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「・・・・・あ、が?」
アルヘニス・パロの視界がぐるりと回り、口から掠れた声が漏れた。
な、なんだ・・・と?・・・こ、この野郎、ま、まさか・・・最初から、これを、狙って・・・たのか?
薄れゆき意識の狭間で、パロは自分が手の平の上で踊らされていたと知った。
「お前のその剣は、欠点がハッキリしている。それは剣を持つ腕を押さえれば、何もできないという事だ」
アルヘニス・パロの背後から、淡々と言葉を発したのはビンセントだった。
左腕を首に回し、右手は頭を押さえつけるようにして掴むと、そのまま一気に捻じり折ったのだ。
首の本来の可動域を越えて曲げられ、パロの顔面はほぼ背中を向いていた。
鼻と口から血を垂れ流し、そのまま眼球が裏返る。そして全身から力が抜け落ちると、パロは崩れ落ちた。
「・・・ふぅ・・・・・」
足元に倒れるパロを見下ろして、ビンセントは大きく息をついた。
際どいタイミングだった・・・・・
あの瞬間・・・あの剣を振り下ろされた時、ビンセントは左足に力を入れて体を起こすと、パロの剣を躱しつつパロの右腕を押さえつけた。
まさかそんな力が残っていると思わなかったパロに一瞬の動揺が走る。そしてパロの体が僅かに硬直したその瞬間、ビンセントは両手に力を入れてパロの腕を引き寄せ、左足で地面を蹴ってパロの背後に回り込んだ。そしてパロの首に腕を回し、一切ためらう事なく捻じ曲げて折ったのだ。
「自動追尾の剣か・・・能力が分からなければもっと苦戦していただろう。この男の口が軽くて助かった」
頬を伝う一筋の血を手の甲でぬぐう。
パロの最後の一振りは、ビンセントの頬を掠めていたのだ。
パロはビンセントの右足を刺し貫いた事。背中を蹴り上げた時のダメージも見て、ビンセントにはもう戦う力が残っていないと判断した。しかしビンセントは弱ったふりをして、パロの油断させ情報を引き出した。そして瞬時に諸刃の剣の欠点を見抜くと、隙を突いて一息にパロを仕留めて見せた。
僅かなズレも許されない際の際を見極め、ビンセントは勝利を掴み取った。
「・・・しかし、足一本か・・・さすが副団長というところか」
決着は一瞬だったが、右足の腿を刺し貫かれたダメージは大きい。出血は多く、とてもこの先には進んでいけない。早く止血をしなければ、命にも関わるだろう。
ビンセントは袖を破り、止血帯を作ろうとして止めた。
忘れてはならない、ここは戦場なのだ。
アルヘニス・パロが倒された事で、帝国兵達には大きな衝撃が走った。
しかしまだ大将であるザビル・アルバレスがいる。アルバレスがいる限り、彼らの戦意は衰えない。
「パロ様がやられたぞ!」
「怯むな!まだ我らには師団長アルバレス様がいる!」
「ヤツも足を刺されてもう満足に動けまい!囲め!」
周囲の帝国兵達は武器を構えると、ビンセントとの距離をジリジリと詰め始めた。
右足を刺された事で、ビンセントは機動力を失っている。しかしたった今パロを葬った体術を目にして、彼らは警戒を強めていた。
いっそ勢いに任せて飛び掛かってこられた方が、ビンセントとしては戦いやすかった。しかし受けに回らざるをえない状況で慎重に来られては、相手の力を利用する事もできず、厳しい状況に追い詰められたと言わざるをえなかった。
帝国軍は体力型を前に出し、その後ろで黒魔法使いが魔力を込め始めた。
確実にビンセントを倒すための準備が整いつつある。
止血をする事もできない、右手に握っていた短剣も落としており、ビンセントは武器も失っていた。
しかし窮地に追い込まれたこの状況でも、ビンセントの顔には焦りは見られなかった。
「・・・ふぅ、助かったぞ、アドニス」
帝国軍が攻撃魔法を撃とうとしたその時、地面が大きく揺れ動き、ビンセントの背後から白く巨大なミミズが地面を割って飛び出してきた!
「うおぉぉぉーーーっ!ビンセントさぁぁぁーーーん!こいつ超気持ち悪ぃぃぃーーーーーッ!」
それと同時に風魔法で空を飛びながら、巨大ミミズから逃げていたアドニスが、叫びながら空から急下降して来た。
突如姿を見せた十メートル級の大ミミズ、それはアルヘニス・パロの寄生型魔道具、水壌虫(すいじょうちゅう)だった。この場にいる帝国軍の兵士達も、パロが水壌虫を使った事は見ていたが、水壌虫はアドニスを追って行き、それきり目を離していたため、まさかここで地面を割って飛び出して来るとは思っていなかった。そこで一瞬の躊躇(ちゅうちょ)が彼らに生まれる。
そしてその一瞬が、形成を逆転させる事になった。
「アドニス!このミミズを帝国にぶつけろ!」
「ッ!なるほど、了解です!」
一目で状況を理解したアドニスは、自分を追ってくる巨大ミミズを引き連れる形で、帝国兵達に突撃して行った。
「うおぉぉぉぉーーー!コイツはてめぇらにくれてやるぜぇぇぇーーーーーッ!」
宿主のアルヘニス・パロが死亡した事で制御を失った水壌虫には敵も味方もない。
目の前の帝国兵達は恰好の餌であり、大口を開けてよだれを巻き散らしながら食いかかった!
アルヘニス・パロの視界がぐるりと回り、口から掠れた声が漏れた。
な、なんだ・・・と?・・・こ、この野郎、ま、まさか・・・最初から、これを、狙って・・・たのか?
薄れゆき意識の狭間で、パロは自分が手の平の上で踊らされていたと知った。
「お前のその剣は、欠点がハッキリしている。それは剣を持つ腕を押さえれば、何もできないという事だ」
アルヘニス・パロの背後から、淡々と言葉を発したのはビンセントだった。
左腕を首に回し、右手は頭を押さえつけるようにして掴むと、そのまま一気に捻じり折ったのだ。
首の本来の可動域を越えて曲げられ、パロの顔面はほぼ背中を向いていた。
鼻と口から血を垂れ流し、そのまま眼球が裏返る。そして全身から力が抜け落ちると、パロは崩れ落ちた。
「・・・ふぅ・・・・・」
足元に倒れるパロを見下ろして、ビンセントは大きく息をついた。
際どいタイミングだった・・・・・
あの瞬間・・・あの剣を振り下ろされた時、ビンセントは左足に力を入れて体を起こすと、パロの剣を躱しつつパロの右腕を押さえつけた。
まさかそんな力が残っていると思わなかったパロに一瞬の動揺が走る。そしてパロの体が僅かに硬直したその瞬間、ビンセントは両手に力を入れてパロの腕を引き寄せ、左足で地面を蹴ってパロの背後に回り込んだ。そしてパロの首に腕を回し、一切ためらう事なく捻じ曲げて折ったのだ。
「自動追尾の剣か・・・能力が分からなければもっと苦戦していただろう。この男の口が軽くて助かった」
頬を伝う一筋の血を手の甲でぬぐう。
パロの最後の一振りは、ビンセントの頬を掠めていたのだ。
パロはビンセントの右足を刺し貫いた事。背中を蹴り上げた時のダメージも見て、ビンセントにはもう戦う力が残っていないと判断した。しかしビンセントは弱ったふりをして、パロの油断させ情報を引き出した。そして瞬時に諸刃の剣の欠点を見抜くと、隙を突いて一息にパロを仕留めて見せた。
僅かなズレも許されない際の際を見極め、ビンセントは勝利を掴み取った。
「・・・しかし、足一本か・・・さすが副団長というところか」
決着は一瞬だったが、右足の腿を刺し貫かれたダメージは大きい。出血は多く、とてもこの先には進んでいけない。早く止血をしなければ、命にも関わるだろう。
ビンセントは袖を破り、止血帯を作ろうとして止めた。
忘れてはならない、ここは戦場なのだ。
アルヘニス・パロが倒された事で、帝国兵達には大きな衝撃が走った。
しかしまだ大将であるザビル・アルバレスがいる。アルバレスがいる限り、彼らの戦意は衰えない。
「パロ様がやられたぞ!」
「怯むな!まだ我らには師団長アルバレス様がいる!」
「ヤツも足を刺されてもう満足に動けまい!囲め!」
周囲の帝国兵達は武器を構えると、ビンセントとの距離をジリジリと詰め始めた。
右足を刺された事で、ビンセントは機動力を失っている。しかしたった今パロを葬った体術を目にして、彼らは警戒を強めていた。
いっそ勢いに任せて飛び掛かってこられた方が、ビンセントとしては戦いやすかった。しかし受けに回らざるをえない状況で慎重に来られては、相手の力を利用する事もできず、厳しい状況に追い詰められたと言わざるをえなかった。
帝国軍は体力型を前に出し、その後ろで黒魔法使いが魔力を込め始めた。
確実にビンセントを倒すための準備が整いつつある。
止血をする事もできない、右手に握っていた短剣も落としており、ビンセントは武器も失っていた。
しかし窮地に追い込まれたこの状況でも、ビンセントの顔には焦りは見られなかった。
「・・・ふぅ、助かったぞ、アドニス」
帝国軍が攻撃魔法を撃とうとしたその時、地面が大きく揺れ動き、ビンセントの背後から白く巨大なミミズが地面を割って飛び出してきた!
「うおぉぉぉーーーっ!ビンセントさぁぁぁーーーん!こいつ超気持ち悪ぃぃぃーーーーーッ!」
それと同時に風魔法で空を飛びながら、巨大ミミズから逃げていたアドニスが、叫びながら空から急下降して来た。
突如姿を見せた十メートル級の大ミミズ、それはアルヘニス・パロの寄生型魔道具、水壌虫(すいじょうちゅう)だった。この場にいる帝国軍の兵士達も、パロが水壌虫を使った事は見ていたが、水壌虫はアドニスを追って行き、それきり目を離していたため、まさかここで地面を割って飛び出して来るとは思っていなかった。そこで一瞬の躊躇(ちゅうちょ)が彼らに生まれる。
そしてその一瞬が、形成を逆転させる事になった。
「アドニス!このミミズを帝国にぶつけろ!」
「ッ!なるほど、了解です!」
一目で状況を理解したアドニスは、自分を追ってくる巨大ミミズを引き連れる形で、帝国兵達に突撃して行った。
「うおぉぉぉぉーーー!コイツはてめぇらにくれてやるぜぇぇぇーーーーーッ!」
宿主のアルヘニス・パロが死亡した事で制御を失った水壌虫には敵も味方もない。
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