122 / 122
【番外編】皆とバレンタイン12
しおりを挟む
制服を脱ぐことすらもなんだか億劫で、ふかふかのベッドにダイブするように勢いよく倒れこむ。
今日は、スゴい一日だったな……月並みだけど、とびきりいい夢でも見てたんじゃないかってくらいに。
胸がいっぱいで、思い出すだけで、また、顔が熱くなってしまう。
夕飯は……もう、いいか。お腹が空いたらもらったチョコを食べればいいし。
みんなへのお返しはどうしようかな……ソレイユ先輩は、俺がくれるものなら何でも嬉しいって言ってくれたけど。
今までは、コンビニに置いてあるホワイトデーのコーナーから適当に選んでただけだからな……
それよりは、やっぱり下手でも手作りの方が喜んでもらえるのかな?
まだ一ヶ月あるんだし。今から練習すれば、それなりには……
甲高いチャイムの音が、俺の思考を現実へと引き戻す。……こんな時間に一体誰だろう?
「なんだ、ダンか。どうしたんだ?」
ドアの隙間から見えた、馴染みのある人物にホッとしたのもつかの間だった。
俯いたまま入ってきた彼の逞しい腕が急に伸びてきて、瞬く間に全身をすっぽりと閉じ込められてしまった。
「ダン? ホントにどうしたんだ?」
「……お前、一人だけか? 先輩と一緒じゃねぇのか?」
そう尋ねるダンの声は、とてもか細く、不安気で……いつもの明るい彼との落差に胸が苦しくなってしまう。
少しでもその憂いを取り除こうと、広い背中に腕を回してから出来るだけ優しい声色で尋ねてみる。
「……先輩ってどっちのことだ? サルファー先輩とは修練場で別れたし、ソレイユ先輩なら部屋まで送ってはもらったけど……」
俺の肩をそっと掴んでゆっくり離したダンは、そっか……と安心したように微笑んだ。
けれども、ソレイユ先輩もかよ……と、すぐさま顔をしかめた。まるで苦いものでも噛んだみたいだ。
「まぁ、取り敢えず上書きだけしとくか」
肺の中身を全部出しきるような溜め息とともに、そうぼやくと俺の頬にごつごつした手を添える。
ごく自然に、そうするのが当たり前かのようにスムーズに口づけられてしまった為、抵抗も出来ず。
されるがままに何度も唇を食まれてしまった。
「ふ……ん、んっ……ぁ……ちょっ、だから、いきなりするなって……」
「悪い悪い、先に言わねぇといけないんだったな。すっかり忘れてたぜ」
悪戯っぽく笑う彼は、さっきの沈んだ表情なんてウソのように明るくて。色々と疑問が浮かぶものの、まぁ、ダンが元気になったみたいだからいいかと呑み込んだ。
「えっと……上がってくだろ? いつも通り冷凍物しかないから大した物は出せないけどさ」
「おう。どーせそんなことだろうと思って、作ってきたから心配しなくていいぜ?」
ビニール袋から取り出されたタッパーの一つには唐揚げが、もう一つには野菜炒めとお握りがみっちり詰まっている。
現金なもので、さっきまでは全くなかった食欲が、目の前の美味しそうなご飯に釣られて一気に湧いてきてしまった。
「やった! ダン、大好き!」
「……やれやれ、俺も大好きだぜ」
思わず飛びついてしまった俺を、しょうがねぇなぁと笑ったダンが優しく抱き止めてくれた。
今日は、スゴい一日だったな……月並みだけど、とびきりいい夢でも見てたんじゃないかってくらいに。
胸がいっぱいで、思い出すだけで、また、顔が熱くなってしまう。
夕飯は……もう、いいか。お腹が空いたらもらったチョコを食べればいいし。
みんなへのお返しはどうしようかな……ソレイユ先輩は、俺がくれるものなら何でも嬉しいって言ってくれたけど。
今までは、コンビニに置いてあるホワイトデーのコーナーから適当に選んでただけだからな……
それよりは、やっぱり下手でも手作りの方が喜んでもらえるのかな?
まだ一ヶ月あるんだし。今から練習すれば、それなりには……
甲高いチャイムの音が、俺の思考を現実へと引き戻す。……こんな時間に一体誰だろう?
「なんだ、ダンか。どうしたんだ?」
ドアの隙間から見えた、馴染みのある人物にホッとしたのもつかの間だった。
俯いたまま入ってきた彼の逞しい腕が急に伸びてきて、瞬く間に全身をすっぽりと閉じ込められてしまった。
「ダン? ホントにどうしたんだ?」
「……お前、一人だけか? 先輩と一緒じゃねぇのか?」
そう尋ねるダンの声は、とてもか細く、不安気で……いつもの明るい彼との落差に胸が苦しくなってしまう。
少しでもその憂いを取り除こうと、広い背中に腕を回してから出来るだけ優しい声色で尋ねてみる。
「……先輩ってどっちのことだ? サルファー先輩とは修練場で別れたし、ソレイユ先輩なら部屋まで送ってはもらったけど……」
俺の肩をそっと掴んでゆっくり離したダンは、そっか……と安心したように微笑んだ。
けれども、ソレイユ先輩もかよ……と、すぐさま顔をしかめた。まるで苦いものでも噛んだみたいだ。
「まぁ、取り敢えず上書きだけしとくか」
肺の中身を全部出しきるような溜め息とともに、そうぼやくと俺の頬にごつごつした手を添える。
ごく自然に、そうするのが当たり前かのようにスムーズに口づけられてしまった為、抵抗も出来ず。
されるがままに何度も唇を食まれてしまった。
「ふ……ん、んっ……ぁ……ちょっ、だから、いきなりするなって……」
「悪い悪い、先に言わねぇといけないんだったな。すっかり忘れてたぜ」
悪戯っぽく笑う彼は、さっきの沈んだ表情なんてウソのように明るくて。色々と疑問が浮かぶものの、まぁ、ダンが元気になったみたいだからいいかと呑み込んだ。
「えっと……上がってくだろ? いつも通り冷凍物しかないから大した物は出せないけどさ」
「おう。どーせそんなことだろうと思って、作ってきたから心配しなくていいぜ?」
ビニール袋から取り出されたタッパーの一つには唐揚げが、もう一つには野菜炒めとお握りがみっちり詰まっている。
現金なもので、さっきまでは全くなかった食欲が、目の前の美味しそうなご飯に釣られて一気に湧いてきてしまった。
「やった! ダン、大好き!」
「……やれやれ、俺も大好きだぜ」
思わず飛びついてしまった俺を、しょうがねぇなぁと笑ったダンが優しく抱き止めてくれた。
31
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
【完結】俺の愛が世界を救うってマジ?
白井のわ
BL
総受け、受けのキスで変身するヒーローもの。
受け)天音レン、16歳、ごく普通の高校生だった、小柄な体格が悩み、真っ直ぐな性格。
攻め1)緑山ヒスイ、16歳、レンの幼なじみで親友、穏やかで一途な性格、小さい頃からレンのことが好き。
攻め2)赤木コウイチ、17歳、レン達の1つ上の先輩、熱血漢なリーダー、ヒーローに憧れている。
攻め3)黄川ダイキ、17歳、陽気な性格、趣味はゲーム、お姉ちゃんっこ。
攻め4)青岩アサギ、17歳、冷静な性格、恋愛ごとには疎い、可愛いものが好き。
攻め5)黒野キョウヤ、28歳、レンの体調管理と心のケアを担当する医師、面倒見が良い。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中
虎ノ威きよひ
BL
ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。
カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。
家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。
そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。
この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。
※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳)
※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。
※同性婚が認められている世界観です。
【完結】自称ワンコに異世界でも執着されている
水市 宇和香
BL
「たとえ異世界に逃げたとしたって、もう二度と逃さないよ」
アザミが高校二年生のときに、異世界・トルバート王国へ転移して早二年。
この国で二十代半ばの美形の知り合いなどいないはずだったが、
「キスしたら思いだしてくれる? 鳥居 薊くん」
その言葉で、彼が日本にいたころ、一度だけキスした同級生の十千万堂 巴波だと気づいた。
同い年だったはずのハナミは、自分より七つも年上になっていた。彼は王都から辺境の地ーーニーナ市まではるばる、四年間もアザミを探す旅をしていたらしい。
キスをした過去はなかったこととして、二人はふたたび友人として過ごすようになった。
辺境の地で地味に生きていたアザミの日常は、ハナミとの再会によって一変し始める。
そしてこの再会はやがて、ニーナ市を揺るがす事件へと発展するのだった…!
★執着美形攻め×内弁慶な地味平凡
※完結まで毎日更新予定です!(現在エピローグ手前まで書き終わってます!おたのしみに!)
※感想や誤字脱字のご指摘等々、ご意見なんでもお待ちしてます!
美形×平凡、異世界、転移、執着、溺愛、傍若無人攻め、内弁慶受け、内気受け、同い年だけど年の差
俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜
陽七 葵
BL
主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。
この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。
そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!
ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。
友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?
オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。
※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
愛がいっぱいで
読んでいてこちらまで幸せになります〜
ずっとみんなでいちゃいちゃしてて欲しいです 笑
白井さんの作品大好きです〜💛
素敵な作品読ませて頂けて幸せです✨
ありがとうございます✨✨
此方こそ読んで頂きありがとうございます!
いちゃいちゃ書くのが大好きなので、そのように言ってもらえてとても嬉しいです! 励みになります!
引き続き楽しんで頂けると幸いです。
めっちゃタイプです✨
マッチョ系大好きでこれから
どういうストーリーになるのかとっても楽しみです!
応援しています😊
ありがとうございます! 楽しみにしていただけてとても嬉しいです! 応援、とても励みになります!
毎日更新していく予定ですので、お暇な時に楽しんでいただけると幸いです。