461 / 1,560
460 見通しの目
しおりを挟む
「す、すごい・・・」
シルヴィアは感嘆の声をもらした。
ジャレットの猛攻は、レオに反撃の隙を与えず、一方的に攻め立てていた。
レオは盾を持っていない。しかし、両腕に付けている鋼鉄の腕当て、そして右手に持つメイスで受ける事で、ジャレットの攻撃を凌いでいた。
オーラブレードでレオの装甲を斬る事はできない。
したがってジャレットの攻撃は、兜を付けていない頭部、そして二の腕と両の太腿。ここに絞られていた。
防御に徹しているレオもそれは承知の上だった。そして的が絞られている事は、護る上で非常に楽だった。
そのため反撃できずとも、レオの顔に焦りの色は無く、むしろ余裕さえ見える。
ジャレットとレオには大きなハンデがあった。
身長差は15cm以上、体重では70キロそこそこのジャレットに対し、レオは100キロを超える。
実に30キロ以上の差があった。
ジャレットとて毎日の訓練は行っているが、無限とも思える時間を塔で過ごし、一日の大半を訓練に費やしているレオと比べれば、体力面での差も明確だった。
体力型の戦いに疎いシルヴィアは、一方的に攻めるジャレットが有利と見ていた。
だが怒りに任せ、全力で飛び掛かったジャレットに対し、冷静に受けに回ったレオ。
形勢が逆転するのに、そう時間はかからなかった。
くそがッツ!全く当たらねぇ!
この野郎、でけぇ図体のくせに力だけじゃねぇ、目がとんでもなくいい。
俺の剣筋を見極めて、最小限の動きでさばいてやがる!
ジャレットがレオの頭にオーラブレードを振り下ろすと、レオはメイスを少しだけ顔の前に出して受け止める。ここでも身長差がものを言った。
自分より15cmも低いジャレットの頭部への攻撃は、レオにとってメイスを振り上げる必要はなく、少しだけ顔の前に出せばいいのだ。それだけで、頭部だけでなく、胸から上はほぼ全てカバーできる事になる。
そのまま剣を滑らせ、右からレオの左腕を狙い打ち込むが、これもパワーで大きく勝るレオにとっては、左の腕当てを少し前に出せば楽に防げるものだった。
「・・・もういい。十分だ」
レオの呟きがジャレットの耳に届き、ジャレットが言葉の意味を理解しようとした瞬間、レオの左手拳がジャレットの腹にめり込んでいた。
「カッ・・・!」
うめき声すら出せず、肺の中の空気を残らず吐き出させる程の衝撃だった。
レオがそのまま腕を振り抜くと、ジャレットは数メートル先の壁まで飛ばされ、背中を強く打ち付けられ、力なく前のめりに倒れた。
「流水の盾にオーラブレードか・・・驚かされもしたが、終わってみればあっけないものだった」
横たわるジャレットに止めを刺そうと、レオはメイスを握りしめたレオ。
だがそのメイスはジャレットには向けず、振り返りざまに、自分の後頭部を狙って放たれたシルヴィアの氷魔法、食らえば頭を貫き破壊するだろう巨大な氷柱を、叩きつけて粉砕した。
「え、そ、そんな・・・」
申し分の無いタイミングだった。
仮に外されるとしても、無傷ではありえない。
そう確信を持って放ったシルヴィアの一撃だったが、レオはまるで撃たれる事が分かっていたかのように振り返り、正確にメイスを叩きつけた。
「なぜ今の攻撃か迎撃されたか分からない。そういう顔だな」
レオはシルヴィアに向き直ると、自分の額に撒いている紐の、人の目をモチーフにした石を指差した、
「答えはこれだ。魔道具、見通しの目。これを身に付けた者は、真上でも後ろでも、視界に収める事ができる。俺の後ろをとっても、俺にはお前の姿が丸見えという事だ」
「そんな魔道具が・・・くそ!」
背中をとったつもりが、レオはシルヴィアの行動を見透かしたかのように、なんなく氷魔法を打ち落とした。
あの目がある限り不意をつく事はできない。正面から実力で立ち向かうしかない。
シルヴィアは両手の平をレオに向けて、魔力を集中させた。
冷気が集まり、部屋が気温が一段下がったように感じる程の、冷たい空気が肌を刺す。
「ほぅ・・・これ程の魔力とはな。さっき俺の腕を凍らせた時以上だ。いいだろう、正面から受けてやる。全力で来い。俺の耐魔の鎧を超えて凍らせる事ができればお前の勝ちだ。できなければ、女といえど頭から叩き潰されると思え」
少し腰を落とし、両腕を広げると、レオは体勢を整えるように大きく息を吸って吐いた。
「見くびってくれるわね?私の竜氷縛・・・受けれるものなら受けてなさい!」
シルヴィアから放たれた氷の上級魔法竜氷縛は、195cmを超すレオすら一飲みにしてしまう程の大きな顎を開けて襲い掛かった。
シルヴィアは感嘆の声をもらした。
ジャレットの猛攻は、レオに反撃の隙を与えず、一方的に攻め立てていた。
レオは盾を持っていない。しかし、両腕に付けている鋼鉄の腕当て、そして右手に持つメイスで受ける事で、ジャレットの攻撃を凌いでいた。
オーラブレードでレオの装甲を斬る事はできない。
したがってジャレットの攻撃は、兜を付けていない頭部、そして二の腕と両の太腿。ここに絞られていた。
防御に徹しているレオもそれは承知の上だった。そして的が絞られている事は、護る上で非常に楽だった。
そのため反撃できずとも、レオの顔に焦りの色は無く、むしろ余裕さえ見える。
ジャレットとレオには大きなハンデがあった。
身長差は15cm以上、体重では70キロそこそこのジャレットに対し、レオは100キロを超える。
実に30キロ以上の差があった。
ジャレットとて毎日の訓練は行っているが、無限とも思える時間を塔で過ごし、一日の大半を訓練に費やしているレオと比べれば、体力面での差も明確だった。
体力型の戦いに疎いシルヴィアは、一方的に攻めるジャレットが有利と見ていた。
だが怒りに任せ、全力で飛び掛かったジャレットに対し、冷静に受けに回ったレオ。
形勢が逆転するのに、そう時間はかからなかった。
くそがッツ!全く当たらねぇ!
この野郎、でけぇ図体のくせに力だけじゃねぇ、目がとんでもなくいい。
俺の剣筋を見極めて、最小限の動きでさばいてやがる!
ジャレットがレオの頭にオーラブレードを振り下ろすと、レオはメイスを少しだけ顔の前に出して受け止める。ここでも身長差がものを言った。
自分より15cmも低いジャレットの頭部への攻撃は、レオにとってメイスを振り上げる必要はなく、少しだけ顔の前に出せばいいのだ。それだけで、頭部だけでなく、胸から上はほぼ全てカバーできる事になる。
そのまま剣を滑らせ、右からレオの左腕を狙い打ち込むが、これもパワーで大きく勝るレオにとっては、左の腕当てを少し前に出せば楽に防げるものだった。
「・・・もういい。十分だ」
レオの呟きがジャレットの耳に届き、ジャレットが言葉の意味を理解しようとした瞬間、レオの左手拳がジャレットの腹にめり込んでいた。
「カッ・・・!」
うめき声すら出せず、肺の中の空気を残らず吐き出させる程の衝撃だった。
レオがそのまま腕を振り抜くと、ジャレットは数メートル先の壁まで飛ばされ、背中を強く打ち付けられ、力なく前のめりに倒れた。
「流水の盾にオーラブレードか・・・驚かされもしたが、終わってみればあっけないものだった」
横たわるジャレットに止めを刺そうと、レオはメイスを握りしめたレオ。
だがそのメイスはジャレットには向けず、振り返りざまに、自分の後頭部を狙って放たれたシルヴィアの氷魔法、食らえば頭を貫き破壊するだろう巨大な氷柱を、叩きつけて粉砕した。
「え、そ、そんな・・・」
申し分の無いタイミングだった。
仮に外されるとしても、無傷ではありえない。
そう確信を持って放ったシルヴィアの一撃だったが、レオはまるで撃たれる事が分かっていたかのように振り返り、正確にメイスを叩きつけた。
「なぜ今の攻撃か迎撃されたか分からない。そういう顔だな」
レオはシルヴィアに向き直ると、自分の額に撒いている紐の、人の目をモチーフにした石を指差した、
「答えはこれだ。魔道具、見通しの目。これを身に付けた者は、真上でも後ろでも、視界に収める事ができる。俺の後ろをとっても、俺にはお前の姿が丸見えという事だ」
「そんな魔道具が・・・くそ!」
背中をとったつもりが、レオはシルヴィアの行動を見透かしたかのように、なんなく氷魔法を打ち落とした。
あの目がある限り不意をつく事はできない。正面から実力で立ち向かうしかない。
シルヴィアは両手の平をレオに向けて、魔力を集中させた。
冷気が集まり、部屋が気温が一段下がったように感じる程の、冷たい空気が肌を刺す。
「ほぅ・・・これ程の魔力とはな。さっき俺の腕を凍らせた時以上だ。いいだろう、正面から受けてやる。全力で来い。俺の耐魔の鎧を超えて凍らせる事ができればお前の勝ちだ。できなければ、女といえど頭から叩き潰されると思え」
少し腰を落とし、両腕を広げると、レオは体勢を整えるように大きく息を吸って吐いた。
「見くびってくれるわね?私の竜氷縛・・・受けれるものなら受けてなさい!」
シルヴィアから放たれた氷の上級魔法竜氷縛は、195cmを超すレオすら一飲みにしてしまう程の大きな顎を開けて襲い掛かった。
0
あなたにおすすめの小説
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる