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空を超えし願い星
第十四話 鎧の記憶
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○出会い
ソラは夢を見ていた。
まるで誰も居ない映画館に一人ポツンと席に座り巨大なスクリーンを眺めている。その後、辺りが暗くなり開演が始まった瞬間ソラはスクリーンへと吸い込まれた。
「君、迷子かな?名前はなんて言うの?」
優しくも覇気のある女性の声が聞こえる。
だんだんと視界が明瞭になり目の前には泥だらけの少年が座り込んでいた。しかし、熱に浮かされた様に全ての情景が朧げで靄がかかる。
「名前......ない」
その声色はソラの聞き馴染みのある少年の声。
「そうか、記憶喪失かな?とりあえず、私達と隣町へ行こうか。そこには教会があるからね」
少年は言われるがままに彼女へとついていく。
「放っとけば良い。お人よしな奴だ」
批判的な態度を取るは背丈5メートルを優に超す赤髪の巨人だった。腰には大剣をさしている。
「子供一人救えない勇者は勇者とは呼ばない。私の理想に反する」
そして、少年を抱き抱え仲間と共に先へ進む。
○夜空の下で
あれから月日が流れ少年はポーターとして彼女らの仲間となった。魔族の脅威を退ける為、かの大魔族達の侵攻を阻止する為旅をする。
「ガイウスはなんでそんなに大きいの?」
少年は赤髪の巨人に疑問を投げかける。
そして、煩わしそうにその巨人は答えた。
「星を掴むためだ」
巨人族は他種族と比べ最も背が高い種族だ。故に空に最も近い種族として星を神聖視している。
「掴めそう?」
少年は素直だった。
するとガイウスはステラを一瞥し夜空へと手を伸ばすが自嘲気味に笑い「無理そうだ」と応える。
一瞬の沈黙が流れ少年はあることを思いついた。
「何をしているんだ?」
少年大の字になり地面にうつ伏せで倒れる。
「掴んだよ、星」
その行動にガイウスはくすりと笑う。
「先を越された様だ」
○雪原にて
しんしんと雪降る中、勇者一行は次の街へと向かう。辺りを見渡せば白銀に覆われ白い息が空気中に解ける。
もっと厚着しておけばよかったと少年は後悔していた。寒さと雪に足を取られ歩みが遅くなる。
「ねぇ、寒いの?」
ふわふわと宙に浮く背丈1メートル前後の小人族の女性が語りかけてきた。
「ちょっとだけ」
少年は強がるが震えが止まらない。
するとその女性チルが身につけていた緑色のマフラーを少年の首に巻きつける。
「ありがとう」
「勘違いしないでよ。あんたが風邪ひいたらみんなの足手纏いになるでしょ?」
その微笑ましげな光景を見ていた周りは少年に合わせ歩幅を変え始める。
○酒場
王都郊外にある酒場にて勇者一行は食事をとっていた。
「良いか?料理とは魔術に通ずる」
フォークとナイフを扱いステーキを口に運ぶ老人。たまに意味のわからない事を言い出すとんがり帽をかぶるこの老人は勇者一行の魔術師アルバだ。
「うまい料理を作る料理人は基本良い魔術師じゃ。我々を幸福にしてくれる。魔術師とはそうあるべきじゃ」
ステーキが配膳されナイフを持とうとする少年をアルバが制止させる。
「まぁ、待つんじゃ。使い手が良いだけではだめなのじゃ。食事をする側も良き魔術師でなければいかん」
「どうすれば良いの?」
アルバはナイフとフォークを置きいつものルーティンを少年に見せる。
「両手を合わせ、命に感謝し【頂きます】。そして最後に【ご馳走様でした】とさらに感謝の祈りを捧げる」
アルバの真似をし少年は祈りを捧げる。
「食べてよし。ナイフとフォークの扱い方も美しければなお良い魔術師じゃ」
この日少年は食事の際、アルバの真似をする様になった。
○大志を抱け
「変わったペンダントだね?」
橙色の菱形の石に少年は興味を示す。
「珍しいかい?そこらへんで買った安物だよ」
茶髪赤目のドワーフ族の女性ナタリアはペンダントを外し少年につける。
「もう、いらないからあげる。ところで少年よ!夢はあるかい?」
「夢?」
「即答できないか。では少年よ夢はなくたって良い。その代わり大志を抱け!」
「大志?」
よくわからない単語に戸惑う少年はナタリアの猛烈な圧力に黙りこくる。
「そう。簡単に言えば承認欲求を満たすことさ。私は色々なモノを発明し世界に貢献してきた。今では錬金王と呼ばれている」
文明を急速に発展させた偉大なる発明家には夢がなかった。しかし、誰がために不便を便利に変え続けた結果今がある。
「大志を抱く者は強い。抱き続けるものはさらに強い。誰がために力を振るい続けていけばいつか自分を確立できる。少年よ、今の君は何者だい?何者になれる?私は君の将来が楽しみで仕方がない」
ナタリアは少年を撫でる。まるで我が子の様に。
○風邪
古びた宿屋の一室。
少年は生まれて初めての大熱に苦しんでいた。
体が震えて、気を抜くと何処かへと飛んでいってしまいそうな感覚に陥る。
すると誰かがギュッと少年の手を握る。
「だれ?」
「あらあら、私のこと忘れちゃったのかしら?」
ぼやける視界の中、金髪碧目の美少女が少年の顔をのぞいていた。
「そふぃ?」
「正解。ちゃんとそばにいるから」
手のひらから伝わる聖の魔力が少年の体を癒していく。同時に、まるで命綱かの様に握る手を強める。
「アルデバラン君。私達は貴方を見捨てたりはしない。貴方が......いや貴方達が自由に生きれる様に私達は戦うわ。だから今は安らかに眠りなさい」
気だるさは消え、安らぎだけが残る。そして、スゥッと深い微睡の中へと旅立って行った。
○神座大戦
星ノ神座。
星に生きる全存在をを支配し、ありとあらゆるルールを強制させ、どんな願いをも叶える願望機。
ある日突然現れた星ノ神座。謎の無機質な音声が全世界に流れると共に、人魔大戦から神座大戦へと移行する。
星の中心にて、七体の大魔族と五人の騎士が一人の人間を取り囲んでいた。
「神座を破壊するとは、やってくれたな」
「ステラ・ヴァーミリオン!この大罪人めが!」
魔神族と一人の騎士がステラを罵る。見上げれば砕け散った破片が彗星の如く空を駆けていた。
「神座は......争いを......生む」
もはや風前の灯火で膝をつき息を荒げるステラは最後の力を振り絞りとあるスキルを発動させる。
「はぁ...はぁ...。だが......彼等に......罪はない」
ステラは光の粒となり五芒星の小さな星へと変貌する。
「これは一体?」
額に宝石をつけた魔族が興味深げにそれを観察する。
『スキル【願い星】が発動しました』
発光が強まりそれは天高く飛翔すると砕け散り消滅した。
○荒野にて
抱えられているのか足だけずるずると引きずられている感触を覚える。視界は明瞭。しかし、体は一切動かないままソラは夢を見続けていた。
「見つけましたよ」
魔法陣から現れたのは燕尾服に身を包む魔人族の初老。丁寧な言葉遣いとその佇まいから王侯貴族に支える執事を連想させる。
「私のスキル【追跡者】からは逃れられません。さぁ、王がお待ちかねです。私とご同行願います」
「......嫌だ」
勇者一行が残した遺品を庇いつつアルは初老から逃げ出す。
「おやおや、なんですかそのガラクタは?」
見えない刃が鎧に直撃する瞬間アルは体を捻り鎧を庇った。
「ウゥ...」
胸に切り傷ができ、鮮血が舞う。その後も遺品を庇いつつ初老に斬り刻まれながら走り続ける。
「ここまでの様ですね」
アルの背後には底の見えない大きな穴が広がっていた。
次の瞬間アルは背後に飛び穴へ落下する。
