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【313 ロビンの考察】
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ロビンさん・・・・・
その爆発は、セインソルボ山から数十キロ離れている、首都バンテージからもハッキリと見えた。
山から立ち昇る黒く巨大な煙は、あの日皇帝の光源爆裂弾で、街の一角が吹き飛ばされた事を思い出させる光景だった。
それは、カエストゥスの国民を大きく動揺させた、
ウィッカーは今、足に風を纏って空を飛び、全速力でセインソルボ山へ向かっていた。
あの爆発を目にし、大臣ロペスの行動は素早かった。
セインソルボ山での最高戦力は指揮官のロビン。
だが、ロビンをもってしてもあれ程の爆発を起こす力はない。
ならば、あの爆発は帝国が起こしたものだろう。
あれほどの破壊の魔力を出すのであれば、十中八九黒魔法使いによるものだ。
そう判断したロペスはウィッカーをセインソルボ山へ向かわせた。
単独でウィッカーを向かわせた理由は二つある。
一つ、天高く昇る爆煙を見て、ロペスはスピードが要求されると見た。
大勢の兵を編成して向わせても、たどり着くまでに何時間もかかってしまう。それではとても間に合わない。
だが、ウィッカーの風魔法ならば、空を飛び一時間もかからずたどり着ける。
二つ、ウィッカーの戦闘力は、今や一人で戦局をひっくり返せる程に成長していた。
それは、王位継承の儀で、帝国の師団長、ジャキル・ミラーとルシアン・クラスニキの二人を相手にしても互角に渡り合い、セシリア・シールズをあと一歩まで追い詰めた事で証明されていた。
ロペスは、最速で戦場にたどり着き、味方が追い詰められていた場合、その状況を打破できる者はウィッカーだと判断した。
「ロビンさん!無事でいてください!」
ロビンの実力は知っている。
戦闘力だけ見ればウィッカーがロビンを上回っている。だが、ロビンには戦闘力だけでは測れない強さがあった。
それは、年を重ねる事でしか得られない経験。
そしてロビンという男の本質にある。
ウィッカーは見た事があるわけではない。
だが、かつてロビンは、仲間にすら恐れられる程の非情な男だったという。
勝ちに徹した戦い方をした場合、ロビンに敵う者などいない。
今でこそ丸くなり、当時を知らない者も増えたため、ロビンに対するイメージはずいぶん変わってしまったが、そう言われていた時代が確かにあった。
ロビンは強い。
だが・・・
「・・・嫌な予感がする・・・急げ!」
足にまとわせた風を爆発させ、ウィッカーは戦場へと駆けた。
ビボル・・・お前は無事でいるか?
戻って来た兵士は、ほとんど白魔法使いだけだった。
戦闘用の魔道具を持っていたとしても、基本的に白魔法使いは回復要因である。
必然的に後衛に立つ事が多い。
ビボルも例にもれず、白魔法使いは後衛にして隊列を組んでいた。
ぽつぽつと、黒魔法使いや青魔法使いも見えるが、体力型は一人も残っておらず、ほぼ全員が白魔法使いだった。
ビボルの生存を確認するが、誰もその姿を見てはいないと言う。
直感で察する。ビボルはおそらく・・・・・
だが、言葉に出す事はしない。言葉に出してしまえば、それは現実になってしまう。そんな気がしていた。
生存している可能性は極めて低いだろう。それでもロビンは願うしかなかった。
どうか生きていてくれと・・・
自分が戦いに駆り出し、指揮官として最前線へ送った事への責任は感じていた。
だが、戦争とはそういうものだと割り切るしかなかった。
この場にいる全ての兵達にも同じ事が言えるからだ。
一人一人に人生がある。戦うしかないから戦っている。望んでなどいないのだ。
全ての兵達の命を預かっているのだ。ビボルだけを特別視するわけにはいかない。
すぐにでも爆心地へ行き、ビボルを探したい衝動はなんとか抑えた。
「・・・ビボル」
だがそれでも、かつて共に競い合い高め合った友を想う気持ちは抑えられなかった。
・・・・・ビボル、お前が俺を嫌っていても、俺はお前を友だと思っている
血がにじむ程唇を強く噛み、ロビンは支持を飛ばした。
「負傷している者の手当を最優先に行え!回復が終わるまでここに留まる!青魔法使いは全方向へ結界を張れ!警戒を怠るな!」
雪は一向に止む事なく強く激しく、獣の唸り声のような音を上げて吹き付けて来る。
ロビンはいまだ治まる気配を見せない黒い煙を睨みつけた。
爆心地から考えて、おそらく帝国は一度退いたのだろう。
ビボルは追撃をかけ、そして帝国の罠にはまり、返り討ちにあった。
ロビンはそう仮説を立てた。そしてそれは当たっていた。
次にロビンが考えたのは、なぜあの場所だったのか?
罠を張る以上、その場所でなければならない理由があるはずだ。
土地勘があるロビンは、セインソルボ山の地形を思い起こし考察した。
そして一つの可能性に行きあたる。
「・・・あそこは確か、斜面がキツい場所だったな。帝国があそこに陣取っているというのであれば、その狙いは・・・」
自分ならばあの場所でどう戦う?
やられて嫌な事はなんだ?
壊滅的なダメージを与えるには?
「・・・もし、俺の考え通りであるならば、ジャキル・ミラー・・・恐ろしい事を考えやがるな」
味方さえ巻き込みかねない考えに思い至り、あらためてジャミル・ミラーという男の、恐ろしく残忍な性質を理解する。
「・・・ここで立ち止まれたのは、幸運だった」
あの爆発から生き残った魔法使い達が戻ってきて、回復のために一時休息を取った。
わずかな時間だが、一度頭を冷やし敵の狙いを考える事ができた。
「ジャキル・ミラーよ、策に溺れて自滅するがいい・・・」
ロビンはニヤリと笑みを浮かべる。
回復した魔法兵達の様子を見て、ロビンは隊列を組みなおし進軍を再開した。
雪は依然として強く吹き付ける。
その爆発は、セインソルボ山から数十キロ離れている、首都バンテージからもハッキリと見えた。
山から立ち昇る黒く巨大な煙は、あの日皇帝の光源爆裂弾で、街の一角が吹き飛ばされた事を思い出させる光景だった。
それは、カエストゥスの国民を大きく動揺させた、
ウィッカーは今、足に風を纏って空を飛び、全速力でセインソルボ山へ向かっていた。
あの爆発を目にし、大臣ロペスの行動は素早かった。
セインソルボ山での最高戦力は指揮官のロビン。
だが、ロビンをもってしてもあれ程の爆発を起こす力はない。
ならば、あの爆発は帝国が起こしたものだろう。
あれほどの破壊の魔力を出すのであれば、十中八九黒魔法使いによるものだ。
そう判断したロペスはウィッカーをセインソルボ山へ向かわせた。
単独でウィッカーを向かわせた理由は二つある。
一つ、天高く昇る爆煙を見て、ロペスはスピードが要求されると見た。
大勢の兵を編成して向わせても、たどり着くまでに何時間もかかってしまう。それではとても間に合わない。
だが、ウィッカーの風魔法ならば、空を飛び一時間もかからずたどり着ける。
二つ、ウィッカーの戦闘力は、今や一人で戦局をひっくり返せる程に成長していた。
それは、王位継承の儀で、帝国の師団長、ジャキル・ミラーとルシアン・クラスニキの二人を相手にしても互角に渡り合い、セシリア・シールズをあと一歩まで追い詰めた事で証明されていた。
ロペスは、最速で戦場にたどり着き、味方が追い詰められていた場合、その状況を打破できる者はウィッカーだと判断した。
「ロビンさん!無事でいてください!」
ロビンの実力は知っている。
戦闘力だけ見ればウィッカーがロビンを上回っている。だが、ロビンには戦闘力だけでは測れない強さがあった。
それは、年を重ねる事でしか得られない経験。
そしてロビンという男の本質にある。
ウィッカーは見た事があるわけではない。
だが、かつてロビンは、仲間にすら恐れられる程の非情な男だったという。
勝ちに徹した戦い方をした場合、ロビンに敵う者などいない。
今でこそ丸くなり、当時を知らない者も増えたため、ロビンに対するイメージはずいぶん変わってしまったが、そう言われていた時代が確かにあった。
ロビンは強い。
だが・・・
「・・・嫌な予感がする・・・急げ!」
足にまとわせた風を爆発させ、ウィッカーは戦場へと駆けた。
ビボル・・・お前は無事でいるか?
