俺と友と追放と

理太郎

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28 二人旅

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私達は旅をした。

お兄さんを追って様々な国を行き渡り、沢山の街や村を見て歩いた。

これは生き返ってから分かった事だけど、私は雪女であると同時に人間だった。

旅をする時には雪女の力を使って空を飛んで行き、街や村に立ち寄った時には人間である娘に主人格を渡す事で、雪女の力を抑える事ができるのだ。
これはとても大きな事だった。

雪女はいるだけで雪を降らせてしまう。それが原因で、雪女はあの村で孤立していたのだ。
けれど人間として、人間のまま生きていく事が可能ならば、人の目を気にせず、どこでも生活していく事ができるのだ。


「ねぇ雪ちゃん、この国にはお兄いさんいるかな?」

【そうねぇ・・・今度こそいるといいわね】

旅を始めて一年が経った。

私達はまだお兄さんを見つける事はできなかった。

主人格を渡している時は、私は彼女の体の中で、精神だけの存在になっているような感覚だった。
彼女が見ている物は自然と私も認識できるのだ。

だから新しい町に入って、そのままずっと主人格を渡していても、情報が入って来なくなる心配はなかった。


「不思議だよね・・・私は会った事ないのに、雪ちゃんの記憶を共有してるからお兄さんの顔も声も知ってるなんてさ、変な感じはするけど探しやすいからいいかな」

【そうね・・・本当、不思議な感じだわ】

果たしてこの街にはいるだろうか?魔王の城に行く上で立ち寄りそうな街や村を通ってきたけれど、まさか一年も見つけられないとは思わなかった。

もちろん、街の人間を一人一人確認できるわけもないから、武器防具の店に道具屋、酒場と宿屋、立ち寄る可能性が高い場所に絞って探してきたけれど、今日まで手がかり一つ見つからなかった。

それもそうかもしれない。
背格好に特徴があるわけでもないし、どこのお店も毎日大勢の人が出入りしているのだ。
よほど印象に残らなければ、覚えている訳がない。


この街なら会えるかな・・・・・
ここは、雪女には厳しい暑い街だった。
炎の魔人の城が近くにあって、その熱が街まで届くのだ。

ここにいる間は、私が表にでる事は無いだろう。
そう考えていた矢先の事だった。

「・・・あ、いた」

共有している視覚に飛び込んできたのは、懐かしいあのお兄さんだった。




忘れもしないその顔を見た瞬間、懐かしさと愛しさで、私は走り出しそうになった。

けれど、その足を止めたのは私自身だった。

今の私は、元の雪女とは全く違う外見になっている。雪女だと言って信じてもらえるだろうか?
いや、二人だけしか知らない事を言えば信じてもらえるとは思う。

けれど私が現れた事で、彼の魔王退治の旅はどうなってしまうだろう?


目の前にはお兄さんの他に、お友達の勇者、そして初めて見る女の人が二人・・・・・

服装を見ると、僧侶と魔法使いかな?
旅のパーティメンバーだと思うけど、それだけなのかな・・・・・


結局この日、私はお兄さんに話しかける事はできなかった。
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