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【新婚旅行編】二日目:あふれて止まらない好きを伝え続けて
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一体、どのくらい時間が経ったのだろうか。静けさを取り戻していた寝室には、打って変わって穏やかな二人分の呼吸が聞こえるだけ。優しくも激しく愛してもらった名残りはほとんど残ってはいない。
いかにも上質な生地を使っていそうな、触り心地の良いシーツは洗い立てのようにまっさら。シワの一つもついてはいない。
俺の身体もだ。ちょっぴり気怠さが残っているだけ。頭の天辺から爪の先まで余すことなく、ひとっ風呂浴びたように清められている。
術を施してくれたんじゃなくて、実際に入れてくれたのかもしれない。俺が気を失っている内に。近いもんな、浴室。
いまだ、視界はぼんやりとしているものの、目の前にある彼の無防備な肉体美は目の毒で。俺は逃げるように視線を逸らしていた。
大きな窓から差し込み、ベッドの白を更に際立たせている柔らかな日差し。シーツの上に、折り重なるように寝転がっている俺達に降り注いでいる眩さは、意識を取り戻す前よりも高くなっているような。
「……ね……もう、お昼?」
愛しい重みに尋ねようとして、発した声の思いも寄らない掠れ具合に驚いた。瞬時に理由を理解して、顔が勝手に熱を持ってしまう。
全く、どれだけ情けのない声を上げ続けてしまっていたんだろう。何度、彼の名を呼んでしまって。いや、そんな可愛いものでは。
……最後の方とか、ほとんど叫んじゃってた気がするしなぁ。
ぶわりと蘇った、気を失ってしまう前のこと。高い天井を背にした長身。その頼もしい背から生え、俺を覆い隠さんばかりに広がっていた、淡い光を帯びた羽の美しさ。強く求めてくれる度に、躍動する筋肉。
透明感のある白い肌が、引き締まった首が、ほんのり染まっている様が色っぽくて。男として憧れる逞しく盛り上がった胸板を、くっきりと陰影がつくほどに隆起した腹筋を、伝っていく汗がカッコよくて。
心の内からあふれて、あふれて、止まらない好きを何度も伝えていた。俺を抱く腕に力いっぱいしがみつくことで、彼の名を呼び続けることで。
客観的に見れば、うわ言のようだったろうに。それでも彼は、バアルさんは返してくれていた。言葉でも、行動でも、俺が贈った好きなんて簡単に飛び越えるくらいの愛を伝えてくれた。
確か、最後は「愛しております……私のアオイ」って言ってもらえて、キスしてもらえて……嬉しくて、すっごく幸せな気分になって、俺……
「……お昼と言っても差し支えないかと、もうすぐ11時を回ります故」
投影石か、何かしらの術でだろうか。時刻を確認してくれた彼が、俺の上から退いていってしまう。
羽のように軽い掛け布団が、幅広の肩を滑るようにズリ落ちていく。隙間から侵入してきた外気が、肌をひんやりと撫でていった。
「……あ」
お礼を言うよりも先に、寂しそうな声を出してしまっていた。彼を求めて伸ばしていた手が、目測を誤って宙を彷徨う。
小さく笑う気配がして、大きな手のひらが重ねられて繋がれた。伝わってくる温もりに、自然と安堵の息が漏れてしまう。
今度は擽ったそうに笑う声が降ってきた。続けて柔らかな感触が手の甲に触れた。それが離れていく際に鳴った、わざとらしいリップ音。軽やかな音に気付かされた時には、引き続き指先にも送ってもらえていた。
「大丈夫、何処にも行きませんよ……私も貴方様と同じお気持ちです。まだ、お側を離れたくはございませんので」
「そ、そっか……よかった……」
言ってくれた通り、バアルさんは俺の直ぐ側に身を横たえた。繋いだ手はそのままに俺を招いてくれる。
「さあ、アオイ……此方へ……」
細められた緑の瞳と共に深くなっていく目尻のシワがカッコいい。少し伸びて、ますます渋みが増したお髭も相まって鼓動が騒がしくなってしまう。
だというのに、額にある細くて長い触角が、そわそわと揺れているのだ。肉感のあるお胸の筋肉が、ムッチリと寄ってしまっているのだ。
刺激が強すぎる……可愛いし、エッチだし……いや、まぁ、もっと刺激的なことを、すでに沢山致してもらった後なんだけどさ。
「アオイ?」
「ひゃ、ひゃいっ、失礼しまふ……」
「ふふ、どうぞ」
シーツの上を這うように近寄れば、すぐに長い腕に掴まってしまった。抱き寄せられて、腕枕をしてもらえた。安心する温もりに包まれて、ハーブの匂いが濃くなった。
その気はなくとも、身じろぐだけで滑らかな肌と触れ合えてしまう。ますますときめきが加速していってしまう。
柔らかな笑みを浮かべたバアルさんが、真っ直ぐに伸びた背筋を屈めてきた。高い鼻先が、甘えるように擦り寄ってきてくれた。
白い睫毛に縁取られた緑の瞳が、俺を捉えて微笑んだ。その眼差しは、豊かな森の木漏れ日のように優しくて。胸の奥がきゅうっと締め付けられてしまう。込み上げてきてしまう。
……もっと、もっと俺を見つめて欲しい。もっと彼の近くに。
「……バアル」
「……畏まりました」
呼んだだけで俺の望みを分かってくれた。叶えてくれた。
いかにも上質な生地を使っていそうな、触り心地の良いシーツは洗い立てのようにまっさら。シワの一つもついてはいない。
俺の身体もだ。ちょっぴり気怠さが残っているだけ。頭の天辺から爪の先まで余すことなく、ひとっ風呂浴びたように清められている。
術を施してくれたんじゃなくて、実際に入れてくれたのかもしれない。俺が気を失っている内に。近いもんな、浴室。
いまだ、視界はぼんやりとしているものの、目の前にある彼の無防備な肉体美は目の毒で。俺は逃げるように視線を逸らしていた。
大きな窓から差し込み、ベッドの白を更に際立たせている柔らかな日差し。シーツの上に、折り重なるように寝転がっている俺達に降り注いでいる眩さは、意識を取り戻す前よりも高くなっているような。
「……ね……もう、お昼?」
愛しい重みに尋ねようとして、発した声の思いも寄らない掠れ具合に驚いた。瞬時に理由を理解して、顔が勝手に熱を持ってしまう。
全く、どれだけ情けのない声を上げ続けてしまっていたんだろう。何度、彼の名を呼んでしまって。いや、そんな可愛いものでは。
……最後の方とか、ほとんど叫んじゃってた気がするしなぁ。
ぶわりと蘇った、気を失ってしまう前のこと。高い天井を背にした長身。その頼もしい背から生え、俺を覆い隠さんばかりに広がっていた、淡い光を帯びた羽の美しさ。強く求めてくれる度に、躍動する筋肉。
透明感のある白い肌が、引き締まった首が、ほんのり染まっている様が色っぽくて。男として憧れる逞しく盛り上がった胸板を、くっきりと陰影がつくほどに隆起した腹筋を、伝っていく汗がカッコよくて。
心の内からあふれて、あふれて、止まらない好きを何度も伝えていた。俺を抱く腕に力いっぱいしがみつくことで、彼の名を呼び続けることで。
客観的に見れば、うわ言のようだったろうに。それでも彼は、バアルさんは返してくれていた。言葉でも、行動でも、俺が贈った好きなんて簡単に飛び越えるくらいの愛を伝えてくれた。
確か、最後は「愛しております……私のアオイ」って言ってもらえて、キスしてもらえて……嬉しくて、すっごく幸せな気分になって、俺……
「……お昼と言っても差し支えないかと、もうすぐ11時を回ります故」
投影石か、何かしらの術でだろうか。時刻を確認してくれた彼が、俺の上から退いていってしまう。
羽のように軽い掛け布団が、幅広の肩を滑るようにズリ落ちていく。隙間から侵入してきた外気が、肌をひんやりと撫でていった。
「……あ」
お礼を言うよりも先に、寂しそうな声を出してしまっていた。彼を求めて伸ばしていた手が、目測を誤って宙を彷徨う。
小さく笑う気配がして、大きな手のひらが重ねられて繋がれた。伝わってくる温もりに、自然と安堵の息が漏れてしまう。
今度は擽ったそうに笑う声が降ってきた。続けて柔らかな感触が手の甲に触れた。それが離れていく際に鳴った、わざとらしいリップ音。軽やかな音に気付かされた時には、引き続き指先にも送ってもらえていた。
「大丈夫、何処にも行きませんよ……私も貴方様と同じお気持ちです。まだ、お側を離れたくはございませんので」
「そ、そっか……よかった……」
言ってくれた通り、バアルさんは俺の直ぐ側に身を横たえた。繋いだ手はそのままに俺を招いてくれる。
「さあ、アオイ……此方へ……」
細められた緑の瞳と共に深くなっていく目尻のシワがカッコいい。少し伸びて、ますます渋みが増したお髭も相まって鼓動が騒がしくなってしまう。
だというのに、額にある細くて長い触角が、そわそわと揺れているのだ。肉感のあるお胸の筋肉が、ムッチリと寄ってしまっているのだ。
刺激が強すぎる……可愛いし、エッチだし……いや、まぁ、もっと刺激的なことを、すでに沢山致してもらった後なんだけどさ。
「アオイ?」
「ひゃ、ひゃいっ、失礼しまふ……」
「ふふ、どうぞ」
シーツの上を這うように近寄れば、すぐに長い腕に掴まってしまった。抱き寄せられて、腕枕をしてもらえた。安心する温もりに包まれて、ハーブの匂いが濃くなった。
その気はなくとも、身じろぐだけで滑らかな肌と触れ合えてしまう。ますますときめきが加速していってしまう。
柔らかな笑みを浮かべたバアルさんが、真っ直ぐに伸びた背筋を屈めてきた。高い鼻先が、甘えるように擦り寄ってきてくれた。
白い睫毛に縁取られた緑の瞳が、俺を捉えて微笑んだ。その眼差しは、豊かな森の木漏れ日のように優しくて。胸の奥がきゅうっと締め付けられてしまう。込み上げてきてしまう。
……もっと、もっと俺を見つめて欲しい。もっと彼の近くに。
「……バアル」
「……畏まりました」
呼んだだけで俺の望みを分かってくれた。叶えてくれた。
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