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ラミール・カーンの持つ大剣は、剣として当然の役目である斬る事を放棄していた。
なぜなら刃が潰されているからだ。形こそ剣としての体を成しているが、これでは髪の毛一本斬る事もできない。ハンマーや棒と同じく、鈍器として扱うしかないように見える。
しかしそれはカーンの大剣が持つ、特殊能力を知らなければの話しである。
ラミール・カーンが持つ大剣の名は、反響(はんきょう)の剣、そもそも斬る事を目的として作られていない。鋭さを追求して刃を研ぎ澄ませれば、刃こぼれは避けられない。
反対にどれだけ強く打ちつけても壊れない、斬るのではなく叩く、耐久性のみに重点をおいた剣がこの反響の剣である。
では、そこまでして作られたこの反響の剣とは、いったいどんな特殊能力を持っているのか?
アルツール・バレンズエラは身を持って知る事になる。
「ぐぅッ!?」
カーンは中段に構えた大剣を顔の高さまで持ち上げると、そのまま地面から剥き出しに出ている大きな石に向けて打ち付けた。鉄と石がぶつかり合った音が響いた次の瞬間、アルツールは両耳を通して頭の中に入り込んだ異常に大きな音に強い痛みを覚え、顔を歪めて腰を落としそうになった。
な、なんだ、これは!?
頭の中が引っ掻き回されるような強烈な痛みと不快感、目も開けていられない!
ヤツが剣で石を打って・・・音?ま、まさかこれは・・・!?
「気分はどうだ?これが俺の反響の剣だ。この剣で叩いた時に発生する音を、何十倍にも増幅して相手にぶつける事ができる。まともに受けりゃあ頭ん中グチャグチャで、眩暈と吐き気は船酔いどころじゃねぇだろ?」
両手で頭を押さえ、足元をふらつかせるアルツールを見て、カーンは大剣を肩に乗せながら薄い笑みを作って近づいた。
「ぐ・・・うぅ、き、貴様・・・!」
視界が揺れる。焦点が定まらず、アルツールの目にはカーンの姿が二重三重にぶれて映った。
脳が受けたダメージから座り込みたい衝動に駆られるが、アルツールは右手に握る剣をカーンに向けて、戦闘態勢をとった。
「あ~、説明しても聞こえてねぇよな?まぁどうせ死ぬんだし、種明かしなんてどうでもいいよな?」
アルツールが剣を向けても、カーンはまるで意に介さず歩みを止めなかった。
ただ、肩に乗せた大剣を握る腕に力がこもった。
この時、アルツールは明確に追い込まれていた。
単純な力や技は両者ともに互角である。しかし反響の剣による音の攻撃を受けて、アルツールは大きく動揺してしまった。そして体制を立て直す余裕もなく、自分の状態の把握もできないところへ、剣を構えた敵が近づいて来る。
本来のアルツールの戦い方は、相手の死角から一突きにするものである。
それゆえに正面から打ちあう事は少なく、それどころか自分の足元さえおぼつか無くなるような状態は初めてだった。そのため危機への対処能力不足から、精神的遅れをとってしまったのだ。
焦りはアルツールから思考能力を奪い、全身から噴き出した汗が、冷たく体を濡らしていた。
落ち着いて状態を回復するように立ち回れば、まだ戦う事はできただろう。
しかし冷静さを欠いたアルツールのとった行動は、数ある選択肢の中で、最も悪手と言えるものだった。
「こ・・・この野郎ォォォォォーーーーーーーーッツ!」
一歩一歩足を前に進め、自分に近づいて来るカーン。
アルツールにはまだ音のダメージが残っていて、満足に戦える状態ではなかった。
しかし追い詰められたアルツールは、剣を振り上げてカーンに飛び掛かった!
「はぁ?バカかよ?」
玉砕覚悟ですら無い。アルツールの行動は、ただ無謀でしかなかった。
まともにやって互角なのに、剣の狙いもつけられない状態で、なぜ飛び掛かってきたのか?
カーンにはアルツールが、ただただ滑稽にしか見えなかった。
ぶれた視界では正確に狙いなどつけられない。
頭とも肩とも狙いが定まらない、曖昧に振り下ろされる剣を、カーンは大剣で打ち払った!
「ッ!?」
強い衝撃に手が痺れ、痛みに顔が歪んだ。
弾かれた剣はアルツールの手を離れ、回りながら空中に飛ばされる。
そして武器を失ったアルツールには、もはやカーンの剣から身を護る術はなかった。
「このくらいで自分を見失ってりゃ、元々俺には勝てなかったんだよ」
カーンは振り上げた大剣を、そのままアルツールの首に叩き込んだ!
剣を通して伝わって来る骨を砕いた手応え、そして鈍く大きな音が耳に届いた。
大剣がめりこみ、アルツールの首は不自然なくらいに折れ曲がった。
この時点で勝負はついたが、カーンは大剣をアルツールの首にめりこませたまま、力いっぱいに振り払った!
