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64 レイチェルとエルウィン
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レイチェルとエルウィンが協会に着いた時は、まだ9時になる10分前だった。
エルウィンの案内で、エルウィンがいつもゴミ出しの時に使う裏口へ向かう。
いくつかある裏口の中で、正門からも、街へ出る大通りからも一番遠く、見習い隊員がゴミ出しに使うくらいの用でしか、使用されていなかったからだ。
レイチェルは胸くらいの高さまである石造りの塀から、中を覗き見る。誰もいないようだ。
雑草も綺麗に抜かれ、ゴミ一つ落ちていない。掃除が行き届いているのがよく分かる。
「レイチェルさん、アラタさんはいつも9時頃マルコス隊長に連れられて行きます。場所は三階で、三階は全て独房です。部屋数は50ありますが、アラタさんの独房は階段を上がってすぐの角部屋なので、見つけやすいです。では、これからどうしますか?」
「・・・確か300人いるんだよね?それだと、中に入ればどうしても人目につくと思う。アラタの連れて行かれる部屋に、外から入る事はできないかい?」
「う~ん・・・あそこは窓が無いので難しいですね。あ、その隣の部屋が空き部屋でして、そこからなら行けると思いますよ」
一階の奥の部屋は拷問部屋と呼ばれていた。
三年前、カリウスがまだ隊長だった頃は、ごく普通の取り調べ室だったが、マルコスが隊長になってからは取り調べという名の拷問が行われる部屋に変わっていった。
「よし、じゃあそこを見てみようか。いけそうならそこで様子をみよう」
エルウィンを前にし、レイチェルは少し離れて着いて行く。
もし、隊員の誰かに見られても、無関係という事を装うためだった。
塀伝いに移動をし、目的の場所まで着いた時、エルウィンは急に頭を下げた。後ろのレイチェルもエルウィンの行動を見て、急ぎ塀の高さより下まで頭を下げる。
「エルウィン、どうしたんだ?」
腰を落としたままエルウィンの隣まで足を動かし、ひそひそと小声で聞く。エルウィンは口を押えていた。よほど驚いたんだろう。声が漏れないように必死に堪えているようだった。
「・・・フェンテスさんが、アローヨさんと戦っています」
エルウィンは深く息を吐いた。少し落ち着きを取り戻し、しっかりした声で答える。
フェンテス・・・聞き覚えのある名前だった。そうだ・・・あの日、アラタにナイフを向けた治安部隊の隊員が、そんな名前だった気がする。
アローヨ、こっちは覚えている。この前私が鼻面にバトンを叩きつけた男だ。
だが、二人は同じ治安部隊のはずだ。なぜ、ここで戦う必要がある?
思わず塀の上に顔を出しそうになるが、ここは堪える。
私の疑問を察したのか、エルウィンがハッとした感じに目を開いた。
「あ、すみません。俺、アラタさんの事でいっぱいいっぱいで、詳しい事話してませんでしたね」
エルウィンは簡単にまとめて状況を説明した。
前隊長のカリウス・クアドラス。前副隊長のヴァン・エストラーダ。現隊長補佐のモルグ・フェンテスが味方になり、アラタと共に戦っているようだ。
「話に聞くのと、実際に戦っているのを見るのは全く違いますね・・・なんて言うか、まさか本当にって感じで驚きました・・・」
エルウィンにとっては、どちらも同じ隊の先輩だ。それがこの石造りの塀を一つ挟んだ先で、ナイフを交わし命を懸けて戦っている。
隊の中心人物が分裂し、これから先どうなっていくのかという不安が実感として湧いてきたのだろう。
膝を胸に抱えるように組んで、俯き顔を伏している。
無理も無い。今回の件は今朝聞いたばかりな上、心の整理もままならない内に、私のところまで駆けて来たんだ。
大人びていても、エルウィンはまだ12歳なんだ。
「・・・エルウィン、元気出しなよ」
私はエルウィンの頭に手を乗せると、ぐしゃぐしゃっと、ちょっと雑に撫でてやった。
エルウィンはびっくりして顔を上げ、え?ええ?と何と言っていいのか分からない感じになっている。
少し頬も赤い。
「その時は難しいなって思っても、頑張ればけっこう何とかなるもんだよ。それでもどうしても駄目だなって思ったら、いつでもレイジェスに来なよ。私がこき使ってやるから」
ニッコリ笑って見せると、少しの間を置いて、エルウィンも笑って返してくれた。
「・・・ありがとうございます。でも、俺はやっぱり治安部隊で頑張ります」
「うん」
「でも・・・」
「ん?」
「・・・また、会いに行ってもいいですか?」
私は笑ってエルウィンの頭を撫でた。
子供扱いしないで下さい、と言って避けようとするエルウィンはなんだかとても可愛らしかった。
「レイチェルさん・・・もう大丈夫みたいです」
エルウィンが塀から顔を出し、辺りを見回したが、フェンテスもアローヨもいなくなっていた。
戦いを見る事はできなかったが、聞こえてきた声で、だいたいの内容は把握できた。
レイジェスで見た時には、マルコスの命令に従い、アラタにナイフを向けたフェンテスが、まさか本当に隊に反旗を翻すとは思わなかった。
そして、アローヨだ。
推測も入るが、マルコスの隊になってから、アローヨの人生の歯車が狂った事は分かった。
あの時は私も感情的になったが、事情が分かると同情できるところもあった。
「レイチェルさん、行きますか?」
「あぁ、行こう」
エルウィンが両手を塀にかけて体を持ち上げ、足をかけて飛び越える。
それに続く形で、私が手を使わず跳躍のみで、ひらりと塀を飛び越えると、エルウィンは目を丸くして、カッケー、と声に出した。
「あ、あそこから入れそうですね。フェンテスさんが割ったんでしょう」
エルウィンが指した部屋の上部の窓は割られていた。窓ガラスを割り、そこから鍵を開けて侵入したようだ。
「私とエルウィンなら入れそうだね」
「はい、じゃあ先に行きますね」
エルウィンはジャンプして窓枠に手をかけると、そのまま体を持ち上げ、頭から体を滑らして、前回転の要領で部屋に入った。
着地音が聞こえた後、大丈夫ですよ、と部屋の中から声がかけられる。
私は手を使わず跳躍のみで窓枠に足をかけると、数cm程前に出ている窓枠の上部分に指先を引っ掛け、上半身をふわりと浮かせると、そのまま足から部屋に体を滑り込ませた。
エルウィンは目を丸くして、カッケー、と声に出した。
「外が騒がしいね」
「俺、様子見て来ますので、レイチェルさんは隠れていてください」
部屋の中はきちんと片づけがしてあった。
イスにテーブルもあれば、傷付いたボディアーマーなども置いてあり、確かに物置だなという印象だ。
とりあえず女一人くらいは体を隠せるくらいの棚があったので、そこに体を寄せる。
エルウィンが部屋を出て一人になると、色々な事が頭に浮かんできた。
思えばこの三ヶ月、本当に色々あった・・・
始まりは私が少し遅くなって帰ろうとした時だ。店を出ると、無防備に男が倒れていたのだ。
トバリに食べられたら大変だと思い、とりあえず隣の空き家に連れて行った。
それがアラタとの出会いだった。
異世界から来たなんて、半信半疑だったが、嘘を言っているようにも思えなかった。
行き場が無いのは本当のようだし、人手も足りないから店で雇ってみる事にした。
悪いヤツではなさそうだったしな。
アラタは真面目で素直なヤツだった。店に馴染むのも早く、皆ともうまくやっている。
ジャレットも気に入っているようだし、防具担当も二人体制になってやっと一つ解決だ。
カチュアの事は本当に意外だった。
直接何かあって気付いたわけではないが、見てると二人でいる事が明らかに多いのだ。
アラタがお昼休憩に入ると、カチュアも追いかけて行くし、帰りもアラタの準備が終わるまで待っている。
私が気付いた時には、他の皆もだいたい察していたようだ。カチュアは分かりやすいのだ。
ただ、リカルドだけは私が教えるまで気付いていなかった。
アイツは人の恋愛事情はけっこうどうでもいいと思っていて、感心がないから気付かないようだ。
でも、あの日・・・アラタに向かって怒鳴っていた。
カチュアの事を忘れるなと、こっちまで聞こえてきて・・・アラタの気持ちも分かるけど、どうしてもやるせなかったのだろう。
