119 / 122
【番外編】皆とバレンタイン9
しおりを挟む
……なんか、今日はスゴく疲れたな。
先輩……あの後急に、顧問の先生との用事を思い出したって言って走って行っちゃったけど……間に合ったんだろうか?
別れる前にしきりに、寄り道せずにちゃんと帰るんだぞ! って念押しもされたけど。
一応、俺も男なんだからさ。一人で帰るくらい、何の問題もないのにな。
「しゅーんーちゃん!」
聞き馴染みのある、弾んだ声のした方へと目を向ける。すると自販機横のベンチに腰掛ける、鮮やかなオレンジ色の頭が見えた。
「ソレイユ先輩」
「おいで、オニーサンと一服しよう?」
招かれるままに隣に座ると、いつものオレンジジュースではなく茶色の紙カップを手渡された。
まだ温かいそれの飲み口にはプラスチックの蓋がついていて、ほんのりとチョコレートの甘い香りが漂ってくる。
なんか、駅の近くにあるおしゃれなコーヒーチェーン店の容器と似てるんだけど。
でも、結構ここから距離あるし……近くのコンビニで買ったんだろうな。
「ありがとうございます。ホットチョコレート……ですか?」
「うん、正解! ソレ、駅前で買ったんだよ。美味しいのにさ、バレンタインの時期にしか売ってないんだよねー」
「え!? でも、まだ全然温かいですけど?」
「ああ、それは魔術でちょちょいとね? でも小一時間くらいしかもたないからさ、冷める前に渡せてよかったよ」
スゴいな……俺なんて熱さも冷たさだって、三分維持させるだけで精一杯なのに。
……ん? 今、小一時間って言ったか? それって、つまり……
「……もしかして、ですけど……これを渡す為だけに、ずっと俺のことを待ってたとか……まさか、そんなこと……」
「待ってたよ?」
あっけらかんとした即答に声すら出ない。ただただ見つめてしまっている俺の肩に、先輩の長い腕がするりと回る。まるで追い打ちだった。
「ああ、でも気にしないでね。好きなコのことを待ってる時間って……オレにとっては楽しみでしかないからさ」
さり気なく抱き寄せられただけじゃない。耳元でそう囁かれてしまったんだ。
ぞくぞくと背中に走った淡い感覚に、反射的に横を向いていた。お陰様でさらなる追い打ちを、星が飛んできそうなくらいに綺麗なウィンクを間近でもらってしまった。
……だから、そうやって唐突にハートを鷲掴んでくるのは止めてくれませんかねぇ!?
なんなんだよ、ホントに。ソレイユ先輩までそんな……二人とも平気な顔して……す、好きとかさぁ……
いちいち恥ずかしがってる俺の方がおかしいのか?
「でも意外だったよ、君一人だけなんてさ。てっきりサルフにエスコートされて来るかと思ってたからね。オレとしては都合がよかったけど」
先輩……あの後急に、顧問の先生との用事を思い出したって言って走って行っちゃったけど……間に合ったんだろうか?
別れる前にしきりに、寄り道せずにちゃんと帰るんだぞ! って念押しもされたけど。
一応、俺も男なんだからさ。一人で帰るくらい、何の問題もないのにな。
「しゅーんーちゃん!」
聞き馴染みのある、弾んだ声のした方へと目を向ける。すると自販機横のベンチに腰掛ける、鮮やかなオレンジ色の頭が見えた。
「ソレイユ先輩」
「おいで、オニーサンと一服しよう?」
招かれるままに隣に座ると、いつものオレンジジュースではなく茶色の紙カップを手渡された。
まだ温かいそれの飲み口にはプラスチックの蓋がついていて、ほんのりとチョコレートの甘い香りが漂ってくる。
なんか、駅の近くにあるおしゃれなコーヒーチェーン店の容器と似てるんだけど。
でも、結構ここから距離あるし……近くのコンビニで買ったんだろうな。
「ありがとうございます。ホットチョコレート……ですか?」
「うん、正解! ソレ、駅前で買ったんだよ。美味しいのにさ、バレンタインの時期にしか売ってないんだよねー」
「え!? でも、まだ全然温かいですけど?」
「ああ、それは魔術でちょちょいとね? でも小一時間くらいしかもたないからさ、冷める前に渡せてよかったよ」
スゴいな……俺なんて熱さも冷たさだって、三分維持させるだけで精一杯なのに。
……ん? 今、小一時間って言ったか? それって、つまり……
「……もしかして、ですけど……これを渡す為だけに、ずっと俺のことを待ってたとか……まさか、そんなこと……」
「待ってたよ?」
あっけらかんとした即答に声すら出ない。ただただ見つめてしまっている俺の肩に、先輩の長い腕がするりと回る。まるで追い打ちだった。
「ああ、でも気にしないでね。好きなコのことを待ってる時間って……オレにとっては楽しみでしかないからさ」
さり気なく抱き寄せられただけじゃない。耳元でそう囁かれてしまったんだ。
ぞくぞくと背中に走った淡い感覚に、反射的に横を向いていた。お陰様でさらなる追い打ちを、星が飛んできそうなくらいに綺麗なウィンクを間近でもらってしまった。
……だから、そうやって唐突にハートを鷲掴んでくるのは止めてくれませんかねぇ!?
なんなんだよ、ホントに。ソレイユ先輩までそんな……二人とも平気な顔して……す、好きとかさぁ……
いちいち恥ずかしがってる俺の方がおかしいのか?
「でも意外だったよ、君一人だけなんてさ。てっきりサルフにエスコートされて来るかと思ってたからね。オレとしては都合がよかったけど」
22
あなたにおすすめの小説
【完結】俺の愛が世界を救うってマジ?
白井のわ
BL
総受け、受けのキスで変身するヒーローもの。
受け)天音レン、16歳、ごく普通の高校生だった、小柄な体格が悩み、真っ直ぐな性格。
攻め1)緑山ヒスイ、16歳、レンの幼なじみで親友、穏やかで一途な性格、小さい頃からレンのことが好き。
攻め2)赤木コウイチ、17歳、レン達の1つ上の先輩、熱血漢なリーダー、ヒーローに憧れている。
攻め3)黄川ダイキ、17歳、陽気な性格、趣味はゲーム、お姉ちゃんっこ。
攻め4)青岩アサギ、17歳、冷静な性格、恋愛ごとには疎い、可愛いものが好き。
攻め5)黒野キョウヤ、28歳、レンの体調管理と心のケアを担当する医師、面倒見が良い。
俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜
陽七 葵
BL
主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。
この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。
そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!
ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。
友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?
オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。
※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※
【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中
虎ノ威きよひ
BL
ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。
カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。
家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。
そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。
この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。
※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳)
※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。
※同性婚が認められている世界観です。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる