異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
499 / 1,560

498 バリオスの弟子と教え

しおりを挟む
「なッ!?俺の闇と正面から!?ふざけるなァッツ!」
「ぐっ、うぉぉぉッ!」

偽国王の放った特大の闇の波動に、俺は正面からぶつかった。
最大限の光を発揮し身に纏った突撃だが、偽国王の闇の波動を突破できず、均衡したせめぎ合いで膠着状態に陥った。

「このっ!しぶとい野郎だ!」
「負ける訳にはいかねぇんだ!」

ぶつかり合う光と闇の衝撃の凄まじさに、室内の天井、壁が崩れ出し、足場も蜘蛛の巣状の亀裂が入り始めた。




「アンリエール様、エリザ様、姉さん!ご無事でなによりです」

青魔法使いのローザ・アコスタは、寝室に入るなり、王妃とエリザベート、姉であるリーザの元へ駆けよった。

「くっ!こ、ここまでとは!すぐに結界を張ります」

ローザは部屋に充満する闇の瘴気に眉を潜めた。
室内に入る前からその強さは感じていたが、中の瘴気は想像以上に凶悪なものだった。
魔力の強いエリザベートも、並みはずれた体力のあるリーザも、なんとか持ちこたえていたが、生身で浴びるにはあまりに危険だった。

「ローザ!無事だったのですね!」

ヒールで回復させたが、まだ意識の戻らない王妃を抱いて介抱しているエリザベートが、ローザの姿を見て安堵の表情を浮かべた。

リーザもまた妹の身を案じていたのだろう。
その姿を見て、ほっと息をついた。

「はい、レイマートとレミューがこちらに加勢してくれましたのでなんとか。しかし、トレバーが闇に堕ちてしまい、アンリエール様が私共を助けるためにトレバーに・・・ここにアンリエール様がいらっしゃるという事は、トレバーはどこに?」

天衣結界を張り、ローザは自分がどうやってここまで来たかを説明すると、辺りを見回した。
王妃を攫ったトレバーと、ここで戦う覚悟で乗り込んだが、どこにもその姿が見当たらないからだ。

レイマートとレミューも、姿の見えないトレバーを気にしていたが、偽国王と戦っていたアラタのピンチを目にし加勢に入った。

「トレバーは、アラタさんが倒しました」

「え、倒した!?あのトレバーをですか?」

自分達が三人がかりで仕留めきれなかったトレバーを、一人で倒したという言葉にローザは驚きを隠せなかった。

「はい。身も心も闇という存在になったトレバーは、アラタさんの光の拳で完全に消滅しました。そして、私に王女としての、本当の覚悟を持たせてくれたのです・・・」

そう話すエリザベートの視線の先には、偽国王の放つ闇の波動とぶつかり合うアラタの姿が合った。

「・・・エリザ様・・・」

憧れとはどこか違う・・・少し切なそうなその瞳を見て、ローザはエリザベートのアラタへの感情に気付いた。
本人に自覚があるか分からないが、おそらくエリザベートは・・・・・

「・・・そうか、アラタは立派にエリザ様を護り、信頼を得たという訳か。私ももう少し・・・頑張らなければな!」

闇の瘴気に捕まり、体を封じられていたリーザは、気合を入れるように声を張り上げると、その体から闘気が発せられ、体を掴む闇を消し飛ばした。

「ヤツの注意も私から完全に外れたからな。今が好機だ」

「リーザ、行くのですか?」

立ち上がったリーザを見て、エリザベートが声をかける。

「はい。私もバリオスの弟子ですから。師匠の前でいつまでも寝ている訳にはいきません」

そう話し、リーザは少し離れた場所で、第一王子マルスを護るように結界を張っているバリオスに目をやった。

「リーザ、気を付けてくださいね」

「はい。ローザ、ここは任せたぞ」

アンリエールとエリザベートを託す。その言葉の重みに、ローザは姉の目を見てしっかりと頷いた。

結界から飛び出すと、リーザは壁に突き刺さった自分の大剣を取りに走った。
色濃い瘴気が体に纏わりつき、骨の髄まで蝕まれそうなおぞましい感覚に襲われる。

「チッ!さっきよりまた瘴気が濃くなってやがる!時間をかけるほど不利だ!」

闘気を纏っているからこそまだ動けるが、こうして初めて闇と戦い、師バリオスの教えが思い出される。

「・・・闘気は光と似て非なるもの・・・それは忘れてはならない、か・・・」

騎士団に闘気を教えたのも師匠だ。
最も、教えたからと言って、誰でもできるものじゃない。
一定以上の強さ、そして闘気を操るセンスも必要だ。
騎士団で闘気を使えるのも、ゴールド騎士のフェリックスとアルベルト、後は今闇人形と戦っているレイマートとレミューくらいだ。

師匠はいつかくる闇との戦いに備えていたんだ。
光魔法は師匠しか使えない。だからそれに通じる力、闘気を使える者を育てた。

そして私も闘気を操れる!

大剣を壁から引き抜くと、目いっぱいの闘気を放出した。





「バリオス!私の事はいい、お前も戦っ・・・う、ぐぁ、がはぁっ!」

バリオスの結界の中にいた第一王子マルスは、突然苦しみ出し、胸を掻きむしるようにして倒れ転がりだした。

「マルス様!?」

尋常ではないその様子を見て、バリオスは膝を着きマルスを右手で押さえると、その胸に左手を当てた。

「うぐぁぁぁぁぁぁ!」

「・・・これは、闇だな。さっきマルス様が浴びた闇の波動、傷を治しても闇が体内深く残っていたという事か、そしてこの場の瘴気に当てられ、再びマルス様の体を蝕み始めた・・・」

経験から、マルスの症状を見極めたバリオスは、状態異常を治癒する白魔法のキュアではなく、バリオスだけが使える光魔法を選んだ。

「浄化」

バリオスの左手が光輝き、マルスの胸を明るく照らし出す。

「うっ!アァァァァァーーーーッツ!」

「マルス様、我慢してください」

胸が跳ね上がり、マルスの腹の奥底から苦しみの叫びが上がる。
苦痛に顔を歪め、体を捻って自分を押さえるバリオスから逃れようとするが、バリオスはそれを許さず光の手を胸に当て続けた。

「マルス様、苦しいでしょうが頑張ってください。ここで闇を体内から抜かないと、あなたまで闇に呑まれてしまいます」

苦しむマルスの胸からは、不純物を吐き出すかのように、少しづつ黒い煙が噴き出されてきた。
マルスの体内を浄化しながら、バリオスは偽国王と戦うアラタに目を向けた。


互角だな・・・
もし、危なくなるようだったら手を貸すつもりだったが、マルス様がこれでは俺はしばらく動けんな。
サカキ・アラタ、どうやら運命は、お前自身の力で掴み取るしかないようだぞ。

ヤヨイさんと同じ光の力を持つお前なら、この闇にもきっと勝てる。

俺にお前の光を見せてみろ。



アラタと偽国王マウリシオ。
バリオスの視線の先で、攻めぎ合う光と闇の力が爆発した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...