いつもなんだかんだ言って面倒を見てくれるカチュアは、リカルドにとって友達であり姉みたいなものなのだ。恋愛とは違うが、大事に想っている気持ちは強い。
カチュアは女の子らしい性格で可愛いから、カチュア目当てで店に来たお客から声をかけられる事も多い、でもいつも問答無用で全部断っていた。
一回くらいご飯行ってもいいかなって人いないの?そう聞いた事がある。
「いないよ。私、よく知らない人とご飯食べたくないから」
この返事を聞いた時、私はカチュアに彼氏ができるのはいつになるだろう?と思った。
でも、それから程なくしてアラタが入店し、初日にアラタをご飯に連れて行っていいかと聞いて来た時は、本当に驚いた。
そしてディーロ兄弟の襲撃、協会との対立、店長がいないのに、この短期間でこれだけの事が起こった。
「アラタ・・・キミが来てから、毎日が目まぐるしいよ・・・」
私はなぜか少しだけ笑っていた。
まぁ、大変だけど、レイジェスの店員になれたと言ったキミを、私は守りたいと思う。
その時、壁を背にする私の後ろで、まるで建物が倒壊でもしたかのような強い揺れと、爆弾でもぶちかましたのかと思うような物凄い破壊音が鳴り響いた。
あまりに強い揺れと音に驚き、背にしていた壁を振り返ると、大きな亀裂がいくつも入って、今にも崩れそうになっていた。
「レ、レイチェルさん!そ、外です!」
その時、勢いよく扉を開けて、エルウィンが大声を上げながら部屋の外を指差した。
外を指差すので、もう一度外に出るのかと、窓に向かって飛ぼうとすると、
「あ、あぁ違う違う、こっち、こっちから出れますので、来てください!」
エルウィンが慌てて訂正してきた。かなり混乱しているようだ。
「落ち着け、何があったんだ?今の大きな音も一体なんだ?」
「マ、マルコス隊長です!このままじゃアラタさん・・・殺されます!」
エルウィンの案内で、エルウィンがいつもゴミ出しの時に使う裏口へ向かう。
いくつかある裏口の中で、正門からも、街へ出る大通りからも一番遠く、見習い隊員がゴミ出しに使うくらいの用でしか、使用されていなかったからだ。
レイチェルは胸くらいの高さまである石造りの塀から、中を覗き見る。誰もいないようだ。
雑草も綺麗に抜かれ、ゴミ一つ落ちていない。掃除が行き届いているのがよく分かる。
「レイチェルさん、アラタさんはいつも9時頃マルコス隊長に連れられて行きます。場所は三階で、三階は全て独房です。部屋数は50ありますが、アラタさんの独房は階段を上がってすぐの角部屋なので、見つけやすいです。では、これからどうしますか?」
「・・・確か300人いるんだよね?それだと、中に入ればどうしても人目につくと思う。アラタの連れて行かれる部屋に、外から入る事はできないかい?」
「う~ん・・・あそこは窓が無いので難しいですね。あ、その隣の部屋が空き部屋でして、そこからなら行けると思いますよ」
一階の奥の部屋は拷問部屋と呼ばれていた。
三年前、カリウスがまだ隊長だった頃は、ごく普通の取り調べ室だったが、マルコスが隊長になってからは取り調べという名の拷問が行われる部屋に変わっていった。
「よし、じゃあそこを見てみようか。いけそうならそこで様子をみよう」
エルウィンを前にし、レイチェルは少し離れて着いて行く。
もし、隊員の誰かに見られても、無関係という事を装うためだった。
塀伝いに移動をし、目的の場所まで着いた時、エルウィンは急に頭を下げた。後ろのレイチェルもエルウィンの行動を見て、急ぎ塀の高さより下まで頭を下げる。
「エルウィン、どうしたんだ?」
腰を落としたままエルウィンの隣まで足を動かし、ひそひそと小声で聞く。エルウィンは口を押えていた。よほど驚いたんだろう。声が漏れないように必死に堪えているようだった。
「・・・フェンテスさんが、アローヨさんと戦っています」
エルウィンは深く息を吐いた。少し落ち着きを取り戻し、しっかりした声で答える。
フェンテス・・・聞き覚えのある名前だった。そうだ・・・あの日、アラタにナイフを向けた治安部隊の隊員が、そんな名前だった気がする。
アローヨ、こっちは覚えている。この前私が鼻面にバトンを叩きつけた男だ。
だが、二人は同じ治安部隊のはずだ。なぜ、ここで戦う必要がある?
