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第一章 気まぐれな白き虎
013話 眷属カラレデス
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優によって石化の呪いを解かれた人々は未だ目を覚まさない。ハウザー医師によるとただ眠っているとのことでどこも異常は無く、しばらくしたら目を覚ますだろうとのこと。
一方優達四人は子供達が石化した場所【白猫平和公園】へと足を踏み入れていた。
万が一戦闘に陥ってしまったら危険のためマリアさんとハウザー医師、フランには療養所に残ってもらっている。カインはと言うと事態報告のためギルド及び館へと向かった。
「まさか、このロザリオにこんな役割があったのか」
ウォルトが療養所で言っていた呪いの対処方法とは聖職者が必ず身につけるロザリオに秘密があった。曰くロザリオには魔除け、又は呪いを跳ね除ける力があるらしい。
そして今現在、四人は黒い瘴気が漂った平和公園内をロザリオが発する光で瘴気を弾きつつ瘴気の発生源へと向かっていた。
「考えてみれば予防策があるのに《浄化》の魔法が無くなったって変な話だよね。僕が見るにそのロザリオが発している光は《浄化》の光と同じみたいだけど」
「はい。私もユウさんが扱った《浄化》魔法を見るまではロザリオの持つ力の正体について気が付きませんでした。まさか、ロザリオに《浄化》の魔法が付与されていたとは」
ただロザリオに付与された浄化の力ははあくまでも呪いを跳ね返すだけであり呪い自体を無効化するほどの効力はなかった。
「相変わらずアルターニの連中は保身野郎ばっかなのか?」とジンは悪態をついた。
そして《浄化》の魔法は実は失ってはおらず誰かが故意的に《浄化》の魔法の存在を秘匿しているのだろうとジンは当たりをつける。十中八九創世教のお偉いさんなんだろうと。
「おい、あそこを見ろ!」
ダンは何かに気がついたのかある場所に指を指す。
全員は刺された方向に視線を向けるとそこには巨大な白猫のオブジェらしき像があった。
「白猫のオブジェ?」
「本来はもっと威厳のある虎をモチーフにしたオブジェだったんだがな。誰が塗装したんだか」
溜め息をこぼすほどにダンは以前の威厳のある虎が好みだったらしい。
「それより、足元を見てみろ。瘴気だ」
ダンさんの言う通り白猫の足元から黒い瘴気が吹き出していた。
「発生源は此処みたいですね。再封印できるか試してみまッ?!」
ウォルトさんがオブジェへ近づこうとした瞬間地面が激しく揺れ始めた。
「これは?!」
次の瞬間、オブジェの足元から漏れ出る瘴気が空へと柱の如く噴出した。
そして、黒い瘴気の柱から出てきたのは黒い甲冑を着た大男だった。ただ、黒い霧に包まれており風が吹けば姿がぶれるため恐らく実体がないと見る。
『ふむ、久方ぶりの外だがどうやらかなり様変わりしているようだな』
腹の底に響く重低音。
邪神の眷属なだけあって圧倒的な威圧感を放っている。
『匂うな。平和で……生ぬるい……幸福感情の鼻につく光の匂いがする。はぁ……全く吐き気がする!』
そして、注目されていることに気が付いたのかちらりと視線をこちらに向けた。
『何を見ている?定命なる者達よ。いや……一人は精霊か。【家】……忌々しい腑抜けた概念だな』
「出会ってすぐ挑発されたんだけど?」
「いやいや、それよりも見ただけでお前の司る概念を言い当てたぞ?」
ダンは戦慄した。
何よりもカラレデスの慧眼もそうだがその内から漏れ出る荒々しい闘気に畏怖したのだ。
「終焉をもたらす者、邪神マーニアスの眷属ですからね。油断してはいけませんよ」
ウォルトはロザリオを握りしめ臨戦態勢に入った。
『ほう。向かってくるのか?良いだろう。肩慣らしにはちょうど良さそうだ』
そしてカラレデスは腰に刺した鞘から漆黒のロングソードを引き抜いた。
「すまんがサシでやらせてもらうぜ」
ダンはそういうと一人前に出た。
「良いのか?アイツ結構強そうだけど」
ジンもダンを心配してか声をかけた。
「あぁ。それに、息子の仇でもある」
「息子さん生きてますよ」
「そして、マリアを悲しませた。奴をぶん殴ってやらなきゃ気が済まんだろう」
どうやら獣人特性が発動したみたいだ。
「じゃあ、戦いやすいように《浄化》の結界を張っておきますね」
せめて戦いやすいよう場を整えるため、優は《浄化》を《結界》に《付与》し複合魔法《浄化結界》を発動した。結界の範囲は公園全域である。
ただ、瘴気は漏れ続けているため、あくまで《浄化結界》は瘴気を公園外へ漏らさないようにするためのものにし、結界内は変わらず瘴気で埋め尽くされている。
そのため、優は三人に《浄化膜》を施し瘴気の中を自由に動き回れるようにした。
「恩に着る」
「もしかして私って戦力外?」
ウォルトさんお疲れ様。
後ろに下がってて。
『貴様が我の相手を?』
「不服か?」
『いや、なぜだか貴様をみていると腹正しくなってくるのは気のせいか?』
