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1181 要求と拒絶
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「・・・なるほど、突然地面から一帯を埋め尽くすほどの蔦が突出して、あっという間に村人達を縛り上げたと・・・そして瞬く間に地面に引きずり込んでしまった。そんな事が・・・」
なぜラクエル達がここにいるのか?セドコン村で何があったのか?その経緯を聞いたレイチェルは神妙な顔で頷いた。
「そう、アタシらも危なかったんだ。庭で三人で雪遊びしてたら、地面からいきなり蔦がグワーって飛び出して来てさ、とにかくリリアとエマを連れて家から出たんだ。外に出てたフランクもすぐに戻ってきて、四人で村の外を目指したのさ」
ラクエルはそこまで話すと、また後ろに顔を向けた。
視線の先には身を寄せ合って震えている、村娘のシェリーとリズが映っていた。
「・・・あの二人を助けられたのは運が良かったよ、アタシらは無限に飛び出して来る蔦から、とにかく必死で逃げてたんだ。それで村の出口を目指して走ってたら、目の前に蔦に縛られたあの二人が見えたんだ。二人とも助けてって叫んでて・・・一瞬迷ったよ。だってアタシらのすぐ後ろにも蔦が迫ってたし、リリアとエマも守らなきゃいけない。でも気が付いたらナイフを抜いて蔦を斬り払ってた。そこからはアタシとフランクで蔦を斬り払いながら、なんとか村から脱出したんだ。正直・・・あの蔦から六人全員で逃げ切れたのは、奇跡だったと思うよ」
ラクエルは肩をすくめて、自分がどれだけ大変だったかを軽い調子で話すが、深刻な状況だった事は十分に伝わって来た。
「そうか・・・うん、状況はよく分かった。あの二人も含めて、村人達は戦闘訓練なんて受けた事のない人ばかりだったんだろ?それがそんなものに襲われたら、何の対抗もできなかったはずだ。戦う力をもたない一般人に非道な真似をして・・・さっきヤバイ連中と言っていたが、そいつらは帝国軍と見て間違いないだろう。私達もここに来るまでに二度の襲撃を受けている。セドコン村にも行く予定だったんだが、どうやら待ち伏せされたらしいな。おそらくその蔦とやらで、軍を一網打尽にする算段だったのだろう」
ラクエル達の置かれた状況は十分に理解できた。
一通りの話しを聞き終えたレイチェルは、クインズベリー軍副団長のカルロス・フォスターに体を向けると、強い意思を込めた瞳を持って口を開いた。
「カルロス副団長、先程私にラクエルの言葉の真偽の証明、そして責任を問いましたね」
「・・・ふん、確かにそう口にしたが、それがどうした?」
一連の話しを聞いても、カルロスの目にはまだ猜疑心が見えた。
いや、話しそのものは聞き入れたかもしれない。少なくともここまで聞いて、頭ごなしに虚言だと切り捨てるようでは、一軍の副団長は務まらない。カルロスも真偽の確認を行うつもりはある。
だがカルロスはレイジェスを心良く思っていなかったし、口の利き方を知らないラクエルも気に入らなかった。それゆえに難癖と言われてしかたない対応になる。
レイチェルもそれを感じ取っているからこそ、売り言葉に買い言葉のような態度になる。
軍の統率を考えれば、何を言われても従順な態度でいた方が円滑に回るかもしれない。
だが譲れないものがある。
「敵が待ちぶせていると分かった以上、セドコン村に殿下をお連れするわけにはいきません。そして解決しないまま村を見捨てるという選択肢もありません」
自国の領土に敵を放置しておく事などできないし、村を見捨てては何のための慰問かも分からない。
戦争をしているのだ。敵が罠を張っているとしても、ここは退いてはならない場面だ。
