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1345 たどり着いた先で目にした光景
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「邪魔だ!」
水を集めて作り出した透明な鞭を振るい、ルーシーは立ち並ぶ帝国兵達を殴り飛ばしながら、前へ進む道を切り開いていった。
ルーシーの魔道具、水流のマントは、水を吸収し様々な形へと変えて使う事ができる魔道具である。
雨の降る日こそ本領を発揮する魔道具だが、事前に水をマントに吸収させておく事で、砂漠地帯であってもその力を十分に発揮する事ができる。
「カチュア、私から離れるなよ!」
「は、はい!」
何千人もの武装した帝国兵が並び立つ中へ、ルーシーはためらいもなく突撃をかけた。
前任のレオ・アフマダリエフの死により、繰り上がって得た地位だとしても、ルーシー・アフマダリエフは四勇士として認められた実力者である。
ルーシーの振るう水の鞭は、一振りで何人もの帝国兵を叩き伏せ、己の前に立ちはだかる者をことごとく退けた。屈強な帝国兵達が束になっても、ルーシーの足を止める事は敵わない。
「体力型が押されているぞ!黒魔法兵!撃てぇぇぇーーーーーーッツ!」
ルーシーの突撃によって、兵士の壁に穴を空けられた帝国軍は、攻撃魔法を一斉に撃ち放った!
両軍が入り乱れているため、使用する魔法は初級魔法が中心になる。だが何人もの魔法使いが力を集約させた魔法は、初級とは思えない程に大きく強い。
「っ!でかい!」
ルーシーは自分に目掛けて撃ち放たれた火球の大きさに足を止めた。通常の火球より二倍も三倍も大きい。被弾したらかなりのダメージを受けてしまうだろう。自軍の兵も巻き込みかねない大きさだが、帝国軍の青魔法使い達は、すでに結界を張って備えていた。
自分一人ならば飛んで躱すところだが、今は後ろにカチュアがいる。カチュアを抱えてこの火球を躱せるか?
無理だ。体力型とは言っても自分は腕力よりもスピードタイプ。人一人を抱えては躱しきれない。
「だったら!」
水の消費が大きいから、雨の日でなければあまり使いたくはなかったがやむを得ない。
原理は黒魔法の風の盾と同じだ。水を圧縮して自分達を護る盾を作り出す!
「魔風の羽よ!」
「な!?」
ルーシーが水の盾を作り出そうとしたその時、カチュアがルーシーの前に飛び出した。そして右手に持った白い羽を振り上げると、魔力を込めて声を上げた。
するとカチュアの足元から風が吹き出した。強く大きく吹き立つ風は、まるでそびえ立つ壁のようだった。それはカチュアの魔道具、魔風(まふう)の羽によって起こされたものだが、黒魔法使いが使う風の盾と比べても遜色のない、いや並の黒魔法使いが操る風の盾よりも、はるかに強固な盾だった。
着弾した火球などものともしない。顔色一つ変えず完璧に攻撃を防いで見せたカチュアは、普段の控えめな印象とはまるで違い、実に堂々としたものだった。その姿を見て、ルーシーは驚きを感じつつも、それ以上に感心していた。
「驚いた・・・カチュア、あなた白魔法だけじゃないんだ?」
「店長に鍛えてもらいましたから。ルーシーさん、私だって護られてばかりじゃいられません。私も戦います!」
強い意志を持った瞳は、カチュアの覚悟を感じるには十分だった。
「・・・あなたの事、私が護らなければって思っていたけど、背中を預けるのに十分な強さを持ってるみたいだね。分かった、カチュア、防御は任せたよ」
「はい!」
再び前に出たルーシーは、目の前の帝国兵を水の鞭をで打ち付けた。しかしその後ろにいる青魔法使いが結界を張り、ルーシーの水の鞭は弾かれてしまう。
「ふん!貴様の戦いぶりは見させてもらった。強さは認めてやるが、その細腕で結界を破壊できると思っているのか?うぬぼれるな!」
青く輝く結界を一枚隔てた向こう側で、帝国兵が嘲笑う。ルーシーは体力型の女性としては小柄である。
身長が160cmにも満たず、腕は細くパワーは無い。しかし小柄で軽量という事は、身のこなしは軽いという事。
ルーシーはスピードを生かして戦ってきた。
だがルーシーは己のパワー不足を、しかたないでは終わらせなかった。
自分自身にパワーが足りない事は受け入れるが、何かで補う事はできないのか?
そうして考え付いた答えがある。
「チッ、やっぱりこのままじゃ無理みたいだね」
水の鞭を弾かれても、ルーシーはたいして悔しそうな顔を見せはしなかった。
そして感触を確かめるように水の鞭を握り直すと、地面に向けて軽く振る。そのたたずまいはまるで、打つ前からどういう結果になるのか分かっていた、そんな風にさえ見える。
「あ?何を言ってるんだ?お前の攻撃はこの結界の前じゃ無力なんだよ!おい、みんなで囲め!一斉にやるぞ!」
その言葉に帝国兵がルーシーとカチュアを取り囲む。それぞれが結界で護られているが、結界の中から外へ攻撃をしかける事はできない。攻撃をするためには一度結界を解く必要がある。だからこそ帝国兵達はルーシーとカチュアを取り囲み、攻撃をしかけるタイミングをうかがっていた。
一瞬でも隙を見せればそれが合図となって襲い掛かって来るだろう。
張りつめた空気と緊張感が漂う中、当のルーシーは構え一つ取らず、無防備にスタスタと足を前に進めた。
「あ?な、なんだ?」
「まぁ、お前の言う通り、私は細腕でパワーは足りない。だがな、こうすればどうかな」
青く輝く結界の前で足を止め、帝国兵をキッと睨みつける。
右手に握るルーシーの水の鞭が、一回りも二回りも大きく膨れ上がった。
「なっ、あ!?」
「どうだ?これだけ大きな鞭なら、ひ弱な私でも結界の一つくらい、破壊できると思わないか?」
もはや鞭と呼ぶには大き過ぎる、成人男性の胴体程に大きくなった水の鞭を握り締めると、ルーシーは後ろを振り返るように上半身を右に捻った。
そのまま左足で一歩大きく前に踏み込むと、腰を左に回しながら体全体で水の鞭を振るい、目の前の結界に叩きつけた!
「なにぃぃぃぃーーーーーッ!?」
重く腹に響くような打撃音と共に、金属が割れるような大きな音が重なって響き渡る。
ルーシーの繰り出した水の鞭の一撃によって、帝国兵を護っていた結界は粉々に砕かれた。
「フッ!」
そのまま驚愕する帝国兵の懐に入り込むと、ルーシーの左の上段蹴りが帝国兵の喉に突き刺さり、帝国兵は何が起きたかも分からないまま、意識を絶たれて崩れ落ちた。
「今だカチュア!行くよ!」
「はい!」
たった一発で結界を破る程の凄まじい破壊力に、他の帝国兵達は一瞬だが動きを止めてしまった。
ルーシーはその隙を見逃さず、カチュアの手を取って走り出した。
「立ち塞がるなら叩き潰す!水の鞭を受けてみろ!」
「魔風の羽よ!風を巻き起こせ!」
先頭をルーシーが突き進み、その後ろをカチュアが風でフォローする。
不思議なくらい二人の連携は噛み合った。お互いに深くを知っているわけではないが、ルーシーは攻めながらも後ろのカチュアを気にかけ、カチュアもまたルーシーの背中を護るために、周囲への警戒を強めていたからだろう。
たった二人で帝国の軍勢を真正面から突破するなど、並の戦闘力では不可能だ。
しかし一騎当千と呼ばれる四勇士であれば、話しは別だ。
そしてたどり着いた二人が目にした光景は、予想だにしなかったものだった。
「・・・え?」
カチュアの口からは意識せず、驚きの声が漏れた。
カチュアの視線の先に映ったもの、それは真紅のローブを纏った長い金色の髪の女性の胸に、ラクエル・エンリケスがぶつかるようにして倒れ、そのまま力なく砂の上に崩れ落ちる瞬間だった。
そしてその周りには、ゴールド騎士のアルベルト・ジョシュア。ジャレット・キャンベル。そして最愛の夫であるアラタが倒れていたのだ。
「アラタ君!」
「ッ!?ま、待てカチュア!」
ルーシーの静止を聞かず、カチュアは飛び出した。
水を集めて作り出した透明な鞭を振るい、ルーシーは立ち並ぶ帝国兵達を殴り飛ばしながら、前へ進む道を切り開いていった。
ルーシーの魔道具、水流のマントは、水を吸収し様々な形へと変えて使う事ができる魔道具である。
雨の降る日こそ本領を発揮する魔道具だが、事前に水をマントに吸収させておく事で、砂漠地帯であってもその力を十分に発揮する事ができる。
「カチュア、私から離れるなよ!」
「は、はい!」
何千人もの武装した帝国兵が並び立つ中へ、ルーシーはためらいもなく突撃をかけた。
前任のレオ・アフマダリエフの死により、繰り上がって得た地位だとしても、ルーシー・アフマダリエフは四勇士として認められた実力者である。
ルーシーの振るう水の鞭は、一振りで何人もの帝国兵を叩き伏せ、己の前に立ちはだかる者をことごとく退けた。屈強な帝国兵達が束になっても、ルーシーの足を止める事は敵わない。
「体力型が押されているぞ!黒魔法兵!撃てぇぇぇーーーーーーッツ!」
ルーシーの突撃によって、兵士の壁に穴を空けられた帝国軍は、攻撃魔法を一斉に撃ち放った!
両軍が入り乱れているため、使用する魔法は初級魔法が中心になる。だが何人もの魔法使いが力を集約させた魔法は、初級とは思えない程に大きく強い。
「っ!でかい!」
ルーシーは自分に目掛けて撃ち放たれた火球の大きさに足を止めた。通常の火球より二倍も三倍も大きい。被弾したらかなりのダメージを受けてしまうだろう。自軍の兵も巻き込みかねない大きさだが、帝国軍の青魔法使い達は、すでに結界を張って備えていた。
自分一人ならば飛んで躱すところだが、今は後ろにカチュアがいる。カチュアを抱えてこの火球を躱せるか?
無理だ。体力型とは言っても自分は腕力よりもスピードタイプ。人一人を抱えては躱しきれない。
「だったら!」
水の消費が大きいから、雨の日でなければあまり使いたくはなかったがやむを得ない。
原理は黒魔法の風の盾と同じだ。水を圧縮して自分達を護る盾を作り出す!
「魔風の羽よ!」
「な!?」
ルーシーが水の盾を作り出そうとしたその時、カチュアがルーシーの前に飛び出した。そして右手に持った白い羽を振り上げると、魔力を込めて声を上げた。
するとカチュアの足元から風が吹き出した。強く大きく吹き立つ風は、まるでそびえ立つ壁のようだった。それはカチュアの魔道具、魔風(まふう)の羽によって起こされたものだが、黒魔法使いが使う風の盾と比べても遜色のない、いや並の黒魔法使いが操る風の盾よりも、はるかに強固な盾だった。
着弾した火球などものともしない。顔色一つ変えず完璧に攻撃を防いで見せたカチュアは、普段の控えめな印象とはまるで違い、実に堂々としたものだった。その姿を見て、ルーシーは驚きを感じつつも、それ以上に感心していた。
「驚いた・・・カチュア、あなた白魔法だけじゃないんだ?」
「店長に鍛えてもらいましたから。ルーシーさん、私だって護られてばかりじゃいられません。私も戦います!」
強い意志を持った瞳は、カチュアの覚悟を感じるには十分だった。
「・・・あなたの事、私が護らなければって思っていたけど、背中を預けるのに十分な強さを持ってるみたいだね。分かった、カチュア、防御は任せたよ」
「はい!」
再び前に出たルーシーは、目の前の帝国兵を水の鞭をで打ち付けた。しかしその後ろにいる青魔法使いが結界を張り、ルーシーの水の鞭は弾かれてしまう。
「ふん!貴様の戦いぶりは見させてもらった。強さは認めてやるが、その細腕で結界を破壊できると思っているのか?うぬぼれるな!」
青く輝く結界を一枚隔てた向こう側で、帝国兵が嘲笑う。ルーシーは体力型の女性としては小柄である。
身長が160cmにも満たず、腕は細くパワーは無い。しかし小柄で軽量という事は、身のこなしは軽いという事。
ルーシーはスピードを生かして戦ってきた。
だがルーシーは己のパワー不足を、しかたないでは終わらせなかった。
自分自身にパワーが足りない事は受け入れるが、何かで補う事はできないのか?
そうして考え付いた答えがある。
「チッ、やっぱりこのままじゃ無理みたいだね」
水の鞭を弾かれても、ルーシーはたいして悔しそうな顔を見せはしなかった。
そして感触を確かめるように水の鞭を握り直すと、地面に向けて軽く振る。そのたたずまいはまるで、打つ前からどういう結果になるのか分かっていた、そんな風にさえ見える。
「あ?何を言ってるんだ?お前の攻撃はこの結界の前じゃ無力なんだよ!おい、みんなで囲め!一斉にやるぞ!」
その言葉に帝国兵がルーシーとカチュアを取り囲む。それぞれが結界で護られているが、結界の中から外へ攻撃をしかける事はできない。攻撃をするためには一度結界を解く必要がある。だからこそ帝国兵達はルーシーとカチュアを取り囲み、攻撃をしかけるタイミングをうかがっていた。
一瞬でも隙を見せればそれが合図となって襲い掛かって来るだろう。
張りつめた空気と緊張感が漂う中、当のルーシーは構え一つ取らず、無防備にスタスタと足を前に進めた。
「あ?な、なんだ?」
「まぁ、お前の言う通り、私は細腕でパワーは足りない。だがな、こうすればどうかな」
青く輝く結界の前で足を止め、帝国兵をキッと睨みつける。
右手に握るルーシーの水の鞭が、一回りも二回りも大きく膨れ上がった。
「なっ、あ!?」
「どうだ?これだけ大きな鞭なら、ひ弱な私でも結界の一つくらい、破壊できると思わないか?」
もはや鞭と呼ぶには大き過ぎる、成人男性の胴体程に大きくなった水の鞭を握り締めると、ルーシーは後ろを振り返るように上半身を右に捻った。
そのまま左足で一歩大きく前に踏み込むと、腰を左に回しながら体全体で水の鞭を振るい、目の前の結界に叩きつけた!
「なにぃぃぃぃーーーーーッ!?」
重く腹に響くような打撃音と共に、金属が割れるような大きな音が重なって響き渡る。
ルーシーの繰り出した水の鞭の一撃によって、帝国兵を護っていた結界は粉々に砕かれた。
「フッ!」
そのまま驚愕する帝国兵の懐に入り込むと、ルーシーの左の上段蹴りが帝国兵の喉に突き刺さり、帝国兵は何が起きたかも分からないまま、意識を絶たれて崩れ落ちた。
「今だカチュア!行くよ!」
「はい!」
たった一発で結界を破る程の凄まじい破壊力に、他の帝国兵達は一瞬だが動きを止めてしまった。
ルーシーはその隙を見逃さず、カチュアの手を取って走り出した。
「立ち塞がるなら叩き潰す!水の鞭を受けてみろ!」
「魔風の羽よ!風を巻き起こせ!」
先頭をルーシーが突き進み、その後ろをカチュアが風でフォローする。
不思議なくらい二人の連携は噛み合った。お互いに深くを知っているわけではないが、ルーシーは攻めながらも後ろのカチュアを気にかけ、カチュアもまたルーシーの背中を護るために、周囲への警戒を強めていたからだろう。
たった二人で帝国の軍勢を真正面から突破するなど、並の戦闘力では不可能だ。
しかし一騎当千と呼ばれる四勇士であれば、話しは別だ。
そしてたどり着いた二人が目にした光景は、予想だにしなかったものだった。
「・・・え?」
カチュアの口からは意識せず、驚きの声が漏れた。
カチュアの視線の先に映ったもの、それは真紅のローブを纏った長い金色の髪の女性の胸に、ラクエル・エンリケスがぶつかるようにして倒れ、そのまま力なく砂の上に崩れ落ちる瞬間だった。
そしてその周りには、ゴールド騎士のアルベルト・ジョシュア。ジャレット・キャンベル。そして最愛の夫であるアラタが倒れていたのだ。
「アラタ君!」
「ッ!?ま、待てカチュア!」
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