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1408 悲しむのも悔やむのもここまでだ
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「ニール、あんた大丈夫?」
帝国軍の生き残りも制圧し、セインソルボ山の戦いに決着がついた。
時間はだいぶ過ぎていた。陽は大きく傾いて、夕焼けが空を赤く染めている。
ニールは戦いの跡地をじっと見つめていたが、背中にかけられた声にゆっくりと振り向いた。
「・・・ソフィアか」
背中に声をかけてきたのは、ソフィア・ラルチネーゼだった。
水の精霊を体に宿して戦ったため、反動で一時立っている事もできない状態だった。部下の兵士達に体を支えられながら後方に避難していたのだが、今は顔色も良い。どうやら回復したようだ。
振り返ったニールの顔を見て、ソフィアは少しだけ眉を潜めた。
「・・・ソフィアか、じゃないわよ。あんたさ、自分が今どんな顔してるか分かる?怖すぎだから」
呆れたように大きく息をつくと、確認しろと言うようにニールの顔を指さした。
ニールはひどく思いつめた顔をしている。事情を知らなければ、これから危険な事でもしでかすのか、はたまた自殺でもするのかと勘違いされそうなくらいだ。
「・・・・・」
「マレスの事でしょ?あれから何人か使って探してみたけど、ダメだったよ。ただでさえ何万人って死者が出てるのに、光源爆裂弾でめちゃくちゃじゃん?時間をかければ見つかるかもしれないけど、もうすぐ夜になるし、兵達も休ませなきゃならない。ここまでだよ」
「・・・ああ、分かってる」
そう返事をするが、ニールはその場から動こうとはしない。まだ火種のくすぶる戦いの跡を見つめている。
「あんた・・・・・まあ、無理するんじゃないよ」
ニールは今、マレスの話しはしたくないのだろう。ニールがマレスと長い付き合いだという事は聞いている。これだけの時間マレスの姿が見えないのだから、ニールも頭では分かっているはずだ。しかしどうしてもあきらめられない。受け入れられないのだ。
戦いの後、残った兵達に指示を出し、場を取りまとめる事はやったのだから、あとは一人にしておくべきかもしれない。
そう判断したソフィアは、そこで言葉を切ってその場を後にした。
「・・・マレス・・・このっ、バカ野郎が・・・・・」
ソフィアが離れると、ニールは目を閉じてギリッと歯を噛み締めた。
握りしめた拳を震わせる。このやりきれない感情を、どこにぶつければいいのだろうか・・・
マレス・・・てめぇ、こんなところで・・・・・シャノンお嬢様になんて言えばいいんだよ!
「マレス・・・どうして!」
やはり一人で突っ込ませるなんて無茶だったんだ。もっと良い作戦があったはずだ。なんで俺は強引にでも止めなかった!?あいつを止めるのは俺の役目だったんだ!
俺が・・・俺がマレスを死なせたようなものだ!
「ぐぅ・・・くっそぉぉぉぉぉぉぉッツ!」
固く握りしめた拳を地面に叩きつけた。
普段人を殴る事もない綺麗な拳は、皮膚が裂けて血が流れる。しかし痛みなどまったく気にならなかった。ただ、悔しさと後悔で頭がどうにかなってしまいそうだった。
本当なら疲れて動けなくなるまで暴れたい。
しかし今の自分の立場も分かっている。いつまでも悔やんで叫んでばかりいられない。
いよいよ陽が落ちるという頃、ニールはゆっくりと立ち上がって辺りを見回した。
もう外に出ている者は誰もいない。全員が夜を過ごすための簡易テントに入っているようだ。
おそらく自分に代わって、ソフィアあたりが指示を出したのだろう。
「・・・面倒をかけちまったな」
一人呟くと、ニールは自分も用意しておいたテントの中に足を入れた。
・・・今は切り替えよう。悲しむのも悔やむのもここまでだ。
ここからは俺が司令官なんだ。俺が軍を率いて、帝国に乗り込まなければならない。
マレス・・・・・あとは俺に任せろ、俺がやり遂げる。
アブエル・マレスという大きな犠牲を出した。勇敢な兵達も大勢失った。
被害は大きい・・・だがセインソルボ山の戦いは、ロンズデールが勝利を上げる事ができた。