「私達レイジェスとラクエルで、セドコン村を占拠している敵を制圧します。それができたらラクエルは帝国の回し者ではなかったという証明になるし、彼女が軍を止めた事も正当な理由あってのものだと認めていただけますよね?」
強い意思を持ったその瞳は、射抜くように真っ直ぐカルロスの目を見据えている。
言外には、お前は間違っているという含みも十分に持たせた。
カルロスもまた、自分を強い目で見る赤い髪の女戦士の言葉を受けて、言外にあるレイチェルの挑戦も読み取っていた。
挑戦とは、この村の問題を解決したら自分達を認めろ。レイチェルはそう要求しているのだ。
レイチェルはカルロスがこの要求を受けると考えていた。
カルロスは軍の副団長だ。外部のレイジェスが軍の力を貸せと言うのならば突っぱねるだろうが、レイチェルはあくまでレイジェスの力でやると言っている。成功すれば良し、失敗しても軍の力が削がれるわけではないのだ。ならば断わる理由などない。そう考えていた。
だがカルロスの答えは、レイチェルの想像とは違った。
「・・・ほぅ、面白い事を言うな。そうだな、確かにそこの女が帝国軍と戦うと言うのなら、敵ではない証明になる。これまでの証言も事実であり、軍を止めての進言も正当性があったという事になるな・・・だが、それを受けるわけにはいかん」
眉間にシワを寄せ、言葉には不快感をにじませながら、カルロスはレイチェルの挑戦を断った。
「・・・なぜです?」
まさか断られるとは思わなかった。軍にとって不利益などない話しであり、レイチェル達が失敗すればそれこそ追いやる格好の材料にもなるのだ。
カルロスの考えが全く読めない。怪訝な顔を向けるレイチェルに、カルロスはレイチェルを強く睨みつけて言葉を発した。
「貴様らが強いのは分かる。だが自分達だけで戦争に勝てると勘違いしてないか?あまり調子に乗るなよ?セドコン村は我々クインズベリー軍が解放する!」
そう言い切るとカルロスは、自分の後ろに並び立っているクインズベリー軍に振り返った。
「今から名前を呼ばれた者は前に出てこい!」
十万のクインズベリー軍に、カルロスの大声がぶつけられた。
なぜラクエル達がここにいるのか?セドコン村で何があったのか?その経緯を聞いたレイチェルは神妙な顔で頷いた。
「そう、アタシらも危なかったんだ。庭で三人で雪遊びしてたら、地面からいきなり蔦がグワーって飛び出して来てさ、とにかくリリアとエマを連れて家から出たんだ。外に出てたフランクもすぐに戻ってきて、四人で村の外を目指したのさ」
ラクエルはそこまで話すと、また後ろに顔を向けた。
視線の先には身を寄せ合って震えている、村娘のシェリーとリズが映っていた。
「・・・あの二人を助けられたのは運が良かったよ、アタシらは無限に飛び出して来る蔦から、とにかく必死で逃げてたんだ。それで村の出口を目指して走ってたら、目の前に蔦に縛られたあの二人が見えたんだ。二人とも助けてって叫んでて・・・一瞬迷ったよ。だってアタシらのすぐ後ろにも蔦が迫ってたし、リリアとエマも守らなきゃいけない。でも気が付いたらナイフを抜いて蔦を斬り払ってた。そこからはアタシとフランクで蔦を斬り払いながら、なんとか村から脱出したんだ。正直・・・あの蔦から六人全員で逃げ切れたのは、奇跡だったと思うよ」
ラクエルは肩をすくめて、自分がどれだけ大変だったかを軽い調子で話すが、深刻な状況だった事は十分に伝わって来た。
「そうか・・・うん、状況はよく分かった。あの二人も含めて、村人達は戦闘訓練なんて受けた事のない人ばかりだったんだろ?それがそんなものに襲われたら、何の対抗もできなかったはずだ。戦う力をもたない一般人に非道な真似をして・・・さっきヤバイ連中と言っていたが、そいつらは帝国軍と見て間違いないだろう。私達もここに来るまでに二度の襲撃を受けている。セドコン村にも行く予定だったんだが、どうやら待ち伏せされたらしいな。おそらくその蔦とやらで、軍を一網打尽にする算段だったのだろう」
ラクエル達の置かれた状況は十分に理解できた。
一通りの話しを聞き終えたレイチェルは、クインズベリー軍副団長のカルロス・フォスターに体を向けると、強い意思を込めた瞳を持って口を開いた。
「カルロス副団長、先程私にラクエルの言葉の真偽の証明、そして責任を問いましたね」
「・・・ふん、確かにそう口にしたが、それがどうした?」
一連の話しを聞いても、カルロスの目にはまだ猜疑心が見えた。
いや、話しそのものは聞き入れたかもしれない。少なくともここまで聞いて、頭ごなしに虚言だと切り捨てるようでは、一軍の副団長は務まらない。カルロスも真偽の確認を行うつもりはある。
だがカルロスはレイジェスを心良く思っていなかったし、口の利き方を知らないラクエルも気に入らなかった。それゆえに難癖と言われてしかたない対応になる。
レイチェルもそれを感じ取っているからこそ、売り言葉に買い言葉のような態度になる。
軍の統率を考えれば、何を言われても従順な態度でいた方が円滑に回るかもしれない。
だが譲れないものがある。
「敵が待ちぶせていると分かった以上、セドコン村に殿下をお連れするわけにはいきません。そして解決しないまま村を見捨てるという選択肢もありません」
自国の領土に敵を放置しておく事などできないし、村を見捨てては何のための慰問かも分からない。
戦争をしているのだ。敵が罠を張っているとしても、ここは退いてはならない場面だ。
「私達レイジェスとラクエルで、セドコン村を占拠している敵を制圧します。それができたらラクエルは帝国の回し者ではなかったという証明になるし、彼女が軍を止めた事も正当な理由あってのものだと認めていただけますよね?」
強い意思を持ったその瞳は、射抜くように真っ直ぐカルロスの目を見据えている。
言外には、お前は間違っているという含みも十分に持たせた。
カルロスもまた、自分を強い目で見る赤い髪の女戦士の言葉を受けて、言外にあるレイチェルの挑戦も読み取っていた。
挑戦とは、この村の問題を解決したら自分達を認めろ。レイチェルはそう要求しているのだ。
レイチェルはカルロスがこの要求を受けると考えていた。
カルロスは軍の副団長だ。外部のレイジェスが軍の力を貸せと言うのならば突っぱねるだろうが、レイチェルはあくまでレイジェスの力でやると言っている。成功すれば良し、失敗しても軍の力が削がれるわけではないのだ。ならば断わる理由などない。そう考えていた。
だがカルロスの答えは、レイチェルの想像とは違った。
「・・・ほぅ、面白い事を言うな。そうだな、確かにそこの女が帝国軍と戦うと言うのなら、敵ではない証明になる。これまでの証言も事実であり、軍を止めての進言も正当性があったという事になるな・・・だが、それを受けるわけにはいかん」
眉間にシワを寄せ、言葉には不快感をにじませながら、カルロスはレイチェルの挑戦を断った。
「・・・なぜです?」
まさか断られるとは思わなかった。軍にとって不利益などない話しであり、レイチェル達が失敗すればそれこそ追いやる格好の材料にもなるのだ。
カルロスの考えが全く読めない。怪訝な顔を向けるレイチェルに、カルロスはレイチェルを強く睨みつけて言葉を発した。
「貴様らが強いのは分かる。だが自分達だけで戦争に勝てると勘違いしてないか?あまり調子に乗るなよ?セドコン村は我々クインズベリー軍が解放する!」
そう言い切るとカルロスは、自分の後ろに並び立っているクインズベリー軍に振り返った。
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十万のクインズベリー軍に、カルロスの大声がぶつけられた。
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