【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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★ ご褒美のリベンジをするハズが

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 特別っていうのはさ……普通とは違うってことだろう? ってことはさ、いつもしているようなことって、特別とは言えないよな? やっぱり。だから俺は、リベンジしようと思ったんだ。

 特別なご褒美をあげるって約束だったのに、自分では何にも思いつかなかった。それどころか、彼からの要望だったとはいえ、最近はそこそこしている頭を撫でるってだけで終わらせてしまったからさ。

 ……あと、結局俺が一番楽しんじゃってたし…………

 それでさ、俺なりに色々考えて、勇気を出して提案してみたんだ。して、みたんだが。



 お城に夜の帳が下りて、城内で働いている方々のほとんどは、自室や城下の家族の元へと戻り、思い思いの時間を過ごしている。

 そんな中、俺は大きくて広いベッドの上で好きな人と向き合ったまま…………正座をしていた。別に彼から強いられた訳ではない。気がついたら、自分で居住まいを正していたんだ。

 柔らかい光で室内を照らしている、青い水晶で出来たシャンデリアの明かりが、さらりと下ろされた白く艷やかな髪に淡い光の輪を描く。

 いついかなる時も穏やかな微笑みを絶やさない、清潔感のある白い髭が似合う口元が、今はきゅっと結ばれている。真剣な光を宿した、宝石のように煌めく緑の瞳が、俺を映し続けている。

 いつものカッチリ決まっている執事服姿ではなく、シンプルな白いシャツと黒のズボンを身に纏う彼こと、俺の大切な人であるバアルさん。正座のお手本のような姿勢から、彼は更に背筋をピシッと伸ばし、整えるように軽く静かに息を吐いてから切り出した。

「アオイ様、単刀直入にお尋ね致します」

「は、はいっ」

「貴方様は……私に抱かれたいですか? それとも、私を抱きたいですか?」

「だっ!?」

 大きく跳ねた心音が聞こえてしまいそうなほど、静けさに満ちた室内で、通りのいい低音が俺の鼓膜を揺さぶる。それから脳も。

 ……抱かれたいって……ハグじゃなくてそういう意味で、だよな……え? あれ? 俺って今までバアルさんに……抱いてもらっていたんじゃなかったのか?

 彼の質問が、ぐわんぐわんと鳴り響き続けている俺の頭の中は、混乱を極めていた。

 同性同士でのあれやこれやの知識が皆無な俺にとって、エッチなことをしてもらう=抱いてもらっている、という認識だったからだ。

 ……もしかしなくても、今までのはただの前座にすぎなくて、まだまだ先があるってことなのか? そんでもって俺が、抱いて欲しいと望めば……それを致していただけるのだろうか……

 高まりまくっている期待によって、心臓がはしゃぎ始めていた俺に、再び彼の声が、今度はさっきよりも幾分か柔らかくなった低音が尋ねた。

「先程、貴方様は……私を気持ちよくさせたいと仰って頂けましたね?」

「…………は、はぃ……」

 さっきとは違う理由で鼓動が速くなり、情けなく掠れた肯定が口から漏れる。

 顔が熱い……自分から言ったこととはいえ、改めて言葉にされると背中に変な汗が滲んでしまう。

 そう、俺はほんの少し前に彼に向かって言ったのだ。ご褒美のリベンジがしたいから……今日は俺がバアルさんを気持ちよくさせたいんですけど、となけなしの勇気を振り絞って。

 俺の予想していた彼の反応は2つ。

 触覚を揺らし、羽をはためかせながら微笑んで「誠でございますか? ……大変嬉しく存じます」と喜んでくれる。俺にとっては一番最高なパターン。

 それからもう一つは、一瞬ピシッと固まってしまってから「……貴方様から存分に撫でて頂けて、私は十分に満たされておりますよ」と俺に気を使って、心配してくれるパターンだった。

 まぁ、現実は全く違っていて。整えられた髭が渋くてカッコいい口元に細く長い指を当てたまま、瞳を泳がせていたバアルさんから、

 「少しお時間を頂いても宜しいでしょうか? 今後の私達の為にも……今一度、きちんとお話を致しましょう」

 と提案で返されるという、完全に想定外な3番目のパターンだったんだけどさ。
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