俺と友と追放と

理太郎

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12 二年前

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「・・・よぉ、続きを話そうぜ」

テーブルへ戻ると、友は追加注文したボトルの酒をグラスに注ぎ、一息であおっていた。

そこそこ酒が入り、気持ちが高ぶってきたのだろう。
目が座り、射るような目で俺を見据えている。


「あぁ・・・お前も、最後まで付き合う気になってくれたようだな?」

イスに座り、水を一口飲む。
カラカラだった喉が潤され、感情的になっていた気持ちも落ち着いてくる。

「まぁな・・・ここまで話したんだ。最後まで付き合うさ。だが、どんなに話しても俺の気持ちは気持ちは変わらないぞ。お前への宣言は、話しの終わりにキッチリしてやる」

「・・・そうか。まぁ、続きを話そう。あの後だと・・・そうだな、俺達の二人旅に限界を感じて、魔法使いと僧侶が仲間になったところか」

「・・・そうだな。雪女の一件の後、よく二人だけで一年も旅を続けたと我ながら驚いてるぜ。なんせしばらくの間、お前は俺を本気で殺そうとしていたしな?」

「いいや、殺そうとはしていない。半殺しだ」

ニヤニヤ笑いながら俺を指差す友に、俺は真顔で訂正の言葉を述べる。

「ハッ!どうだかな?まぁいいさ、とにかく一年もよく続いたもんだが、さすがに限界だったよ。丸一日会話しない事もざらだったしな。雰囲気は最悪だった。それで、炎の魔人の城に一番近い街に寄った時に、あの二人と出会ったんだったな」





そう、それは今から二年前、雪女の一件から一年後の事だった。

俺達二人は、魔王の右腕と呼ばれる炎の魔人の城に、一番近い町までたどり着いていた。

季節は夏。ギラギラと照り付ける太陽が地面を焦がし、それと相まって魔人の城の炎の熱波がこの町まで届くのだから、たまったものではない。

魔人の城は特殊な業火の中にあり、これは水や氷の魔法では消し去る事ができない。
一説では、魔法を無効化する炎であると言われている。

しかし、雪女の涙だけは別だ。
魔人の城の炎を、唯一消す事ができると言われる雪女の涙があれば、炎の魔人の元にたどり着ける。そのためにどうしても必要だったのだ。


「おい、俺達の二人旅はここいらで限界じゃねぇか?」

「・・・そうだな。だが、俺は魔王を倒すまで抜ける気は無いぞ」

町に入ると久しぶりに友が俺の目を見て口を開いた。
何ヶ月ぶりだろう。

友の言葉から、解散を意味していると思ったがそれは違った。

「ちげぇよ。俺は勇者、お前は戦士、これまでは力押しで戦いぬいて来れた。怪我も回復薬でなんとか間に合った。だが、そろそろ限界だ。ここらの魔物も随分強い。俺達二人で炎の魔人に勝てるのかって話だ。僧侶と魔法使いが必要だ」

確かにその通りだ。
俺達が旅立った村にも魔法を使える者はいたが、魔王退治に出れる程の能力を持った者はいなかった。

当時は旅を続けていれば出会いもあるだろう。
そう楽観的に考えていたが、さすがにもう三年だ。
ここで見つけるというくらい積極的に動かなければ、この先誰も見つからないかもしれない。

「確かにお前の言う通りだ。異論はない。だが、どうする?酒場で情報でも集めるか?」

俺が賛同すると、二人の間の空気が少しだけ以前のように柔らかいものになり、話し合いはスムーズに行われた。

俺は雪女の一件は許していない。友も俺が独断で行動した事を許していないだろうし、雪女を殺すように仕向けた事を悪いと思っていないだろう。

だが、魔王を倒すため。この目的のためにあえて見ないふりをしているだけだ。

今はそれでいい。俺は彼女の遺言にしたがって、魔王を倒すまでは友との旅を続けるだけだ。
その後の事はそれから考えればいい。


色々話し合ったが、結局酒場に行って僧侶と魔法使いで良い人がいないか聞いてみる事になった。

そしてあっけない程、あっさり見つかったのだ。





「では、これからよろしくお願いします」

「よろしく」

よろしくお願いします。と、にこやかな笑顔を見せてくれたのは、僧侶の女性だ。
俺と友は18歳だが、僧侶は一つ年上の19歳だと言う。


よろしく、と言葉少なめなのは魔法使いの女性で、僧侶と同じく19歳。
二人は同郷の友人で、魔法の才能を生かすために魔物退治の旅をしていたというのだ。



酒場に入った俺達が、カウンターでグラスを拭いているマスターに用件を伝えると、顎をくいっと向けて、あの二人なら丁度条件に合うんじゃないか?と教えてくれたのだ。

そして声をかけてみると、最初は訝し気な表情だった彼女達も、真面目に話しを聞いてくれるようになり、今は同席して四人で酒を飲んでいる。

「でも、驚きました。まさか勇者様からお声をかけていただけるなんて、私頑張りますね!」

僧侶の女性に持ち上げられて、友はとても上機嫌だった。
まぁ、綺麗な女性に持ち上げられれば、男なら誰だって気分は良いだろう。

場の空気を読むのが上手いと言うか、僧侶の女性はとても気が効いていた。

友のグラスが空になる前には酒をつぎ足し、会話が止まりそうになると話題を提供して繋げる。
俺と友との間の、微妙な距離感もすでに見抜いているのだろう。
無理に俺達二人が話すようには仕向けず、俺達と彼女達の会話だけで場を回しているのだ。

この感じならこれからの四人旅も、明るい空気で続けていけるのではないか。

出会ったばかりだがそう思えた。
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