そして戦いの舞台は最後の一つ、リンジー・ルプレクト率いるもう一つのロンズデール軍が向かった、南のリングマガ湿地帯へと移る。
帝国軍の生き残りも制圧し、セインソルボ山の戦いに決着がついた。
時間はだいぶ過ぎていた。陽は大きく傾いて、夕焼けが空を赤く染めている。
ニールは戦いの跡地をじっと見つめていたが、背中にかけられた声にゆっくりと振り向いた。
「・・・ソフィアか」
背中に声をかけてきたのは、ソフィア・ラルチネーゼだった。
水の精霊を体に宿して戦ったため、反動で一時立っている事もできない状態だった。部下の兵士達に体を支えられながら後方に避難していたのだが、今は顔色も良い。どうやら回復したようだ。
振り返ったニールの顔を見て、ソフィアは少しだけ眉を潜めた。
「・・・ソフィアか、じゃないわよ。あんたさ、自分が今どんな顔してるか分かる?怖すぎだから」
呆れたように大きく息をつくと、確認しろと言うようにニールの顔を指さした。
ニールはひどく思いつめた顔をしている。事情を知らなければ、これから危険な事でもしでかすのか、はたまた自殺でもするのかと勘違いされそうなくらいだ。
「・・・・・」
「マレスの事でしょ?あれから何人か使って探してみたけど、ダメだったよ。ただでさえ何万人って死者が出てるのに、光源爆裂弾でめちゃくちゃじゃん?時間をかければ見つかるかもしれないけど、もうすぐ夜になるし、兵達も休ませなきゃならない。ここまでだよ」
「・・・ああ、分かってる」
そう返事をするが、ニールはその場から動こうとはしない。まだ火種のくすぶる戦いの跡を見つめている。
「あんた・・・・・まあ、無理するんじゃないよ」
ニールは今、マレスの話しはしたくないのだろう。ニールがマレスと長い付き合いだという事は聞いている。これだけの時間マレスの姿が見えないのだから、ニールも頭では分かっているはずだ。しかしどうしてもあきらめられない。受け入れられないのだ。
戦いの後、残った兵達に指示を出し、場を取りまとめる事はやったのだから、あとは一人にしておくべきかもしれない。
そう判断したソフィアは、そこで言葉を切ってその場を後にした。
「・・・マレス・・・このっ、バカ野郎が・・・・・」
ソフィアが離れると、ニールは目を閉じてギリッと歯を噛み締めた。
握りしめた拳を震わせる。このやりきれない感情を、どこにぶつければいいのだろうか・・・
マレス・・・てめぇ、こんなところで・・・・・シャノンお嬢様になんて言えばいいんだよ!
「マレス・・・どうして!」
やはり一人で突っ込ませるなんて無茶だったんだ。もっと良い作戦があったはずだ。なんで俺は強引にでも止めなかった!?あいつを止めるのは俺の役目だったんだ!
俺が・・・俺がマレスを死なせたようなものだ!
「ぐぅ・・・くっそぉぉぉぉぉぉぉッツ!」
固く握りしめた拳を地面に叩きつけた。
普段人を殴る事もない綺麗な拳は、皮膚が裂けて血が流れる。しかし痛みなどまったく気にならなかった。ただ、悔しさと後悔で頭がどうにかなってしまいそうだった。
本当なら疲れて動けなくなるまで暴れたい。
しかし今の自分の立場も分かっている。いつまでも悔やんで叫んでばかりいられない。
いよいよ陽が落ちるという頃、ニールはゆっくりと立ち上がって辺りを見回した。
もう外に出ている者は誰もいない。全員が夜を過ごすための簡易テントに入っているようだ。
おそらく自分に代わって、ソフィアあたりが指示を出したのだろう。
「・・・面倒をかけちまったな」
一人呟くと、ニールは自分も用意しておいたテントの中に足を入れた。
・・・今は切り替えよう。悲しむのも悔やむのもここまでだ。
ここからは俺が司令官なんだ。俺が軍を率いて、帝国に乗り込まなければならない。
マレス・・・・・あとは俺に任せろ、俺がやり遂げる。
アブエル・マレスという大きな犠牲を出した。勇敢な兵達も大勢失った。
被害は大きい・・・だがセインソルボ山の戦いは、ロンズデールが勝利を上げる事ができた。
そして戦いの舞台は最後の一つ、リンジー・ルプレクト率いるもう一つのロンズデール軍が向かった、南のリングマガ湿地帯へと移る。
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