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【新婚旅行編】三日目:とある兵士達は二人の笑顔を守りたい
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的確に俺の心境を述べた声は、のんびりとしていた。すぐに続いたヤツの声は、冷静そのものだったけれども。
「今はな。けどよぉ、いつまた今までのデートのような状態になるか分からねぇぜ? 写真を撮るのもほどほどにしておけよ、ベィティ」
「はぁ?」
そんな馬鹿なと目を向けたがマジだった。同僚の手には青い結晶が、投影石が握られている。
「ちょっ、なっ、いつの間にっ」
俺だって撮りたいのにっ! お二方が、ヨミ様が許して頂けるのであれば、今までの可愛らしい瞬間を余すことなく全て収めたいのにっ!
「声、大きいよ、落ち着きなよシアン」
落ち着いていられるか! 仲睦まじいお二方のオフショットなんて、喉から手が出るくらいに欲しいってのに!
みっともない欲が喉まで出かかっていたところで、ヤツからは背中を「どうどう」と撫でられて、ベィティからは頭をぽん、ぽんっと撫でられた。
ベィティの三角耳が、お辞儀をするようにぺこんと下がる。空のように青い目が、呆れたように細められた。
「ヨミ様へのご報告用だよ。今までも撮っていたんだけど……もしかして、気がついていなかったのかい?」
「え」
反射的にヤツを見上げれば、こっちも呆れているような。大きく開いた口から鋭い牙を覗かせながら、溜め息混じりに一言。
「……お前、今までずっと一心不乱に、バアル様とアオイ様に言い寄ろうとしている輩を追い払ってたからなぁ……」
そうだった。今回がのんびり出来ているから忘れていたけれど、ずっと俺、神経を張り巡らせていて。全然、見えてなかったかも。ヤツのことも、ベィティのことも。
「……ごめん」
「ふふ、いいよ、気にしないで。ちゃんと言ってなかった僕も悪かったんだからさ」
優しさが身に沁みる。ベィティは腰に巻いていた長くて黒い尾をゆらゆらと振りながら、口元に指を当てた。
「多分、バアル様もご存知なんじゃないかな? 一回目のデートを終えられた後にね、報告以外でももっと撮って構わないって……特に、アオイ様のシャッターチャンスを逃さぬようにって、主命を受けたんだよね」
「確かに、それっぽい注文だな。まぁ、そもそも、バアル様には最初っからバレバレだしな」
「そうそう、それに本当に僕達に見られたくないのならば、術を使われる筈だろう? 先程のようにさ」
納得した様子で頷いたヤツに、ベィティもうんうんと頷いている。
お二人が施されている変装の術。見る者によって異なる姿に見えるその術を、打ち消す為の石を俺達親衛隊は持っている。だが、見失ってしまったのだ。バアル様がアオイ様を連れて、小道へと向かわれた際に。
バアル様の魔力の気配がしていたから、術を使われたのだとすぐに分かった。俺達が使っているものと同じ、認識阻害の術を。
ただ、レベルが違い過ぎていたけれども。ずっとお供していた俺達とは違い、ただすれ違っただけの人々ならば錯覚してしまっていたことだろう。元々、お二方はいなかったんだと。
つまるところ、バアル様が本気になれば俺達の目から逃れるのは容易いということ。嫌ならば、とっくの昔に撒かれてしまっているのだ。
「だからさ、お願い申し上げたら頂けるかもしれないよ、お二方のオフショット。投影石をお渡しする時に、シアンも来るかい?」
「い、いいのかっ?」
「うん、成功するかは分かんないけどさ。君と一緒の方が、僕もお願いしやすいし。サロメもどう?」
「俺は……」
何となく見つめてしまっていると、目が合った。ヤツの黄色の瞳が気まずそうに左右に泳ぐ。そうして、溜め息と共に伏せられた。
「分かったよ……行くよ、行けばいいんだろう?」
「ふふ、いいねぇ。三人だったら、もっと上手くいきそう。何となくだけど」
ベィティはご機嫌そうにしながらも、しっかりと投影石でお二方の姿を収め続けている。
気を使わせてしまったな……ヤツはお二方への厚い忠義心はあれど、俺みたいに推している訳ではないのに。
「……ありがとな」
「おう」
ヤツは何でもないといった様子で、口端を持ち上げた。俺の頭をわしゃわしゃ撫でながら、黒く艶めく鱗に覆われた尻尾をゆらりと揺らしている。
「二人共、バアル様とアオイ様が移動されるよ」
ベィティの声に気持ちを引き締める。まだまだお二方のデートは始まったばかり。無事にホテルへとお戻りになられるまで、お二方の今を、眩しい笑顔を俺達で守らなければ。
「今はな。けどよぉ、いつまた今までのデートのような状態になるか分からねぇぜ? 写真を撮るのもほどほどにしておけよ、ベィティ」
「はぁ?」
そんな馬鹿なと目を向けたがマジだった。同僚の手には青い結晶が、投影石が握られている。
「ちょっ、なっ、いつの間にっ」
俺だって撮りたいのにっ! お二方が、ヨミ様が許して頂けるのであれば、今までの可愛らしい瞬間を余すことなく全て収めたいのにっ!
「声、大きいよ、落ち着きなよシアン」
落ち着いていられるか! 仲睦まじいお二方のオフショットなんて、喉から手が出るくらいに欲しいってのに!
みっともない欲が喉まで出かかっていたところで、ヤツからは背中を「どうどう」と撫でられて、ベィティからは頭をぽん、ぽんっと撫でられた。
ベィティの三角耳が、お辞儀をするようにぺこんと下がる。空のように青い目が、呆れたように細められた。
「ヨミ様へのご報告用だよ。今までも撮っていたんだけど……もしかして、気がついていなかったのかい?」
「え」
反射的にヤツを見上げれば、こっちも呆れているような。大きく開いた口から鋭い牙を覗かせながら、溜め息混じりに一言。
「……お前、今までずっと一心不乱に、バアル様とアオイ様に言い寄ろうとしている輩を追い払ってたからなぁ……」
そうだった。今回がのんびり出来ているから忘れていたけれど、ずっと俺、神経を張り巡らせていて。全然、見えてなかったかも。ヤツのことも、ベィティのことも。
「……ごめん」
「ふふ、いいよ、気にしないで。ちゃんと言ってなかった僕も悪かったんだからさ」
優しさが身に沁みる。ベィティは腰に巻いていた長くて黒い尾をゆらゆらと振りながら、口元に指を当てた。
「多分、バアル様もご存知なんじゃないかな? 一回目のデートを終えられた後にね、報告以外でももっと撮って構わないって……特に、アオイ様のシャッターチャンスを逃さぬようにって、主命を受けたんだよね」
「確かに、それっぽい注文だな。まぁ、そもそも、バアル様には最初っからバレバレだしな」
「そうそう、それに本当に僕達に見られたくないのならば、術を使われる筈だろう? 先程のようにさ」
納得した様子で頷いたヤツに、ベィティもうんうんと頷いている。
お二人が施されている変装の術。見る者によって異なる姿に見えるその術を、打ち消す為の石を俺達親衛隊は持っている。だが、見失ってしまったのだ。バアル様がアオイ様を連れて、小道へと向かわれた際に。
バアル様の魔力の気配がしていたから、術を使われたのだとすぐに分かった。俺達が使っているものと同じ、認識阻害の術を。
ただ、レベルが違い過ぎていたけれども。ずっとお供していた俺達とは違い、ただすれ違っただけの人々ならば錯覚してしまっていたことだろう。元々、お二方はいなかったんだと。
つまるところ、バアル様が本気になれば俺達の目から逃れるのは容易いということ。嫌ならば、とっくの昔に撒かれてしまっているのだ。
「だからさ、お願い申し上げたら頂けるかもしれないよ、お二方のオフショット。投影石をお渡しする時に、シアンも来るかい?」
「い、いいのかっ?」
「うん、成功するかは分かんないけどさ。君と一緒の方が、僕もお願いしやすいし。サロメもどう?」
「俺は……」
何となく見つめてしまっていると、目が合った。ヤツの黄色の瞳が気まずそうに左右に泳ぐ。そうして、溜め息と共に伏せられた。
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ベィティはご機嫌そうにしながらも、しっかりと投影石でお二方の姿を収め続けている。
気を使わせてしまったな……ヤツはお二方への厚い忠義心はあれど、俺みたいに推している訳ではないのに。
「……ありがとな」
「おう」
ヤツは何でもないといった様子で、口端を持ち上げた。俺の頭をわしゃわしゃ撫でながら、黒く艶めく鱗に覆われた尻尾をゆらりと揺らしている。
「二人共、バアル様とアオイ様が移動されるよ」
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