいってもよかったんじゃねぇか?」
「ジャレット・・・でも帝国一の氷魔法の使い手だなんて言われて、黙ってられなかったの。分かるでしょ?」
「いや、まぁ、シーちゃんのこだわりは分かるけどよ、あの竜氷縛を見る限り、あの女もかなりの使い手だったじゃねぇか?上手く敵の意表をついて、ソッコーで倒せたから良かったけど、今後もあのレベルの敵が出てきたら無理はしねぇでほしいなって・・・」
隠してはいたが、シルヴィアは冷気をぶつけ合った時、デイジーが口だけではないと理解した。
デイジーの竜氷縛も本来全力を尽くさなければ、到底止める事などできない威力だった。
もちろん負ける気などない。魔道具を使わなくても勝てる自信はあった。
だがこの先の戦いを見据えれば、ここで消耗するわけにはいかない。本意ではないがシルヴィアは魔道具雪の花を使ったのだった。
「本当は魔道具無しで、純粋に自分の力だけで勝ちたかったの。でも思ったより強かったのよね、言うだけの事はあったわ。雪の花を使わなかったら長引いてたかも。うん、そうね・・・悪かったわ、ジャレット。これからは気を付けるから」
少々熱くなり過ぎたようだ。
氷魔法の事になると、考えるより先に行動してしまうくらい、気持ちが入ってしまう。
ジャレットが自分を心配してくれているのは十分に分かっている。
今回はわがままが過ぎた、そう反省したシルヴィアは、非を認めて謝罪の言葉を口にした。
「おう、分かってくれてよかったぜ、いや、マジで」
ジャレットはほっと大きな息をついて、安堵の表情を浮かべた。
信じて一人で戦わせたが、やはり恋人の身の安全は特に強く思ってしまう。
そんなジャレットを見て、シルヴィアも小さく笑った。
そして話しが一段落ついたところで、シルヴィアがあらたまった口調で話し出した。
「ねぇ、ここまで敵が入ってきたんだから、前線は崩されていると思った方がいいわよね?ラクエルは大丈夫かしら?」
「うん、正直こんなに早くここまで敵が来るとは思わなかったよ。敵はかなり突破力があるみたいだ。ラクエルなら大丈夫だと思うけど、心配だね」
シルヴィアの言葉にジーンも頷いた。
前線はクインズベリー軍の兵士が中心になって固めている。レイジェスは敵陣の深くまで攻め入った時の、突撃部隊として入るために今は後方で待機していた。しかしまさか開戦してほどなく、ここまで敵の侵入を許すとは思わなかった。
「ヴァン達治安部隊と一緒に、前線に行ったんだよな。後ろで待ってるのは性に合わないなんて言ってよ」
ジャレットが渋い顔で顎を撫でる。
ラクエルの強さは理解しているが、敵の突破力が想定を超えてきた。
こうなるとラクエルだけでなく、前線の状況も気にかかる。自分達の役目は、力を温存し出番を待つ事だ。しかし早くも状況が変わってきた。このまま後方で待機していていいのだろうか?
全員が同じ事を考えていた。
そして自然とジャレットに注目が集まった。
このメンバーでのリーダーはジャレットだ。ジャレットの判断に従う。
それはジャレットも理解している。自分の決断をみんなが待っている。
軍で行動する以上、役目を放棄する事は重大な命令違反だ。そして勝手な行動は周囲を混乱させる事になる。
しかし状況を見れば、このままここで待っていてはダメに思える。
軍団長のロブギンスに判断を仰ぐべきだが、最後尾まで行って説明する事を考えると、時間がかかり過ぎる。敵の動きが想定を超えてきているのなら、こちらも早く動いた方がいい。
「・・・現場の判断って大事だよな。それに俺らは元々、少人数だからこそ自由に動ける別動隊だ。よし、決めたぞ。みんな・・・っ!?」
ジャレットが口を開き、レイジェスのメンバー達にこれからの行動を伝えようとしたその時、ジャレットの肩に後ろからズシンとした重いものが圧し掛かった。
振り返ったジャレットは、自分の肩に手を置くその男を見て目を見開いた。
「ジャレット・キャンベルだったな?」
クインズベリー軍軍団長バーナード・ロブギンスが、そこに立っていた。
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