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【200 弥生と新】
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そして冬が来た。
吐く息も白くなり、毎朝ベッドから起きる事が少し辛くなる。
私は冷え性なので、冬は手と足の指先がいつも冷たい。だからよく両手をすり合わせる。
12月。
日本ならクリスマスを意識する頃だ。
日本で働いていたリサイクルショップ ウイニングでも、この時期は繁忙期だから忙しかった。
私、と言っても、もう一人の弥生は忙しくなると、よく新に仕事を押し付けていた。
【新~、なんで毎年クリスマスってこんなに混むんだよ】
【新~、ラッピング代わりにやっといて】
【新~、私ちょい疲れたから、後は頼むよ】
思い返せば、弥生は本当に新といつも一緒にいたと思う。
新はとにかく弥生にかまわれていた。仕事も色々やらされていたけど、不思議と嫌な顔一つしないで、しかたないな、という感じに笑って引き受けていた。
弥生は、人付き合いがヘタな新が周りから浮かないように、孤立しないように、いつも周囲との関係に気を配っていた。
最初は早番や中番など、ローテーションで勤務していたのに、新が入ってから閉店までの遅番固定にしたのは、新のためだった。
ほうっておけなかったのだ。
新をバイトに誘った村戸修一以外とは、なかなかうまく付き合えず、いつも悩みながら仕事をしている新を見て、弥生はある日、新に声をかけて昼食を一緒にとった。
弥生は直球をぶつけた。
【新、あんた人間関係下手でしょ?】
そこまでハッキリ言われた事のない新は、さすがに少し驚いたけれど、それでもストレートに言われた事で逆に言いやすくなったのか、これまでの自分を話し始めた。
学校を出て、やりたい事も見つからずブラブラしていた事、なにかバイトを始めても、すぐに人間関係で居づらくなり辞めてしまう事。
頭が固く、自分が正しいと思う事は曲げない事。新は自分の欠点も理解していた。
そして、親子関係がうまくいかず、父親との折り合いも悪い事も話した。
弥生は最後まで黙って聞いた。
そして、最後まで聞いて弥生は決めた。
【じゃあ、アタシが遅番一緒に入ってやるか。修一とは話せるんしょ?遅番は三人いりゃいいんだから、アタシと新と修一の三人が固定で入れば、アンタもちょっとは気が楽でしょ?だから、ウイニングは続けなよ?他の人とは、時間かけて付き合えるようになればいいよ】
以来、弥生はずっと新と遅番に入っている。
ほうっておけなかったのだ。
弥生も母親との関係で何年も悩んできたから。
ずっと自分を殺して生きて来た弥生は、家を出てウイニングで働き、やっと毎日が楽しいと思えていた。
新にも、この店で働いて良かったと思ってほしい。
弥生はそう思った。
見返りを求めたわけではない。
だけど、三年間一緒に遅番で働き、新との間には、特別な信頼関係ができたと感じている・・・
私は窓の外へ目を向けた。
ガラス越しに見える外は、一面白く染まった雪景色だった。
昨日は降っていなかったので、夜の間に積もったのだろう。
どうりで今朝はいつも以上に寒さを感じるわけだ。
時計を見ると、丁度6時だった。
多分、メアリーちゃんはもうキッチンで朝食の準備をしているはずだ。
メアリーちゃんは朝も強くて、どんなに天気が悪くても、毎朝6時には必ずキッチンにいるのだ。
本当にすごい子だ。
私も子供達を起こしに行かないと。
寝巻をぬいで、ケーブル編みの白いセーターに袖を通す。
着替えながら、私はやはり日本の事を考えてしまう。
私がこの世界にいるのなら、新もこの世界にいる可能性は高いと思う。
いつか・・・いつか会えるのかな・・・・・
共有している記憶で、私も新に対して特別な感情を持っている。
それは、まるで生き別れた弟に対するようなものかもしれないけれど、弥生は私以上にとても気にしている事も分かる。
直接の付き合いがあったのは弥生なのだから、当然だと思う。
ねぇ、新・・・あなたもこの世界に来ているのかな?
修一はどうなったかわからないけれど、記憶にある最後のあなたは、呼びかけても返事が無くて、死んでしまったように見えた・・・・・そして私もそこからの記憶がないの
私達は、あそこであの男に殺された・・・・・・
それは、悔しいし辛いけれど、どういう運命なのか、この世界で二度目の命をもらい生きている。
それなら、この世界では悔いのない人生をおくりたい。幸せになりたいと私は思う。
新・・・・・あなたにも、そう思って欲しい。
弥生は、私達はあなたを気にしているから・・・あなたもこの世界にいるのなら、もう一度会いたい。
私達はあなたを探すから、あなたにも私達を探してほしい。
いつかまた・・・いつかまた会える事を願っているから
どうかそれまで元気でいてね
着替え終えた私は、少しだけ目を閉じてこの世界に祈った
今日も一日幸せでありますように
そう願い、私は部屋を出た
吐く息も白くなり、毎朝ベッドから起きる事が少し辛くなる。
私は冷え性なので、冬は手と足の指先がいつも冷たい。だからよく両手をすり合わせる。
12月。
日本ならクリスマスを意識する頃だ。
日本で働いていたリサイクルショップ ウイニングでも、この時期は繁忙期だから忙しかった。
私、と言っても、もう一人の弥生は忙しくなると、よく新に仕事を押し付けていた。
【新~、なんで毎年クリスマスってこんなに混むんだよ】
【新~、ラッピング代わりにやっといて】
【新~、私ちょい疲れたから、後は頼むよ】
思い返せば、弥生は本当に新といつも一緒にいたと思う。
新はとにかく弥生にかまわれていた。仕事も色々やらされていたけど、不思議と嫌な顔一つしないで、しかたないな、という感じに笑って引き受けていた。
弥生は、人付き合いがヘタな新が周りから浮かないように、孤立しないように、いつも周囲との関係に気を配っていた。
最初は早番や中番など、ローテーションで勤務していたのに、新が入ってから閉店までの遅番固定にしたのは、新のためだった。
ほうっておけなかったのだ。
新をバイトに誘った村戸修一以外とは、なかなかうまく付き合えず、いつも悩みながら仕事をしている新を見て、弥生はある日、新に声をかけて昼食を一緒にとった。
弥生は直球をぶつけた。
【新、あんた人間関係下手でしょ?】
そこまでハッキリ言われた事のない新は、さすがに少し驚いたけれど、それでもストレートに言われた事で逆に言いやすくなったのか、これまでの自分を話し始めた。
学校を出て、やりたい事も見つからずブラブラしていた事、なにかバイトを始めても、すぐに人間関係で居づらくなり辞めてしまう事。
頭が固く、自分が正しいと思う事は曲げない事。新は自分の欠点も理解していた。
そして、親子関係がうまくいかず、父親との折り合いも悪い事も話した。
弥生は最後まで黙って聞いた。
そして、最後まで聞いて弥生は決めた。
【じゃあ、アタシが遅番一緒に入ってやるか。修一とは話せるんしょ?遅番は三人いりゃいいんだから、アタシと新と修一の三人が固定で入れば、アンタもちょっとは気が楽でしょ?だから、ウイニングは続けなよ?他の人とは、時間かけて付き合えるようになればいいよ】
以来、弥生はずっと新と遅番に入っている。
ほうっておけなかったのだ。
弥生も母親との関係で何年も悩んできたから。
ずっと自分を殺して生きて来た弥生は、家を出てウイニングで働き、やっと毎日が楽しいと思えていた。
新にも、この店で働いて良かったと思ってほしい。
弥生はそう思った。
見返りを求めたわけではない。
だけど、三年間一緒に遅番で働き、新との間には、特別な信頼関係ができたと感じている・・・
私は窓の外へ目を向けた。
ガラス越しに見える外は、一面白く染まった雪景色だった。
昨日は降っていなかったので、夜の間に積もったのだろう。
どうりで今朝はいつも以上に寒さを感じるわけだ。
時計を見ると、丁度6時だった。
多分、メアリーちゃんはもうキッチンで朝食の準備をしているはずだ。
メアリーちゃんは朝も強くて、どんなに天気が悪くても、毎朝6時には必ずキッチンにいるのだ。
本当にすごい子だ。
私も子供達を起こしに行かないと。
寝巻をぬいで、ケーブル編みの白いセーターに袖を通す。
着替えながら、私はやはり日本の事を考えてしまう。
私がこの世界にいるのなら、新もこの世界にいる可能性は高いと思う。
いつか・・・いつか会えるのかな・・・・・
共有している記憶で、私も新に対して特別な感情を持っている。
それは、まるで生き別れた弟に対するようなものかもしれないけれど、弥生は私以上にとても気にしている事も分かる。
直接の付き合いがあったのは弥生なのだから、当然だと思う。
ねぇ、新・・・あなたもこの世界に来ているのかな?
修一はどうなったかわからないけれど、記憶にある最後のあなたは、呼びかけても返事が無くて、死んでしまったように見えた・・・・・そして私もそこからの記憶がないの
私達は、あそこであの男に殺された・・・・・・
それは、悔しいし辛いけれど、どういう運命なのか、この世界で二度目の命をもらい生きている。
それなら、この世界では悔いのない人生をおくりたい。幸せになりたいと私は思う。
新・・・・・あなたにも、そう思って欲しい。
弥生は、私達はあなたを気にしているから・・・あなたもこの世界にいるのなら、もう一度会いたい。
私達はあなたを探すから、あなたにも私達を探してほしい。
いつかまた・・・いつかまた会える事を願っているから
どうかそれまで元気でいてね
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今日も一日幸せでありますように
そう願い、私は部屋を出た
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