悪徳領主の息子に転生しました

アルト

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3章

32話 手土産

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「——で、どうしてあっしなんで?」


 訓練が丁度終わったタイミングを見計らって俺は以前、仕合を繰り広げた騎士——グレイスの下へやってきていた。
 不満そうな表情を浮かべながら言外に、他にも頼れる人がいるだろうがと訴えかけている。
 加えて、自分の休憩時間を奪うな、とも。


「……消去法だ。考えてもみたが、僕の周りにはまともな奴が全くと言っていいくらいにいなかったんでな……」


 そうなのだ。
 ボルソッチェオ男爵家に赴くと決めたはいいが、もちろん、人の家にお邪魔するわけなのだから手土産くらいは持っていくべきだろう。


 加えて、相手は恐らく同世代であろう女の子だ。
 手土産を持っていくにしても、何がいいのか皆目見当がつかず、誰かに相談しようとしたまでは良かったのだが。


「ヴェインは提案する全てを肯定するわ、父上は母上色が強くて参考にならん。餓鬼共は肉か新しい剣しか案は出さんわでマトモな相談相手がいないんだ。察してくれ……」


 尚、師匠である『貪狼』こと、ローレン=ヘクスティアはやはりナガレという貴族に限り例外で、その他の貴族にはまだやはり敵意が残っておりマトモなアドバイスは出来そうにないと匙を投げられている。


「シヴィスちゃんはどうしたんで。あの子が一番適任でしょうに」
「シヴィスは今、休暇中だ。月に数回しかない親子水入らずの時間をこんなくだらない悩みで邪魔するわけにはいくまい」


 そのくだらない悩みはあっしの休憩時間を邪魔する分には躊躇いがないんで……。


 などとグレイスがひとりごちるも、気にしては話が進まないので聞かなかったことにして話を進める事にする。


「して、どんな相手に手土産を? 相手像が分からないことにゃあっしとてアドバイス出来やしやせんよ」


 そう、それが一番の問題なのだ。
 ボルソッチェオ男爵家の次期当主であるソーマの妹と会うのがメイン。というより、それが一番大事な部分である事は間違いない。
 しかし、肝心のソーマの妹の年の頃を聞きそびれており、手土産にこうして頭を悩ませてる現状である。


 流石に婚約を勧めてきたくらいなのだから年が10も離れている、なんて事は無いだろうが、折角赴くのだ。
 当たり障りのない手土産を用意しようと思うのも当然だろう。


「多分だが、同世代の女の子、な筈だ」
「な筈って……。坊ちゃんはその子に会った事はないんで?」
「ああ、初対面だ」
「……むむ?」


 ここでグレイスが勘付く。
 

 こうして人の大事な休憩時間を邪魔してくるぐらいには自分の用事を優先する坊ちゃんが、月に数回程度の休暇だからといってシヴィスの下を訪れてどうして悩みを解決しないのだろうか、と。


 聞けば、同世代の女の子への手土産に悩んでるそうな。
 もしや、シヴィスには聞くに聞けない状況というやつなのではないのか、と。


「……成る程。坊ちゃんも男の子だったって事ですかい」


 あたり人付き合いも良くなく、やっと友達を作ったかと思いきや、同性ばかり。
 それ程までにシヴィスに執着し、入れ込んで他の異性の知人を作らないのかと周りの人間と一緒にグレイスも勝手に思い込んでいたのだが、それが違ったと勝手に一人で確信し、ニタリと相好を崩す。


「は? なんの話だ?」
「いいんでさあ、いいんでさあ。坊ちゃん程の男なら2人や3人。いや、5人くらいに唾つけてても驚きやしやせんよ」
「絶対色々と勘違いしてるよなお前……」


 ジト目で責めるように見つめてみるが、グレイスの勢いは止まらない。むしろ、勢いを増すばかり。


「恥ずかしがる必要はねえでさあ。おっと、こうしちゃいられねえ。このビッグニュースを是非ともボルグさんにも伝えねえと」
「おい、ちょ、待て。あの人に相談するとろくな事起こらねえから僕はグレイスに相談したってのに……」


 そう言って、立ち上がり、直属の上司であるボルグの下へとホットなネタを手に駆け出そうとするグレイスを静止しようとするも、伸ばした手は虚空をつかむのみ。


 俺はもう、駆け出したグレイスの背を眺めるしか出来なくて。


 数分後。



『マジかよおおおおぉぉぉおお?!』


 などと騒ぎ立てるボルグと共に押し寄せた野次馬騎士達に事の説明をし、誤解を解くのに数十分程要したのは言うまでもなかった…。


 結局、散々時間をかけた挙句、手土産は無難な髪飾りと。
 ソーマへの当たり障りのない土産に決まったのだった。





—————————



やあ久しぶり(白目)
友人にファンタジー大賞来てるぜ!
5万文字書こうや!!と誘われ、復活するに至りました(  ゚ཫ ゚)ゴフッ


一応復活しちゃうぜってことで内容忘れた人はちょっと前からでも読み直してくれよな!!
ちなみに作者は全部読み直しちゃったぜ()


アルトさん今度こそ復活!!!
おまたせ!!!
ただいま!!!
こんな適当な作者の作品を待ってくれてた読者さんに感謝の意を!!
感謝感激雨霰!!!
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