「はぁ、面倒なことになりましたね。よりにもよって奈落に落ちるだなんて」
憂鬱ながらも任務を遂行するため、その初老も穴へと飛び降りた。
ソラは夢を見ていた。
まるで誰も居ない映画館に一人ポツンと席に座り巨大なスクリーンを眺めている。その後、辺りが暗くなり開演が始まった瞬間ソラはスクリーンへと吸い込まれた。
「君、迷子かな?名前はなんて言うの?」
優しくも覇気のある女性の声が聞こえる。
だんだんと視界が明瞭になり目の前には泥だらけの少年が座り込んでいた。しかし、熱に浮かされた様に全ての情景が朧げで靄がかかる。
「名前......ない」
その声色はソラの聞き馴染みのある少年の声。
「そうか、記憶喪失かな?とりあえず、私達と隣町へ行こうか。そこには教会があるからね」
少年は言われるがままに彼女へとついていく。
「放っとけば良い。お人よしな奴だ」
批判的な態度を取るは背丈5メートルを優に超す赤髪の巨人だった。腰には大剣をさしている。
「子供一人救えない勇者は勇者とは呼ばない。私の理想に反する」
そして、少年を抱き抱え仲間と共に先へ進む。
○夜空の下で
あれから月日が流れ少年はポーターとして彼女らの仲間となった。魔族の脅威を退ける為、かの大魔族達の侵攻を阻止する為旅をする。
「ガイウスはなんでそんなに大きいの?」
少年は赤髪の巨人に疑問を投げかける。
そして、煩わしそうにその巨人は答えた。
「星を掴むためだ」
巨人族は他種族と比べ最も背が高い種族だ。故に空に最も近い種族として星を神聖視している。
「掴めそう?」
少年は素直だった。
するとガイウスはステラを一瞥し夜空へと手を伸ばすが自嘲気味に笑い「無理そうだ」と応える。
一瞬の沈黙が流れ少年はあることを思いついた。
「何をしているんだ?」
少年大の字になり地面にうつ伏せで倒れる。
「掴んだよ、星」
その行動にガイウスはくすりと笑う。
「先を越された様だ」
○雪原にて
しんしんと雪降る中、勇者一行は次の街へと向かう。辺りを見渡せば白銀に覆われ白い息が空気中に解ける。
もっと厚着しておけばよかったと少年は後悔していた。寒さと雪に足を取られ歩みが遅くなる。
「ねぇ、寒いの?」
ふわふわと宙に浮く背丈1メートル前後の小人族の女性が語りかけてきた。
「ちょっとだけ」
少年は強がるが震えが止まらない。
するとその女性チルが身につけていた緑色のマフラーを少年の首に巻きつける。
「ありがとう」
「勘違いしないでよ。あんたが風邪ひいたらみんなの足手纏いになるでしょ?」
その微笑ましげな光景を見ていた周りは少年に合わせ歩幅を変え始める。
○酒場
王都郊外にある酒場にて勇者一行は食事をとっていた。
「良いか?料理とは魔術に通ずる」
フォークとナイフを扱いステーキを口に運ぶ老人。たまに意味のわからない事を言い出すとんがり帽をかぶるこの老人は勇者一行の魔術師アルバだ。
「うまい料理を作る料理人は基本良い魔術師じゃ。我々を幸福にしてくれる。魔術師とはそうあるべきじゃ」
ステーキが配膳されナイフを持とうとする少年をアルバが制止させる。
「まぁ、待つんじゃ。使い手が良いだけではだめなのじゃ。食事をする側も良き魔術師でなければいかん」
「どうすれば良いの?」
アルバはナイフとフォークを置きいつものルーティンを少年に見せる。
「両手を合わせ、命に感謝し【頂きます】。そして最後に【ご馳走様でした】とさらに感謝の祈りを捧げる」
アルバの真似をし少年は祈りを捧げる。
「食べてよし。ナイフとフォークの扱い方も美しければなお良い魔術師じゃ」
この日少年は食事の際、アルバの真似をする様になった。
○大志を抱け
「変わったペンダントだね?」
橙色の菱形の石に少年は興味を示す。
「珍しいかい?そこらへんで買った安物だよ」
茶髪赤目のドワーフ族の女性ナタリアはペンダントを外し少年につける。
「もう、いらないからあげる。ところで少年よ!夢はあるかい?」
「夢?」
「即答できないか。では少年よ夢はなくたって良い。その代わり大志を抱け!」
「大志?」
よくわからない単語に戸惑う少年はナタリアの猛烈な圧力に黙りこくる。
「そう。簡単に言えば承認欲求を満たすことさ。私は色々なモノを発明し世界に貢献してきた。今では錬金王と呼ばれている」
文明を急速に発展させた偉大なる発明家には夢がなかった。しかし、誰がために不便を便利に変え続けた結果今がある。
「大志を抱く者は強い。抱き続けるものはさらに強い。誰がために力を振るい続けていけばいつか自分を確立できる。少年よ、今の君は何者だい?何者になれる?私は君の将来が楽しみで仕方がない」
ナタリアは少年を撫でる。まるで我が子の様に。
○風邪
古びた宿屋の一室。
少年は生まれて初めての大熱に苦しんでいた。
体が震えて、気を抜くと何処かへと飛んでいってしまいそうな感覚に陥る。
すると誰かがギュッと少年の手を握る。
「だれ?」
「あらあら、私のこと忘れちゃったのかしら?」
ぼやける視界の中、金髪碧目の美少女が少年の顔をのぞいていた。
「そふぃ?」
「正解。ちゃんとそばにいるから」
手のひらから伝わる聖の魔力が少年の体を癒していく。同時に、まるで命綱かの様に握る手を強める。
「アルデバラン君。私達は貴方を見捨てたりはしない。貴方が......いや貴方達が自由に生きれる様に私達は戦うわ。だから今は安らかに眠りなさい」
気だるさは消え、安らぎだけが残る。そして、スゥッと深い微睡の中へと旅立って行った。
○神座大戦
星ノ神座。
星に生きる全存在をを支配し、ありとあらゆるルールを強制させ、どんな願いをも叶える願望機。
ある日突然現れた星ノ神座。謎の無機質な音声が全世界に流れると共に、人魔大戦から神座大戦へと移行する。
星の中心にて、七体の大魔族と五人の騎士が一人の人間を取り囲んでいた。
「神座を破壊するとは、やってくれたな」
「ステラ・ヴァーミリオン!この大罪人めが!」
魔神族と一人の騎士がステラを罵る。見上げれば砕け散った破片が彗星の如く空を駆けていた。
「神座は......争いを......生む」
もはや風前の灯火で膝をつき息を荒げるステラは最後の力を振り絞りとあるスキルを発動させる。
「はぁ...はぁ...。だが......彼等に......罪はない」
ステラは光の粒となり五芒星の小さな星へと変貌する。
「これは一体?」
額に宝石をつけた魔族が興味深げにそれを観察する。
『スキル【願い星】が発動しました』
発光が強まりそれは天高く飛翔すると砕け散り消滅した。
○荒野にて
抱えられているのか足だけずるずると引きずられている感触を覚える。視界は明瞭。しかし、体は一切動かないままソラは夢を見続けていた。
「見つけましたよ」
魔法陣から現れたのは燕尾服に身を包む魔人族の初老。丁寧な言葉遣いとその佇まいから王侯貴族に支える執事を連想させる。
「私のスキル【追跡者】からは逃れられません。さぁ、王がお待ちかねです。私とご同行願います」
「......嫌だ」
勇者一行が残した遺品を庇いつつアルは初老から逃げ出す。
「おやおや、なんですかそのガラクタは?」
見えない刃が鎧に直撃する瞬間アルは体を捻り鎧を庇った。
「ウゥ...」
胸に切り傷ができ、鮮血が舞う。その後も遺品を庇いつつ初老に斬り刻まれながら走り続ける。
「ここまでの様ですね」
アルの背後には底の見えない大きな穴が広がっていた。
次の瞬間アルは背後に飛び穴へ落下する。
「はぁ、面倒なことになりましたね。よりにもよって奈落に落ちるだなんて」
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