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【新婚旅行編】六日目:旅行中に加わった、新たなルーティン
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温かい手のひらが肌を撫でていく。しっとりとしたクリームを余すことなく塗り広げていく。
腕は勿論、手のひらに手の甲、指と指との間まで。丁寧に丁寧に塗り込んでくれてから、ぎゅっと握ってくれてから離れていった。クリームでツヤツヤしている手を濡れタオルで拭ってから、捲っていた袖を戻してくれる。
「お疲れ様でした、アオイ」
「ありがとう、バアル」
お風呂上がりのルーティン。バアルさんにスキンケアをしてもらった俺の肌は、しっとりすべすべになっていた。自分で触ってみても中々なもの。流石の腕前である。
「じゃあ、次は俺の番だね」
「ええ、宜しくお願い致します」
こっちは、旅行中に加わった……いや、加えてもらったルーティン。俺にとってのお返しであり、お手伝いでもある彼の触角と羽のお手入れだ。
広く頼もしい背中を飾っている水晶のように透き通った四枚の羽と、艷やかな髪の生え際辺りから生えている金属のような光沢を帯びた二本の細長い触角。バアルさんにとっては、大分デリケートなところを触らせてもらっているという緊張感にはまだ慣れない。
でも、手順の方は。バアルさんから、次は此方の瓶を、と指し示してもらう前に、これですよねっ、と当てられるくらいには覚えられた。
塗り方も褒めてもらえている。この手応えだと、考えていたよりは近いかもしれない。全部を俺に任せてもらえて、バアルさんにリラックスしてもらえるようになる日も。その為にも、頑張らなくちゃ。
だらしなく緩みかけていた頬を引き締めて、目の前の神秘的な美しさを放っている羽へと集中する。何種類もの液体やクリームを順番通りに塗り終えて、仕上げの粉も施して。
触角の方も、綿毛のようにふわふわなお手入れ道具でぽん、ぽん、ぽんっと優しく丁寧に触れさせてもらってから、真珠やダイヤモンドを砕いたようなキラキラ光る粉の入った蓋を閉めた。
羽の付け根まで余すことなく濡れるようにと、惜しげもなく白い素肌を晒してくれていたバアルさん。そのゴツゴツと筋肉質な背中に声をかける。
「よっし、と……終わったよ、バアル、お疲れ様」
「ありがとうございます、アオイ、お疲れ様でした」
鍛え抜かれた身体ごと振り向いた彼の上半身は、すでにいつもの白いカッターシャツを纏っていた。
御本人にしか分からない感覚があるのだろう。バアルさんは俺の頭を撫でてくれながらも、何かを確かめるように羽を軽めに広げてからはためかせ、触角を左右にゆらゆらと揺らしている。
ちゃんと出来たっていう自信はあるけれども、やっぱりちょっと緊張しちゃうな。
しっくりきたんだろうか。何度目かのはためきの後、バアルさんはシャープな顎にしなやかな指を添えながら、ふむ、と小さく呟いた。白い髭を蓄えた口元に浮かんでいる笑みが深くなっていく。
「……どう? 大丈夫そう?」
「ええ、大変良い具合でございますよ」
「よかったぁ」
無意識の内に肩に力を入れてしまっていたらしい。ホッとした途端にヘロヘロと抜けていく。抜け過ぎて、ベッドへと沈み込むように背中から倒れ込んでしまっていた。
続くようにバアルさんも俺の隣へと寝転がってきた。俺の周りで浮かんでいたお手入れ道具の数々、様々な形をしたガラス瓶やプラスチックのケースなどが、現れた時と同じように煙のように消えていく。俺が手にしていたハズのぽんぽんも。
腕は勿論、手のひらに手の甲、指と指との間まで。丁寧に丁寧に塗り込んでくれてから、ぎゅっと握ってくれてから離れていった。クリームでツヤツヤしている手を濡れタオルで拭ってから、捲っていた袖を戻してくれる。
「お疲れ様でした、アオイ」
「ありがとう、バアル」
お風呂上がりのルーティン。バアルさんにスキンケアをしてもらった俺の肌は、しっとりすべすべになっていた。自分で触ってみても中々なもの。流石の腕前である。
「じゃあ、次は俺の番だね」
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でも、手順の方は。バアルさんから、次は此方の瓶を、と指し示してもらう前に、これですよねっ、と当てられるくらいには覚えられた。
塗り方も褒めてもらえている。この手応えだと、考えていたよりは近いかもしれない。全部を俺に任せてもらえて、バアルさんにリラックスしてもらえるようになる日も。その為にも、頑張らなくちゃ。
だらしなく緩みかけていた頬を引き締めて、目の前の神秘的な美しさを放っている羽へと集中する。何種類もの液体やクリームを順番通りに塗り終えて、仕上げの粉も施して。
触角の方も、綿毛のようにふわふわなお手入れ道具でぽん、ぽん、ぽんっと優しく丁寧に触れさせてもらってから、真珠やダイヤモンドを砕いたようなキラキラ光る粉の入った蓋を閉めた。
羽の付け根まで余すことなく濡れるようにと、惜しげもなく白い素肌を晒してくれていたバアルさん。そのゴツゴツと筋肉質な背中に声をかける。
「よっし、と……終わったよ、バアル、お疲れ様」
「ありがとうございます、アオイ、お疲れ様でした」
鍛え抜かれた身体ごと振り向いた彼の上半身は、すでにいつもの白いカッターシャツを纏っていた。
御本人にしか分からない感覚があるのだろう。バアルさんは俺の頭を撫でてくれながらも、何かを確かめるように羽を軽めに広げてからはためかせ、触角を左右にゆらゆらと揺らしている。
ちゃんと出来たっていう自信はあるけれども、やっぱりちょっと緊張しちゃうな。
しっくりきたんだろうか。何度目かのはためきの後、バアルさんはシャープな顎にしなやかな指を添えながら、ふむ、と小さく呟いた。白い髭を蓄えた口元に浮かんでいる笑みが深くなっていく。
「……どう? 大丈夫そう?」
「ええ、大変良い具合でございますよ」
「よかったぁ」
無意識の内に肩に力を入れてしまっていたらしい。ホッとした途端にヘロヘロと抜けていく。抜け過ぎて、ベッドへと沈み込むように背中から倒れ込んでしまっていた。
続くようにバアルさんも俺の隣へと寝転がってきた。俺の周りで浮かんでいたお手入れ道具の数々、様々な形をしたガラス瓶やプラスチックのケースなどが、現れた時と同じように煙のように消えていく。俺が手にしていたハズのぽんぽんも。
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