「何言ってんだ?」
『まぁ良い。これより我が創造主マーニアス様の代わりにこの我が世界に【終焉】を持たらそう。手始めに貴様らを……この都市を沈めてやる』
一方優達四人は子供達が石化した場所【白猫平和公園】へと足を踏み入れていた。
万が一戦闘に陥ってしまったら危険のためマリアさんとハウザー医師、フランには療養所に残ってもらっている。カインはと言うと事態報告のためギルド及び館へと向かった。
「まさか、このロザリオにこんな役割があったのか」
ウォルトが療養所で言っていた呪いの対処方法とは聖職者が必ず身につけるロザリオに秘密があった。曰くロザリオには魔除け、又は呪いを跳ね除ける力があるらしい。
そして今現在、四人は黒い瘴気が漂った平和公園内をロザリオが発する光で瘴気を弾きつつ瘴気の発生源へと向かっていた。
「考えてみれば予防策があるのに《浄化》の魔法が無くなったって変な話だよね。僕が見るにそのロザリオが発している光は《浄化》の光と同じみたいだけど」
「はい。私もユウさんが扱った《浄化》魔法を見るまではロザリオの持つ力の正体について気が付きませんでした。まさか、ロザリオに《浄化》の魔法が付与されていたとは」
ただロザリオに付与された浄化の力ははあくまでも呪いを跳ね返すだけであり呪い自体を無効化するほどの効力はなかった。
「相変わらずアルターニの連中は保身野郎ばっかなのか?」とジンは悪態をついた。
そして《浄化》の魔法は実は失ってはおらず誰かが故意的に《浄化》の魔法の存在を秘匿しているのだろうとジンは当たりをつける。十中八九創世教のお偉いさんなんだろうと。
「おい、あそこを見ろ!」
ダンは何かに気がついたのかある場所に指を指す。
全員は刺された方向に視線を向けるとそこには巨大な白猫のオブジェらしき像があった。
「白猫のオブジェ?」
「本来はもっと威厳のある虎をモチーフにしたオブジェだったんだがな。誰が塗装したんだか」
溜め息をこぼすほどにダンは以前の威厳のある虎が好みだったらしい。
「それより、足元を見てみろ。瘴気だ」
ダンさんの言う通り白猫の足元から黒い瘴気が吹き出していた。
「発生源は此処みたいですね。再封印できるか試してみまッ?!」
ウォルトさんがオブジェへ近づこうとした瞬間地面が激しく揺れ始めた。
「これは?!」
次の瞬間、オブジェの足元から漏れ出る瘴気が空へと柱の如く噴出した。
そして、黒い瘴気の柱から出てきたのは黒い甲冑を着た大男だった。ただ、黒い霧に包まれており風が吹けば姿がぶれるため恐らく実体がないと見る。
『ふむ、久方ぶりの外だがどうやらかなり様変わりしているようだな』
腹の底に響く重低音。
邪神の眷属なだけあって圧倒的な威圧感を放っている。
『匂うな。平和で……生ぬるい……幸福感情の鼻につく光の匂いがする。はぁ……全く吐き気がする!』
そして、注目されていることに気が付いたのかちらりと視線をこちらに向けた。
『何を見ている?定命なる者達よ。いや……一人は精霊か。【家】……忌々しい腑抜けた概念だな』
「出会ってすぐ挑発されたんだけど?」
「いやいや、それよりも見ただけでお前の司る概念を言い当てたぞ?」
ダンは戦慄した。
何よりもカラレデスの慧眼もそうだがその内から漏れ出る荒々しい闘気に畏怖したのだ。
「終焉をもたらす者、邪神マーニアスの眷属ですからね。油断してはいけませんよ」
ウォルトはロザリオを握りしめ臨戦態勢に入った。
『ほう。向かってくるのか?良いだろう。肩慣らしにはちょうど良さそうだ』
そしてカラレデスは腰に刺した鞘から漆黒のロングソードを引き抜いた。
「すまんがサシでやらせてもらうぜ」
ダンはそういうと一人前に出た。
「良いのか?アイツ結構強そうだけど」
ジンもダンを心配してか声をかけた。
「あぁ。それに、息子の仇でもある」
「息子さん生きてますよ」
「そして、マリアを悲しませた。奴をぶん殴ってやらなきゃ気が済まんだろう」
どうやら獣人特性が発動したみたいだ。
「じゃあ、戦いやすいように《浄化》の結界を張っておきますね」
せめて戦いやすいよう場を整えるため、優は《浄化》を《結界》に《付与》し複合魔法《浄化結界》を発動した。結界の範囲は公園全域である。
ただ、瘴気は漏れ続けているため、あくまで《浄化結界》は瘴気を公園外へ漏らさないようにするためのものにし、結界内は変わらず瘴気で埋め尽くされている。
そのため、優は三人に《浄化膜》を施し瘴気の中を自由に動き回れるようにした。
「恩に着る」
「もしかして私って戦力外?」
ウォルトさんお疲れ様。
後ろに下がってて。
『貴様が我の相手を?』
「不服か?」
『いや、なぜだか貴様をみていると腹正しくなってくるのは気のせいか?』
「何言ってんだ?」
『まぁ良い。これより我が創造主マーニアス様の代わりにこの我が世界に【終焉】を持たらそう。手始めに貴様らを……この都市を沈めてやる』
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