3 / 30
03 三本角の鬼 ①
しおりを挟む
あれは今から四年前、俺と友の旅も一年を過ぎ、色々な事に慣れてきて少し気が緩んでいた時期の事だった。
その日俺と友は、しばらくの滞在先として寝ぐらを借りていた村の村長から、三本角の鬼を近くで見たから退治してほしいと頼まれた。
魔王討伐の旅の途中と話してあったので、村長は俺達ならば三本角の鬼でも退治できると考えたのだろう。
しかし、三本角の鬼は身の丈250cmもあり、その体は鋼鉄のように固く、大木も片手で握り潰す程の力を持っている。
俺と友も一年でそれなりの経験を積み、強くなっている実感はあった。
実際、二本角の鬼は退治した事もある。
鬼は角の数が多い程に強い。
一本角ならば、少し剣が使える大人が数人でかかれば勝てるだろう。
二本角は俺達のように戦いに身を置き、装備もしっかり整えている戦士が2~3人いれば勝てるだろう。
だが、三本角の鬼は二本角の鬼とは全く別物で、比べ物にならない程に強いのだ。
二本角を退治したと言っても、俺も友もかなりの苦戦をしいられ、戦闘後はしばらく動けなかった程なのだ。
俺はこの村長の依頼は断ろうと思った。
ハッキリ言って、今の俺達では無理だ。
だが村長さんの後ろで、不安そうな顔をしている女の子を見て、友は、まかせてください!と依頼を快諾した。
「・・・あの三本角の鬼との事が、俺とお前のすれ違いの始まりだったんだろうな・・・」
あの日の事を思い出すと、俺はとても悲しくなる。
それは友も同じだろう。
そして、善意からだが依頼を受けてしまった事を悔やんでいる友は、その感情を押し殺す事ができなかったようだ。
「うっせぇよ!その話しはもうやめろ!」
テーブルに拳を叩きつけ、怒りに目を剥き俺を怒鳴りつけた。
その声の大きさに酒場の賑わいは止まり、店中の人達の視線が一斉に俺達に集まる。
友は、ハッとしたように壁に顔を逸らし、苛ただしげに頭を掻いている。
友がテーブルを叩いた衝撃で、つまみのナッツが皿から床に転がり落ちた。
俺は屈んでナッツを拾い集めると、白く細い綺麗な指先が俺の視界に入る。
「私がやりますから、どうぞお座りください」
先程、二回も台拭きを借りた女性店員だった。
店員さんは散らばっているナッツを右手で拾い、左手に持つ器に入れている。
「いえいえ、俺が拾います。お仕事を増やしてしまいすみません」
「そんな事ありませんよ。お酒を飲む場所ですから、このくらいはよくある事です。お気になさらないでください」
俺が謝ると、店員さんは先程と同じように、ニコリと優しい笑顔を見せてくれた。
本当に感じの良い女性だ。
ナッツ掃除が終わると女性店員は、ごゆっくり、と会釈をしてキッチンへ戻って行った。
「なぁ、他の人の迷惑になる。テーブルを叩いたり、蹴ったり、そういう事は控えてくれないか?」
他の客に騒がしくした事を詫び、俺は友へと向き直る。
「・・・チッ、うっせぇな!分かったよ!そんで、この話はまだ続けんのかよ?」
「あぁ、悪いが最後まで話しをさせてほしい」
友はそれ以上何も言わなかったので、俺は話しの続きを口にした。
その日俺と友は、しばらくの滞在先として寝ぐらを借りていた村の村長から、三本角の鬼を近くで見たから退治してほしいと頼まれた。
魔王討伐の旅の途中と話してあったので、村長は俺達ならば三本角の鬼でも退治できると考えたのだろう。
しかし、三本角の鬼は身の丈250cmもあり、その体は鋼鉄のように固く、大木も片手で握り潰す程の力を持っている。
俺と友も一年でそれなりの経験を積み、強くなっている実感はあった。
実際、二本角の鬼は退治した事もある。
鬼は角の数が多い程に強い。
一本角ならば、少し剣が使える大人が数人でかかれば勝てるだろう。
二本角は俺達のように戦いに身を置き、装備もしっかり整えている戦士が2~3人いれば勝てるだろう。
だが、三本角の鬼は二本角の鬼とは全く別物で、比べ物にならない程に強いのだ。
二本角を退治したと言っても、俺も友もかなりの苦戦をしいられ、戦闘後はしばらく動けなかった程なのだ。
俺はこの村長の依頼は断ろうと思った。
ハッキリ言って、今の俺達では無理だ。
だが村長さんの後ろで、不安そうな顔をしている女の子を見て、友は、まかせてください!と依頼を快諾した。
「・・・あの三本角の鬼との事が、俺とお前のすれ違いの始まりだったんだろうな・・・」
あの日の事を思い出すと、俺はとても悲しくなる。
それは友も同じだろう。
そして、善意からだが依頼を受けてしまった事を悔やんでいる友は、その感情を押し殺す事ができなかったようだ。
「うっせぇよ!その話しはもうやめろ!」
テーブルに拳を叩きつけ、怒りに目を剥き俺を怒鳴りつけた。
その声の大きさに酒場の賑わいは止まり、店中の人達の視線が一斉に俺達に集まる。
友は、ハッとしたように壁に顔を逸らし、苛ただしげに頭を掻いている。
友がテーブルを叩いた衝撃で、つまみのナッツが皿から床に転がり落ちた。
俺は屈んでナッツを拾い集めると、白く細い綺麗な指先が俺の視界に入る。
「私がやりますから、どうぞお座りください」
先程、二回も台拭きを借りた女性店員だった。
店員さんは散らばっているナッツを右手で拾い、左手に持つ器に入れている。
「いえいえ、俺が拾います。お仕事を増やしてしまいすみません」
「そんな事ありませんよ。お酒を飲む場所ですから、このくらいはよくある事です。お気になさらないでください」
俺が謝ると、店員さんは先程と同じように、ニコリと優しい笑顔を見せてくれた。
本当に感じの良い女性だ。
ナッツ掃除が終わると女性店員は、ごゆっくり、と会釈をしてキッチンへ戻って行った。
「なぁ、他の人の迷惑になる。テーブルを叩いたり、蹴ったり、そういう事は控えてくれないか?」
他の客に騒がしくした事を詫び、俺は友へと向き直る。
「・・・チッ、うっせぇな!分かったよ!そんで、この話はまだ続けんのかよ?」
「あぁ、悪いが最後まで話しをさせてほしい」
友はそれ以上何も言わなかったので、俺は話しの続きを口にした。
0
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる