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1194 届けた想い
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村の入り口で、敵の蔦を出す魔道具を封じていたニーディアは、突如天まで届く巨大な火柱が上がった事に目を奪われていた。
そしてこの火柱に、ニーディアは心当たりがあった。
「あれは!ま、まさかクレイグ・・・赤光(しゃっこう)の石を使ったの・・・」
クレイグの左目は修行時代の事故で失われており、その代わりに赤い宝石が埋め込まれていた。
これは赤口の石と言う魔道具であり、溜めた魔力を炎に変える事のできる。
単純な魔道具ではあるが扱いは難しい。
なぜなら少しの魔力でも何倍にも膨らませて放出するため、加減が難しく、想定以上の火力になる恐れがあるためだ。
今ニーディアの目に映る火柱は、上級魔法の灼炎竜すら大きく上回る火力である。
あれだけ大きな炎ではすぐに火の手が回り、奪還すべき村そのものも焼き尽くしかねない。
これだけの炎を生み出すには、クレイグの全魔力を使わなくてはならないのかもしれない。
それはつまりクレイグが自身を犠牲にしたという事だ。
ニーディアがそこまで察した時、ふと誰かが自分の名前を呼ぶような、そんな声が聞こえた気がして辺りを見回した。
「え?・・・この声・・・・・」
・・・エリクス?
仲間の白魔法使い、エリクス・スピルカの声だった。
だがエリクスはすでに村の中に入っており、今この場には自分以外誰もいない。
気のせいか・・・・・そう思った時、何かが空で光った。
ニーディアが見上げると、それは猛スピードで向かって来て、ニーディアの前に突き刺さった。
「キャアッ!・・・え、こ、これは・・・」
光り輝くその木製の杖は、エリクスの魔道具、伝授の杖である。
「・・・な、なんで?」
伝授の杖がどういう魔道具かは知っている。その効果はこれまで何度も経験しているからだ。
自分が見聞きした情報を、魔力で音と映像に変えて渡す事ができるので、別行動をとった時などは非常に重宝される能力だった。けれど今までは、エリクスが直接情報を渡して来た。
こんなふうに杖だけが飛んで来た事など初めてだった。
・・・ニーディア・・・あとは頼んだぞ・・・・・・・
「っ!さ、さっき、聞こえたのって・・・エリクス・・・あなた、まさか・・・・・」
ニーディアは全てを理解した。村へ突入した仲間達は、おそらく全滅したのだ。
そして目の前で光り輝く杖はエリクスの遺言だ。伝授の杖に全てを託し、自分の元へ届けたのだ。
「エ、エリクス・・・みんな・・・・・」
ニーディアは両手を震わせながら、エリクスの伝授の杖に触れた。
その瞬間、杖の光がニーディアを包み込み、エリクスの見た全てが鮮明にニーディアに流れ込んで来た。
「あ・・・ああ・・・・・そんな・・・・・う、あぁぁぁ・・・・・・」
ラゴフの奮闘、クレイグの覚悟、そしてエリクスの決断・・・懸命に戦い散って行った仲間達の勇士に、ニーディアは溢れ出る涙をこらえる事ができなかった。
このまま泣き叫んで悲しみにくれかった。
けれどニーディアは唇を強く噛み締めると、伝授の杖を握って村へ背を向けて走り出した。
みんな・・・分かったよ・・・・・
みんなが繋いだこの情報は、私が持ち帰る・・・・・
そして絶対に仇は討つからね・・・・・
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ニーディア・エスパーザは走った。
「・・・あら?」
白魔法使い、ノエル・メレイシアの呟きに、ハビエル・フェルトゥザは顔を向けた。
「ノエル、どうかしたのか?」
「ん~・・・私の蔦を押さえていた相手の魔力がね、急に消えたみたいなの。イサックが殺したのかしら?」
ノエルは形の良い唇に指先を当てながら、ハビエルの質問に答えた。
ノエルの薄紫色の瞳が見つめる先には、先程クレイグが自爆した事によってできた大きな火柱が上がっている。そして仲間のイサックは鎖鎌を掴みながら、クインズベリーの残りの敵を始末するために走って行ったのだ。
「・・・そうか。魔力が消えたのなら死んだか、もしくは逃げたか、だな・・・」
「・・・まぁ、どちらでもいいわね、消えちゃったんだし。ねぇハビエル、とりあえずあの火柱はどうにかできないかしら?いくら冬でも熱いわ」
ノエルは興味を失ったように小さく息をつくと、腰を上げて目の前の大きな火柱を指さした。
ハビエルはゆっくりと振り返り火柱に目を向ける。上級魔法さえ上回る凄まじい火柱を見ても、ハビエルの表情は変わらなかった。
スッと右手を向けると、手の平に集めた魔力が冷気を帯びていく。
「凍り付け」
それは村全体を焼き尽くしかねない程の巨大な炎だった。
並の魔法使いでは氷の上級魔法を使っても、到底歯が立たないだろう。
だがハビエルの放った冷気は、一瞬のうちに火柱を凍結させて氷の彫像へと作り変えた。
凍てつく冷気は火柱だけでなく、周囲の家々、樹木までも凍り付かせ、辺り一帯を極寒の大地へと変えた。
これでいいか?そう確認するようにノエルに振り返ったハビエルに、ノエルはパチパチと小さく手を打ち合わせる。
そしてニコリと微笑んで一言口にした。
「ハビエル、今度は少し寒いわ」
そしてこの火柱に、ニーディアは心当たりがあった。
「あれは!ま、まさかクレイグ・・・赤光(しゃっこう)の石を使ったの・・・」
クレイグの左目は修行時代の事故で失われており、その代わりに赤い宝石が埋め込まれていた。
これは赤口の石と言う魔道具であり、溜めた魔力を炎に変える事のできる。
単純な魔道具ではあるが扱いは難しい。
なぜなら少しの魔力でも何倍にも膨らませて放出するため、加減が難しく、想定以上の火力になる恐れがあるためだ。
今ニーディアの目に映る火柱は、上級魔法の灼炎竜すら大きく上回る火力である。
あれだけ大きな炎ではすぐに火の手が回り、奪還すべき村そのものも焼き尽くしかねない。
これだけの炎を生み出すには、クレイグの全魔力を使わなくてはならないのかもしれない。
それはつまりクレイグが自身を犠牲にしたという事だ。
ニーディアがそこまで察した時、ふと誰かが自分の名前を呼ぶような、そんな声が聞こえた気がして辺りを見回した。
「え?・・・この声・・・・・」
・・・エリクス?
仲間の白魔法使い、エリクス・スピルカの声だった。
だがエリクスはすでに村の中に入っており、今この場には自分以外誰もいない。
気のせいか・・・・・そう思った時、何かが空で光った。
ニーディアが見上げると、それは猛スピードで向かって来て、ニーディアの前に突き刺さった。
「キャアッ!・・・え、こ、これは・・・」
光り輝くその木製の杖は、エリクスの魔道具、伝授の杖である。
「・・・な、なんで?」
伝授の杖がどういう魔道具かは知っている。その効果はこれまで何度も経験しているからだ。
自分が見聞きした情報を、魔力で音と映像に変えて渡す事ができるので、別行動をとった時などは非常に重宝される能力だった。けれど今までは、エリクスが直接情報を渡して来た。
こんなふうに杖だけが飛んで来た事など初めてだった。
・・・ニーディア・・・あとは頼んだぞ・・・・・・・
「っ!さ、さっき、聞こえたのって・・・エリクス・・・あなた、まさか・・・・・」
ニーディアは全てを理解した。村へ突入した仲間達は、おそらく全滅したのだ。
そして目の前で光り輝く杖はエリクスの遺言だ。伝授の杖に全てを託し、自分の元へ届けたのだ。
「エ、エリクス・・・みんな・・・・・」
ニーディアは両手を震わせながら、エリクスの伝授の杖に触れた。
その瞬間、杖の光がニーディアを包み込み、エリクスの見た全てが鮮明にニーディアに流れ込んで来た。
「あ・・・ああ・・・・・そんな・・・・・う、あぁぁぁ・・・・・・」
ラゴフの奮闘、クレイグの覚悟、そしてエリクスの決断・・・懸命に戦い散って行った仲間達の勇士に、ニーディアは溢れ出る涙をこらえる事ができなかった。
このまま泣き叫んで悲しみにくれかった。
けれどニーディアは唇を強く噛み締めると、伝授の杖を握って村へ背を向けて走り出した。
みんな・・・分かったよ・・・・・
みんなが繋いだこの情報は、私が持ち帰る・・・・・
そして絶対に仇は討つからね・・・・・
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ニーディア・エスパーザは走った。
「・・・あら?」
白魔法使い、ノエル・メレイシアの呟きに、ハビエル・フェルトゥザは顔を向けた。
「ノエル、どうかしたのか?」
「ん~・・・私の蔦を押さえていた相手の魔力がね、急に消えたみたいなの。イサックが殺したのかしら?」
ノエルは形の良い唇に指先を当てながら、ハビエルの質問に答えた。
ノエルの薄紫色の瞳が見つめる先には、先程クレイグが自爆した事によってできた大きな火柱が上がっている。そして仲間のイサックは鎖鎌を掴みながら、クインズベリーの残りの敵を始末するために走って行ったのだ。
「・・・そうか。魔力が消えたのなら死んだか、もしくは逃げたか、だな・・・」
「・・・まぁ、どちらでもいいわね、消えちゃったんだし。ねぇハビエル、とりあえずあの火柱はどうにかできないかしら?いくら冬でも熱いわ」
ノエルは興味を失ったように小さく息をつくと、腰を上げて目の前の大きな火柱を指さした。
ハビエルはゆっくりと振り返り火柱に目を向ける。上級魔法さえ上回る凄まじい火柱を見ても、ハビエルの表情は変わらなかった。
スッと右手を向けると、手の平に集めた魔力が冷気を帯びていく。
「凍り付け」
それは村全体を焼き尽くしかねない程の巨大な炎だった。
並の魔法使いでは氷の上級魔法を使っても、到底歯が立たないだろう。
だがハビエルの放った冷気は、一瞬のうちに火柱を凍結させて氷の彫像へと作り変えた。
凍てつく冷気は火柱だけでなく、周囲の家々、樹木までも凍り付かせ、辺り一帯を極寒の大地へと変えた。
これでいいか?そう確認するようにノエルに振り返ったハビエルに、ノエルはパチパチと小さく手を打ち合わせる。
そしてニコリと微笑んで一言口にした。
「ハビエル、今度は少し寒いわ」
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