俺と友と追放と

理太郎

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06 雪に閉ざされた村で ①

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その村は一年を通して雪に覆われていた。

吹雪の酷い時には成人男性でも、軽く頭まで埋まってしまう程に雪が積もる豪雪地帯だった。

俺と友はこの村に雪女の涙という石を探しに来たのだ。

雪女の涙は、雪女の氷の力を宿した石である。
それを使えばどんな炎でも一瞬で凍りつかせる事ができるのだ。

魔王の右腕と呼ばれる炎の魔人は、決して消える事の無い炎の城にいる。
そこに入るためには、どうしても雪女の涙が必要だったのだ。


「おい、本当にこの村に雪女がいるのか?」

「あぁ、確かな筋からの情報だ。それにこの雪を見れば分かるだろ?一年中雪が積もってるなんて、普通じゃ考えられないだろ?俺はこの村に雪女がいると思う」

辺りをぐるりと見回して友へ顔を向けると、友は舌打ちをして溜息をついた。


一年前の三本角の鬼の一件以来、俺と友との関係はぎこちないものになっていた。

俺は普通にしてるつもりだが、友は些細な事でイライラするようになり、不満を隠そうとしなくなった。思い通りにならない事や、面倒に感じる事があると、今のように舌打ちをしたり、露骨に溜息をつくのだ。

最初のうちは、やめてほしい、という事を伝えていたが、何度言ってもあらためる気のない友に、俺もいつからか聞き流すようになっていた。


村人から話しを聞いて回ると、どうやら俺の集めた情報通りだった。

この村には雪女がいる。

しかし一か所に留まっているわけではなく、突然姿を現すと言うのだ。

「いつの間にか家にいるって言うのか?なんだそりゃ?」

村人の説明に、友が怪訝な顔をする。

「決まった住処を持たず、村の中を転々としているというわけか?しかも出たり消えたり自由自在だと?」

俺達の疑問に、村人は丁寧に答えてくれた。
彼らも必死のようだ。当然だろう。一年中これだけの大雪に閉ざされているのだ。
生活は不便でならないはずだ。

俺達が雪女をどうにかしてくれると言うのであれば、可能な限りの援助をしてくれるようだ。

そして当面の住まいとして、空き家を自由に使える許可をもらった。

村長さんが泊めてくれるという話しもしてくれたが、気を使いそうだし、一年前の三本角の鬼の時、仲良くなった村長の娘さんがあんな形で命を落とした事が思い出され、必要以上に村人と親睦を深める事は避けるようになっていた。

翌日から俺達は雪女の情報収集を始めた。




「なぁ、あんたら俺の娘を知らねぇか?」

村の人に聞き込みをしていると、40~50歳くらいだろう、一人の男性に話しかけられた。
詳しい話しを聞いてみると、どうやら二日前から娘が行方不明になっているそうだ。

娘の特徴を聞いて、いなくなった原因、心当たりを聞いてみると、男性は気まずそうにしながら、ぽつりぽつりと話し出した。

男性は妻を亡くしており、今は娘との二人暮らしだという。
二日前、娘と喧嘩をした時に叩いたらしく、それで娘が家を飛び出したと言うのだ。

いつもならその日の内には帰って来るそうだが、今回は丸二日経っており、もしや雪女にさらわれたのではと、心配で探しているという。

俺達は娘を見つけたら保護をする約束をした。


「・・・あの親父、なんか隠しているぞ。喧嘩って言ったけど、一方的な虐待かもな」

男性から離れると、隣を歩く友が俺にだけ聞こえるくらいの声で話してきた。

「・・・あぁ、俺も気になっていた。いつもならその日の内に帰ってきたって事は、何度も娘が家を出ているって事だ。あの父親に問題がありそうだ」


俺達は雪女の情報を集めながら、周辺を探索したが、結局雪女も娘も見つからず三日が過ぎた。
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