305 / 645
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
懸命に思い出そうにも
しおりを挟む
マズった……よな? いくらライには割とオープンに話しているとはいえ、友達に聞くような内容じゃ……
早くも後悔しているとライが突然立ち上がった。かといって俺の元へと来るのではなく、何故か一目散に台所へと駆けていく。
ガタゴトと何かを探しているような賑やかな物音の後に、またぱたぱたと彼の足音。すぐに戻ってきたライは、俺の隣へとぺたんと座り込んだ。
「取り敢えず、これで練習してみる?」
小さな手が差し出してきたのは、ビニール袋に入っている白い棒アイスだった。多分バニラだろう。スーパーとかで箱で売っている小さめのものだ。なんだか懐かしいな。最近は食べていなかったっけ。
「僕も、やり方を教えられるほど詳しくはないけど……感覚は掴めるかもよ? 要は舐めればいいんだし」
「あー! 成る程、確かに。流石ライだな!」
ようやく意図が飲み込めた俺を見て、ライが安心したように微笑んだ。ついつい頭を撫でてしまっていると、丸い茶色の瞳が照れくさそうに細められた。
「えへへ……僕が持っててあげるから、早速やってみよう?」
「うん、ありがとう、ライ」
ふにゃりと緩んだ頬を引き締めて、ライが俺の口元でアイスを構えた。
今は一分一秒でも惜しいからな。少しでも先輩に喜んでもらえるように、いっぱい練習しないと。
「……でも、まず、どうしたらいいんだ?」
意気込んだものの、初っ端から躓いてしまった。突き出されているアイスをしげしげと眺めていると、ライも「うーん……」と困ったような声を漏らしながら首を傾げた。
……先輩は、どういう風に舐めてくれていたんだっけ?
記憶の引き出しから引っ張り出そうとしても、脳裏に浮かぶのは顔が熱をもつことだけしか。艶っぽく微笑む唇から覗いている真っ赤な舌、見上げてくる少し潤んだオレンジの瞳、乱れた吐息。それから。
ダメだ……ソレイユ先輩がエッチだったことと、目茶苦茶気持ちよかったことしか思い出せない。
何もかもが初めてな俺にとっては、至極鮮烈で刺激があり過ぎた体験。だというのに、肝心な手順に関してはサッパリだ。ああ、また色気漂う濡れた唇が思い出す邪魔をして。
「……昨日、シュンが先輩にやってもらったみたいにすればいいんじゃない?」
「あ、ああ……俺も今思い出そうとしていたんだけど、全然思い出せなくて…………って、あれ? 先輩にしてもらったって、俺、ライに言ったっけ?」
丁度思い出そうとしていた時に聞かれたもんだから、つい言っちゃってたんだけど。
「ううん、言ってないけど……だから練習しようって思ったんじゃないの? 先輩にお返ししたくて」
「っ……」
そもそもの理由までをもあっさりと言い当てられてしまい、俺は言葉を詰まらせた。ますます熱くなった顔からは、湯気でも出ていそう。
片やライは冷静なまま。微笑みながら「シュンは頑張り屋さんだね」と俺の頭を撫でてくれた。
早くも後悔しているとライが突然立ち上がった。かといって俺の元へと来るのではなく、何故か一目散に台所へと駆けていく。
ガタゴトと何かを探しているような賑やかな物音の後に、またぱたぱたと彼の足音。すぐに戻ってきたライは、俺の隣へとぺたんと座り込んだ。
「取り敢えず、これで練習してみる?」
小さな手が差し出してきたのは、ビニール袋に入っている白い棒アイスだった。多分バニラだろう。スーパーとかで箱で売っている小さめのものだ。なんだか懐かしいな。最近は食べていなかったっけ。
「僕も、やり方を教えられるほど詳しくはないけど……感覚は掴めるかもよ? 要は舐めればいいんだし」
「あー! 成る程、確かに。流石ライだな!」
ようやく意図が飲み込めた俺を見て、ライが安心したように微笑んだ。ついつい頭を撫でてしまっていると、丸い茶色の瞳が照れくさそうに細められた。
「えへへ……僕が持っててあげるから、早速やってみよう?」
「うん、ありがとう、ライ」
ふにゃりと緩んだ頬を引き締めて、ライが俺の口元でアイスを構えた。
今は一分一秒でも惜しいからな。少しでも先輩に喜んでもらえるように、いっぱい練習しないと。
「……でも、まず、どうしたらいいんだ?」
意気込んだものの、初っ端から躓いてしまった。突き出されているアイスをしげしげと眺めていると、ライも「うーん……」と困ったような声を漏らしながら首を傾げた。
……先輩は、どういう風に舐めてくれていたんだっけ?
記憶の引き出しから引っ張り出そうとしても、脳裏に浮かぶのは顔が熱をもつことだけしか。艶っぽく微笑む唇から覗いている真っ赤な舌、見上げてくる少し潤んだオレンジの瞳、乱れた吐息。それから。
ダメだ……ソレイユ先輩がエッチだったことと、目茶苦茶気持ちよかったことしか思い出せない。
何もかもが初めてな俺にとっては、至極鮮烈で刺激があり過ぎた体験。だというのに、肝心な手順に関してはサッパリだ。ああ、また色気漂う濡れた唇が思い出す邪魔をして。
「……昨日、シュンが先輩にやってもらったみたいにすればいいんじゃない?」
「あ、ああ……俺も今思い出そうとしていたんだけど、全然思い出せなくて…………って、あれ? 先輩にしてもらったって、俺、ライに言ったっけ?」
丁度思い出そうとしていた時に聞かれたもんだから、つい言っちゃってたんだけど。
「ううん、言ってないけど……だから練習しようって思ったんじゃないの? 先輩にお返ししたくて」
「っ……」
そもそもの理由までをもあっさりと言い当てられてしまい、俺は言葉を詰まらせた。ますます熱くなった顔からは、湯気でも出ていそう。
片やライは冷静なまま。微笑みながら「シュンは頑張り屋さんだね」と俺の頭を撫でてくれた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う
ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。
次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた
オチ決定しました〜☺️
※印はR18です(際どいやつもつけてます)
毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します
メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目
凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日)
訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎
11/24 大変際どかったためR18に移行しました
12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる