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こうして私、リーザは処女であるにも関わらず大胆なひとり遊びを覚えてしまいました。もちろん、私自身の意思ではなく、あの淫らな薔薇たちが唆したのです─そうでも考えなければあんな真似、処女の私に出来るはずもありません。
それ以来、私は下働きの女房たちの秘め事…というのもおかしいですね。恥を知らない下賎な年嵩の女は、隙あらば昼間でも出入りの御用聞きや、小使の少年まで誘っては目交っていたものです。ええ、私もマドモワゼル付きのメイドという立場なのに、朝から主人の寝台であのように激しい自慰をし、下女たちの行為を覗き見していたのですから、恥知らずはどちらだと責められても返す言葉もございませんが。
さて「あのこと」が起きる丁度2週間前の話です。マドモワゼルの屋敷に、新しい庭師を雇い入れることになりました。その庭師はつい最近「マドモワゼル・ジャンヌ」という名の新種の白薔薇を世に出した者でした。彼は新種の薔薇の名前について「我が女神、コメディ・ラ・ロズレのマドモワゼル・ジャンヌに捧ぐ」と明言し、世間を賑わせたのです。これはプリマのアドリエンヌ嬢もうかうかしてはいられない、プリマがアドリエンヌからジャンヌに交替するのも時間の問題か─単なるゴシップですね。
主人の庭園はこの国の、いえ近隣諸国にまで「女優が所有する秘密の花園がある」と噂になっていました。限られた者しか立ち入りを許さない、その閉ざされた庭園の中で、如何に美しい花々が妍を競っているのかと。
以前からの庭師は今回の争乱で辞めざるを得なくなり、新しい庭師を募ったところやって来たのが彼でした。もちろん、主人は自分の名を冠した白薔薇を造り上げた庭師を歓迎し、早速「マドモワゼル・ジャンヌ」だけの苑を築くよう指示したのです。
庭師はエミリオといい主人と同郷でした。年の頃は30を幾許出たか…というところ。大柄で逞しく日に焼けているのは当然ですが、顔立ちはむしろ学者然とした知性を感じさせます。そして彼は自分の息子をも同行させていました。庭師見習いで、崇拝するジャンヌ嬢にお仕えしたいと聞かないので連れてきたと。「我々、田舎の者は結婚が早くて」と苦笑するその知的な翳りのある顔は、とても無知な下働きと同類だとは思えませんでした。息子は恐らく私より一つか二つ年下でしょう。線が細く目鼻立ちは父親譲りでおどおどしつつも、主人と私の前でぺこりと頭を下げました。
エミリオが主人の前に進み出て「息子ともども女神に心よりお仕え致します─………………」と主人の母国語で何やら囁くと、その白い頬にぱっと朱が差すのが見て取れました。理由は、後に私が身をもって知ることとなります。
─白薔薇の魔物が私を堕落させようと、今度は壮年の男と少年の姿で現れたのです。尤も、彼らの獣欲は主人に対しても向けられていましたが、将を射んとすればまず馬をということなのでしょう。
それでは、私のお喋りも次へと進めましょうか。あれは…私がいつものように下女たちの行為を盗み見していた時のこと─
それ以来、私は下働きの女房たちの秘め事…というのもおかしいですね。恥を知らない下賎な年嵩の女は、隙あらば昼間でも出入りの御用聞きや、小使の少年まで誘っては目交っていたものです。ええ、私もマドモワゼル付きのメイドという立場なのに、朝から主人の寝台であのように激しい自慰をし、下女たちの行為を覗き見していたのですから、恥知らずはどちらだと責められても返す言葉もございませんが。
さて「あのこと」が起きる丁度2週間前の話です。マドモワゼルの屋敷に、新しい庭師を雇い入れることになりました。その庭師はつい最近「マドモワゼル・ジャンヌ」という名の新種の白薔薇を世に出した者でした。彼は新種の薔薇の名前について「我が女神、コメディ・ラ・ロズレのマドモワゼル・ジャンヌに捧ぐ」と明言し、世間を賑わせたのです。これはプリマのアドリエンヌ嬢もうかうかしてはいられない、プリマがアドリエンヌからジャンヌに交替するのも時間の問題か─単なるゴシップですね。
主人の庭園はこの国の、いえ近隣諸国にまで「女優が所有する秘密の花園がある」と噂になっていました。限られた者しか立ち入りを許さない、その閉ざされた庭園の中で、如何に美しい花々が妍を競っているのかと。
以前からの庭師は今回の争乱で辞めざるを得なくなり、新しい庭師を募ったところやって来たのが彼でした。もちろん、主人は自分の名を冠した白薔薇を造り上げた庭師を歓迎し、早速「マドモワゼル・ジャンヌ」だけの苑を築くよう指示したのです。
庭師はエミリオといい主人と同郷でした。年の頃は30を幾許出たか…というところ。大柄で逞しく日に焼けているのは当然ですが、顔立ちはむしろ学者然とした知性を感じさせます。そして彼は自分の息子をも同行させていました。庭師見習いで、崇拝するジャンヌ嬢にお仕えしたいと聞かないので連れてきたと。「我々、田舎の者は結婚が早くて」と苦笑するその知的な翳りのある顔は、とても無知な下働きと同類だとは思えませんでした。息子は恐らく私より一つか二つ年下でしょう。線が細く目鼻立ちは父親譲りでおどおどしつつも、主人と私の前でぺこりと頭を下げました。
エミリオが主人の前に進み出て「息子ともども女神に心よりお仕え致します─………………」と主人の母国語で何やら囁くと、その白い頬にぱっと朱が差すのが見て取れました。理由は、後に私が身をもって知ることとなります。
─白薔薇の魔物が私を堕落させようと、今度は壮年の男と少年の姿で現れたのです。尤も、彼らの獣欲は主人に対しても向けられていましたが、将を射んとすればまず馬をということなのでしょう。
それでは、私のお喋りも次へと進めましょうか。あれは…私がいつものように下女たちの行為を盗み見していた時のこと─
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