思わず塀の上に顔を出しそうになるが、ここは堪える。
私の疑問を察したのか、エルウィンがハッとした感じに目を開いた。
「あ、すみません。俺、アラタさんの事でいっぱいいっぱいで、詳しい事話してませんでしたね」
エルウィンは簡単にまとめて状況を説明した。
前隊長のカリウス・クアドラス。前副隊長のヴァン・エストラーダ。現隊長補佐のモルグ・フェンテスが味方になり、アラタと共に戦っているようだ。
「話に聞くのと、実際に戦っているのを見るのは全く違いますね・・・なんて言うか、まさか本当にって感じで驚きました・・・」
エルウィンにとっては、どちらも同じ隊の先輩だ。それがこの石造りの塀を一つ挟んだ先で、ナイフを交わし命を懸けて戦っている。
隊の中心人物が分裂し、これから先どうなっていくのかという不安が実感として湧いてきたのだろう。
膝を胸に抱えるように組んで、俯き顔を伏している。
無理も無い。今回の件は今朝聞いたばかりな上、心の整理もままならない内に、私のところまで駆けて来たんだ。
大人びていても、エルウィンはまだ12歳なんだ。
「・・・エルウィン、元気出しなよ」
私はエルウィンの頭に手を乗せると、ぐしゃぐしゃっと、ちょっと雑に撫でてやった。
エルウィンはびっくりして顔を上げ、え?ええ?と何と言っていいのか分からない感じになっている。
少し頬も赤い。
「その時は難しいなって思っても、頑張ればけっこう何とかなるもんだよ。それでもどうしても駄目だなって思ったら、いつでもレイジェスに来なよ。私がこき使ってやるから」
ニッコリ笑って見せると、少しの間を置いて、エルウィンも笑って返してくれた。
「・・・ありがとうございます。でも、俺はやっぱり治安部隊で頑張ります」
「うん」
「でも・・・」
「ん?」
「・・・また、会いに行ってもいいですか?」
私は笑ってエルウィンの頭を撫でた。
子供扱いしないで下さい、と言って避けようとするエルウィンはなんだかとても可愛らしかった。
「レイチェルさん・・・もう大丈夫みたいです」
エルウィンが塀から顔を出し、辺りを見回したが、フェンテスもアローヨもいなくなっていた。
戦いを見る事はできなかったが、聞こえてきた声で、だいたいの内容は把握できた。
レイジェスで見た時には、マルコスの命令に従い、アラタにナイフを向けたフェンテスが、まさか本当に隊に反旗を翻すとは思わなかった。
そして、アローヨだ。
推測も入るが、マルコスの隊になってから、アローヨの人生の歯車が狂った事は分かった。
あの時は私も感情的になったが、事情が分かると同情できるところもあった。
「レイチェルさん、行きますか?」
「あぁ、行こう」
エルウィンが両手を塀にかけて体を持ち上げ、足をかけて飛び越える。
それに続く形で、私が手を使わず跳躍のみで、ひらりと塀を飛び越えると、エルウィンは目を丸くして、カッケー、と声に出した。
「あ、あそこから入れそうですね。フェンテスさんが割ったんでしょう」
エルウィンが指した部屋の上部の窓は割られていた。窓ガラスを割り、そこから鍵を開けて侵入したようだ。
「私とエルウィンなら入れそうだね」
「はい、じゃあ先に行きますね」
エルウィンはジャンプして窓枠に手をかけると、そのまま体を持ち上げ、頭から体を滑らして、前回転の要領で部屋に入った。
着地音が聞こえた後、大丈夫ですよ、と部屋の中から声がかけられる。
私は手を使わず跳躍のみで窓枠に足をかけると、数cm程前に出ている窓枠の上部分に指先を引っ掛け、上半身をふわりと浮かせると、そのまま足から部屋に体を滑り込ませた。
エルウィンは目を丸くして、カッケー、と声に出した。
