異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1114 ジャレットとシルヴィアの修行

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「舞い上がれ!雪の花よ!」

シルヴィアが空に向かって手をかざすと、降り落ちてくる白い雪が、正面のウィッカーに向かって激しい唸りを上げてぶつかっていった!

「いい攻撃だ、だがそれだけで俺の結界を突破できると思っているなら・・・」

左手を前に出して、青く輝く結界を張り巡らせる。
氷の魔法に限り威力を上げる魔道具、雪の花を使っての攻撃だが、吹雪を起こしてぶつけるだけでは、ウィッカーには通用しない。

「ええ、もちろん思ってないわ。私の本気はここからよ!」

「っ!?」

シルヴィアの両手に集中させた氷の魔力が解き放たれる!






「・・・・・自信、あったんだけどなぁ・・・さすが店長ね」

今の攻撃に全ての魔力を使ったシルヴィアは、雪の上に膝を着いて悔しそうに笑った。

「・・・いや、素晴らしい攻撃だったぞ・・・俺も、本気を出さなければ凌げなかった。まさかここまで研鑽を積んでいたとはな・・・シルヴィア、本当に強くなった」

そう答えて、身に纏っている黒いローブに目を向けた。
胴の部分が僅かに氷付いている。これはつまり、シルヴィアの氷魔法が、ウィッカーの結界を僅かながらでも突破したという事だ。

「攻撃力は申し分ない。だがシルヴィア・・・分かっているとは思うが、今の技は魔力の消費が大きすぎる。使いどころはよく見極めるんだぞ」

ウィッカーの指摘は、術者であるシルヴィアが一番よく理解していた。

「はい・・・実際この通り立っていられません。ミゼルくらい魔力量があれば、もう少し楽なんでしょうね」

「・・・そうだな、ミゼルくらいの魔力量があれば、体への負担はもう少し楽だったろうな。でもな、シルヴィア。攻撃力はシルヴィアの方が上だ。帝国の師団長にも決して引けを取る事はないだろう。とっておきの切り札もできたんだ、自信を持て。シルヴィア、今日まで本当によく頑張ったな」


「店長・・・・・ありがとうございます」


この数か月、必死で訓練をしてきた。
魔力開放に属性をつける自分だけの技を会得し、ウィッカーの結界さえも突破するだけの切り札もできた。

そして今、尊敬する師からこれまでの全てが報われる言葉をかけられて、シルヴィアの青い瞳から涙が流れ落ちた。




「店長・・・シーちゃんを泣かせないでくださいよ」

少し距離をとって戦いを見ていたジャレットが、後ろ手に頭を掻きながら近づいて来た。
責めるような言い方とは裏腹に、その表情には少しの笑みが見えた。

「ああ、悪いな、そんなつもりではなかったんだがな」

ウィッカーが顔を向けると、ジャレットはニッと笑ってシルヴィアの隣に腰を下ろした。


「シーちゃん、やったな・・・店長からお墨付きがもらえたぞ。次は俺の番だからよ、見ててくれよ」

ジャレットがシルヴィアの背中を撫でながら声をかけると、シルヴィアは目元を拭ってゆっくりと立ち上がった。

「・・・フフ、そうね・・・ジャレット・・・あなたも認めてもらえるように、頑張りなさい」

そう言うと、まだフラつく足でゆっくりと離れて行った。





「・・・店長、シーちゃんの事、本当にありがとうございました」

会話が聞こえないくらいの距離までシルヴィアが離れると、ジャレットはウィッカーに向き直って頭を下げた。

「・・・俺は魔法を教えただけだ。今のシルヴィアがいるのは、シルヴィアが努力をしたから。それだけの事だ」

「シーちゃんが頑張れたのは、店長が教えてくれたからですよ。忙しいのに、毎日時間作って訓練してくれたじゃないですか?俺だって、他のみんなもそうです。店長っていっつも俺らが頑張ったからだって感じでいいますけど、みんな店長が教えてくれたからだって感謝してんですよ?」

「急にどうした?褒めても給料は上げないぞ」

「そんなんじゃないですよ。ただね、帝国との戦いの前に、一度ちゃんとお礼を言いたかったんですよ。店長のおかげで俺ら全員、今日までやってこれました。本当にありがとうございました」

気持ちを込めて、あらためて感謝の言葉を口にする。

ジャレットもウィッカーに拾われてレイジェスで働く事ができなかったら、今頃どうなっていたか分からない。仕事をくれただけでなく、体力型としてここまで自分を鍛えてくれたウィッカーには、感謝してもしきれない。


「・・・そうか、素直に嬉しいよ、ジャレット。ではお前が今日まで俺から学んだ成果を見せてもらおうか」


「はい、店長からもらったオーラブレード・・・これが、俺の全てです!」

ジャレットは刃の無い金属の柄を手に取ると、目を閉じて力を注ぎ始めた。
すると柄の先に銀色に輝くエネルギーが発せられ、エネルギーは刃の形となる。


「・・・・・」

ウィッカーは何も言わずに、ただじっとジャレットを見つめていた。
オーレブレードの第一段階は、自分の力を注ぎ込むだけである。

オーラブレードの真価はその先にある。

「オォォォォォォォォーーーーーーーーッツ!」

そしてジャレットが大きく気合いを込めると、銀色の刃が金色とへ色を変えた。そして・・・・・


「・・・・・ジャレット、見事だ」






「ハァッ!ハァッ!ゼェッ!」


「・・・金色のエネルギーは、イメージで形を変えられる。そう教えはしたが、まさかそんな使い方をするとはな・・・作り手の俺を超えた発想だ。ジャレット、お前も強くなったな」

大きく息を切らし、雪原の上に両手を付いているジャレットの前に腰を下ろした。

全てを出し切ったジャレットは、顔を上げる余力さえ無いようだ。


ウィッカーは黒いローブの、破れた両袖をジャレットに見せた。

「良い攻撃だったぞ、ジャレット」

「はぁっ、はぁっ、て、店長・・・・・俺、絶対に勝ちますよ・・・生き残って見せます!」


「・・・ああ、ジャレット、お前なら大丈夫だ」


差し伸べられた手を握り、ジャレットは立ち上がった。

自分がなんのために戦うのか・・・・・
生まれ育ったこの国のために戦う。それも理由の一つである。

けれど一番の理由は、護るべき大切な人のために、共に明日を生きるために戦う。

そう自覚したジャレットは、何倍も強く逞しく成長していた。



「お前達なら絶対に大丈夫だ」


いつの間にか、自分の想像を大きく超えて大きくなっていくんだな・・・・・


誇らしい弟子達に、ウィッカーはもう一度強く言葉をかけた。
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