気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

細マッチョな先輩と恋人同士になった件（ソレイユルート）

★ して欲しいって言ったのはソレイユなのに

「ソレイユ……？」

　彼から与えられていた快感によって、すでに蕩けかけている頭では、彼の思惑を読み取ることが出来ない。ぼんやりと語彙力のない感想が浮かぶだけだ。やっぱりソレイユはカッコいいな、と。

　その次に浮かんできたのは素直な気持ち。彼にもっと触れて欲しい。

　堪えきれない欲求のままに、俺は頬を撫でてくれている彼の白くてキレイな手に手を重ねていた。繋いでもらおうと細く長い指を握ってしまっていた。

　ソレイユは少しだけ驚いたような顔をした。けれどもすぐにその形のいい唇に緩やかな笑みを浮かべた。額を重ねてくれた。目の前がソレイユだけになる。彼の笑顔だけが。

　囁いてきた声色に、少し前の仄暗さはない。毒気を抜かれたような声だった。

「可愛いね、シュン……意地悪してゴメンね」

「意地、悪……？」

　今度は彼が近づいてきてくれた喜びで満たされていた。そんなもんだから、またしてもピンとはこなかった。

　なんで、ソレイユは謝っているんだろう？

　俺の疑問が伝わったんだろう。ソレイユはまた少し驚いたようにタレ目の瞳を見開いてから、気恥ずかしそうにオレンジ色の睫毛を伏せた。

　上気しているように桜色に染まっていた頰が、さらに赤みを増していく。擦り寄ってきてくれた額も何だか熱くなってきている気がした。拗ねたように尖らせた唇から途切れがちにもじもじと彼の思惑が紡がれていく。

「ん……シュンからオレのこと、求めて欲しかったっていうか……お強請りして欲しくて、さ……」

「お強請り……」

　そこまでハッキリと言ってもらえたにも関わらず、俺はただぼんやりと彼の言葉を変えすことしか出来なかった。

　そっか、お強請りして欲しかったのか。そういえば、今までもよく求められていたっけ。俺の口から聞きたいってさ。

　少し遅れて納得していると、俺に覆い被さっている幅の広い肩がビクリと揺れた。ソレイユの眉間にシワが寄ってしまっている。今度は頰だけじゃなく、耳まで赤くなってきている。

「う……改めて口にされると、その」

「分かった」

「え」

　またソレイユが驚いている。今度は目を丸くして。口を薄く開いたまま固まっている。

　お強請りして欲しいって言ったのはソレイユなのに。おかしいな。まぁ、いいか。

「ソレイユにいっぱい触って欲しい……もっと、俺のこと……ソレイユで満たして？　お願、んんっ」

　大好きなソレイユからのお願いを叶えようとしていたのに、後少しというところで口を塞がれてしまっていた。当の本人から。

「んぅ……んっ、ふ、んん……」

　しっとりと熱い体温が開いたままの唇を優しく撫でてから、口内へとヌルリと入ってきた。

　彼からのお誘いだ、拒む理由はない。歓迎を示すべく舌を伸ばせば、すぐさま絡め取ってもらえた。いつもならば、焦らすように歯の裏や、上顎を撫でてくるのに。

「んっ、んっ……」

　深く交わし合う度に鳴ってしまう湿り気のある音が、頭の中にダイレクトに響いている。お陰様で鈍い俺でも気付けてしまった。

　何だか最初っから激しいな。ソレイユにいっぱい求めてもらえて。

　飲みこみきれなかったものが、口端どころか首にまで伝わっていってしまう。俺は言うまでもないけれども、ソレイユもどこか余裕がなさそう。ベッドへと俺を縫い付けんばかりにのしかかったまま、貪ってくれているように柔らかな舌を擦り合わせてくれている。

　普段は大人なお兄さんな彼の、前のめりな姿だけでも心にくるものがあった。加えて荒々しくも心地のいい舌使いに翻弄されてしまえば。

「んん……っ」

　案の定、俺は一人で先に限界を迎えてしまっていた。逞しい胸板に縋りついたまま腰を震わせてしまっていた。

　察しのいいソレイユは、すぐに気がついてくれてしまう。さっきとは打って変わって優しく、甘やかすように口づけてくれ始めた。