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498 バリオスの弟子と教え
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「なッ!?俺の闇と正面から!?ふざけるなァッツ!」
「ぐっ、うぉぉぉッ!」
偽国王の放った特大の闇の波動に、俺は正面からぶつかった。
最大限の光を発揮し身に纏った突撃だが、偽国王の闇の波動を突破できず、均衡したせめぎ合いで膠着状態に陥った。
「このっ!しぶとい野郎だ!」
「負ける訳にはいかねぇんだ!」
ぶつかり合う光と闇の衝撃の凄まじさに、室内の天井、壁が崩れ出し、足場も蜘蛛の巣状の亀裂が入り始めた。
「アンリエール様、エリザ様、姉さん!ご無事でなによりです」
青魔法使いのローザ・アコスタは、寝室に入るなり、王妃とエリザベート、姉であるリーザの元へ駆けよった。
「くっ!こ、ここまでとは!すぐに結界を張ります」
ローザは部屋に充満する闇の瘴気に眉を潜めた。
室内に入る前からその強さは感じていたが、中の瘴気は想像以上に凶悪なものだった。
魔力の強いエリザベートも、並みはずれた体力のあるリーザも、なんとか持ちこたえていたが、生身で浴びるにはあまりに危険だった。
「ローザ!無事だったのですね!」
ヒールで回復させたが、まだ意識の戻らない王妃を抱いて介抱しているエリザベートが、ローザの姿を見て安堵の表情を浮かべた。
リーザもまた妹の身を案じていたのだろう。
その姿を見て、ほっと息をついた。
「はい、レイマートとレミューがこちらに加勢してくれましたのでなんとか。しかし、トレバーが闇に堕ちてしまい、アンリエール様が私共を助けるためにトレバーに・・・ここにアンリエール様がいらっしゃるという事は、トレバーはどこに?」
天衣結界を張り、ローザは自分がどうやってここまで来たかを説明すると、辺りを見回した。
王妃を攫ったトレバーと、ここで戦う覚悟で乗り込んだが、どこにもその姿が見当たらないからだ。
レイマートとレミューも、姿の見えないトレバーを気にしていたが、偽国王と戦っていたアラタのピンチを目にし加勢に入った。
「トレバーは、アラタさんが倒しました」
「え、倒した!?あのトレバーをですか?」
自分達が三人がかりで仕留めきれなかったトレバーを、一人で倒したという言葉にローザは驚きを隠せなかった。
「はい。身も心も闇という存在になったトレバーは、アラタさんの光の拳で完全に消滅しました。そして、私に王女としての、本当の覚悟を持たせてくれたのです・・・」
そう話すエリザベートの視線の先には、偽国王の放つ闇の波動とぶつかり合うアラタの姿が合った。
「・・・エリザ様・・・」
憧れとはどこか違う・・・少し切なそうなその瞳を見て、ローザはエリザベートのアラタへの感情に気付いた。
本人に自覚があるか分からないが、おそらくエリザベートは・・・・・
「・・・そうか、アラタは立派にエリザ様を護り、信頼を得たという訳か。私ももう少し・・・頑張らなければな!」
闇の瘴気に捕まり、体を封じられていたリーザは、気合を入れるように声を張り上げると、その体から闘気が発せられ、体を掴む闇を消し飛ばした。
「ヤツの注意も私から完全に外れたからな。今が好機だ」
「リーザ、行くのですか?」
立ち上がったリーザを見て、エリザベートが声をかける。
「はい。私もバリオスの弟子ですから。師匠の前でいつまでも寝ている訳にはいきません」
そう話し、リーザは少し離れた場所で、第一王子マルスを護るように結界を張っているバリオスに目をやった。
「リーザ、気を付けてくださいね」
「はい。ローザ、ここは任せたぞ」
アンリエールとエリザベートを託す。その言葉の重みに、ローザは姉の目を見てしっかりと頷いた。
結界から飛び出すと、リーザは壁に突き刺さった自分の大剣を取りに走った。
色濃い瘴気が体に纏わりつき、骨の髄まで蝕まれそうなおぞましい感覚に襲われる。
「チッ!さっきよりまた瘴気が濃くなってやがる!時間をかけるほど不利だ!」
闘気を纏っているからこそまだ動けるが、こうして初めて闇と戦い、師バリオスの教えが思い出される。
「・・・闘気は光と似て非なるもの・・・それは忘れてはならない、か・・・」
騎士団に闘気を教えたのも師匠だ。
最も、教えたからと言って、誰でもできるものじゃない。
一定以上の強さ、そして闘気を操るセンスも必要だ。
騎士団で闘気を使えるのも、ゴールド騎士のフェリックスとアルベルト、後は今闇人形と戦っているレイマートとレミューくらいだ。
師匠はいつかくる闇との戦いに備えていたんだ。
光魔法は師匠しか使えない。だからそれに通じる力、闘気を使える者を育てた。
そして私も闘気を操れる!
大剣を壁から引き抜くと、目いっぱいの闘気を放出した。
「バリオス!私の事はいい、お前も戦っ・・・う、ぐぁ、がはぁっ!」
バリオスの結界の中にいた第一王子マルスは、突然苦しみ出し、胸を掻きむしるようにして倒れ転がりだした。
「マルス様!?」
尋常ではないその様子を見て、バリオスは膝を着きマルスを右手で押さえると、その胸に左手を当てた。
「うぐぁぁぁぁぁぁ!」
「・・・これは、闇だな。さっきマルス様が浴びた闇の波動、傷を治しても闇が体内深く残っていたという事か、そしてこの場の瘴気に当てられ、再びマルス様の体を蝕み始めた・・・」
経験から、マルスの症状を見極めたバリオスは、状態異常を治癒する白魔法のキュアではなく、バリオスだけが使える光魔法を選んだ。
「浄化」
バリオスの左手が光輝き、マルスの胸を明るく照らし出す。
「うっ!アァァァァァーーーーッツ!」
「マルス様、我慢してください」
胸が跳ね上がり、マルスの腹の奥底から苦しみの叫びが上がる。
苦痛に顔を歪め、体を捻って自分を押さえるバリオスから逃れようとするが、バリオスはそれを許さず光の手を胸に当て続けた。
「マルス様、苦しいでしょうが頑張ってください。ここで闇を体内から抜かないと、あなたまで闇に呑まれてしまいます」
苦しむマルスの胸からは、不純物を吐き出すかのように、少しづつ黒い煙が噴き出されてきた。
マルスの体内を浄化しながら、バリオスは偽国王と戦うアラタに目を向けた。
互角だな・・・
もし、危なくなるようだったら手を貸すつもりだったが、マルス様がこれでは俺はしばらく動けんな。
サカキ・アラタ、どうやら運命は、お前自身の力で掴み取るしかないようだぞ。
ヤヨイさんと同じ光の力を持つお前なら、この闇にもきっと勝てる。
俺にお前の光を見せてみろ。
アラタと偽国王マウリシオ。
バリオスの視線の先で、攻めぎ合う光と闇の力が爆発した。
「ぐっ、うぉぉぉッ!」
偽国王の放った特大の闇の波動に、俺は正面からぶつかった。
最大限の光を発揮し身に纏った突撃だが、偽国王の闇の波動を突破できず、均衡したせめぎ合いで膠着状態に陥った。
「このっ!しぶとい野郎だ!」
「負ける訳にはいかねぇんだ!」
ぶつかり合う光と闇の衝撃の凄まじさに、室内の天井、壁が崩れ出し、足場も蜘蛛の巣状の亀裂が入り始めた。
「アンリエール様、エリザ様、姉さん!ご無事でなによりです」
青魔法使いのローザ・アコスタは、寝室に入るなり、王妃とエリザベート、姉であるリーザの元へ駆けよった。
「くっ!こ、ここまでとは!すぐに結界を張ります」
ローザは部屋に充満する闇の瘴気に眉を潜めた。
室内に入る前からその強さは感じていたが、中の瘴気は想像以上に凶悪なものだった。
魔力の強いエリザベートも、並みはずれた体力のあるリーザも、なんとか持ちこたえていたが、生身で浴びるにはあまりに危険だった。
「ローザ!無事だったのですね!」
ヒールで回復させたが、まだ意識の戻らない王妃を抱いて介抱しているエリザベートが、ローザの姿を見て安堵の表情を浮かべた。
リーザもまた妹の身を案じていたのだろう。
その姿を見て、ほっと息をついた。
「はい、レイマートとレミューがこちらに加勢してくれましたのでなんとか。しかし、トレバーが闇に堕ちてしまい、アンリエール様が私共を助けるためにトレバーに・・・ここにアンリエール様がいらっしゃるという事は、トレバーはどこに?」
天衣結界を張り、ローザは自分がどうやってここまで来たかを説明すると、辺りを見回した。
王妃を攫ったトレバーと、ここで戦う覚悟で乗り込んだが、どこにもその姿が見当たらないからだ。
レイマートとレミューも、姿の見えないトレバーを気にしていたが、偽国王と戦っていたアラタのピンチを目にし加勢に入った。
「トレバーは、アラタさんが倒しました」
「え、倒した!?あのトレバーをですか?」
自分達が三人がかりで仕留めきれなかったトレバーを、一人で倒したという言葉にローザは驚きを隠せなかった。
「はい。身も心も闇という存在になったトレバーは、アラタさんの光の拳で完全に消滅しました。そして、私に王女としての、本当の覚悟を持たせてくれたのです・・・」