「外が騒がしいね」
「俺、様子見て来ますので、レイチェルさんは隠れていてください」
部屋の中はきちんと片づけがしてあった。
イスにテーブルもあれば、傷付いたボディアーマーなども置いてあり、確かに物置だなという印象だ。
とりあえず女一人くらいは体を隠せるくらいの棚があったので、そこに体を寄せる。
エルウィンが部屋を出て一人になると、色々な事が頭に浮かんできた。
思えばこの三ヶ月、本当に色々あった・・・
始まりは私が少し遅くなって帰ろうとした時だ。店を出ると、無防備に男が倒れていたのだ。
トバリに食べられたら大変だと思い、とりあえず隣の空き家に連れて行った。
それがアラタとの出会いだった。
異世界から来たなんて、半信半疑だったが、嘘を言っているようにも思えなかった。
行き場が無いのは本当のようだし、人手も足りないから店で雇ってみる事にした。
悪いヤツではなさそうだったしな。
アラタは真面目で素直なヤツだった。店に馴染むのも早く、皆ともうまくやっている。
ジャレットも気に入っているようだし、防具担当も二人体制になってやっと一つ解決だ。
カチュアの事は本当に意外だった。
直接何かあって気付いたわけではないが、見てると二人でいる事が明らかに多いのだ。
アラタがお昼休憩に入ると、カチュアも追いかけて行くし、帰りもアラタの準備が終わるまで待っている。
私が気付いた時には、他の皆もだいたい察していたようだ。カチュアは分かりやすいのだ。
ただ、リカルドだけは私が教えるまで気付いていなかった。
アイツは人の恋愛事情はけっこうどうでもいいと思っていて、感心がないから気付かないようだ。
でも、あの日・・・アラタに向かって怒鳴っていた。
カチュアの事を忘れるなと、こっちまで聞こえてきて・・・アラタの気持ちも分かるけど、どうしてもやるせなかったのだろう。
いつもなんだかんだ言って面倒を見てくれるカチュアは、リカルドにとって友達であり姉みたいなものなのだ。恋愛とは違うが、大事に想っている気持ちは強い。
カチュアは女の子らしい性格で可愛いから、カチュア目当てで店に来たお客から声をかけられる事も多い、でもいつも問答無用で全部断っていた。
一回くらいご飯行ってもいいかなって人いないの?そう聞いた事がある。
「いないよ。私、よく知らない人とご飯食べたくないから」
この返事を聞いた時、私はカチュアに彼氏ができるのはいつになるだろう?と思った。
でも、それから程なくしてアラタが入店し、初日にアラタをご飯に連れて行っていいかと聞いて来た時は、本当に驚いた。
そしてディーロ兄弟の襲撃、協会との対立、店長がいないのに、この短期間でこれだけの事が起こった。
「アラタ・・・キミが来てから、毎日が目まぐるしいよ・・・」
私はなぜか少しだけ笑っていた。
まぁ、大変だけど、レイジェスの店員になれたと言ったキミを、私は守りたいと思う。
その時、壁を背にする私の後ろで、まるで建物が倒壊でもしたかのような強い揺れと、爆弾でもぶちかましたのかと思うような物凄い破壊音が鳴り響いた。
あまりに強い揺れと音に驚き、背にしていた壁を振り返ると、大きな亀裂がいくつも入って、今にも崩れそうになっていた。
「レ、レイチェルさん!そ、外です!」
その時、勢いよく扉を開けて、エルウィンが大声を上げながら部屋の外を指差した。
外を指差すので、もう一度外に出るのかと、窓に向かって飛ぼうとすると、
「あ、あぁ違う違う、こっち、こっちから出れますので、来てください!」
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