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497 闇人形
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「オォォォォォォォォォォーーーーーッツ!」
偽国王マウリシオの体から、かつてない程の禍々しい闇が解き放たれた。
高密度の瘴気は室内に収まりきらず、壁に亀裂を走らせていく。
全身が闇のように黒く染まったその姿は、まさに闇の化身だった。
「それが本性か・・・」
光を纏っていても、腹の底にのしかかるような、重いプレッシャーを感じさせられる。
だがそれでも立ち向かえる。
凶悪な闇を前に、アラタは左拳を軽く握り前にだした。
いつもと変わらないオーソドックスなファイティングポーズだ。
「フゥゥゥゥゥ・・・捻り潰してくれる」
アラタの構えを見て、偽国王の黒い目も鋭く光る。
「う、うわぁぁぁぁーーーっ!ば、化け物だぁー!」
今、二人が激突しようとしたその時、出入口から聞こえた叫びに、アラタの注意が一瞬それる。
それは駆け付けた騎士団だった。
階級の低いブロンズ騎士達が、あまりに強烈な闇の瘴気、そして闇の化身とその姿を変えた偽国王の姿を目の当たりにし、我を忘れて悲鳴を上げている。
トレバーが闇へと姿を変えた時は、怯え固まってしまっても声まで上げる事はしなかった。
だが、トレバーのそれとは桁違いの闇に当てられ、精神を正常に保てなかったのは、彼らの力量を考えればしかたない事だったかもしれない。
しかし、今この場では最悪としか言えないタイミングだった。
そう、彼らの上げた悲鳴によって、アラタの注意を一瞬とはいえ、偽国王から逸らさせてしまったからだ。
この状況でそれは命取りと言える行為だった。
事実、立ち位置的に正面から騎士団を視認できた偽国王と、振り返る形になったアラタ。
アラタは決定的な隙を作ってしまう事になる。
無論その隙を見逃すはずもなく、偽国王が右腕を振るう。
その動きに合わせるように、闇の瘴気もまるで人の手のようにその形を変えて、アラタへと掴みかかった。
「後ろへ飛べ!」
叫んだのはバリオスだった。
その声にアラタは自分の失態を瞬時に理解し、正面に顔を戻すより早く床を蹴り、後方へ飛び退いた。
それとほぼ同時に、胸元ほんの数センチの距離を闇の手がかすめていく。
直撃を受けたわけではないが、瘴気による圧力に体を押され体勢を崩され、右手をついて着地する。
「くっ!」
さっきまでとはまるで違う!
振り抜いた手の瘴気に当てられただけで、体を飛ばされる。
まともに受けたらまずい!
「チッ、素早いヤツだな・・・よし、面白いものをみせてやろう」
偽国王マウリシオは、両手の平を床に向けて闇の瘴気を集めだした。
「・・・な、なんだ!?」
偽国王の造りだしたものを目にし、アラタは構えを高くして警戒を強めた。
「フハハハハ!これは闇人形、俺と戦いながらこの二体の攻撃を躱しきれるかな?」
ニヤリと笑う偽国王の両脇には、たった今闇の瘴気で造り出した、二体の黒い人型が立っていた。
「くッ!」
二体の黒い人型、闇人形の大きさは2メートル程で、俺よりはるかに大きい。
そして人形なんていう割にはかなりの速さだ。
片手間に倒せる敵じゃない。俺も本気で防御しなければならない程のプレッシャーをかけてくる。
しかもそれが二体だ。
魔法使いの偽国王が生み出したからか、攻撃に格闘の技はない。
だが、骨格を持たない瘴気で造られた体ゆえに、人間では考えられない角度から攻撃が繰り出される。
真っすぐに突いてくる右拳を左に躱すと、そのまま右手が蛇のようにグニャリと曲がって、俺を追いかけて掴みにくる。
関節がなければこんな動きが可能なのかと驚かされ、そしてこんな予測不可能な動きは、紙一重で躱す事はできず、どうしても大きく飛んで避けるしかない。
そして二体の闇人形を相手に、防御一辺倒に立たされていると、偽国王の闇の波動が間隙をついて放たれる。
「くそッ!」
正面からは闇の波動!左右から闇人形が掴みかかって来る!
上に飛ぶしかない!
「馬鹿め!自ら逃げ道を無くしたな!」
二体の闇人形がその両手を空中の俺に向けると、闇の瘴気を飛ばしながら勢いよく伸びて掴みかかってきた。
上空では当然躱す事はできない!
かなり消耗するが、光の力をぶつけて消し飛ばすしかない!
そう思い両手に光の力を込めたその時・・・・・
目の前を二つの閃光が走り、一瞬の後に四本の闇の手が、腕の中ほどで断ち斬られ宙を舞った。
「アラタさん!こいつらは我々が引き受けます!」
闘気を帯びたその体はアラタの光に似た輝きを放ち、それは剣さえも強化しているようだった。
ラヴァル・レミューは、絹のように艶のある金色の長髪をなびかせ剣を掲げると、アラタへの加勢の意を示した。
「フン、俺達には王妃様を護る役目もあるし、アイツは貴様に譲ってやる」
透明感のある青く長い髪を搔き上げ、闘気を帯びた剣の柄を握り直すと、レイマート・ハイランドは、アラタへチラリと目を向け、そのまま闇の人形へと斬りかかった。
金髪の方は、騎士団の本部で会った事がある。名前は確か、ラヴァル・レミュー。
という事は、一緒にいる青い髪の男も騎士団か。
予期しない加勢だったが、この二体の闇人形を引き受けてもらえるのは有難い!
俺は着地すると、二人の騎士が食い止めている闇人形の間をかいくぐり、偽国王へと向かい駆けた。
「次から次へと・・・本当に貴様らは・・・苛々させてくれるなぁッツ!」
闇人形に対して予期せぬ加勢が加わった事で、目論見の外れた偽国王の怒りが爆発した!
両手の平に闇の瘴気を集中させると、自分に向かって一直線に突っ込んでくるアラタに狙いをつけ、これまでで最大の闇の波動を撃ち放った。
「消しとべぇぇぇぇーッツ!」
「ウォォォォォーーーッツ!」
でかい!
受け切れるか!?さっきまでとは闇の瘴気が桁違いだ!
だが、ここで俺が躱せば後ろにいる王妃様、エリザ様、リーザも巻き込んでしまう!
やってやる!できるはずだ!この闇の波動を正面からうち消して、偽国王を倒す!
俺は光を爆発させて、闇の波動に突っ込んだ。
偽国王マウリシオの体から、かつてない程の禍々しい闇が解き放たれた。
高密度の瘴気は室内に収まりきらず、壁に亀裂を走らせていく。
全身が闇のように黒く染まったその姿は、まさに闇の化身だった。
「それが本性か・・・」
光を纏っていても、腹の底にのしかかるような、重いプレッシャーを感じさせられる。
だがそれでも立ち向かえる。
凶悪な闇を前に、アラタは左拳を軽く握り前にだした。
いつもと変わらないオーソドックスなファイティングポーズだ。
「フゥゥゥゥゥ・・・捻り潰してくれる」
アラタの構えを見て、偽国王の黒い目も鋭く光る。
「う、うわぁぁぁぁーーーっ!ば、化け物だぁー!」
今、二人が激突しようとしたその時、出入口から聞こえた叫びに、アラタの注意が一瞬それる。
それは駆け付けた騎士団だった。
階級の低いブロンズ騎士達が、あまりに強烈な闇の瘴気、そして闇の化身とその姿を変えた偽国王の姿を目の当たりにし、我を忘れて悲鳴を上げている。
トレバーが闇へと姿を変えた時は、怯え固まってしまっても声まで上げる事はしなかった。
だが、トレバーのそれとは桁違いの闇に当てられ、精神を正常に保てなかったのは、彼らの力量を考えればしかたない事だったかもしれない。
しかし、今この場では最悪としか言えないタイミングだった。
そう、彼らの上げた悲鳴によって、アラタの注意を一瞬とはいえ、偽国王から逸らさせてしまったからだ。
この状況でそれは命取りと言える行為だった。
事実、立ち位置的に正面から騎士団を視認できた偽国王と、振り返る形になったアラタ。
アラタは決定的な隙を作ってしまう事になる。
無論その隙を見逃すはずもなく、偽国王が右腕を振るう。
その動きに合わせるように、闇の瘴気もまるで人の手のようにその形を変えて、アラタへと掴みかかった。
「後ろへ飛べ!」
叫んだのはバリオスだった。
その声にアラタは自分の失態を瞬時に理解し、正面に顔を戻すより早く床を蹴り、後方へ飛び退いた。
それとほぼ同時に、胸元ほんの数センチの距離を闇の手がかすめていく。
直撃を受けたわけではないが、瘴気による圧力に体を押され体勢を崩され、右手をついて着地する。
「くっ!」
さっきまでとはまるで違う!