そう話すエリザベートの視線の先には、偽国王の放つ闇の波動とぶつかり合うアラタの姿が合った。
「・・・エリザ様・・・」
憧れとはどこか違う・・・少し切なそうなその瞳を見て、ローザはエリザベートのアラタへの感情に気付いた。
本人に自覚があるか分からないが、おそらくエリザベートは・・・・・
「・・・そうか、アラタは立派にエリザ様を護り、信頼を得たという訳か。私ももう少し・・・頑張らなければな!」
闇の瘴気に捕まり、体を封じられていたリーザは、気合を入れるように声を張り上げると、その体から闘気が発せられ、体を掴む闇を消し飛ばした。
「ヤツの注意も私から完全に外れたからな。今が好機だ」
「リーザ、行くのですか?」
立ち上がったリーザを見て、エリザベートが声をかける。
「はい。私もバリオスの弟子ですから。師匠の前でいつまでも寝ている訳にはいきません」
そう話し、リーザは少し離れた場所で、第一王子マルスを護るように結界を張っているバリオスに目をやった。
「リーザ、気を付けてくださいね」
「はい。ローザ、ここは任せたぞ」
アンリエールとエリザベートを託す。その言葉の重みに、ローザは姉の目を見てしっかりと頷いた。
結界から飛び出すと、リーザは壁に突き刺さった自分の大剣を取りに走った。
色濃い瘴気が体に纏わりつき、骨の髄まで蝕まれそうなおぞましい感覚に襲われる。
「チッ!さっきよりまた瘴気が濃くなってやがる!時間をかけるほど不利だ!」
闘気を纏っているからこそまだ動けるが、こうして初めて闇と戦い、師バリオスの教えが思い出される。
「・・・闘気は光と似て非なるもの・・・それは忘れてはならない、か・・・」
騎士団に闘気を教えたのも師匠だ。
最も、教えたからと言って、誰でもできるものじゃない。
一定以上の強さ、そして闘気を操るセンスも必要だ。
騎士団で闘気を使えるのも、ゴールド騎士のフェリックスとアルベルト、後は今闇人形と戦っているレイマートとレミューくらいだ。
師匠はいつかくる闇との戦いに備えていたんだ。
光魔法は師匠しか使えない。だからそれに通じる力、闘気を使える者を育てた。
そして私も闘気を操れる!
大剣を壁から引き抜くと、目いっぱいの闘気を放出した。
「バリオス!私の事はいい、お前も戦っ・・・う、ぐぁ、がはぁっ!」
バリオスの結界の中にいた第一王子マルスは、突然苦しみ出し、胸を掻きむしるようにして倒れ転がりだした。
「マルス様!?」
尋常ではないその様子を見て、バリオスは膝を着きマルスを右手で押さえると、その胸に左手を当てた。
「うぐぁぁぁぁぁぁ!」
「・・・これは、闇だな。さっきマルス様が浴びた闇の波動、傷を治しても闇が体内深く残っていたという事か、そしてこの場の瘴気に当てられ、再びマルス様の体を蝕み始めた・・・」
経験から、マルスの症状を見極めたバリオスは、状態異常を治癒する白魔法のキュアではなく、バリオスだけが使える光魔法を選んだ。
「浄化」
バリオスの左手が光輝き、マルスの胸を明るく照らし出す。
「うっ!アァァァァァーーーーッツ!」
「マルス様、我慢してください」
胸が跳ね上がり、マルスの腹の奥底から苦しみの叫びが上がる。
苦痛に顔を歪め、体を捻って自分を押さえるバリオスから逃れようとするが、バリオスはそれを許さず光の手を胸に当て続けた。
「マルス様、苦しいでしょうが頑張ってください。ここで闇を体内から抜かないと、あなたまで闇に呑まれてしまいます」
苦しむマルスの胸からは、不純物を吐き出すかのように、少しづつ黒い煙が噴き出されてきた。
マルスの体内を浄化しながら、バリオスは偽国王と戦うアラタに目を向けた。
互角だな・・・
もし、危なくなるようだったら手を貸すつもりだったが、マルス様がこれでは俺はしばらく動けんな。
サカキ・アラタ、どうやら運命は、お前自身の力で掴み取るしかないようだぞ。
ヤヨイさんと同じ光の力を持つお前なら、この闇にもきっと勝てる。
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