気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

細マッチョな先輩と恋人同士になった件（ソレイユルート）

★ 外とは扉一枚しか隔てていない場所で

　振り返ろうとしたけれども出来なかった。逞しい腕に背後から抱きすくめられていて身動きが取れそうにない。顔だけ振り向くだけでも精一杯そうだ。

「ソレイユ……あ、んぁ……」

　首の後ろに柔らかな感触が触れたかと思えば吸い付かれていた。淡い感覚が背筋を駆け上っていくと共に、すぐさま新たな快感がもたらされてしまう。

　いつの間にか抱き寄せてくれいる腕が片方だけになっていて、もう一方は俺の股の間へと伸ばされてしまっていた。それに気がついた時にはすでに大きな手のひらが、ズボンの上から俺のものを優しく揉み始めていて。

「あっ、ん……待って……ベットでって……ベットで可愛がってくれるって言って……あぁ……」

　俺が訴えている間にも、手の動きは大胆になっていってしまう。くっきりと主張し始めた竿をズボンの上から優しく掴むように指を添えながら撫で擦ったり、敏感な先っぽの辺りを、ぶ厚めな布越しとはいえ爪を立てて引っ掻くように弄ってきたり。

　巧みとしか思いようがない手つきによって、俺はすぐさま気持ちよくなってしまっていた。早くも下着の一部がじわりと滲んでいくのを感じてしまう。もう先走りが出ちゃってて。

　頭の中に僅かに残っている冷静な部分では、このままじゃあダメだって思えていた。ここで流されちゃあダメだって。けれども身体の方はすでにソレイユを求めてしまっていた。

　ソレイユが触りやすいように軽く股を開いて、彼の手に押しつけるように腰を揺らしてしまっていた。

「ダ、メ……はぅ……気持ちいの……ダメ、なのに……あっ、ん……誰かに声、聞かれちゃ……んぅっ」

　これなら問題ないでしょ、そう言われたような気がした。

　そっと顎を掴まれて、後ろを向かされた途端に口づけられていた。開きっぱなしだった口に舌を差し入れられていた。

「ん、ふっ、んんっ……ん、ん……っ」

　俺から舌を伸ばすよりも先に絡め取られて、そのまま何度も擦り合わせられる。

　深く交わし合っているところから、頭の中に響くほどにいやらしく濡れた音が鳴ってしまっている。

　悪いことをソレイユと一緒にしてしまっているような。そんな不思議な罪悪感だけでも気分が高まってしまう。だというのに聴覚からも、そして直接的な快感までをも上からも、下からも与えられてしまっては。

「あ……ふぁ……っ」

　ほんの少しの息継ぎの間に、俺はついに限界を迎えてしまっていた。

　集中的に先っぽをぐりぐりと撫で回してくれていた指先に擦り付けるように腰を振りながら、彼の頼もしい身体に寄りかかりながら外とは扉一枚しか隔てていない場所で。

　……イッちゃった。まだ靴も履き替えていないのに。ソレイユに触ってもらえて、キスしてもらえて、嬉しくて。

「……ゴメン、シュン……我慢出来なくて」

　申し訳なさそうに呟く声は消え入りそうなくらいに弱々しい。見つめてくる眼差しもひとりぼっちになってしまったかのよう。どこか不安気に見えた。

　でも緩めることなく抱き締めてくれている腕の強さが、それだけ俺を求めてくれていたように感じられて、胸の内が喜びで満たされていく。気恥ずかしさも、罪悪感も塗り替えていってくれる。

「大、丈夫……俺も、一緒……我慢、出来なかったから……」

「シュン……」

　彼の周りで可愛らしい花でも咲いていそうだ。そんな風に思えてしまうくらいに分かりやすくソレイユは表情を明るくしていた。

　嬉しそうに微笑んだ唇が、また俺に触れてくれようと近づいてきてくれる。俺だってもっとソレイユと触れ合いたい。でも。

「ね……お願い……ベッド、連れてって？　ちょっと今、俺……歩けそうもなくて……」

　ソレイユがはたと目を見開いた。やっぱりこうして近くで見ると睫毛が長いな。先の方なんてくるっとしてて。

「わっ」

　ついぼんやりと眺めてしまっていると、唐突に感じた浮遊感。ソレイユに抱き抱えてもらえていた。いわゆるお嫁さん抱っこというヤツで。