「ウラァァァァァーーーーーーーーーッツ!」
勢いよく飛ばされたアルツールの体は、十数メートルは先の地面に落ち、何度かバウンドして転がったあと、ボロボロになってようやく止まった。
「へっ、これで副団長か?帝国も大した事ねぇな」
ニヤリと笑うと、カーンは大剣を片手で軽々と回して地面に突き刺した。
なぜなら刃が潰されているからだ。形こそ剣としての体を成しているが、これでは髪の毛一本斬る事もできない。ハンマーや棒と同じく、鈍器として扱うしかないように見える。
しかしそれはカーンの大剣が持つ、特殊能力を知らなければの話しである。
ラミール・カーンが持つ大剣の名は、反響(はんきょう)の剣、そもそも斬る事を目的として作られていない。鋭さを追求して刃を研ぎ澄ませれば、刃こぼれは避けられない。
反対にどれだけ強く打ちつけても壊れない、斬るのではなく叩く、耐久性のみに重点をおいた剣がこの反響の剣である。
では、そこまでして作られたこの反響の剣とは、いったいどんな特殊能力を持っているのか?
アルツール・バレンズエラは身を持って知る事になる。
「ぐぅッ!?」
カーンは中段に構えた大剣を顔の高さまで持ち上げると、そのまま地面から剥き出しに出ている大きな石に向けて打ち付けた。鉄と石がぶつかり合った音が響いた次の瞬間、アルツールは両耳を通して頭の中に入り込んだ異常に大きな音に強い痛みを覚え、顔を歪めて腰を落としそうになった。
な、なんだ、これは!?
頭の中が引っ掻き回されるような強烈な痛みと不快感、目も開けていられない!
ヤツが剣で石を打って・・・音?ま、まさかこれは・・・!?
「気分はどうだ?これが俺の反響の剣だ。この剣で叩いた時に発生する音を、何十倍にも増幅して相手にぶつける事ができる。まともに受けりゃあ頭ん中グチャグチャで、眩暈と吐き気は船酔いどころじゃねぇだろ?」
両手で頭を押さえ、足元をふらつかせるアルツールを見て、カーンは大剣を肩に乗せながら薄い笑みを作って近づいた。
「ぐ・・・うぅ、き、貴様・・・!」
視界が揺れる。焦点が定まらず、アルツールの目にはカーンの姿が二重三重にぶれて映った。
脳が受けたダメージから座り込みたい衝動に駆られるが、アルツールは右手に握る剣をカーンに向けて、戦闘態勢をとった。
「あ~、説明しても聞こえてねぇよな?まぁどうせ死ぬんだし、種明かしなんてどうでもいいよな?」
アルツールが剣を向けても、カーンはまるで意に介さず歩みを止めなかった。
ただ、肩に乗せた大剣を握る腕に力がこもった。
この時、アルツールは明確に追い込まれていた。
単純な力や技は両者ともに互角である。しかし反響の剣による音の攻撃を受けて、アルツールは大きく動揺してしまった。そして体制を立て直す余裕もなく、自分の状態の把握もできないところへ、剣を構えた敵が近づいて来る。
本来のアルツールの戦い方は、相手の死角から一突きにするものである。
それゆえに正面から打ちあう事は少なく、それどころか自分の足元さえおぼつか無くなるような状態は初めてだった。そのため危機への対処能力不足から、精神的遅れをとってしまったのだ。
焦りはアルツールから思考能力を奪い、全身から噴き出した汗が、冷たく体を濡らしていた。
落ち着いて状態を回復するように立ち回れば、まだ戦う事はできただろう。
しかし冷静さを欠いたアルツールのとった行動は、数ある選択肢の中で、最も悪手と言えるものだった。
「こ・・・この野郎ォォォォォーーーーーーーーッツ!」
一歩一歩足を前に進め、自分に近づいて来るカーン。
アルツールにはまだ音のダメージが残っていて、満足に戦える状態ではなかった。
しかし追い詰められたアルツールは、剣を振り上げてカーンに飛び掛かった!
「はぁ?バカかよ?」
玉砕覚悟ですら無い。アルツールの行動は、ただ無謀でしかなかった。
まともにやって互角なのに、剣の狙いもつけられない状態で、なぜ飛び掛かってきたのか?
カーンにはアルツールが、ただただ滑稽にしか見えなかった。
ぶれた視界では正確に狙いなどつけられない。
頭とも肩とも狙いが定まらない、曖昧に振り下ろされる剣を、カーンは大剣で打ち払った!
「ッ!?」
強い衝撃に手が痺れ、痛みに顔が歪んだ。
弾かれた剣はアルツールの手を離れ、回りながら空中に飛ばされる。
そして武器を失ったアルツールには、もはやカーンの剣から身を護る術はなかった。
「このくらいで自分を見失ってりゃ、元々俺には勝てなかったんだよ」
カーンは振り上げた大剣を、そのままアルツールの首に叩き込んだ!
剣を通して伝わって来る骨を砕いた手応え、そして鈍く大きな音が耳に届いた。
大剣がめりこみ、アルツールの首は不自然なくらいに折れ曲がった。
この時点で勝負はついたが、カーンは大剣をアルツールの首にめりこませたまま、力いっぱいに振り払った!
「ウラァァァァァーーーーーーーーーッツ!」
勢いよく飛ばされたアルツールの体は、十数メートルは先の地面に落ち、何度かバウンドして転がったあと、ボロボロになってようやく止まった。
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