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487 劣等感
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「エリザベートぉ~、この力は素晴らしいぞぉ~、あのレイマートもレミューも、俺には敵わなかった。アルベルトもフェリックスも、今の俺の敵ではないだろう。もう俺をお飾りだなんて誰にも言わせない」
「トレバー、あなたは・・・」
抑え込んでいた劣等感だったのだろう。
トレバーから発せられる闇の瘴気が、負の感情で高められて色をより濃くしていく。
トレバーは知っていた。
公爵家という立場だけで、自分がゴールド騎士をも束ねる騎士団団長という立場にいる事を。
だが、それでも地位というものは確かなものだった。
ほとんどの騎士は団長であるトレバーに大人しく従っていた。
だが、アルベルトとフェリックスの二人は、実力の伴わないトレバーに対して、表向きに話しを合わせるくらいはするが、意にそぐわない支持には決して従う事はなかった。
シルバー騎士のレイマートとレミューにしても同様である。
レミューは早々にトレバーを見限り、最後の最後でレイマートにも反旗を翻された。
長年抑え込んでいた劣等感が爆発し、闇につけ込まれたのは、当然の事だったのかもしれない。
「エリザベートぉ~、お前が俺を避けていたのは知っているぞ。お前も俺を口先だけだと見下していたのだろう?だがな!今の俺を見ろ!この力を見ろ!俺は無敵になったんだ!ふははははは!」
闇となったトレバーは、笑いながらごく自然に足を前に出し、自らが空けた大穴の上に立ち、エリザベートへと顔を向けた。
そう、トレバーは大穴の上に浮いているのである。肉体が闇の瘴気に変わったゆえの能力だった。
アラタはエリザベートを護るように前に立った。
「あぁ?なんだお前は?」
「エリザ様の護衛だ。お前を倒して、その後ろにいる偽国王も倒す」
軽く握った左拳を前へ、右拳は顔の隣。
右脚を後ろへ引いて、左半身で構えた。
「あぁ~?お前、なんだその構えは?まさか素手で俺とやろうってのか?」
アラタが剣も槍も武器らしい物は何も持たず、拳だけを向けた事に対して、トレバーは笑う事はしなかった。
城へ乗り込んでおいて素手というの、トレバーの常識から考えればありえない事であり、驚きが勝ったゆえである。
「あぁ、そのまさかだ。俺の武器はこの拳だ。お前をぶん殴って倒す」
アラタがステップを踏み、一定のリズムで上下に体を揺らしだすと、トレバーの目が警戒するように細くなった。
この時トレバーの頭に浮かんだのは、ついさっき一戦を交えたレイマートだった。
闘気を右手に集中させての攻撃、レオンクロー。
首に受けていれば、間違いなく死んでいただろう。
レイマートの例、そして目の前のこの男が本気だという事も、その目を見れば感じ取れた。
「まてよ・・・武器を持たずに素手で・・・お前、まさか・・・」
トレバーは思い出した。
秋の初めに、治安部隊のマルコス・ゴンサレスが、牢に捕らえていた一人の男に倒されたという一件を。
「お前がサカキ・アラタか?」
「俺を知っているのか?そうだ、俺が坂木新だ」
目の前にいるこの男が、あのマルコス・ゴンサレスを倒した男。
トレバーは震えた。恐怖ではなく喜びに・・・・・
絶対なる恐怖体制を築き上げたマルコスにとって、口ばかりで実力の無いトレバーはまるで興味を持ってもらえず、マルコスは騎士団に用件がある時は、常にアルベルトかフェリックスを通していた。
屈辱だった。いつかマルコスにも自分を認めさせてやる。
そう心に誓ったものだった。
「ふはははは!いいぞ!ならばお前を倒せば俺はマルコス・ゴンサレスをも超えたという事になるな!」
そう叫ぶなり、トレバーは右手の平をアラタに向けた。
「死ね!」
そう声を上げ、トレバーは闇の波動をアラタに向けて撃ち放った。
アラタのすぐ傍に立つ、エリザベートも巻き込む事になるが、トレバーに迷いは無かった。
シルバー騎士の序列一位、ゴールド騎士に近い実力を持つレイマートを以てしても、防ぎきれないと言われた闇の波動。
エリザベートは運動能力的に躱す事は不可能。
そして、直撃しないにしても、その爆発に巻き込まれれば致命傷を受ける事は予想に難くない。
「アラタさん!」
しかし、エリザベートは逃げる素振りは全く見せず、アラタのすぐ後ろで、迫りくる闇の波動に挑むかのように、正面から見据え声を上げた。
「ふははははは!諦めたか!?ならばそのまま死・・・なにっ!?」
トレバーは見た。
アラタの右拳が一瞬光ったかと思うと、次の瞬間たった今撃った闇の波動が上空に弾かれ、天井を破壊して空へと消えて行った。
弾かれた闇の波動を目で追ったトレバーは、必然的に顔が上を向く。
その結果、正面のアラタから意識も外れる。
一瞬の後、己の失態に気付き、トレバーが顔を戻した時には、すでにアラタは目の前だった。
「しまッ・・・!」
最後まで言い終わらないうちに、アラタの右ストレートがトレバーの顔を正面から撃ち抜いた。
「トレバー、あなたは・・・」
抑え込んでいた劣等感だったのだろう。
トレバーから発せられる闇の瘴気が、負の感情で高められて色をより濃くしていく。
トレバーは知っていた。
公爵家という立場だけで、自分がゴールド騎士をも束ねる騎士団団長という立場にいる事を。
だが、それでも地位というものは確かなものだった。
ほとんどの騎士は団長であるトレバーに大人しく従っていた。
だが、アルベルトとフェリックスの二人は、実力の伴わないトレバーに対して、表向きに話しを合わせるくらいはするが、意にそぐわない支持には決して従う事はなかった。
シルバー騎士のレイマートとレミューにしても同様である。
レミューは早々にトレバーを見限り、最後の最後でレイマートにも反旗を翻された。
長年抑え込んでいた劣等感が爆発し、闇につけ込まれたのは、当然の事だったのかもしれない。
「エリザベートぉ~、お前が俺を避けていたのは知っているぞ。お前も俺を口先だけだと見下していたのだろう?だがな!今の俺を見ろ!この力を見ろ!俺は無敵になったんだ!ふははははは!」
闇となったトレバーは、笑いながらごく自然に足を前に出し、自らが空けた大穴の上に立ち、エリザベートへと顔を向けた。
そう、トレバーは大穴の上に浮いているのである。肉体が闇の瘴気に変わったゆえの能力だった。
アラタはエリザベートを護るように前に立った。
「あぁ?なんだお前は?」
「エリザ様の護衛だ。お前を倒して、その後ろにいる偽国王も倒す」
軽く握った左拳を前へ、右拳は顔の隣。
右脚を後ろへ引いて、左半身で構えた。
「あぁ~?お前、なんだその構えは?まさか素手で俺とやろうってのか?」
アラタが剣も槍も武器らしい物は何も持たず、拳だけを向けた事に対して、トレバーは笑う事はしなかった。
城へ乗り込んでおいて素手というの、トレバーの常識から考えればありえない事であり、驚きが勝ったゆえである。
「あぁ、そのまさかだ。俺の武器はこの拳だ。お前をぶん殴って倒す」
アラタがステップを踏み、一定のリズムで上下に体を揺らしだすと、トレバーの目が警戒するように細くなった。
この時トレバーの頭に浮かんだのは、ついさっき一戦を交えたレイマートだった。
闘気を右手に集中させての攻撃、レオンクロー。
首に受けていれば、間違いなく死んでいただろう。
レイマートの例、そして目の前のこの男が本気だという事も、その目を見れば感じ取れた。
「まてよ・・・武器を持たずに素手で・・・お前、まさか・・・」
トレバーは思い出した。
秋の初めに、治安部隊のマルコス・ゴンサレスが、牢に捕らえていた一人の男に倒されたという一件を。
「お前がサカキ・アラタか?」
「俺を知っているのか?そうだ、俺が坂木新だ」
目の前にいるこの男が、あのマルコス・ゴンサレスを倒した男。
トレバーは震えた。恐怖ではなく喜びに・・・・・
絶対なる恐怖体制を築き上げたマルコスにとって、口ばかりで実力の無いトレバーはまるで興味を持ってもらえず、マルコスは騎士団に用件がある時は、常にアルベルトかフェリックスを通していた。
屈辱だった。いつかマルコスにも自分を認めさせてやる。
そう心に誓ったものだった。
「ふはははは!いいぞ!ならばお前を倒せば俺はマルコス・ゴンサレスをも超えたという事になるな!」
そう叫ぶなり、トレバーは右手の平をアラタに向けた。
「死ね!」
そう声を上げ、トレバーは闇の波動をアラタに向けて撃ち放った。
アラタのすぐ傍に立つ、エリザベートも巻き込む事になるが、トレバーに迷いは無かった。
シルバー騎士の序列一位、ゴールド騎士に近い実力を持つレイマートを以てしても、防ぎきれないと言われた闇の波動。
エリザベートは運動能力的に躱す事は不可能。
そして、直撃しないにしても、その爆発に巻き込まれれば致命傷を受ける事は予想に難くない。
「アラタさん!」
しかし、エリザベートは逃げる素振りは全く見せず、アラタのすぐ後ろで、迫りくる闇の波動に挑むかのように、正面から見据え声を上げた。
「ふははははは!諦めたか!?ならばそのまま死・・・なにっ!?」
トレバーは見た。
アラタの右拳が一瞬光ったかと思うと、次の瞬間たった今撃った闇の波動が上空に弾かれ、天井を破壊して空へと消えて行った。
弾かれた闇の波動を目で追ったトレバーは、必然的に顔が上を向く。
その結果、正面のアラタから意識も外れる。
一瞬の後、己の失態に気付き、トレバーが顔を戻した時には、すでにアラタは目の前だった。
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