俺と友と追放と

理太郎

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20 片思い

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「・・・あんた、他に好きな人いるでしょ?」

顔を逸らしている俺を見ながら、魔法使いがポツリと呟いた。


「・・・うん」

この時、もし俺が魔法使いに口づけをしていたら、どうなっていただろうか。

雪女はもういない。
亡くなった人を想い続ける事は、出口の無いゴールに向かい続けるようなものだ。
いつまで経っても想いは報われない。

ハッキリ言ってしまえば俺の自己満足だ。

これが恋人や夫婦といった関係であったならば話は別だ。
お互いの気持ちが通じた上でなのだから、支えとなる思い出がある。


しかし、俺の場合は片思いだ。

雪女が俺をどう思ってくれていたのか・・・
少なくとも友人関係は築けていたと思う。
だけど、それ以上はどうだろうか?

俺が雪女を想っていたように、雪女も俺を想ってくれていたのだろうか?

彼女の想いを図るには、俺達が過ごした時間はあまりに短かった。



「・・・そうなのかもって思ってた」

「・・・・・」

ごめん。そう謝りそうになったけど、寸前で言葉を飲み込んだ。
謝るのは違うと思う。


俺は体をどかして、魔法使いの隣に座り直した。
気まずい沈黙を感じていたけれど、魔法使いの方はそうでもなかったようだ。


「・・・どんな人?綺麗?可愛い?」

「・・・雪女なんだ」

「雪女?」

俺はこれまで黙っていた雪女との事を話した。

話している間、魔法使いはずっと黙って聞いていてくれた。
勇者である友が、村人をけしかけて雪女を殺そうとしてきたところでは、さすがに驚きを隠しきれなかったようだけど、話しの腰を折る事なく最後まで聞いてくれた。


「・・・そっか・・・辛かったね。ごめんね、気の利いた事は言えそうにない」

「いや・・・気にしないでくれ。俺が、いつまでも引きずってるだけなんだ」

「うん、でも・・・それじゃあ勝てないかなぁ・・・嫌な言い方かもしれないけど、亡くなってる人には・・・勝てない」

魔法使いは眉を下げ、悲し気な笑みを浮かべた。

俺は何か言わなければと口を開こうとしたけれど、何て声をかけていいか分からず、結局そのまま口を閉じた。


「・・・気にしないでね。あたしは大丈夫だから。明日からも今まで通り、オレンジ仲間として仲良くしてよね」


俺と魔法使いは握手をして別れた。


俺と別れた後、一人ベンチで魔法使いが泣いていた事に、俺は気付かなかった。

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