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1557 武運を祈る
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「ロブギンス軍団長・・・なんでここに?」
「前線が早くも崩されたようだったのでな、戦況を確認するために来た」
最後尾にいるはずのロブギンスが、まさかここに来るとは思わなかった。
戸惑いながら尋ねるジャレットに、ロブギンスは辺りを見回しながら答えた。
「・・・ふむ、竜氷縛か、なかなかの使い手だったようだな。被害は出ているが、ここで倒せたのはよかったな」
帝国軍のデイジーによって氷漬けにされた兵士達、そして地面に落ちて砕けた氷の竜の破片を見て、ロブギンスはここであった戦闘の被害状況を瞬時に理解した。
「ジャレット・キャンベル、お前がレイジェスのリーダーだな?」
「あ、はい、俺がリーダーです」
「そうか、それでお前は今、持ち場を離れようとしていなかったか?レイジェスは後方待機と指示が出ていたはずだが」
七十歳とは思えない鋭く力強い目を向けられるが、ジャレットは怯む事なくそれを受け止めて答えた。
「はい、現状を見て、前線に向かうべきだと判断しました。帝国の突破力は想定を大きく超えてます。早めに手を打つべきです。戦況はいくらでも変化しますから、それに合わせて柔軟に判断すべきです」
突然軍団長が来た事には驚いたが、もう落ち着きは取り戻している。
真正面から言葉を返すと、ロブギンスは思案するように一度目を伏せた。そして僅かな沈黙の後、目を開いて答えた。
「前線の指揮はゴールド騎士のフェリックスが執っている。ヤツならばよほどの事が無い限り、まず崩される事はないと思い任せた。しかしこれほど早く前線が突破されてしまった。単純に敵の戦力がそれほど強大なのか、あるいは予想できないなにかがあったのかもしれん。油断するなよ」
ロブギンスの視線は、クインズベリー軍と帝国軍がぶつかり合う前線に向けられていた。
あそこでなにが起きている?開戦早々に崩壊するほど、クインズベリー兵はやわな鍛え方はしていない。
何かが起こっているのかもしれない。ただならぬ何かが・・・・・
「・・ロブギンス団長、はい、任せてください!」
ピリっと緊張した空気を感じ取り、ジャレットの表情も引き締まった。
今バーナード・ロブギンスは、前線を脅かしているなにかを感じ取っている。それが分かったからこそ、自分達が漠然と感じていた懸念も、間違いではなかったと確信が持てた。
力強く返事をしたジャレットは仲間達に向き直ると、素早く前線に向かうための指示を出した。
苦戦しているであろう前線への加勢。
たった五人だが、レイジェスは一人一人の能力が高い。きっと大きな力になる。
そう判断したからこそ、彼らを前線に行かせる事を許可したのだが、ロブギンスの表情はやはり硬く、その胸には得も言えぬ不吉な予感が渦巻いていた。
「ロブギンス団長、私も出ましょうか?」
レイジェスのメンバー達が前線に向かって行った後、それを見送るロブギンスの背中に声がかけられた。
「ルーシーか、お前には決着をつけなければならない相手がいるんだろ?」
ロブギンスが振り返るとそこに立っていたのは、四勇士のルーシー・アフマダリエフだった。
肩の下まである長い銀色の髪をオールバックに撫でつけ、首元で結んで背中に流している。
目鼻立ちは整っているが、細く上に角度のついた眉と青い瞳は、冷たささえ感じられた。
黒いロングシャツの上には丸みのある鉄の肩当て、鉄の胸当て、肘から手首にかけての鉄鋼を付けている。そしてこれらは全て白に染められていた。
「はい、あの女とはきっとまた会う事になるでしょう。とても執念深そうでしたから。ですが、今現在前線が危ないのでしたら、戦力は少しでも多い方がいいのではと思いまして」
ルーシーの言うあの女とは、ユナニマス大川で戦った帝国の女戦士、ラザレナ・シールズである。
あの場ではラザレナが引く事で幕を下ろしたが、帝国まで辿り着いた時に再戦を約束しているのだ。
そしてその約束は、単なる口約束で終わるものではないと確信をしていた。
「炎を使う赤い髪の女と言ったな?話しを聞く限り、師団長クラスの力はあるんだろ?そんなヤツが控えているんだ、お前はできるだけ力を残しておけ。ここは仲間達を信じて任せろ。大丈夫だ、クインズベリー軍はそう簡単にやられはしない。そしてレイジェスの力はお前の方がよく知ってるだろ?」
「そうですね・・・はい、確かにラザレナの相手は、万全でなければ話しにならないでしょう。分かりました、前線は彼らにまかせましょう」
できる事なら共に戦いたいと思った。
しかし四勇士であるルーシーは、軍団長ロブギンスの許可が無ければ勝手なまねはできない。
それにラザレナ・シールズとの戦いも控えているのだ。やはりここで体力を使うわけにはいかない。
前線が崩された事への懸念はある。
だがここは彼らを信じてまかせようと思った。
「武運を祈る」
すでにその背中は見えなくなったが、静かに言葉を口にした。
「前線が早くも崩されたようだったのでな、戦況を確認するために来た」
最後尾にいるはずのロブギンスが、まさかここに来るとは思わなかった。
戸惑いながら尋ねるジャレットに、ロブギンスは辺りを見回しながら答えた。
「・・・ふむ、竜氷縛か、なかなかの使い手だったようだな。被害は出ているが、ここで倒せたのはよかったな」
帝国軍のデイジーによって氷漬けにされた兵士達、そして地面に落ちて砕けた氷の竜の破片を見て、ロブギンスはここであった戦闘の被害状況を瞬時に理解した。
「ジャレット・キャンベル、お前がレイジェスのリーダーだな?」
「あ、はい、俺がリーダーです」
「そうか、それでお前は今、持ち場を離れようとしていなかったか?レイジェスは後方待機と指示が出ていたはずだが」
七十歳とは思えない鋭く力強い目を向けられるが、ジャレットは怯む事なくそれを受け止めて答えた。
「はい、現状を見て、前線に向かうべきだと判断しました。帝国の突破力は想定を大きく超えてます。早めに手を打つべきです。戦況はいくらでも変化しますから、それに合わせて柔軟に判断すべきです」
突然軍団長が来た事には驚いたが、もう落ち着きは取り戻している。
真正面から言葉を返すと、ロブギンスは思案するように一度目を伏せた。そして僅かな沈黙の後、目を開いて答えた。
「前線の指揮はゴールド騎士のフェリックスが執っている。ヤツならばよほどの事が無い限り、まず崩される事はないと思い任せた。しかしこれほど早く前線が突破されてしまった。単純に敵の戦力がそれほど強大なのか、あるいは予想できないなにかがあったのかもしれん。油断するなよ」
ロブギンスの視線は、クインズベリー軍と帝国軍がぶつかり合う前線に向けられていた。
あそこでなにが起きている?開戦早々に崩壊するほど、クインズベリー兵はやわな鍛え方はしていない。
何かが起こっているのかもしれない。ただならぬ何かが・・・・・
「・・ロブギンス団長、はい、任せてください!」
ピリっと緊張した空気を感じ取り、ジャレットの表情も引き締まった。
今バーナード・ロブギンスは、前線を脅かしているなにかを感じ取っている。それが分かったからこそ、自分達が漠然と感じていた懸念も、間違いではなかったと確信が持てた。
力強く返事をしたジャレットは仲間達に向き直ると、素早く前線に向かうための指示を出した。
苦戦しているであろう前線への加勢。
たった五人だが、レイジェスは一人一人の能力が高い。きっと大きな力になる。
そう判断したからこそ、彼らを前線に行かせる事を許可したのだが、ロブギンスの表情はやはり硬く、その胸には得も言えぬ不吉な予感が渦巻いていた。
「ロブギンス団長、私も出ましょうか?」
レイジェスのメンバー達が前線に向かって行った後、それを見送るロブギンスの背中に声がかけられた。
「ルーシーか、お前には決着をつけなければならない相手がいるんだろ?」
ロブギンスが振り返るとそこに立っていたのは、四勇士のルーシー・アフマダリエフだった。
肩の下まである長い銀色の髪をオールバックに撫でつけ、首元で結んで背中に流している。
目鼻立ちは整っているが、細く上に角度のついた眉と青い瞳は、冷たささえ感じられた。
黒いロングシャツの上には丸みのある鉄の肩当て、鉄の胸当て、肘から手首にかけての鉄鋼を付けている。そしてこれらは全て白に染められていた。
「はい、あの女とはきっとまた会う事になるでしょう。とても執念深そうでしたから。ですが、今現在前線が危ないのでしたら、戦力は少しでも多い方がいいのではと思いまして」
ルーシーの言うあの女とは、ユナニマス大川で戦った帝国の女戦士、ラザレナ・シールズである。
あの場ではラザレナが引く事で幕を下ろしたが、帝国まで辿り着いた時に再戦を約束しているのだ。
そしてその約束は、単なる口約束で終わるものではないと確信をしていた。
「炎を使う赤い髪の女と言ったな?話しを聞く限り、師団長クラスの力はあるんだろ?そんなヤツが控えているんだ、お前はできるだけ力を残しておけ。ここは仲間達を信じて任せろ。大丈夫だ、クインズベリー軍はそう簡単にやられはしない。そしてレイジェスの力はお前の方がよく知ってるだろ?」
「そうですね・・・はい、確かにラザレナの相手は、万全でなければ話しにならないでしょう。分かりました、前線は彼らにまかせましょう」
できる事なら共に戦いたいと思った。
しかし四勇士であるルーシーは、軍団長ロブギンスの許可が無ければ勝手なまねはできない。
それにラザレナ・シールズとの戦いも控えているのだ。やはりここで体力を使うわけにはいかない。
前線が崩された事への懸念はある。
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