振り抜いた手の瘴気に当てられただけで、体を飛ばされる。
まともに受けたらまずい!
「チッ、素早いヤツだな・・・よし、面白いものをみせてやろう」
偽国王マウリシオは、両手の平を床に向けて闇の瘴気を集めだした。
「・・・な、なんだ!?」
偽国王の造りだしたものを目にし、アラタは構えを高くして警戒を強めた。
「フハハハハ!これは闇人形、俺と戦いながらこの二体の攻撃を躱しきれるかな?」
ニヤリと笑う偽国王の両脇には、たった今闇の瘴気で造り出した、二体の黒い人型が立っていた。
「くッ!」
二体の黒い人型、闇人形の大きさは2メートル程で、俺よりはるかに大きい。
そして人形なんていう割にはかなりの速さだ。
片手間に倒せる敵じゃない。俺も本気で防御しなければならない程のプレッシャーをかけてくる。
しかもそれが二体だ。
魔法使いの偽国王が生み出したからか、攻撃に格闘の技はない。
だが、骨格を持たない瘴気で造られた体ゆえに、人間では考えられない角度から攻撃が繰り出される。
真っすぐに突いてくる右拳を左に躱すと、そのまま右手が蛇のようにグニャリと曲がって、俺を追いかけて掴みにくる。
関節がなければこんな動きが可能なのかと驚かされ、そしてこんな予測不可能な動きは、紙一重で躱す事はできず、どうしても大きく飛んで避けるしかない。
そして二体の闇人形を相手に、防御一辺倒に立たされていると、偽国王の闇の波動が間隙をついて放たれる。
「くそッ!」
正面からは闇の波動!左右から闇人形が掴みかかって来る!
上に飛ぶしかない!
「馬鹿め!自ら逃げ道を無くしたな!」
二体の闇人形がその両手を空中の俺に向けると、闇の瘴気を飛ばしながら勢いよく伸びて掴みかかってきた。
上空では当然躱す事はできない!
かなり消耗するが、光の力をぶつけて消し飛ばすしかない!
そう思い両手に光の力を込めたその時・・・・・
目の前を二つの閃光が走り、一瞬の後に四本の闇の手が、腕の中ほどで断ち斬られ宙を舞った。
「アラタさん!こいつらは我々が引き受けます!」
闘気を帯びたその体はアラタの光に似た輝きを放ち、それは剣さえも強化しているようだった。
ラヴァル・レミューは、絹のように艶のある金色の長髪をなびかせ剣を掲げると、アラタへの加勢の意を示した。
「フン、俺達には王妃様を護る役目もあるし、アイツは貴様に譲ってやる」
透明感のある青く長い髪を搔き上げ、闘気を帯びた剣の柄を握り直すと、レイマート・ハイランドは、アラタへチラリと目を向け、そのまま闇の人形へと斬りかかった。
金髪の方は、騎士団の本部で会った事がある。名前は確か、ラヴァル・レミュー。
という事は、一緒にいる青い髪の男も騎士団か。
予期しない加勢だったが、この二体の闇人形を引き受けてもらえるのは有難い!
俺は着地すると、二人の騎士が食い止めている闇人形の間をかいくぐり、偽国王へと向かい駆けた。
「次から次へと・・・本当に貴様らは・・・苛々させてくれるなぁッツ!」
闇人形に対して予期せぬ加勢が加わった事で、目論見の外れた偽国王の怒りが爆発した!
両手の平に闇の瘴気を集中させると、自分に向かって一直線に突っ込んでくるアラタに狙いをつけ、これまでで最大の闇の波動を撃ち放った。
「消しとべぇぇぇぇーッツ!」
「ウォォォォォーーーッツ!」
でかい!
受け切れるか!?さっきまでとは闇の瘴気が桁違いだ!
だが、ここで俺が躱せば後ろにいる王妃様、エリザ様、リーザも巻き込んでしまう!
やってやる!できるはずだ!この闇の波動を正面からうち消して、偽国王を倒す!
俺は光を爆発させて、闇の波動に突っ込んだ。
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