戻って来た兵士は、ほとんど白魔法使いだけだった。
戦闘用の魔道具を持っていたとしても、基本的に白魔法使いは回復要因である。
必然的に後衛に立つ事が多い。
ビボルも例にもれず、白魔法使いは後衛にして隊列を組んでいた。
ぽつぽつと、黒魔法使いや青魔法使いも見えるが、体力型は一人も残っておらず、ほぼ全員が白魔法使いだった。
ビボルの生存を確認するが、誰もその姿を見てはいないと言う。
直感で察する。ビボルはおそらく・・・・・
だが、言葉に出す事はしない。言葉に出してしまえば、それは現実になってしまう。そんな気がしていた。
生存している可能性は極めて低いだろう。それでもロビンは願うしかなかった。
どうか生きていてくれと・・・
自分が戦いに駆り出し、指揮官として最前線へ送った事への責任は感じていた。
だが、戦争とはそういうものだと割り切るしかなかった。
この場にいる全ての兵達にも同じ事が言えるからだ。
一人一人に人生がある。戦うしかないから戦っている。望んでなどいないのだ。
全ての兵達の命を預かっているのだ。ビボルだけを特別視するわけにはいかない。
すぐにでも爆心地へ行き、ビボルを探したい衝動はなんとか抑えた。
「・・・ビボル」
だがそれでも、かつて共に競い合い高め合った友を想う気持ちは抑えられなかった。
・・・・・ビボル、お前が俺を嫌っていても、俺はお前を友だと思っている
血がにじむ程唇を強く噛み、ロビンは支持を飛ばした。
「負傷している者の手当を最優先に行え!回復が終わるまでここに留まる!青魔法使いは全方向へ結界を張れ!警戒を怠るな!」
雪は一向に止む事なく強く激しく、獣の唸り声のような音を上げて吹き付けて来る。
ロビンはいまだ治まる気配を見せない黒い煙を睨みつけた。
爆心地から考えて、おそらく帝国は一度退いたのだろう。
ビボルは追撃をかけ、そして帝国の罠にはまり、返り討ちにあった。
ロビンはそう仮説を立てた。そしてそれは当たっていた。
次にロビンが考えたのは、なぜあの場所だったのか?
罠を張る以上、その場所でなければならない理由があるはずだ。
土地勘があるロビンは、セインソルボ山の地形を思い起こし考察した。
そして一つの可能性に行きあたる。
「・・・あそこは確か、斜面がキツい場所だったな。帝国があそこに陣取っているというのであれば、その狙いは・・・」
自分ならばあの場所でどう戦う?
やられて嫌な事はなんだ?
壊滅的なダメージを与えるには?
「・・・もし、俺の考え通りであるならば、ジャキル・ミラー・・・恐ろしい事を考えやがるな」
味方さえ巻き込みかねない考えに思い至り、あらためてジャミル・ミラーという男の、恐ろしく残忍な性質を理解する。
「・・・ここで立ち止まれたのは、幸運だった」
あの爆発から生き残った魔法使い達が戻ってきて、回復のために一時休息を取った。
わずかな時間だが、一度頭を冷やし敵の狙いを考える事ができた。
「ジャキル・ミラーよ、策に溺れて自滅するがいい・・・」
ロビンはニヤリと笑みを浮かべる。
回復した魔法兵達の様子を見て、ロビンは隊列を組みなおし進軍を再開した。
雪は依然として強く吹き付ける。
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