異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1504 精霊使いの睨み合い

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土の精霊の加護がどういうものか?一般的な認識では癒しである。

クインズベリー国で広く普及している土の寝巻には、僅かながら疲労回復の効果がある。これを着て寝ると、翌朝体の疲れが取れてスッキリ起きれるので、全国民が一着は持っていると言っていい。
シャツなどの肌着にも活用され、軍人を始めとする力仕事を行っている者のほとんどが着用している。

それだけではなく、農業でも多大な恩恵を受けている。
クインズベリーは雪国で冬が長い。もし不作の年があれば、国民の食糧事情に大きな影響がでるが、毎年豊作のため食糧難に陥った事などないのだ。土の精霊は大地の恵みを惜しみなく分け与え、クインズベリー国を支えているのだ。

癒しと豊潤、これが土の精霊の加護である。

国民のほとんどがそう認識しており、間違ってはいない。
だがそれだけではないのだ。

土の精霊なのだから、土を自在に操れる事は当たり前である。
そしてその力を戦いに使う事も可能である。

癒しと豊潤の印象が強いため、土の精霊は争いを好まぬ平和の精霊と見る者は多い。
国民の大多数がそうだろう。だがそれは先入観である。

確かに土の精霊はわざわざ争う事はしない。平和を好んでいる事もその通りである。
だが、だからと言って戦わないわけではない。

自分が住む国を護るための戦いであるならば、力を振るう事になんら抵抗はないのだ。




「シャァーーーッツ!どんなもんよ!」

リカルドは握り締めた拳を空に向かって突き上げた。

濛々と立ち込める砂煙が空高く昇っている。
リカルドをただの弓使いと見ていたクリチコは、まさかこんな攻撃手段があるなど夢にも思わなかっただろう。直撃を食らわせたリカルドは、確かな手応えを感じていた。

土の精霊の力を使い、盛り上げた砂を高速で走らせて叩きつける。単純な攻撃手段だが、どこからでも撃てる強みがある。
これにより、リカルドは弓矢を失っても遠距離攻撃ができるようになり、矢の残数を気にする必要もなくなったのだ。そして破壊力はご覧の通りだ。

大きく抉り飛ばされた地面、着弾地点は砂の煙が捲き起こりまるで見えないが、それほどの破壊力だったという裏付けでもある。

いかに精霊の火で防御を固めていたとしても、直撃を受けて無事で済むはずがない。

まんまと一撃をくらわせ、喜び勇んでいるリカルドだったが、その後ろで微かな呻き声が聞こえて振り返った。


「あ、やべ!忘れてた!」

そこにいたのは天をも焦がす程の、巨体な火柱の直撃を受けて吹き飛ばされたレイマートだった。
砂の上で両の手足を投げ出すようにして倒れ、体中から灰色の煙を立ち昇らせている。火はすでに消えているようだが、あの炎で全身を焼かれたのだ。

「おいレイマート、って、うわ!ひっでぇな・・・お前大丈夫かよ?」

慌てて駆け寄ったリカルドだが、レイマートの姿を見て顔をしかめた。
衣服は焼け落ち、体中が赤黒く焼けていた。闘気と黄金の鎧で護られた事で一命は取り留めたようだが、もはや戦闘不能なのは明白だった。

「う・・・ぐ、はぁ、はぁ・・・ヤ、ヤツ、は?」

「おいおい、んな事よりお前やべぇって!これ飲めよ!」

リカルドは腰に下げた革袋から鉄の小瓶を取り出すと、レイマートの口に当てた。
回復薬である。


「ぐ、ぅ・・・」

「カチュアの回復薬は一級品だからな。これ飲んで寝てろ。あのハゲは俺がぶっ飛ばしたから心配すんな。近くにユーリがいたからよ、すぐに連れて来てやんよ」

苦しそうに顔を歪ませるレイマートの口に、ゆっくりと回復薬を流し込む。
回復薬の効果はヒールには及ばない。しかし作り手の技量によって効果を高める事はできる。カチュアの回復薬は、今やクインズベリー国で一番と言える物になっていた。重症のレイマートを癒せるだけの効果はある。しかしそれでもヒールが一番である事には変わりない。
リカルドはユーリと組んで戦っていたのだ、だいたいの位置は分かる。目を凝らして辺りを見回したその時だった。


「・・・貴様も、精霊使いだったのか」


背後から聞こえた声に振り返ると、強烈な熱波が爆風と共に押し寄せてきた。視界を遮っていた砂煙は一瞬で吹き飛ばされ、声の主が姿を表した。

「や、野郎!・・・マジかよ」

視線の先では、その身を赤々と燃える炎で包んだクリチコが立っていた。

リカルドは驚きのあまり目を見開いた。信じられなかった。

レイマートの獅子王牙をあれだけ受けても耐えたのだ、頑丈なのは理解していた。
しかし今ぶつけたのは、精霊の力を込めた一発だったのだ。その直撃を受けても立つのか?


「クインズベリーの土の精霊か、なかなかの攻撃力だ。そこのゴールド騎士といい、精霊の火が無ければ俺も危なかった。どうやら貴様らを過小評価していたようだ」

クリツコは乱れた髪を掻き上げると、青い目をスっと細めてリカルドを見据えた。


「チッ、このくそが!」

さっきまでとはまるで違っていた。
火の精霊の力を使える事で自信と余裕を持っていたが、レイマートとリカルドに思わぬ攻撃を受け、本気になったのだ。

その青い瞳には余裕や侮りは無く、静かだが純粋な殺意、そして目の前の敵を必ず仕留めると言う強固な意思だけがあった。

「消し炭にしてやる」

クリチコの殺意に呼応するように、強烈な熱波が発せられてリカルドの体を打つ!

「うおぁッ!」

皮膚が赤く焼ける程の熱の波動、目も開けていられない。これだけで焼き殺されると思う程だ。
しかしリカルドが苦痛に顔を歪めたその時、突然リカルドの体から白い光が発せられた。土の精霊だ。
目の前の男の殺気を感じ取り、土の精霊自らがリカルドを護るために力を発揮したのだ。


「お?おおお!あ、熱くねぇ!んだよコレ、すげぇじゃん!」

「むっ、その光・・・土の精霊か、どこまでも邪魔をする。いいだろう、土の精霊もろとも焼き殺してくれる!」


クリチコの周りに、ボッ、ボッ、と音を立てて、いくつもの赤い火の玉が出現した。
一つ一つの大きさは、拳大から大人の頭部程である。メラメラと強く激しく燃え上がり、リカルドを牽制するように揺れ動いている。

「あ?それが火の精霊か?おもしれぇ、やってやんよ」

リカルドがニヤリと笑うと、クリチコに対抗するように、いくつもの白い火の玉が出現した。
大きさも火の精霊と同等であり、リカルドを護るように揺れ動いている。

「フン、猿真似だな。付け焼刃ではその力を十分には発揮できんぞ。精霊の力は互角でも、使い手の力量の差で勝敗は決まるんだ」

「ぐだぐだうっせぇんだよ、ハゲ!口喧嘩がしてぇんなら鏡に向かって一人でやってろカス!」

中指を立て、舌を出して嘲笑うリカルド。


「・・・減らず口を、黙らせてやる」


ボッ!と一際大きな音が鳴り、クリチコの周りの火の玉が大きく膨れ上がった。

スッと右手を前に向け、静かで冷たい殺意を乗せる。

「焼け」

その一言で、火玉が一斉に撃ち放たれた。
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